2019.10. 3
平成30(行ケ)10161 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 令和元年10月2日 知的財産高等裁判所
引用文献の認定を争いましたが、記載ありとした審決が維持されました。化学分野でもない発明で新規性違反が争点となるので、珍しいです。
原告は,引用発明の「押されたか確認」する構成が本願発明の「選択状態検出手\n段」に該当しないと主張する。
そこで検討するに,引用発明の従来の技術(【0002】以下)に係る引用例の記
載は,前記(1)イのとおりであり,このうち【0003】においては,同別紙の図2に
基づき,引用発明のリモコン6が,ベッド本体2の上半身部の昇降動作させるアク
チュエータ4にケーブル5によって接続され,アクチュエータ4の動作を操作,制
御するものであることが記載されている。このように,引用例には,リモコン6が
アクチュエータ4の動作を操作,制御するものであり,アクチュエータ4がリモコ
ン6によって操作,制御されるものであることが記載されている。
また,同別紙の図2は,引用例の実施例の説明においても参照されている(【00
10】【0011】)ところ,そこでいう,リモコン6の任意のキー6aが押されたか
の確認とは,アクチュエータ4の動作の操作,制御の内容を構成するものであるか\nら,上記確認動作を行うものはリモコン6であり,そうすると,リモコン6は「押さ
れたか確認」(STEP1)するための構成を有しているものということができる。\nそして,本願発明のベッド操作装置における「選択状態検出手段」とは,操作入力
手段が選択されている状態を検出するための構成であることからすれば,本願発明\nの「選択状態検出手段」と引用発明の「押されたか確認」(STEP1)する手段と
が異なることはない。よって,原告の主張は理由がないというべきである。
ウ 構成要件E(選択解除検出手段)について\n
(ア) 引用発明の「STEP2」の「リモコン6のキー6aが押された時は,その
後,リモコン6のキー6aが解放されたか確認」することは,本願発明の「前記選択
状態検出手段により選択された状態が解除されたことを検出する」ことに相当し,
引用発明の当該「解放されたか確認」する構成は,本願発明の「選択解除検出手段」\n(構成要件E)に相当する。\n(イ) 本願発明と引用発明との対比判断の誤りをいう原告の主張について
原告は,引用発明の当該「解放されたか確認」する構成は本願発明の「選択解除検\n出手段」に該当しないと主張する。
しかしながら,リモコン6は,前記イ(ウ)で述べたのと同様の理由により,「解放
されたか確認」する構成を有しているということができる。\nしたがって,本願発明の「選択解除検出手段」と引用発明の「解放されたか確認」
(STEP2)する手段とが異なることはなく,原告の主張は理由がない。
エ 構成要件F(遷移手段)について\n
(ア) 引用発明の「キー6aが解放されず押し続けられている場合は,解放され
るまで待機し,リモコン6のキー6aが解放され,さらに任意のキー6aを押した
ときに,アクチュエータ4を起動する(STEP3)」構成においては,電源を投入\nした後,STEP2で「キー6aが解放され」るまでの間は,本願発明の「待機状
態」に相当する。
そして,引用発明は,「キー6aが解放され」た後に,任意のキー6aを押せばア
クチュエータ4を起動できる状態,すなわち,ベッドの操作が可能な状態になるか\nら,キー6aの解放の前後で,「待機状態」から「操作可能状態」に遷移するものと\nいうことができる。
その上で,本願発明の「遷移手段」が,「待機状態」から「操作可能状態」に遷移\nすることを手段として記載したものといえることを踏まえると,引用発明は,キー
6aの解放の前後で,「待機状態」から「操作可能状態」に遷移しているといえるか\nら,引用発明の「リモコン6」は,「遷移手段」に相当する構成も当然に備えている\nということができる。
以上によれば,引用発明の「リモコン6」は,「リモコン6のキー6aが解放され」
たときに,「リモコン6」を待機状態から操作可能状態に遷移させているといえると\nころ,引用発明の「リモコン6のキー6aが解放され」たときは,本願発明の「前記
選択解除検出手段により選択された状態が解除されたことを検出したとき」に相当
し,引用発明の「リモコン6のキー6aが解放され」たときに「リモコン6」を待機
状態から操作可能状態に遷移させる構\成は,本願発明の「前記選択解除検出手段に
より選択された状態が解除されたことを検出したときに,前記ベッド操作装置を前
記待機状態から,操作可能状態に遷移させる遷移手段」(構\成要件F)に相当する。
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2019.09.22
平成30(行ケ)10151 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 令和元年9月18日 知的財産高等裁判所
引用発明は,引用文献1に接した当業者が特段の「深読み」を要せずして把握し得る構成を備えたものであるから,引用発明の認定に誤りなしとして、進歩性なしとした拒絶審決が維持されました。
原告は,審決で認定した引用発明は,必須の構成要件である1)ないし4)
の各事項(上記第3の1(1)に記載)を欠いており,誤りである旨主張する。
確かに,原告が主張するように,引用文献1の【0128】ないし【0
142】で開示される実施例(以下「引用実施例」という。)においては,
マットレス装置を構成する複数の部材の堅さの選択及び組合せとして多種\n多様な選択肢があり得るところ,審決は,そのうちの一つを取り出した構\n成を引用発明として認定している。また,この一つの例についても,頭部
と足部を入れ替え,又は表と裏とを入れ替えることによって,当該構\成の
マットレス装置は更に4通りの堅さ分布による使用が可能であるところ,\n審決は,このことに言及していない。そして,原告の上記主張は,審決に
よるこのような引用発明の認定の手法について,引用発明の課題(目的)
を無視し,本願発明1との相違点を予め減らすべく事後分析的な認定をし\nたものであって誤っている旨主張するのである。
イ よって検討するに,引用文献1の記載によれば,引用実施例に係るマッ
トレス装置452が上記のように多種多様な部材の選択及び組合せや4通
りの使用方法を開示しているのは,引用実施例が「小売用テスト装置とし
て」利用され【0142】,「小売業者は店舗内のテスト用マットレスの
台数を減ずることで床面積を節約し得ると共に,ユーザは小売業者から購
入しようとするマットレスの感触を適合調整し得る」【0128】ように,
店舗内のテスト用マットレスに特化した課題(目的)又は作用効果に関す
る事項を強調するためであると解される。しかし,引用文献1には,「マ
ットレス装置452は家庭または他の療養施設での個人使用の為にユーザ
により購入されることもある」【0142】と記載されており,このよう
に個人が使用する場合には,適切な感触を得られる硬さの部材の組合せが
既に決定されているのであるから,多種多様な部材の選択及び組合せ並び
に4通りの使用方法があることは想定されない。
したがって,小売用テスト装置(店舗内のテスト用マットレス)に用途
を限定しない引用実施例のマットレス装置452において,多種多様な部
材の選択及び組合せ並びに4通りの使用方法があることは,一体不可分の
必須の技術思想に当たらず,その中から一つの組合せ及び使用方法を抽出
した例を引用発明とすることに支障はない。引用発明は,引用例に記載さ
れたひとまとまりの構成ないし技術的思想として把握可能\であれば足りる
ところ,審決で認定された引用発明は,この要件を充たしているといえる。
ウ もっとも,審決が,引用文献1に開示された多種多様な部材の選択及び
組合せ並びに4通りの使用方法の中から,引用文献1に具体的には全く例
示されていない例を抽出したのであれば,原告のいうように,本願発明1
の相違点を予め減らすべく事後分析的な認定をしたといえることもあろう。\nしかしながら,審決が認定した引用発明は,部材の選択及び組合せ(認
定に係る構成のK,O及びQ)については,引用文献1に「所望であれば」\n「好適には」として具体的に例示された構成を採用している。また,使用\n方法については,引用文献1の【図24】に具体的に示された例をそのま
ま用いており,頭部と足部とを入れ替えることも,表と裏とを入れ替える\nこともしていない。このように,引用発明は,引用文献1に接した当業者
が特段の「深読み」を要せずして把握し得る構成を備えたものであるから,\n審決に,事後分析的な認定をしたという誤りもない。また,引用文献1の
例示に基づいて具体的に認定した引用発明に,例示であることを示す「所
望であれば」「好適には」という文言を加えなければならない理由もない。
エ なお,部材の選択及び組合せについて審決が認定した構成(K,O及び\nQ)をとるとき,頭部端ブロック490と足部端ブロック492の堅さは
等しいから,頭部側と足部側とを入れ替えたとしてもベッド使用者の身体
の各部位に相当するコア458の各部位の堅さは変わらない。また,引用
文献1において,トッパ発泡体の上側と下側及びキルティングパネルの頂
部と底部につき,厚さ又は堅さを違えることに関する言及は何らみられな
いから,マットレス装置452を裏返すことに技術的意義があるとは考え
難い。これらの点からしても,4通りの使用方法があることを引用発明1
の認定において考慮しなかったことに誤りがあるとはいえない。
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2019.09.22
平成31(行ケ)10012 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 令和元年9月18日 知的財産高等裁判所
請求項の「規定動作の指示」とは、文言どおりと判断され、進歩性なしとした審決が維持されました。
前記(2)アのとおり,甲1には,「本発明」の実施の形態に係る作業機械
である油圧ショベル50は,クローラを備えた下部走行体51,下部走行
体51に旋回可能に設けられた上部旋回体52,上部旋回体52に配置さ\nれた運転室52a,運転室52aに設けられる機械側保守装置30等を備
えること(【0013】,図2)の記載がある。
そして,油圧ショベルが,エンジン,エンジンの動力により作動油を吐
出する油圧ポンプ,及び,油圧ポンプが吐出する作動油によりオペレータ
のレバー操作に応じて駆動する油圧アクチュエータを備えることは,甲1
に従来技術として記載されているほか(【0003】,図15),本件出
願前に頒布された複数の刊行物にも記載されていることから(乙1(【0
025】,【0027】,図1),乙2(【0007】,図1),甲12
(2頁19行〜3頁18行,第5図),甲13(【0002】,【000
3】,図4,5)),本件出願当時,当業者にとって技術常識であったも
のと認められる。また,かかる構成において,エンジンが油圧ショベルの\n上部旋回体に配置されることは,自明である。
そうすると,当業者であれば,甲1の記載から,甲1の油圧ショベル50
が,上部旋回体52に配置されたエンジンと,エンジンの動力により作動
油を吐出する油圧ポンプと,油圧ポンプが吐出する作動油によりオペレー
タのレバー操作に応じて駆動する油圧アクチュエータとを備えるものであ
ると理解することができる。
したがって,本件審決が,引用発明について,「オペレータのレバー操
作に応じて駆動する油圧アクチュエータ」を備える旨認定したことに,誤
りはない。
イ これに対し,原告は,1)甲1は,操作レバーにより作業機械を操作する
ことによって生じる,保守員の作業現場出向が無駄になり保守効率が著し
く低下する等の問題に鑑み,自動運転を行う作業機械を提示しており,自
動運転を前提とするものであるし,また,作業機械の保守管理は高度に専
門的な知識を要することから,オペレータによる保守管理目的の操作レバ
ーの操作が従来から回避されてきたことを示唆している,2)甲1の記載に
接した当業者であれば,ショベルの保守管理時の操作方法として,オペレ
ータによる操作内容スイッチの押下(【0026】,【0031】,【0
032】),又は,【0012】のスイッチ等の何らかのスイッチの押下
により,運転コントローラ40による自動運転を行うものと解するのが自
然である旨主張する。
そこで検討するに,まず,上記1)の点については,前記(2)イのとおり,
甲1には,i)従来の技術では,保守員がオペレータに所要の態様の運転を
依頼しても,確実にこれを伝えることが困難な場合が多く,また,作業機
械の自動運転は,事故が生じないように予め何らかの手段を講じなければ\nならず手間と時間を要し,そのような手段を講じてもまだ完全に安全では
ないなどの課題があったこと,ii)「本発明」は,作業機械の保守を行う
管理部に作業機械の各種操作の内容を指示する手段を設けるとともに,作
業機械にその指示内容を表示する手段を設け,さらに,操作内容報知手段\nを作業機械に設けるとともに,報知された操作内容の表示部を管理部に設\nける構成を採用することにより,上記課題を解決するものであること,iii)
これにより,オペレータに所要の態様の操作を確実に行わせ,保守員は正
確な保守用のデータを得ることができるとともに,オペレータが作業機械
の操作を行うために,自動運転におけるような危険を生じることがないと
いう効果を奏する旨の記載がある。
以上の記載に照らすと,甲1に記載された発明は,自動運転を前提とす
るものではなく,オペレータが作業機械を操作する構成のものであり,か\nかる操作が保守員の指示に従って正確に行われるようにするために,上記
構成を採用したものであると認められる。\nなお,原告は,甲1に問題点が記載された「自動運転」(【0006】)
とは,保守員による「遠隔自動運転」(【0005】)を意味するもので
あり,オペレータのスイッチ操作により自動運転がされる場合には,上記
問題は生じない旨主張する。しかしながら,【0006】で指摘されてい
る上記の問題(課題)は,「遠隔自動運転」についてのみ生じるものでは
なく,オペレータのスイッチ操作による自動運転でも起こり得るものであ
ると考えられるため,同主張は失当である。
次に,上記2)の点についてみると,甲1には,保守を行うための所要の
態様の操作である,「ブーム上げと上部旋回体の複合操作」は,操作指示
表示部320の表\示により同操作の指示を確認したオペレータが,これに
対応する「操作内容スイッチ33bを押した後,油圧ショベルを操作して」
行うことが記載されている(【0026】)。
そして,操作内容スイッチ33bは,上記複合操作を行ったことを管理
部側に知らせる場合に用いられるものであるから(【0016】),上記
複合操作は,オペレータが操作内容スイッチ33bを押すことで,自動運
転により行われるのではなく,スイッチ33bの押下後に,オペレータが
「油圧ショベルを操作して」行うものであると認められる。
また,【0012】には,運転コントローラ40が各種センサの検出値
や各種スイッチの状態に基づいて油圧ショベルの水平掘削等の「制御」を
行うことの記載があるが,「制御」の契機となる,作業機械のセンサの検
出値やスイッチの状態は,オペレータが操作レバーを操作することでも変
わり得るものであるから(【0003】),【0012】の記載は,油圧
ショベル50の「操作」が,オペレータのスイッチ操作による自動運転で
行われることを示唆するものとはいえない。
そして,甲1の全体をみても,油圧ショベル50の操作がオペレータの
スイッチ操作による自動運転で行われることを示唆する記載はない。
したがって,原告の上記主張は採用することができない。
(4) 相違点の看過の有無について
ア 本願発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載によれば,1)本願発明の
「規定動作の指示」は,「運転者が操作して作業を行うショベル」の「下
部走行体に搭載された上部旋回体」「に備えられたキャビン」「に設置さ
れ」た「表示部」に「表\示」される「運転者に対」する「指示」であるこ
と,2)「運転者」のレバー操作に応じた「前記油圧アクチュエータによる
前記規定動作の実行中における」,「動作に関連する物理量を検出する」
「前記センサからの検出値」が,「前記規定動作と対応付けて」「記憶部」
に記憶され,この「検出値」が「送信部」から「管理装置へ送信」される
ことを理解できる。
一方,本願発明の特許請求の範囲(請求項1)には,「規定動作」の内
容及び「指示」の表示方法につき,定義はされておらず,これを原告主張\nのように限定して解すべき根拠となる記載はない。
イ 次に,本願明細書の発明の詳細な説明には,「本発明」の実施形態とし
て,キャビン10内に設置された画像表示装置40に,「姿勢を点線の位\n置に併せてください」,「フルレバーで一気にアームを閉じてください」,
「フルレバーで一気にバケットを閉じて下さい」という指示とともに,現
在の姿勢と規定動作の実行後の目標姿勢とをそれぞれ実線と点線とで表\nした,側面視におけるショベルの外形の画像を表示し,又は,「旋回停止\nの指示がでるまで旋回を続けて下さい」という指示とともに,平面視にお
けるショベルの外形の画像と旋回方向を表示することが記載されている\n(【0062】,【0063】,【0070】,【0074】,図5,6,
8,9)。
他方で,本願明細書の「以上,本発明を実施するための形態について詳
述したが,本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく,特
許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において,種々の変形・
変更が可能である。」(【0086】)との記載に照らすと,本願明細書\nには,「本発明の要旨の範囲内」であれば,「本発明」の実施形態が上記
実施形態に限定されるものではないことの開示がある。
しかるところ,本願明細書には,本願発明の「規定動作」の内容及び「指
示」の表示方法を定義した記載はなく,これらを特定の内容や方法に限定\nする記載もない。
また,本願発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載から理解できる「規
定動作の指示」等の内容(前記ア),本願明細書の発明の詳細な説明に記
載された本願発明の効果等(前記(1)イ(イ))を総合すると,本願発明は,
運転者に対して規定動作の指示を表示し,運転者のレバー操作に応じた油\n圧アクチュエータによる規定動作の実行中における,センサからの検出値
を,規定動作に対応付けて記憶部に記憶し,送信部から管理装置へ送信す
ることによって,管理装置側の専門スタッフにおいて,どのような動作条
件で実行されたデータであるかを容易に把握し,ショベルの状態判断を実
効的に行えるようにすることに,技術的意義があるものと認められる。
そして,本願発明の上記技術的意義に照らすと,「規定動作の指示」を,
原告が主張するように,本願明細書の図5,6,8,9に例示されるよう
な,「それを見ながらオペレータがレバー操作を行っても個人のスキル等
によるバラツキが抑制されるよう配慮した具体的かつ一義的な操作指示」
に限定する必然性は見いだし難い。
ウ 以上の本願発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載及び本願明細書の
記載に鑑みると,本願発明の「規定動作の指示」とは,ショベルの上部旋
回体に備えられたキャビンに設置された表示部に表\示されるものであり,
運転者に対し,油圧アクチュエータによる規定の動作を実行するよう指示
するものであれば足り,原告が主張するような操作指示に限定されるもの
ではないと解すべきである。
そうすると,引用発明における「保守を行うための所要の態様の操作で
ある「ブーム上げ単独操作」,「ブーム上げと上部旋回体の旋回との複合
操作」,「走行の単独操作」等の操作指示」は,油圧ショベル50の上部
旋回体52に配置された運転室52aに備えられた操作指示表示部32\n0に表示されるものであり,オペレータに対し,油圧アクチュエータによ\nる規定の動作の実行を指示するものであるから,本願発明の「規定動作の
指示」に相当するものといえる。
したがって,本件審決が,本願発明と引用発明とは,「キャビン内に設
置され,規定動作の指示を運転者に対して表示する表\示部」を備える点で
一致すると認定した点に誤りはなく,本件審決に相違点の看過はない。
(5)相違点の容易想到性の判断について
ア 前記(4)のとおり,甲1の「本発明」の実施の形態には,保守管理時に,
オペレータが,操作指示に従って油圧ショベルを操作し,保守を行うため
の所用の態様の操作を実行することが記載されている。
一方,甲1には,操作指示に従ってオペレータが油圧ショベルを操作す
る際の操作方法について,明示した記載はない。
しかしながら,前記(3)アのとおり,引用発明は,「オペレータのレバー
操作に応じて駆動する油圧アクチュエータ」を備えるものであること,甲
1には,オペレータが操作指示を見て行う所要の態様の操作の操作時に,
通常時の操作であるレバー操作以外の態様で操作を行うとの記載はない
ことに照らすと,甲1に接した当業者は,オペレータが操作指示を見て行
う操作の操作手段として,通常時に用いるために備えられた操作手段であ
る操作レバーを用いることを,容易に想到することができたものと認めら
れる。
したがって,本件審決における相違点1の容易想到性の判断に誤りはな
い。
イ これに対し原告は,甲1には,オペレータによる保守管理目的の操作レ
バーの操作が,従来から回避されてきたことが示唆されていることからす
ると,引用発明において,オペレータが操作指示を見て行う保守のための
所要の態様の操作を,レバー操作により行わせることについての動機付け
はなく,むしろ阻害要因がある旨主張する。
しかしながら,原告の上記主張は,甲1が,操作レバーにより作業機械
を操作することによって生じる問題に鑑み,自動運転を行う作業機械を提
示するものであって,自動運転を前提とするものであることや,甲1には,
操作内容スイッチ,又は,【0012】のスイッチ等の何らかのスイッチ
の押下により,運転コントローラ40による自動運転が開始される旨が記
載されていることなどを前提とするものであるところ,かかる主張を採用
できないことについては,前記(3)イのとおりである。
したがって,原告の上記主張は,前提を欠くものであって,採用するこ
とはできない。
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2019.08.26
平成30(行ケ)10094 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成31年4月25日 知的財産高等裁判所
引用文献の発明認定誤りを理由として、進歩性なしとした審決が取り消されました。
前記2(1)で認定した引用文献3の記載によると,引用文献3には以下の
発明(引用発明)が開示されているものと認められる。
「医療用ガイドワイヤを摺動可能に受け入れるガイドワイヤ内腔を備える遠位ス\nリーブと,遠位スリーブに結合され,患者の生理的パラメータを測定して生理的パラメータを表す信号を生成するように適合されたセンサと,
遠位スリーブに結合され,患者の外部の位置へのセンサからの信号を通信するた
めの通信チャネルを成し,患者の解剖学的構造内のセンサの位置決めを容易にする\nために適用される近位部分と,
近位部分を移動させるための手段と,
を備え,
センサは,遠位スリーブを,医療用ガイドワイヤ上を所望の位置に摺動させるこ
とによって,患者内に配置することができ,
センサは,遠位血圧Pdを測定する狭窄病変部の下流の位置に配置することがで
き,次いでセンサは,近位血圧Ppを測定する狭窄病変部の上流の位置に配置する
ことができ,
処理装置が,センサからの生理的パラメータ信号を処理し,
FFRは,単に遠位血圧の近位血圧に対する比,すなわちFFR=(Pd/Pp)
とされ,
FFRをPdの平均値とPpの平均値に基づいて求め,
FFRにより血管中の狭窄病変部の重症度の評価が行われるシステム。」
(2) したがって,本願発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりとな
る。
ア 一致点
「流体で満たされた管内の狭窄部を評価するシステムであって,
前記管に沿った様々な位置で圧力測定を行う第1の測定センサを有する消息子と,
前記管を通して前記消息子を牽引する機構と,\n前記圧力測定から,前記管に沿った様々な位置で行われた圧力測定の比を計算す
るプロセッサと
を含む,システム。」
イ 相違点
(ア) 相違点1
血管内の二つの位置の血圧の比の計算において,本願発明は,一つの測定センサ
によって,瞬間的に各位置の血圧の測定を行い,同測定によって得られた各血圧の
比を計算するのに対して,引用発明は,一つ又は複数の測定センサによって,継続
して遠位血圧Pdと近位血圧Ppの測定を行い,各血圧の平均値を測定し,同測定
によって得られたPdの平均値のPpの平均値に対する比を計算する点。
(イ) 相違点2
血管内の二つの位置の血圧の比の計算において,本願発明は,薬剤を投与して血
流を最大に増加させた状態ではない通常の状態で,各位置の血圧を測定するのに対
して,引用発明は,薬剤を投与して血流を最大に増加させた状態で,各位置の血圧
を測定する点。
(ウ) 相違点3
本願発明は,第1の測定センサにより各即時圧力測定が行われる位置に対する位
置データを供給する位置測定器を有するのに対して,引用発明は,その点が不明で
ある点。
(エ) 相違点4
管を通して前記消息子を牽引する機構に関して,本願発明は,前記機構\は電動機
構であるのに対して,引用発明は,その点が不明である点。\n
(3) 相違点1の容易想到性について検討する。
ア 前記(2)イ(ア)のとおり,引用発明は,Pdの平均値とPpの平均値の比を
計算するものであるところ,本願発明は,各位置における瞬間の血圧を測定し,そ
の比を計算するものである。しかるところ,当業者において,引用文献3に記載さ
れた事項から,引用発明の構成について,血管の各位置の瞬間の血圧を測定し,そ\nの比を計算するという構成を具備するものとすることを容易に想到できるというべ\nき事情は認められない。
イ 被告は,引用文献3の段落【0073】の「システム1200は,時間
平均やその他の信号処理を用いてFFR計算の数学的な変形(例えば,平均,最大,
最小,等)を生成できる。」,段落【0096】の「FFR=Pp/Pdであり,P
pとPdは平均値,又は他の統計学的表現又は数値表\現であってよい」との記載か
らすると,引用文献3には,引用発明に加えて,Pd及びPpの瞬間的な圧力(収
縮期血圧及び拡張期血圧)を求めることが記載されており,FFR計算のPpとP
dがPpとPdの最大値(収縮期血圧)又は最小値(拡張期血圧)でもよいことが
示唆されているといえるから,Pdの平均値とPpの平均値に代えて,即時圧力測
定されたPd及びPpの内の最大値(収縮期血圧)又は最小値(拡張期血圧)を採
用することは,引用文献3の記載に基づいて当業者が容易に想到し得たと主張する。
しかし,被告が指摘する引用文献3の上記各段落のPd及びPpの最大値又は最
小値を測定するには,血圧が最大又は最小となるタイミングを特定するために,1
心周期以上継続して血圧を測定し続ける必要があるから,この場合の血圧測定は,
1心周期以上継続した測定であり,瞬間的な測定ということはできない。
したがって,被告の上記主張は理由がない。
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2019.08.26
平成30(行ケ)10091 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 令和元年8月22日 知的財産高等裁判所
進歩性なしとした不服審決が維持されました。争点は、本願発明の「三次元リア
ルタイムMR画像下での手術システム」とは何か?です。
本願発明の特許請求の範囲(請求項1)には,本願発明の「三次元リア
ルタイムMR画像下での手術システム」にいう「三次元リアルタイムMR
画像」の意義を規定した記載はないが,その文言上,「三次元」の「リア
ルタイムMR画像」であることを理解できる。そして,本願発明の特許請
求の範囲(請求項1)の記載から,「リアルタイムMR画像」は,「MR
I装置からのMR画像を連続的に伝送することにより」生成される画像で
あること,「三次元リアルタイムMR画像下での手術システム」は,術者
がリアルタイムに生体の内部状況とマイクロ波デバイスの位置を画像(「三
次元リアルタイムMR画像」)によって確認し,処置する生体物及びマイ
クロ波デバイスの位置を確認しながら手術できる手術システムであること
を理解できる。
次に,本願明細書には,「三次元リアルタイムMR画像」の用語を定義
した記載はないが,【0015】には,「例えば特許文献「特開2008−
167793」が開示する画像ソフトでは,縦型オープンMRI装置の術\n前3Dデータをリアルタイム画像と組み合わせ,デバイス位置のリアルタ
イム情報として,三次元画像とともにモニターにして手術支援に用いる画
像ナビゲーションを可能とする。この場合の3次元とは生体や臓器表\面の
立体化だけでなく,内部構造を透視状態でみられる(深部情報)立体化で\nある。これにより,MR画像を身体のどの位置においても立体的にリアル
タイムモニター画像として使うことができる。…」との記載がある。本願
明細書の上記記載によれば,本願明細書では,「三次元画像」にいう「三
次元」とは,生体や臓器表面の立体化だけでなく,「内部構\造を透視状態
でみられる(深部情報)立体化」を意味する語として用いていることを理
解できる。また,本願明細書の【0021】には,「実施例2」に関し,
「加えて,3DリアルタイムMR画像にて…手術機器の位置確認が可能で\nあり,さらに軟性導体内視鏡下に直接術野が見え,デバイスの先端部分の
生体内位置と共に隣接内部構造もMR画像として同時に確認できる。」,\n「加えて,実施例1で示したように,本発明のシステムでは,臓器の内部
構造も切る前に確認できる。」との記載がある。\n
イ 以上の本願発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載及び本願明細書の
開示事項を総合すると,本願発明の「三次元リアルタイムMR画像下での
手術システム」は,手術機器の位置,生体や臓器の表面のみならず,臓器\nの内部構造を透視状態でみられる立体的なリアルタイムMR画像によって,\n術者がリアルタイムに生体の内部状況とマイクロ波デバイスの位置を画像
(「三次元リアルタイムMR画像」)によって確認し,処置する生体物及
びマイクロ波デバイスの位置を確認しながら手術できる手術システムを意
味するものと解するのが相当である。
(2) 引用発明の手術支援装置について,
引用文献5の記載事項(【0023】,【0028】,【0033】)に
よれば,引用発明の「術具815を含む Volume Rendering 画像814」は,
「患者60をMRI装置10の撮像空間に配置し」,「術具位置を含む断面
の撮像を行」うことで得られたMR画像であって,「手術時には,三次元位
置検出装置を用いて術具位置を追随することにより,時系列的に変化」(【0
033】)するから,リアルタイム画像である。
次に,乙1(笠井俊文ほか「診療画像機器学」平成18年12月5日第1
版第1刷発行)には,1)「(b)ボリュームレンダリング法(VR)…体内
の三次元表示である,三次元表\示の主役であり,SR処理も行える。」(2
03頁),2)「「3) 三次元表示(3D表\示)」 三次元表示(画像)とい\nってもホログラフィなどとは異なり,あくまでも二次元であるモニタやフィ
ルム上で立体的に見えるよう表示するものである。厳密には疑似三次元表\示,
2.5次元表示とでもいうべきものである。三次元表\示作成手順は一般に「モ
デリング…」と「レンダリング…」という作業が必要である。モデリング→
三次元の立体形状のデータを作成,編集する作業,レンダリング→三次元立
体形状データをもとに立体的に見える二次元画像を作成する作業。」(20
5頁),3)「(b)ボリュームレンダリング法(VR) VR法 volume rendering
は物体の表面形状ばかりか内部形状をも三次元的に表\示する方法である。…
さらに,不透明度や色・色彩の情報もボクセルに与えられるためデータが膨
大となる。高性能のコンピュータが必要となるが内部形状を透かして表\現す
ることができ,しかもボリュームレンダリング法で作成した表面像はSR法\nよりも緻密で優れている処理法である。」,「処理手順 ア) モデリング(ボ
リュームデータを作成する) イ) 不透明度の設定:ボリュームレンダリン
グ法では不透明度(オパシティ opacity)が導入される。ボリュームデータ
を構成するボクセルすべてに対し不透明度が設定される。不透明度とはボク\nセルに背後から光を当てたときに光を通す程度を表すもので,0〜1までの\n数値で示される。… ウ) レンダリング(投影変換):観察する視点を決め,
視点から見た形状の位置や前後関係を計算する。そして投影経路上に存在す
るボクセル全てについて不透明度や色彩が計算される。この操作をα−ブレ
ンディングと呼ぶ。投影方向として平行投影法と遠近投影法がある。エ) 画
像表示処理:処理が完了すれば,拡大表\示や視点を変えて表示することも可\n能である(図6.109)」(207頁〜208頁)との記載がある。上記\n記載によれば,「Volume Rendering 画像」は,「物体の表面形状ばかりか内\n部形状をも三次元的に表示」し,「内部形状を透かして表\現することができ」
るボリュームレンダリング法で作成した画像であるから,生体や臓器の表面\nのみならず,「臓器の内部構造を透視状態でみられる」三次元画像であるも\nのと認められる。
以上によれば,引用発明の「術具815を含む Volume Rendering 画像81
4」は,本願発明の「三次元リアルタイムMR画像」に相当するものと認め
られる。
したがって,引用発明の手術支援装置は,術具の位置,生体や臓器の表面\nのみならず,臓器の内部構造を透視状態でみられる三次元リアルタイムMR\n画像である「術具815を含む Volume Rendering 画像814」によって,術
者がリアルタイムに生体の内部状況と術具の位置を確認し,処置する生体物
及び術具の位置を確認しながら手術できる手術システムであるものと認めら
れる。
そして,本願発明のマイクロ波デバイスも術具の一種であることに照らす
と,術具の位置,生体や臓器の表面のみならず,臓器の内部構\造を透視状態
でみられる立体的なリアルタイムMR画像によって,術者がリアルタイムに
生体の内部状況と術具の位置を確認し,処置する生体物及び術具の位置を確
認しながら手術できる手術システムである点において,本願発明と引用発明
は,実質的に一致するものと認められるから,両発明が「三次元リアルタイ
ムMR画像下での手術システム」である点で一致するとした本件審決の認定
に誤りはない。
(3) 原告の主張について
原告は,1)本願発明の「三次元リアルタイムMR画像下での手術システム」
とは,術者(医師等)が,処置する生体物の位置及びマイクロ波デバイス
の位置を,予め取得した生体内画像と比較しながら,生体の内部構\造を透
視状態でみられる立体画像でリアルタイムに確認しながら手術できる手術
システムをいうものである,2)引用発明の「術具」は,引用発明の課題を
解決するための手段である「警告手段」を達成するために,術具の処理によ
り目的物の位置や形状を大きく変化させない,マイクロ波デバイスではなく
かつ先端の形状が単純な穿刺針・カテーテルであることを要すること,引用
発明の「術具815を含む Volume Rendering 画像814」は,術前画像を含
まない,術中の3軸2次元画像を単に結合した Volume Rendering 画像であっ
て,生体の内部構造を透視状態で見られる立体画像ではないことからすると,\n引用発明の手術支援装置は,術具の種類,警告手段の有無,術前画像の有
無及び立体画像の種類が本願発明と異なるから,本願発明の「三次元リア
ルタイムMR画像下での手術システム」であるとはいえない旨主張する。
しかしながら,上記1)の点については,本願発明の特許請求の範囲(請求
項1)の記載には,「術者がリアルタイムに生体の内部状況とマイクロ波デ
バイスの位置を画像によって確認し,処置する生体物及びマイクロ波デバイ
スの位置を確認しながら手術できる手術システム」との記載はあるが,処置
する生体物の位置及びマイクロ波デバイスの位置を「予め取得した生体内\n画像と比較しながら」との記載はない。また,本件明細書の実施例1に
は,「好ましくは,術者は,「前もって撮像した画像をもとに,メインワー
クステーションに術中の画像を再構成して得られた三次元リアルタイム画\n像」を確認しながら,内視鏡・手術デバイスの操作・制御を実視できる。」
(【0020】)との記載があるところ,この記載から,「三次元リアルタ
イム画像」は,「前もって撮像した画像をもとに」再構成して得られたこと\nを理解することができるが,術者が生体の内部状況とマイクロ波デバイスの
位置を「前もって撮像した画像」自体と比較しながら,手術を行うことを示
したものとはいえない。
したがって,上記1)の点は,本願発明の特許請求の範囲の記載に基づか
ないものであって採用することはできない。
次に,上記2)の点については,前記(2)認定のとおり,術具の位置,生
体や臓器の表面のみならず,臓器の内部構\造を透視状態でみられる立体的な
リアルタイムMR画像によって,術者がリアルタイムに生体の内部状況と術
具の位置を確認し,処置する生体物及び術具の位置を確認しながら手術でき
る手術システムであれば,術具がマイクロ波デバイスでなくても,本願発明
の「三次元リアルタイムMR画像下での手術システム」であるものと認めら
れ,また,引用発明の「術具815を含む Volume Rendering 画像814」は,
本願発明の「三次元リアルタイムMR画像」に相当するものと認められるか
ら,上記2)の点は理由がない。
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2019.08. 7
平成30(行ケ)10055 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 令和元年7月22日 知的財産高等裁判所(3部)
引用文献の認定誤りを理由として、進歩性違反とした審決が取り消されました。
2 取消事由1(引用発明の認定の誤りに基づく相違点の看過)について
(1) 甲1文献の記載
甲1文献には,次の記載がある
・・・
しかし,仮にα<0.3に近い領域においては散乱光強度が粒径の
3乗に比例する関係が成立し,α>5に近い領域においては散乱光強
度が粒径に反比例する関係が成立するとしても,その間における散乱
光強度と粒径との関係については,審決は何ら明らかにしていないの
であるから,これによって,常に長波長光に比べ短波長光は,相対的
に等しい振幅信号を生成するといえるかどうかは明らかではないとい
わざるを得ない。この点について,被告は,「レイリー散乱領域から
ミー散乱領域よりもαが大きい条件の領域に向かって,レイリー散乱
領域に近い側では,αが大きくなるに従って散乱強度が大きくなり,
いずれかで必ず極大値に達し,その後αが大きくなるに従って散乱強
度が小さくなって,ミー散乱領域よりも大きい条件の領域に近づく。」
と主張するが,この主張は,散乱強度の大きさの変化を説明している
のにとどまるから,散乱強度と粒径と間の定量的な関係について説明
がないという問題は,依然として解消されていない。
また,審決の見解は,散乱角の違いによるばらつきを考慮していな
いという点においても問題があるものといわざるを得ない。すなわち,
レイリー散乱領域よりαが大きい領域においては,上記(ア)b,cのと
おり,散乱光強度は散乱角に依存して大きく変化し,αが変化した場
合の散乱光強度の変化の仕方や程度は,散乱角θによってまちまちで
あることがわかる。そうすると,散乱光強度に対する粒径の影響は,
散乱角θによって異なるといわざるを得ないのであるから,この点を
考慮していない審決の見解には問題があるものといわざるを得ないの
である(なお,引用発明の争いのない構成においては,第1の照明か\nら照射される光と第2の照明から照射される光とでは,散乱角が異な
ることになるから,散乱角θによる影響はより一層複雑なものになら
ざるを得ないものと予想される。)。\nそうすると,審決の上記理解には問題があるといわざるを得ないか
ら,ミー散乱領域を考慮したとしても,「長波長光が,小さな粒子の
場合に小さな振幅信号を生成し,大きな粒子の場合に大きな振幅信号
を生成するのに対し,短波長光が,大小の粒子いずれの場合にも相対
的に等しい振幅信号を生成する」ということはできない。
c そして,他に記載4)が成り立つことを裏付けるに足りるような根拠
を見出すこともできないから,結局,記載4)を記載3)及び記載5)と整
合的に説明することはできないものといわざるを得ない。
そうすると,当業者は,甲1文献から,引用発明の争いのない構成\nにおいて「長波長光からの振幅信号と短波長光からの振幅信号との比
を比較することにより煙粒子の大きさを判定」するという技術的思想
を認識することはできないものというべきである。
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2019.05. 8
平成30(行ケ)10036 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成31年3月19日 知的財産高等裁判所
漏れていたので、アップします。薬剤としての新効能を限定した発明について、その他の構\成が同じでも新規性ありとした審決が維持されました。
ア 甲5発明には,T細胞を処理するための組成物の用途が,「T細胞による
インターロイキン−17(IL−17)産生を阻害する」ためであるとの特定がな
いが,前記(2)アのとおり,甲5発明の「T細胞を処理する」とは,IL−12によ
るT細胞の処理,すなわちTh1誘導によるT細胞刺激を阻害することを指すもの
であって,甲5には,記載も示唆もされていない「T細胞によるインターロイキン
−17(IL−17)産生を阻害する」ことを指すものではないことは明らかであ
る。
他方,本件特許発明1におけるIL−23のアンタゴニストを含む組成物の用途
は,「T細胞によるインターロイキン−17(IL−17)産生を阻害するため」で
あるが,本件明細書(【0071】〜【0081】,【0083】,【表1】,【図2A】,【図4A】)には,従来から知られていたTh1誘導条件(IL−12+抗IL−4)下及びTh2誘導条件(IL−4+抗IFN−γ)下では,いずれもIL−17産\n生が増加しなかったのに対し,IL−23存在下ではIL−17産生が増加したこ
とに加え,Th1誘導条件下に比べIFN−γ産生が著しく低かったこと,IL−
23が介在するIL−17の産生は,IL−23のp40サブユニットの中和抗体
によって遮断されたことが記載されている。
これらの記載によると,本件特許発明1における「T細胞によるインターロイキ
ン−17(IL−17)産生を阻害するため」という用途は,IL−23によるT
細胞の処理によってT細胞におけるIL−17の産生が増加するという知見に基づ
き,IL−23によるT細胞の処理により引き起こされるIL−17の産生を阻害
することを用途とするものであり,上記知見は,従来から知られていたTh1誘導
やTh2誘導によるT細胞刺激とは異なるものであると認められる。
したがって,本件特許発明1における「T細胞によるインターロイキン−17(I
L−17)産生を阻害するため」という用途は,従来から知られていたTh1誘導
によるT細胞刺激とは異なる,IL−23によるT細胞の処理により引き起こされ
るIL−17の産生を阻害することを用途とするものであるから,甲5発明の「T
細胞を処理するため」とは明確に異なるものであり,相違点5は,実質的な相違点
であると認められる。
イ 原告は,審決は,甲5発明の抗体含有組成物の用途を「T細胞を処理す
るため」と認定したにもかかわらず,本件特許発明1との対比においては,甲5発
明の抗体含有組成物の用途が「Th1誘導によるT細胞刺激の阻害」に限定される
ものとして,相違点5を認定しており,そもそも矛盾していると主張する。
しかし,甲5発明の抗体含有組成物の用途を「T細胞を処理するため」と認定し
たことにより,甲5発明の「T細胞を処理する」の意義を甲5の記載を離れて解釈
してよいことになるものではないから,審決が,本件特許発明1との対比に当たり,
甲5発明の「T細胞を処理する」の意義を甲5の記載に基づいて解釈することは正
当であって,何らの誤りもない。
ウ 原告は,甲5X発明に係る抗体含有組成物の用途は,「T細胞の処理によ
る乾癬治療」であるが,乾癬患者について格別の限定又は選別をすることなく,「T
細胞の処理による乾癬治療」を実施すると,当然に,「T細胞によるインターロイキ
ン17(IL−17)産生阻害」も生じるから,甲5X発明の「T細胞の処理によ
る乾癬治療」と本件特許発明1の「T細胞によるインターロイキン17(IL−1
7)産生阻害」とは,用途として同一であり,甲5X発明と本件特許発明1との間
に相違点はないなどと主張する。この主張を,甲5発明について,甲5に記載され
ている用途も考慮して本件特許発明1の新規性を判断すべき旨の主張と解したとし
ても,次のとおり理由がない。
(ア) 前記アのとおり,本件特許発明1は,IL−23によるT細胞の処理に
よってT細胞におけるIL−17の産生が増加するという知見に基づいて,「IL
−23のアンタゴニストを含む組成物」について「T細胞によるIL−17産生を
阻害するための(インビボ処理方法において使用するための)」という用途の限定を
付したものであると認められるところ,慢性関節リウマチの患者であってもIL−
17濃度の上昇がみられなかった者がいるように(甲17〔審判乙1〕),すべての
炎症性疾患においてIL−17濃度が上昇するものではないし,特定の炎症性疾患
においてもすべての患者のIL−17濃度が上昇するものではないと認められるか
ら,本件特許発明1の組成物を医薬品として利用する場合には,特にIL−17を
標的として,その濃度の上昇が見られる患者に対して選択的に利用するものという
ことができる。
(イ) 他方,前記(1)のとおり,甲5には,IL−23のアンタゴニストにより
T細胞によるIL−17産生の阻害が可能であることは,記載も示唆もされていな\nいから,甲5発明が,「IL−23のアンタゴニストを含む組成物」を,T細胞によ
るIL−17産生を阻害するために,IL−17濃度の上昇が見られる患者に対し
て選択的に利用するものではないことは,明らかである。このことは,甲5発明の
「IL−23のアンタゴニストを含む組成物」を乾癬治療のために使用することが
できるという甲5に記載されている用途を考慮しても,左右されるものではない。
(ウ) そうすると,本件特許発明1の「T細胞によるインターロイキン−17
(IL−17)産生を阻害するため」という用途と,甲5発明の「T細胞を処理す
るため」という用途とは,明確に異なるものということができる。そして,このこ
とは,本件優先日当時,IL−17の発現レベルを測定することが可能であったこ\nとによって左右されるものではない。
エ 原告は,本件特許発明は,せいぜい,IL−23アンタゴニストに備わ
った「T細胞によるIL−17産生を阻害する」という性質又は機序を明らかにし
て,これを説明する構成要件を付加したにすぎないから,甲5X発明と異なる新規\nな方法(用途)とはいえないなどと主張する。この主張を,甲5発明について,甲
5に記載されている用途も考慮して本件特許発明1の新規性について判断すべき旨
の主張と解したとしても,前記ウのとおり,本件特許発明1の「T細胞によるイン
ターロイキン−17(IL−17)産生を阻害するため」という用途と,甲5発明
の「T細胞を処理するため」という用途とは,明確に異なるのであるから,本件特
許発明1の用途が,甲5発明の用途を新たに発見した作用機序で表現したにすぎな\nいものとはいえないことは,明らかである。
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2019.03.12
平成30(行ケ)10064 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成31年2月28日 知的財産高等裁判所
無効理由なしとした審決が取り消されました。理由は本件発明の認定誤りです。
訂正発明2の「庫内差圧検出手段」の意義等について
(ア) 訂正発明2の特許請求の範囲(請求項2)の記載によれば,訂正発
明2の「庫内差圧検出手段」は,「上記排気量制御手段により制御され
る排気処理手段による上記暴露部の暴\露空間内のバイオガスの排気処理に起因して生じる庫内差圧を検出」する検出手段であり,訂正発明2
においては,「上記庫内差圧検出手段による検出結果から得られる庫内
差圧情報が上記排気量制御手段に帰還され,上記排気量制御手段により
上記暴露部から排気するバイオガスの排気量を制御することにより,上\n記暴露部の庫内差圧を一定にする」ことを理解できる。\nまた,訂正発明2の特許請求の範囲(請求項2)中の「上記排気処理
部により上記暴露部から排気するバイオガスの排気量を制御するバイオ\nガスの排気量制御手段」との文言によれば,訂正発明2の「排気量制御
手段」は,「上記排気処理部により上記暴露部から排気するバイオガス\nの排気量を制御」する制御手段であることを理解できる。
そして,訂正発明2の特許請求の範囲(請求項2)の記載によれば,
訂正発明2の核酸分解処理装置は,「暴露部」の「バイオガスのホルム\nアルデヒド成分の濃度」の「ガス濃度情報」が「生成ガス量制御手段」
に帰還され,「上記生成ガス量制御手段」及び「上記排気量制御手段」
により「バイオガス発生部」における「生成ガス量」及び「暴露部」か\nら排気する「バイオガスの排気量」を制御することにより,「暴露部」\nの「庫内ガス濃度」を一定にし,かつ,「庫内差圧情報」が「排気量制
御手段」に帰還され,「上記排気量制御手段」により「暴露部から排気\nするバイオガスの排気量」を制御することにより,「暴露部」の「庫内差圧」を一定にすること,すなわち,「暴\露部」の「ガス濃度情報」及
び「庫内差圧情報」を基に,「生成ガス量」及び「バイオガスの排気量」
を制御し,「暴露部」の「庫内ガス濃度」及び「庫内差圧」の両者を一\n定にする制御を行うものであることを理解できる。
しかるところ,訂正発明2の特許請求の範囲(請求項2)には,「庫
内差圧検出手段」及び「排気量制御手段」の具体的な構造や装置構\成に
ついて規定した記載はなく,また,「暴露部」の「庫内差圧」をいかな\nる数値又は数値範囲で一定にするのかについて規定した記載もない。
(イ) 次に,本件明細書の発明の詳細な説明には,「本発明」の実施形態
として,核酸分解処理装置100の制御部150が,暴露部120に設\nけられたガス濃度センサ129から供給された暴露空間内のガス濃度\n情報に基づき,バイオガス発生部110へのエア供給量及びメタノール供給量の制御及び排気処理部140の排気ブロア143の吸入量の制
御により,暴露部120の庫内の濃度を一定にする制御を行うとともに,\n暴露部120に設けられた庫内圧力センサ132から供給された暴\露
空間内の圧力情報に基づき,排気処理部140の外気導入バルブ142
の開閉度及び排気ブロア143の回転数の制御により,陰圧範囲内を目
標値とした暴露部120の庫内差圧を一定にする制御を行うことが記\n載されている(【0028】,【0103】,【0111】,【014
0】〜【0148】,【0150】,【0161】〜【0164】,【0
182】,【0183】,図10)。これらの記載は,制御部150に
より暴露部120の庫内差圧を陰圧の数値範囲に制御することを開示\nするものと認められる。
他方で,本件明細書の「本発明の実施の形態について,図面を参照し
て詳細に説明する。なお,本発明は以下の例に限定されるものではなく,
本発明の要旨を逸脱しない範囲で,任意に変更可能であることは言うま\nでもない。」(【0026】)との記載に照らすと,本件明細書には,
「本発明の要旨を逸脱しない範囲」であれば,「本発明」の実施形態が
上記実施形態に限定されるものではないことの開示がある。
しかるところ,本件明細書には,「庫内差圧検出手段」及び「排気量
制御手段」を特定の構造や装置構\成のものに限定する記載はないし,また,「暴露部」の「庫内差圧を一定にする」にいう「一定」の数値範囲\nを定義した記載もない。
また,訂正発明2の特許請求の範囲(請求項2)の記載から,訂正発
明2の核酸分解処理装置は,「暴露部」の「ガス濃度情報」及び「庫内\n差圧情報」を基に,「生成ガス量」及び「バイオガスの排気量」を制御
し,「暴露部」の「庫内ガス濃度」及び「庫内差圧」の両者を一定にする制御を行うものであることを理解できること(前記(ア)),本件明細
書の発明の詳細な説明には,「本発明」は,訂正発明2の構成を採用し\nたことにより,フィードバック制御により暴露部の暴\露空間内における
温度,湿度,濃度の定量的制御を行うことができ,検体の種類に対応し
た短時間で高効能を発揮する条件を定義することができるという効果を\n奏すること(【0021】,【0196】)の開示があること(前記(1)
イ(イ))を総合すると,訂正発明2は,フィードバック制御により暴露\n部の暴露空間内の温度,湿度,「庫内ガス濃度」及び「庫内差圧」の定\n量的制御を行うことにより,検体の種類に対応した短時間で高効能を発\n揮する条件を定義することができるようにしたことに技術的意義がある
ことが認められる。
そして,訂正発明2の上記技術的意義に照らすと,「庫内差圧」を陰
圧の数値範囲に制御する必然性は見いだし難い。また,本件明細書全体
をみても,「庫内差圧」を陰圧の数値範囲に制御することによって,陽
圧の数値範囲に制御することと比して有利な効果を生じるなどの技術的
意義があることについての記載も示唆もない。
(ウ) 以上の訂正発明2の特許請求の範囲(請求項2)の記載及び本件明
細書の記載に鑑みると,訂正発明2の「庫内差圧検出手段」の検出の対
象となる「庫内差圧」は,「庫内」(暴露部の暴\露空間内)の圧力と暴露空間外の圧力との差圧であれば,特定の数値範囲のものに限定される\nものではなく,陰圧の数値範囲のものに限定されるものでもないと解す
べきである。
したがって,訂正発明2の「庫内差圧検出手段」は,「滅菌タンク内
がタンク外よりも陰圧であることを検出する庫内差圧検出手段」であっ
て,滅菌タンク内のMRガスの排気処理に起因して生じる庫内差圧を検出するものであると限定解釈した本件審決の判断は誤りである。
イ 甲2の開示事項について
・・・
このように,甲2における「本発明」の第2の実施の形態は,ホルム
アルデヒドガスの給排気状況に依存して生じる被殺菌空間の室内と室外
との圧力差を検出する微差圧検出器56を備え,微差圧検出器56によ
り検出された検出値がコントロールユニット58に帰還(フィードバッ
ク)され,コントロールユニット58により被殺菌空間内の室内から室
外に排気される空気に含まれるホルムアルデヒドガス等の排気量及び室
内に給気する空気の給気量を制御することにより,被殺菌空間の室内の
圧力を一定にするという構成を備えるものである。\nそうすると,甲2における「本発明」の第2の実施の形態の「微差圧
検出器56」,「コントロールユニット58」及び「排気量調整電磁弁
74及び送風機82」は,それぞれ,訂正発明2における「庫内差圧検
出手段」,「上記庫内差圧検出手段による検出結果から得られる庫内差
圧情報が…帰還され」る「上記排気量制御手段」及び「上記排気量制御
手段により制御される排気処理手段」に相当するものと認められる。
したがって,甲2には,相違点2に係る訂正発明2の構成が開示され\nているものと認められる。
◆判決本文
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2019.02. 4
平成30(行ケ)10027 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成31年1月28日 知的財産高等裁判所
訂正の可否が争われて、知財高裁は特許庁の判断を取り消しました。争点は引用発明の認定誤りです。
本件発明1における揮発性作業流体は,ストリッピング処理過程に付
す前に海産油に添加される液体であって,当該ストリッピング処理過程
において,海産油中に存在するある量の環境汚染物質が当該揮発性作業
流体と一緒に該海産油から分離されるものである。また,当該揮発性作
業流体はC10〜C22の遊離脂肪酸を含む。さらに,当該揮発性作業
流体はストリッピング処理過程で油から分離されるものであるから,「揮
発性」とはトリグリセリド等の油よりも揮発性が高いことを意味すると
解される(本件明細書の段落【0014】,【0021】,【0057】,
【0059】〜【0061】)。
これに対し,甲2発明1におけるリノール酸は,ストリッピング処理
過程に付す前にサケ頭油に添加される液体であって,当該ストリッピン
グ処理過程において,コレステロールと共に蒸留されるものである(上
記(1)ウ)。そして,リノール酸はC18の不飽和脂肪酸であって,トリ
グリセリドと比較すると揮発性が高い(上記(1)ア)。
そうすると,本件発明1における揮発性作業流体と,甲2発明1にお
けるリノール酸とは,除去対象物質が環境汚染物質であるかコレステロ
ールであるかとの点で違いがあるものの,いずれもトリグリセリドと比
較して揮発性が高く,除去対象物質と共に蒸留される液体であるとの点
で共通する。また,リノール酸は,本件明細書において揮発性作業流体
として例示された「C10〜C22の遊離脂肪酸」に該当する。
したがって,甲2発明1におけるリノール酸は,本件発明1における
揮発性作業流体に当たると認めるのが相当である。
よって,この点についての本件審決の認定には誤りがある。
(オ) 小括
以上によれば,本件審決には,相違点6について,リノール酸が揮発
性作業流体といえるのか否かが明らかではないと認定した点において,
誤りがあるというべきである。
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