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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

発明該当性

平成28(行ケ)10249  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年3月23日  知的財産高等裁判所

 永久機関について、発明の成立性違反、実施可能要件違反とした審決が維持されました。本人訴訟です。
 本願明細書を参酌すると,本願発明は,バッテリの電力をDCモータに給電し, 起電コイルから生じた電力の一部をバッテリに充電しながらDCモータに再給電し てDCモータを永久に稼働させ,起電コイルから生じた電力の残りを外部に永久に 供給するとしたものであり,入力した以上の電力(エネルギー)を出力するとした ものであって,明らかに永久機関とみられるものである(なお,本願発明に係る特 許請求の範囲には,トルク脈動レス発電機を「連続的」に稼働させ続ける,電力を 「連続的」に給電し続けるとの記載があるが,この「連続的」が「永久」を意味す ることは,前記1に認定の本願明細書の記載から明らかである。)。 したがって,原告が自認するとおり,本願発明は,エネルギー保存の法則という 物理法則に反するものであるから,自然法則を利用したものではなく,特許法29 条1項柱書の「発明」ではない。
(イ) 原告の主張について
原告は,本願発明がエネルギー保存の法則を破るものであると主張するが,DC モータの銅損若しくは鉄損等の損失又は起動コイルの銅損の損失,あるいは,ネオ ジム磁石と起電コイルとの間で作用する力などを全く考慮しておらず,その主張は 失当である。 また,原告は,DCモータに給電した直流電圧よりも高い交流電圧が起電コイル に発生していると主張し,本願明細書の図4の記載を援用するが,起電コイルから の出力電圧が上がったからといって,DCモータに供給される電力(消費電力)よ りも起電コイルから出力される電力が上回るということはできないから,その主張 は失当である。
(ウ) 小括
以上から,本願発明は,特許法29条1項柱書の「発明」に該当しないから,発 明該当性を欠くとした審決の判断には,誤りはない。
ウ 実施可能要件について
本願発明は,自然法則に反するものであるから,本願明細書の発明の詳細な説明 のいかなる記載をもってしても,当業者が本願発明を実施できないことは明らかで ある。 したがって,本願明細書の発明の詳細な説明の記載は特許法36条4項1号の実 施可能要件を欠くとした審決の判断には,誤りはない。\n

◆判決本文

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