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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

相違点認定

平成23(行ケ)10335 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年09月12日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が維持されました。得異な効果も発明の構成に基づくものではないとして採用されませんでした。
 原告は,相違点3及び4は,相互に密接に関連しており,それらを組み合わせた効果も相乗的なものであるから,これを分断して判断したことは,進歩性判断の誤った手法によるものであると主張する。相違点3は,本願発明の走査方法が点順次走査であることに関し,相違点4は,点順次走査を前提とした上で,標本化定理を尊重した検出周波数の選定に関するものであることから,両者は,点順次走査という点で一定の関連性を有するものである。しかしながら,標本化定理は,本来,画像の復元性の保証という観点から走査方法の如何を問わず考慮されるべき基本的事項であって,走査方法とは技術的観点が異なるから,相違点3及び4を別々に判断したとしても,誤りがあるとはいえない。また,本件審決は,相違点4の判断において,相違点3及び4をあわせ,全体として総合的に効果の点も含めて,容易想到性を判断したのであるから,原告の上記主張には理由がない。
 イ 原告は,本願発明の特徴は,リアルタイムで「高品質」の画像形成を可能にするために,「解像度」と「フレーム・レート(リアルタイム)」と「感度」という互いに相反する3つのパラメータの間に適切なバランスを新たに提供するものであると主張する。本願発明は,本願明細書に記載されたとおり,「リアルタイム表\示」すると同時に「画像の品質を最適化」,特に「高解像度化」することを目的とし,その目的を達成するために,本願発明の構成を採用し,特定したものである。しかしながら,本願発明の特許請求の範囲には,リアルタイムで「高品質」の画像形成を可能\にするための「解像度」と「フレームレート(リアルタイム)」と「感度」の間の適切なバランスを特定することについても,リアルタイム性を表す「フレームレート」,画像の品質を表\す「解像度」及び「サンプリング周波数」が具体的な高い値として得られることについても,何ら特定されてはいない。本願発明は,「数千本の光ファイバ」及び「リアルタイムで使用するに充分な毎秒画像数の取得に対応する速度」という発明特定事項を有するものの,上記発明特定事項だけからでは,従来実現していなかった,あるいは,従来知られていなかった,「解像度」と「フレーム・レート(リアルタイム)」と「感度」の組合せが実現できる発明が特定されているとはいえない。そうすると,原告の上記主張は,特許請求の範囲に基づくものではなく,失当である。

◆判決本文

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 >> 新規性・進歩性
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平成23(行ケ)10314 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年03月22日 知的財産高等裁判所

 相違点の認定が誤りであるとして、進歩性なしとした審決が取り消されました。
 本件訂正発明における「原料の表面を該無機質粘結材で被覆し」における「被覆」とは,原料の表\面の一部分に無機質粘結材が存在する程度では足りず,炭化炉内に酸素が供給された状態であっても酸化を抑制して炭化させることができる程度に原料の表面を覆うが,他方,原料に着火でき,原料のガス成分を燃焼できる程度を超えるほどには原料の表\面を覆わないことを意味するものと解される。これに対し,上記刊行物1の記載によれば,引用発明は,ロータリーキルンにて炭化処理して粒状化したパルプ廃滓をコークス代用成分として配合使用した豆炭,煉炭等の固形燃料に関する発明であり,i)パルプ廃滓は,予め圧搾プレス処理してケーキ状に脱水したものをロータリキルンへ装入するのが好ましいこと,ii)ベントナイト等のバインダを添加しなくても,所定の収率で炭化物が得られるが,炭化物の微粉化を避け,比較的そろった粒状物を得るため,及びその収率を向上させるため,パルプ廃滓に予め0.5〜3.0%程度,水ガラス,でんぷんのり,ベントナイト等のバインダを添加すると有効的であること,iii)生成される粒状炭化物の結晶構造は多孔質であり,空気を豊富に含有することから,燃焼時にその含有空気が寄与して不完全燃焼のおそれがないことが認められる。以上によれば,引用発明は,炭化した際の微粉化を避け,比較的そろった粒状物を得るため,水ガラス,でんぷんのり,ベントナイト等をバインダとして添加するものであり,微粉化が避けられる結果,収率の向上が図られるものと理解することができる。したがって,引用発明において,原料であるパルプ廃滓とベントナイト等のバインダが混練された結果,パルプ廃滓の表\面にベントナイト等が一部存在しているとしても,ベントナイト等を用いてパルプ廃滓を被覆することにより,炭化炉内に酸素が供給された状態であっても酸化を抑制して炭化させることができる程度に原料の表面を覆っていると認めることはできない。上記のとおり,引用発明は,脱水したパルプ廃滓の表\面をベントナイト等で被覆しなくても酸化が抑制され炭化することができるものであり,本件訂正発明の上記炭化方法とは,その技術的意義を異にする。したがって,本件訂正発明の相違点1及び4に係る構成は,実質的な相違点とはいえないとした審決の判断には,誤りがあり,また,本件訂正発明の相違点1及び4に係る構\成に至ることが容易であるということもできない。

◆判決本文

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平成23(行ケ)10182 審決取消請求事件(特許) 特許権 行政訴訟 平成24年02月21日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性否定されました。
 この点に関し原告は,「本願発明は,患者の問診情報を診察部門だけでなく管理,受付部門および待合室の端末機で利用することにより,例えば本願の願書に添付した明細書の段落【0023】に記載されているように診察の準備や優先的な誘導など診察までの手続などを効率よく行うことができるものであり,単に院内に多数の端末を設けて情報の使用を図るというものではないのに対して,引用例2に記載の発明では問診事項に特化したサーバの記載はなく,受付部門に端末がないことからも引用例2に記載の発明の端末機構を引用発明に適用しても本願発明の相違点1にかかる構\成とすることはできない」と主張する。しかし,本願明細書の段落【0023】の記載を考慮しても,本願発明は,端末機が「管理,受付部門,診察室および待合室にそれぞれ設けられ」,及び「入力された個人情報および受診情報(問診情報)は,医療機関のサーバへ送信されるとともに診察室に設置された端末機に送信される」との事項で特定されるにとどまるものであって,個人情報および受診情報が,管理,受付部門の端末機に送信されて,診察の準備や優先的な誘導などの診察までの手続を行うことまで特定されているとは認められない。

◆判決本文

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 >> 新規性・進歩性
 >> 相違点認定
 >> コンピュータ関連発明

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