2009.08. 2
◆平成20(行ケ)10426 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年07月02日 知的財産高等裁判所
UI(ユーザインターフェイス)の発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
「上記(ア)によれば,「形態」の語は,原告主張のとおり,通常,物のかたち等の意味で用いられることが認められるものの,上記(1)アによれば,本願補正発明における「表示形態」の意味については,色,形,サイズ等による表\示上の視覚的属性をいうものであることは,既に検討したとおりである。また,上記(1)ア(イ)摘記によれば,図2Dに示された画面は,図2Cの画面からのユーザーインタフェースにおける形態の変更を示すものであるところ,(1)ア(ウ)の図2C,図2Dの記載から明らかなとおり,両者でウインドウの境界線の太さは異なっているものの,タイトルバー及び境界線により画定されたウインドウの形状及びタイトルバー内のクローズボックスの形状には差異がなく,ウインドウの外形形状に変化がないことが理解できる。従来のユーザーインタフェース画面とは外形形状において差異がない図2Dについても表示形態が異なるテーマに設定されたユーザーインタフェース画面として示されていることからしても,本願補正発明における「表\示形態」の意味は,主として表示する上での形状であるとする原告の主張が採り得ないことは明らかである。・・・・以上によれば,審決が相違点(3)に関し,「…ユーザの一般的な要望に従ってイメージを一変させ見栄えのするデスクトップとするため,引用例1記載発明において,第1のセット及び第2のセットにインタフェースオブジェクト及びオブジェクトパーツの配色パターンのみならず,インタフェースオブジェクトの形状をも含ませるようにし,インタフェースオブジェクトが第1セットを使用して表\示される場合には第1形状の第1アウトラインを有し,前記インタフェースオブジェクトが第2セットを使用して表示される場合には第2形状の第2アウトラインを有するものとすることは当業者が格別困難なくなしうることと認められる。」(10頁28行〜35行)とした判断に誤りはない。
◆平成20(行ケ)10426 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年07月02日 知的財産高等裁判所
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2009.07.22
◆平成19(ワ)27187 特許権侵害差止等 特許権 民事訴訟 平成21年07月15日 東京地方裁判所
ユーザインターフェイス関係の特許(CS関連発明)について最終的には、進歩性違反を理由に権利行使不能と判断されましたが、用語の解釈について興味深い判断がなされました。
「被告は,原出願の拒絶査定に対する審判手続及び原出願審決に対する審決取消訴訟手続では,原告が,「テレビジョン番組リスト」の用語を「個々の番組単位における番組情報」の意味では使用しておらず,各手続における特許庁の主張及び裁判所の判決においても,「テレビジョン番組リスト」とは,テレビジョン番組のタイトルのリスト,すなわち,テレビジョン番組のタイトルが並んだものと解されているから,本件発明における「テレビジョン番組リスト」の文言についても,「テレビジョン番組のタイトルが並んだもの」を意味すると解すべきであり,分割出願に係る本件特許権による権利行使の際に,同用語の意義を違えて主張することは,信義則に基づく禁反言法理から許されないと主張する。しかしながら,分割出願制度は,一つの出願において二つ以上の異なる発明の特許出願をした出願人に対し,出願を分割する方法により,各発明につき,それぞれ元の出願の時に遡って出願がされたものとみなして特許を受けさせるものであるから,原出願で特許出願された発明と,分割出願で特許出願された発明は,本来,内容を異にするものであり,分割出願された発明の「特許請求の範囲」に記載された文言の解釈が,原出願の手続における文言の解釈と必ずしも一致する必要はないというべきである。したがって,本件特許の「テレビジョン番組リスト」の文言の解釈において,仮に,原出願の拒絶査定に対する審判手続及び原出願審決に対する審決取消訴訟手続において使用された「テレビジョン番組リスト」の文言の意味とは異なる解釈をしたとしても,禁反言法理から許されないとはいえず,被告の上記主張は採用できない。」
◆平成19(ワ)27187 特許権侵害差止等 特許権 民事訴訟 平成21年07月15日 東京地方裁判所
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2009.06.19
◆平成19(ワ)8426 不当利得返還請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年05月20日 東京地方裁判所
侵害訴訟における無効判断時に、発明の要旨認定にリパーゼ判決を用いると言及がなされました。
「そもそも,本件発明も,外部取り出し端子に印加された静電気が,2端子素子の保護回路及び共通浮遊電極を通じて,他の外部取り出し端子へと分割されるという分散放電の技術思想をその必須の内容とするものではないから,乙2文献が分散放電の技術思想を開示していないことによって,相違点1についての前記(ア)の判断が左右されるものではない。すなわち,特許出願手続,無効審判手続及び審決取消訴訟における発明の要旨認定は,特許請求の範囲の記載に基づいて行われ,明細書の発明の詳細な説明の記載や図面が参酌されるのは,特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか,あるいは,一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情がある場合に限られると解すべきところ(最高裁昭和62年(行ツ)第3号平成3年3月8日第二小法廷判決・民集45巻3号123頁参照),侵害訴訟において特許法104条の3第1項に基づく権利行使の制限の主張が行われた場合の当該特許発明の要旨認定においても,同条項が「特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは」と規定されていることに照らし,特許無効審判手続及びその審決取消訴訟における発明の要旨認定の場合と同じ認定手法によるのが相当と認められる。したがって,上記権利行使の制限の主張が行われた場合の発明の要旨認定は,原則として,特許請求の範囲の記載に基づいて行われ,明細書の発明の詳細な説明の記載や図面が参酌されるのは,特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか,あるいは,一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情がある場合に限られると解すべきである。
ところで,本件明細書(甲10添付)には,発明の詳細な説明の欄において,「共通浮遊電極を設けた場合には,静電気は2端子素子から共通浮遊電極さらに2端子素子を通して他の複数の端子に放電されるので,さらに印加電圧を低くすることができる。」,「第6図は,さらに第5図の例において遮光膜を第1主電極延在部27として第1主電極106に接続した例で,両方向に電流を流しやすい構造を有している。」との記載があるが,特許請求の範囲の記載は,前記争いのない事実等の(1)で認定したとおりであり,同記載によれば,本件発明においては,2端子薄膜半導体素子の付加ゲート電極及び第2主電極は外部取り出し端子に接続し,第1主電極は共通浮遊電極に接続するという順方向接続態様で接続する構\\成(構成要件E)であることが明らかであり,この接続態様によれば,電流は,外部取り出し端子から2端子薄膜半導体素子を介して共通浮遊電極へ流れる方向には流れやすいが,共通浮遊電極から2端子薄膜半導体素子を介して他の外部取り出し端子に流れる方向には流れにくくなっているものと認められる。そうすると,本件特許の特許請求の範囲の記載からみて,分散放電の技術思想ないしそれを実現する構\\成は,本件発明の必須の内容とはされていないというべきである。したがって,原告の上記主張は理由がない。b 仮に,原告の主張に係る分散放電を,本件発明の構成でも実現できる程度のものと解した場合でも,以下のとおり,原告の上記主張には理由がない。」
◆平成19(ワ)8426 不当利得返還請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年05月20日 東京地方裁判所
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2009.02.26
◆
進歩性なしとした審決が取り消されました。
「前記(1)イ及び(2)イによれば,本願補正発明の「試験の監督データ」と引用発明の「異常事態報告記録」に係るデータとは,試験中の機器のトラブル等の問題に関連する情報を対象とし,当該情報が試験の結果に影響し得るとの点では,共通する部分を有するといえなくもない・・・しかしながら,本願補正発明の「試験の監督データ」は,当該試験の有効・無効の完全な判定を実現するために必要とされる一切のデータを意味するところ,第一次的には,狭義の試験監督のためのデータであり,その中心となるものは,ビデオカメラにより試験中継続して記録されるオーディオ・ビジュアルデータである。これに対し,引用発明においては試験の有効・無効の完全な判定という目的を欠くがゆえに,引用発明の異常事態報告記録データ等の対象に,狭義の試験監督に関連する情報を含んでいないのであるから,両者は,質的に相違するものといわざるを得ず,したがって,引用発明の「テスト状況記録データ」(異常事態報告記録データ等)が本願補正発明の「試験の監督データ」の一部にたまたま含まれる関係にあるからといって,両者が一致するものと認めることはできないというべきである。
イ 被告の主張は,要するに,本願補正発明の「試験の監督データ」の内容に限定はなく,試験の有効性の判断に供されるデータがすべて含まれるとした上,引用発明の異常事態報告記録データ等にも試験の有効性の判断に供されるデータが含まれるのであるから,後者は前者に相当するというものである。しかしながら,そもそも,引用発明と対比した場合の本願補正発明の主たる新規性は,試験会場に管理者の配置を不要にしながら,試験の有効・無効の判定までを可能にするシステムを構\築するという点にあり,本願補正発明において,上記オーディオ・ビジュアルデータを中心とした「試験の監督データ」を記録するなどの構成が,上記システムを実現するに当たり必須のものであることは明らかである。このように,本願補正発明の「試験の監督データ」に係る構\成は,本願補正発明の新規性の本質部分を成すものであるところ,本願補正発明の「試験の監督データ」と引用発明の「テスト状況記録データ」(異常事態報告記録データ等)との対比判断に当たり,本願補正発明の「試験の監督データ」の技術的意義が特許請求の範囲の記載から一義的に明確に理解することができないものであるにもかかわらず,当該技術的意義を本願明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌して具体的に明らかにすることなく,特許請求の範囲の記載から形式的に導き出される「試験の有効性の判断に供されるすべてのデータ」との包括的な概念を用いることによって,両者の具体的な内容の相違,すなわち,狭義の試験監督に係るデータを含むか否かという重要な相違を捨象するのは,本願補正発明の新規性の本質を看過するものといわざるを得ない。したがって,被告の上記主張を採用することは到底できないというべきである。」
◆
平成20(行ケ)10115 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年02月24日 知的財産高等裁判所
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2009.01.27
◆平成20(行ケ)10166 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年01月27日 知的財産高等裁判所
本願発明の要旨認定誤りとして、拒絶審決が取り消されました。
「以上の記載によれば,引用発明は,・・・これを攪拌・混合して粒状物を得るという方法を採用している。
そうすると,引用発明は,従来の湿式造粒法における欠点を克服し,多量の水分を含有させずに粒状物を製造するという点では本願発明と共通の目的を有するものの,その目的を達成するための手段として低融点物質を加熱して溶融させるという方法を採用している点で,本願発明とは異なる方法によるものである。したがって,引用発明における「粒状物の製造方法」が本願発明の「熱粘着式造粒方法」に相当するものとした審決の判断は誤りである。」
なお、発明の要旨認定について、下記のような判断を述べています。
「被告は,本願発明に関して特許請求の範囲の記載に何ら不明確な点はなく,発明の詳細な説明の記載を参酌すべき特段の事情も存在しないから,審決が本願発明の「熱粘着式造粒方法」は加熱して粒状物を製造する方法であるとした点に誤りはないと主張する。しかし,特段の事情が存在しない限り発明の詳細な説明の記載を参酌することが許されないのは,あくまでも特許出願に係る発明の要旨の認定との関係においてであって,上記のように特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するに当たっては,特許出願に関する一件書類に含まれる発明の詳細な説明の記載や図面を参酌すべきことは当然であるから,被告の上記主張は採用することができない。」
◆平成20(行ケ)10166 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年01月27日 知的財産高等裁判所
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