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AIPPIメルボルン会議報告
2001年3月26日27日 弁理士 古谷栄男


■2001年3月25日〜3月30日まで、オーストラリアのメルボルンにて開催されているAIPPIの会議のうち、ビジネスモデル特許やドメイン名に関する話題(つまり私が興味を持っている分野です)について報告します。

■3月26日 全員参加のセッション
テーマ ビジネス方法の特許性

上記テーマに関し、AIPPIの委員会が予め作成した決議案に基づいて、討論が行われた。
結論は、概ね下記のとおり。

1.産業的、商業的および財務的活動の全ての分野において用いられる方法(簡単のため、”ビジネス方法”という)を含む発明は、クレームされた発明が技術的内容を有していれば、特許保護の対象とすべきである。

2.このようにクレームされた発明が、全体として技術的内容を有していれば、技術的内容に新規性、進歩性がない場合であっても、特許性を有する。

3.さらに、このような発明に対する特許保護は、他の種類の発明と同じ基準に基づくべきであり、特別な基準を設けるべきではない。

4.このような発明の非自明性の判断は、ケースバイケースにて判断すべきであり、既に知られている方法であっても、その新たな分野への適用が自明でない場合には、特許が与えられるべきである。

5.既に知られている方法を単にソフトウエア化しただけでは、非自明性に必要な要素を持っていると推定されるものではない。

6.ビジネス方法特許は、他の分野の発明と同じように取り扱われるべきである。特に、
a.ビジネス方法に関する特許の保護範囲は、他の分野の特許発明と同じとすべきである。
b.立証責任の転換のための証拠方法は、ビジネス方法特許においても同様に適用されるべきである。
c.このような特許の特許期間は、他の分野の特許期間と同じにすべきである。
d.損害賠償、差し止め請求などの侵害に対する救済は、他の分野の特許と同じにすべきである。
    ※6の項目は、フロアからの意見により修正された。

7.このような特許の審査において、AIPPIは、各国特許庁による調査及び審査手続き、特に、先行技術のデータベースによる調査手続きの改善を求める。


3月27日 ワークショップ
テーマ ドメイン名保護の戦略

ワークショップにおける主な論点
1.gTLDにおける統一的紛争解決について
  手続的問題点
  商標権との関係
  不正行為の問題
2.将来の問題として
  新たなgTLD(biz,info,name,pro,aero,museum,coopなど)
  DNSの国際化(日本語ドメインなど)

興味を引いた発表・意見
1.2000年において、WIPOのドメイン名紛争解決に基づく決定の内、18%が登録取消の申し立てを退けられている(1007件の内、183件が否定された)。また、申し立て後、決定の前に、決着が付いたものが279件ある。
2.ドメイン名は、商標的な保護が必要な側面、不正競争行為からの保護が必要な側面など、多面的である。このようにドメイン名が多くの側面を持っている以上、各側面については、現在の異なる法律による保護が妥当であり、ドメイン名に向けた特別法は必要でない。
(その他省略)

以上


なお、会議日程から見ると、上記の他に、直接的にビジネスモデル特許やドメイン名に関する話題を取り上げたものはないようである。

 

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