外為オンラインVSマネースクウェアの侵害訴訟の対象となった特許(特5650776号)についての無効審判の審決取消訴訟です。マネースクウェアの保有する特許について無効理由無しとした審決が維持されました。
本件発明1と引用発明とを対比すると,少なくとも,1)「金融商品の売
買取引を管理する金融商品取引管理装置であること,2)前記金融商品の売買注文を
行うための売買注文申込情報を受け付ける注文入力手段を備えること,3)該注文入
力受付手段が受け付けた前記売買注文申込情報に基づいて金融商品の注文情報を生\n成する注文情報生成手段を備えること,及び,4)一の前記売買注文申込情報に基づ\nいて,所定の前記金融商品の売り注文又は買い注文の一方を成行又は指値で行う第
一注文情報と,該金融商品の売り注文又は買い注文の他方を指値で行う第二注文情
報と,を含む注文情報群を複数回生成することで共通し,5)引用発明が,「前記金融
商品の売り注文又は買い注文の前記他方を逆指値で行う逆指値注文情報」を生成し
ていない点で相違している。
イ 本件発明1の構成1Gは,「前記第二注文情報に基づく該指値注文が約定\nされたとき,次の注文情報群の生成を行うと共に,該生成された注文情報群の前記
第一注文情報に基づく前記成行注文の価格と同じ前記価格の指値注文を有効に」(1
G前段)するとともに,「以後,前記第一注文情報に基づく前記指値注文の約定と,
前記第一注文情報に基づく前記指値注文の約定が行われた後の前記第二注文情報に
基づく前記指値注文の約定と,前記第二注文情報に基づく前記指値注文の約定が行
われた後の,次の前記注文情報群の生成とを繰り返し行わせる」(1G後段)という
ものである。構成1G前段は,売買取引開始時において,同じ注文情報群に含まれ\nる第一注文情報に基づく成行注文が約定した後で,第二注文情報に基づく該指値注
文が約定されたときに,次の注文情報群の前記第一注文情報に基づく注文が,上記
売買取引開始時に約定された成行注文の価格と同じ価格の「指値注文」として有効
に生成されることとを意味するものである。
これに対し,引用発明は,前記2(2)のとおり,代替実施形態においては,パート
1注文とパート2注文とで形成されるLOCK注文を再度自動的に繰り返すもので
ある。このことは,引用文献の図6では,代替実施形態において情報を入力する際
に「指値注文」と「成行注文」を選択する欄しかない上,引用文献の[0085]
には,「『サイクル数44』の追加によって,投資家は,より多くの利益を得ること
を望んで,LOCK処理に自動的に再入力できるようになるであろう。」と記載され
ており,図7には,サイクル数選択「44」を経て同じ注文が繰り返される旨の矢
印が記載されていることからしても,明らかであるということができる。したがっ
て,1回目のLOCK注文の第一注文が成行注文である場合には,繰り返されるL
OCK注文の第一注文も成行注文であり,1回目のLOCK注文の第一注文が指値
注文である場合には,繰り返されるLOCK注文の第一注文も指値注文であるとい
うことができる。
ウ 以上より,本件発明1と引用発明とは,本件発明の構成1Gの点におい\nて相違している。
◆判決本文
◆関連発明(特5525082号)についての審決取消訴訟です。こちらも権利有効維持です。
平成29(行ケ)10024