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ソフトウエア特許明細書の例
(発明の詳細な説明、図面の簡単な説明、図面)
実際に出願されたものではありません)
By Hideo FURUTANI, Patent Attorney


【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の技術分野】

この発明は、かな漢字変換に関し、特にその変換操作の容易化に関する。

【0002】

【従来の技術】

図9に、特開平○−○○○○○○号公報に記載されたかな漢字変換装置の構成を示す。この装置は、漢字の読みを”かな文字列”として入力することにより、これを所望の漢字に変換するものである。

【0003】

記憶装置6には、図10に示すように、かな文字列に対応する漢字が辞書として記憶されている。なお、図10においては、”しょうか”に対応する漢字のみを示しているが、他の読みについても対応する漢字が記録されている。


【0005】

求める漢字が”消化”でなければ、再び変換キーを押す。これにより、制御装置4は、辞書を参照して、次の漢字”唱歌”を読み出して、表示装置8に表示する。

【0006】

上記のような操作を繰り返し、順次、”商家””小過”を表示させ、目的とする漢字”昇華”を表示させた時点で、入力装置2の確定キー(図示せず)を押す。これにより、制御装置4は、”昇華”を記憶装置6の文書ファイル等に出力する。以上のようにして、かな文字列を所望の漢字に変換することができる。

【0007】

【発明が解決しようとする課題】

しかしながら、上記のような従来のかな漢字変換では、辞書の後ろの方によく使用する漢字が記憶されている場合、変換キーを何度も押さねばならず、変換効率が良くないという問題があった。

【0008】

そこで、この発明は、使用状況に合致させて変換効率を良くした文字列変換方法を提供することを目的とする。

【0009】

【課題を解決するための手段および発明の効果】

請求項1の文字列変換装置および請求項2の文字列変換方法は、辞書に第2の文字列ごとの使用頻度を記憶し、使用頻度の順に変換候補を表示するようにしている。したがって、実際の使用頻度が高い変換候補ほど先に表示されるので、変換効率がよい。また、使用文字列として出力するごとに、当該第2の文字列の使用頻度を更新するようにしているので、使用状況に応じて、変換候補の表示順序が最適化される。

【0010】

請求項3および請求項4の文字列変換プログラムを記録した記録媒体は、辞書に第2の文字列ごとの使用頻度を記憶させ、使用頻度の順に変換候補を表示させるようにしたプログラムを記録している。したがって、当該プログラムに基づく文字列変換は、実際の使用頻度が高い変換候補ほど先に表示されるので、変換効率がよい。また、使用文字列として出力させるごとに、当該第2の文字列の使用頻度を更新させるようにしているので、使用状況に応じて、変換候補の表示順序が最適化される。

【0011】

請求項5のプログラムを記録した記録媒体は、第1の文字列がかな文字列であり、第2の文字列が漢字を含む文字列であることを特徴としている。したがって、このプログラムに基づいて、変換効率の良いかな漢字変換を実現することができる。

【0012】

請求項6のプログラムを記録した記録媒体は、変換命令が与えられるごとに、順次、使用頻度の高い順に変換候補を表示させるようにしたプログラムを記録している。変換命令が与えられるごとに変換候補が表示されるので、変換候補の選択を誤るおそれが少ない。

【0013】

請求項7のプログラムを記録した記録媒体は、変換命令が与えられると、使用頻度の高い順に、複数の変換候補を同時に表示するようにしたプログラムを記録している。したがって、変換候補を一覧できるので、変換候補の選択が容易である。

【0014】

請求項8のプログラムを記録した記録媒体は、記憶装置に記憶された処理対象情報のうち、何れかが使用されると、当該使用した処理対象情報に対応する使用頻度を更新させるようにしたプログラムを記録している。したがって、使用頻度に応じた処理を容易に行うことができる。

【0015】

請求項9の辞書データを記録した記録媒体は、第4領域における記録場所情報が、対応する第2の文字列の使用頻度順にソートされているような辞書データを記録している。したがって、使用頻度に基づいて変換候補の表示順序を決定するような文字列変換方法において用いる辞書データを記録した記録媒体として好適である。

【0016】

この発明において、「文字列」とは文字が1以上連続したものをいい、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、記号のいずれかによるもの、またはこれらの2種以上の組み合わせによるものを含む概念である。

【0017】

「かな漢字変換」とは、かな文字列を、漢字を含む文字列に変換することをいう。

【0018】

列を、これに対応する第2の文字列として出力することをいい、文字列の内容を変換する場合だけでなく、文字列の文字の大きさ、色、修飾等を変換する場合も含む概念である。また、かな文字列を、漢字を含む文字列に変換する場合や、日本語の文字列を外国語の文字列に変換する場合等も含む概念である。また、ここで「出力」とは、記録媒体や記録装置中のファイルやプログラムへの出力、表示装置への出力等を含む概念である。


【0019】

「プログラムを記録した記録媒体」とは、フレキシブルディスク、CD−ROM、ハードディスク、メモリカード、ROM、パンチカード、テープ等を含む概念である。また、コンピュータによって直接実行可能なプログラムを記録した記録媒体だけでなく、いったん他の記録媒体(ハードディスク等)にインストールすることによって実行可能となるようなプログラムを記録した記録媒体や、暗号化されたり、圧縮されたりしたプログラムを記録した記録媒体も含む概念である。


【0020】

【発明の実施の形態】
図1に、この発明の一実施形態によるかな漢字変換装置の全体構成を示す。入力装置10は、文字列、変換命令、選択命令などを入力するためのものである。記憶装置14には、かな文字列とこれに対応する漢字を含む文字列(漢字文字列という)とを記憶した辞書が格納されている。また、この辞書には、漢字文字列ごとの使用頻度が記憶されている。

【0021】

以下の実施形態では、かな文字列を漢字文字列に変換する場合について説明するが、翻訳ツール等として日本語文字列を英語文字列に変換する場合についても同様に適用することができる。

【0022】

入力装置からかな文字列が入力され、変換命令が入力されると、制御装置12は、記憶装置14の辞書を検索し、このかな文字列に対応する漢字文字列を読み出す。次に、制御装置12は、読み出した漢字文字列のうち、最も使用頻度の高い漢字文字列を表示装置16に表示する。

【0023】

操作者は、表示された漢字文字列を見て、これが所望の漢字文字列でなければ、再び変換命令を入力する。これにより、制御装置12は、次に使用頻度の高い漢字文字列を表示装置16に表示する。

【0024】

操作者は、所望の漢字文字列が表示されるまで変換命令を入力する。所望の漢字文字列が表示されると、操作者は、選択命令を入力装置10から入力する。これにより、制御装置12は、表示されている漢字文字列を記憶装置14内の文書ファイルに出力する。さらに、制御装置12は、選択された漢字文字列の使用頻度をインクリメントするように辞書を書き換える。このようにして、漢字文字列を使用するごとに、その使用頻度を更新するようにしている。

【0025】

図1の制御装置12を、CPU20を用いて実現した場合のハードウエア構成を図2に示す。なお、制御装置12は、CPUを用いることなくハードウエアロジックによって構成してもよい。

【0026】

図2において、CPU20には、メモリ22、表示装置であるディスプレイ16、入力装置であるキーボード10、記憶装置であるハードディスク14、CD−ROMドライブ24が接続されている。ハードディスク14には、かな漢字変換プログラム30、辞書32、オペレーティングシステム(OS)34が記憶されている。かな漢字変換プログラム30、辞書32は、CD−ROMドライブ24を介して、CD−ROM26からインストールされたものである。

【0027】

図3に、辞書32の構成を示す。辞書32は、かな領域、漢字領域、頻度領域、インデックス領域を有している。かな領域には”かな文字列”が記録され、漢字領域にはこれに対応する漢字文字列が記録され、頻度領域には各漢字文字列に対応する使用頻度が記録されている。また、インデックス領域には、使用頻度順に漢字文字列のアドレスが記録されている。

【0028】

なお、図3においては”しょうか”についてのみ示しているが、他のかな文字列についても、同じように漢字文字列、使用頻度、アドレスが記録されている。

【0029】

図5に、かな漢字変換プログラム30をフローチャートにて示す。まず、キーボード10から、かな文字列(読み)を入力する(ステップS1)。ここでは、”しょうか”を入力したものとして説明する。図6Aに示すように、CPU20は、これをディスプレイ16上に表示する。

【0030】

次に、キーボード10の確定キーが押されたか、変換キーが押されたかを判断する(ステップS2)。”しょうか”をそのまま確定したい場合には、確定キーを押す。漢字に変換したい場合には、変換キーを押す。ここでは、変換キーが押されたものとして説明する。

【0031】


変換キーが押されると、ステップS3、S4に進み、i=1とする。さらに、ステップS5を経て、入力されたかな文字列”しょうか”に基づいて辞書32を検索する(ステップS6)。そして、そのインデックス領域のi番目のアドレスに基づいて、漢字文字列を取得する。ここでは、i=1であるから、1番目に記憶されたアドレスad2(図3参照)の漢字文字列”唱歌”を取得する。図6Bに示すように、この漢字文字列”唱歌”は、ディスプレイ16上に表示される。

【0032】

この漢字文字列”唱歌”が所望の漢字文字列でない場合、操作者は、キーボード10から、再び変換キーを入力する。これを受けて、CPU20はiをインクリメントする(ステップS4)。したがって、i=2となる。次に、ステップS5において、iがインデックス領域のデータ数を越えているか否かを判断する。つまり、”しょうか”に対応して記憶されている漢字文字列の数を、iが越えていないかを判断する。

【0033】

越えていれば、iを1に戻す(ステップS3、S4)。これにより、インデックス領域の最後に示された漢字文字列の次に、インデックス領域の先頭に示された漢字文字列が循環して表示されるようになる。

【0034】

越えていなければ、ステップS6に進み、インデックス領域の2番目にアドレスが記録された漢字文字列を取得して表示する。ここでは、アドレスad1に記録された”消火”が表示される。

【0035】

上記のような操作を繰り返し、”消火””商家””小過””昇華”というように、表示される漢字文字列を変更していく。このようにして、”昇華”が表示された状態で、キーボード10から確定キーを入力すると、ステップS8に進む。

【0036】

ステップS8においては、確定した漢字文字列”昇華”を、使用文字列としてハードディスク14内の文書ファイルに出力する。さらに、図4に示すように、当該”昇華”の使用頻度をインクリメントし(ステップS9)、インデックス領域のアドレスを、使用頻度順にソートし直す(ステップS10)。

【0037】

以上のように、各漢字文字列は、その使用頻度順に読み出されて表示される。また、各漢字文字列の使用頻度は、使用されるごとに更新される。

【0038】

なお、上記実施形態では、一度に1つの漢字文字列を表示するようにしているが、図7に示すように、複数の漢字文字列を使用頻度順に一度に表示するようにしても良い。

また、上記実施形態では、辞書32にインデックス領域を設け、ここに記録したアドレスを使用頻度順に並べるようにしている。しかしながら、漢字領域の漢字文字列を使用頻度にしたがって並べ替えておき、先頭から順に読み出して表示するようにしても良い。この場合には、インデックス領域を設ける必要はない。

【0040】

さらに、図8に示すように、辞書32においては、使用頻度による並び替えを行わず、CPU20がこれを頻度順に読み出すようにしても良い。

【0041】

上記実施形態では、ひらがなを第1の文字列とし、漢字を含む文字列を第2の文字列とした。しかしながら、文字列としては、カタカナ、漢字、数字、記号のいずれかによるもの、またはこれらの2種以上の組み合わせによるものの何れについても適用可能である。

【0042】

また、日本語文字列以外に、外国語文字列についても同様に適用できる。たとえば、外国語文字列について、上記のかな漢字変換と同様に、読みを第1の文字列として入力し、その読みに対応する表記を第2の文字列として出力する場合にも適用することができる。また、翻訳ツール等として、日本語文字列を第1の文字列として入力し、外国語文字列を第2の文字列として出力する場合(外国語から日本語への変換、外国語から他の外国語への変換も同様)等にも適用することができる。

【0043】

また、上記実施形態では、ひらがなを漢字を含む文字列に変換する例を示した。しかしながら、このように文字列の内容を変換する場合だけでなく、文字列の文字の大きさ、色、修飾等を変換するような場合にも適用することができる。

【0044】

なお、上記実施形態では、第2の文字列が、かな漢字変換のプログラムによって出力され使用された頻度を使用頻度として記録し、この使用頻度に基づいて表示順序を変えるようにした。しかしながら、本発明における使用頻度の更新は、文字列変換に留まらず、何らかの複数の情報(処理対象情報)について、これらがソフトウエア等によって処理対象として用いられた使用頻度をそれぞれ記憶し、当該使用頻度に基づいて、前記複数の情報の並び替え、優先順位決定等の処理を行う場合にも適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図1】
この発明の一実施形態によるかな漢字変換装置の全体構成を示す図である。

【図2】
図1の装置を、CPUを用いて実現した場合のハードウエア構成を示す図である。

【図3】
ハードディスク32に記録された辞書32の構造を示す図である。

【図4】
使用頻度の更新およびソート後の辞書32を示す図である。

【図5】
かな漢字変換プログラムのフローチャートである。

【図6】
かな漢字変換の際の画面表示を示す図である。

【図7】
他の実施形態における漢字文字列の表示方法を示す図である。

【図8】
他の実施形態における辞書の構造を示す図である。

【図9】
従来のかな漢字変換装置を示す図である。

【図10】
従来の辞書の構造を示す図である。

【符号の説明】
10・・・入力装置
12・・・制御装置
14・・・記録装置
16・・・表示装置
代理人 辨理士 古谷榮男
代理人 辨理士 松下正
代理人 辨理士 眞島宏明
代理人 辨理士 田川幸一

 

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