- 2010年8月21日 16:58
- 特許
本日の用語は「実施料」です。http://www.furutani.co.jp/cgi-bin/term.cgi?title=%8e%c0%8e%7b%97%bf
実施料は、製品の工場出荷価格を基準に、その何%と決められることが多いようです。この社会的経済的な観点が、出願をするときの特許請求の範囲の作成実務に影響を与えます。
法的な観点のみで考えると、請求項に記載すべき対象物は、発明の本質を具現化した最小単位の部品であることが好ましいわけです。たとえば、自転車のハンドルに特徴のある発明をした場合、自転車全体の請求項にて権利を取得するよりも、ハンドルの請求項にて権利を取得する方が、多くの場合、強いということができます。「ハンドル」の侵害品が出てきたとき、ハンドルの請求項であれば直接侵害、自転車の請求項であれば間接侵害となるからです(間接侵害の方が「のみ」などの立証すべき項目が多くなり権利者にとって不利です)。
しかし、実施料(ライセンス)の観点から考えると、違った結論になります。ハンドルの請求項でライセンスを行う場合、ハンドルの単価を基準として%を決めることになります。自転車の請求項でライセンスを行う場合、自転車の単価を基準として%を決めることになります。もちろん、ハンドル部分に特徴がある場合、自転車の単価を基準として%を決める場合、%が低めに設定されることになりますが、それでもハンドルの単価から決定した実施料よりも高くなるのが一般的です。したがって、実施料の観点からいうと、最小部品ではなく、完成品を請求して権利を取得するのがよいことになります。
結局のところ、権利の強さと実施料の双方を考慮する場合、完成品と部品の双方の請求項を作成するのがよいということになります。
実際には、一つの権利で勝負をすることは少なく、複数の権利を束ねて勝負をしますので、上記のように単純に割り切れるものではありませんが、基本は変わりません。
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