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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

阻害要因

◆平成19(行ケ)10004 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年11月28日 知的財産高等裁判所

   阻害要因有りとして、進歩性無しとした審決を取り消しました。
 「そして,前記(2)ウの周知技術(「同じ質量で反対方向に運動する機構を背中合わせに付加することにより,振動を相殺して装置の振動をなくす技術」)を採用した場合,運動する部分の質量が2倍程度になることに照らすならば,上記周知技術は,引用例3,甲4のように「慣性系(静止系又は等速直線運動をしている系)」の装置では振動抑制の効果があるのに対して,引用例1発明のように加速運動をする「加速系」の装置では,質量の増加に起因して加速に伴う外力が大きくなり,振動抑制の設計がより困難となると考えるのが自然である。このように「加速系」の装置である引用例1発明に,上記周知技術を適用することには,これを妨げる事情があり,また,引用例2,引用例3,甲4,甲7,8等を勘案しても,「加速系」の装置における上記振動の問題を解決する手段を示唆する記載はない。ウそうすると,当業者が,引用例1,2に接したとしても,引用例1発明に,上記周知技術を採用しようとするものとは考え難いから,引用例1発明に,引用例2に基づいて,上記周知技術を適用して,相違点(ロ)に係る本願発明の構成(「第2本体,及び前記第1本体の実質的に反対方向に,前記第1スライドに対して前記第2本体を配置するための第2アクチュエータ」の構\成)を容易に想到し得たものとは認められない。」

◆平成19(行ケ)10004 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年11月28日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10007 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月12日 知的財産高等裁判所

   進歩性無しとした審決を、阻害要因有りとして取り消しました。
  「まず,審決の相違点1についてした判断の内容は,次のとおりである。引用発明の「金属製」のものも,本件訂正発明1の「カーボングラファイト製」のものも,燃料電池のセパレータとして,周知慣用のものであること,いずれの材料も,電解質膜との間のガスの遺漏を防止する必要があり,比較的肉厚の薄い薄膜のシールをシール材として組み入れようとするときに,薄膜上にシワ,薄膜同志で密着し剥がしづらくなる等の作業性の問題がある点で共通している。このような問題を解決できる引用発明の成形一体化方法におけるセパレータとして,「金属製」のものを「カーボングラファイト製」のものとすることは,当該燃料電池の分野の周知の事項に基づいて当業者であれば容易に想到することができたことと認められるとするものである。しかし,セパレータとしてカーボングラファイト製のものが周知慣用であり,作業性に関する課題が「金属製」のものと共通であるとしても,引用発明が射出成形手段を前提とするものである以上,引用発明におけるセパレータをカーボングラファイトに代えることには,次のとおり阻害要因があったというべきである。この点を詳細に述べる。」 

◆平成19(行ケ)10007 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月12日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10493 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年08月28日 知的財産高等裁判所

   引用例に記載の技術は2つの条件が一体不可分であると主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。
   「これに関し原告は,引用例2に記載されたマルチングには土壌を袋状に包むという意味は存在しないから,引用発明の袋の材料として,引用例2に記載の熱可塑性樹脂製不織布を採用することは困難であると主張する。しかし,引用例2の記載上,引用例2に記載の熱可塑性樹脂製不織布を採用することと,植物の栽培方法としてマルチング栽培を採用することが,不可分一体のものとしてひとまとまりの技術的思想を構成していると解すべき事情は見当たらない。このことは,土壌の連続・不連続性や根の伸張やイオン交換体の配合の有無について原告がるる主張する事項を考慮したとしても,左右されるものではない。かえって,上記3(2)エに述べたとおり,袋栽培に関する引用発明とマルチ栽培に関する引用例2記載発明とは,植物の育成に用いる「土」自体の温度上昇を抑制するという基本的な課題において共通し,しかも,両者の差異は,植物の育成という共通の基盤を前提とした上での栽培方法の違いにすぎないことからすれば,マルチングという概念に畑の土壌を袋状に包むという意味が存在しないからといって,引用発明の袋の材料として,引用例2に記載の熱可塑性樹脂製不織布を採用することが,当業者にとって困難になるとは考え難い。したがって,この点に関する原告の主張は採用することができない。」

◆平成18(行ケ)10493 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年08月28日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10488 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

  知財高裁は、進歩性について、「一般的な動機付けがあっても、適用することを妨げる事情がある場合には、容易とはいえない」と判断し、審決を取り消しました。
 「しかし,PWM調光技術,すなわちパルス幅変調(Pulse Width Modulation)を用いて光の強度を調節する方法自体が周知技術であることは,当事者間に争いがなく,本願発明においても長時間の点灯等によりLEDランプのパルス電流が変化して,発光光量が変動するのを抑えることが目的とされており(本願明細書段落【0008】〜【0011】),一般的な動機付けがないわけではない。もっとも,当業者が引用発明にPWM調光技術を適用することが容易であるか否かについては,後記の技術的困難性を検討する必要があり,動機付けのみで判断することはできない。・・・原告が主張するように「電源の破壊」に至らないとしても,審決が引用発明にPWM調光技術を適用することを妨げる事情について十分な検討をしないまま,当業者が引用発明にPWM調光技術を適用することに困難はないと判断したことは誤りである。以上のとおり,発光強度を調節するという一般的要請があり,かつ,その手段としてPWM調光技術が周知であったとしても,引用例の第2又は第3実施形態のLEDランプ装置にPWM調光技術を適用することを妨げる事情があるから,引用例の記載に接した当業者が引用発明にPWM調光技術を適用しようとする動機付けも弱く,相違点に係る構\成に容易に想到することができたとはいえない。」

◆平成18(行ケ)10488 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10484 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が取り消されました。
 「以上検討したところによれば,本件発明1は,ガイドピンが床面に磁力にて突出引退自在に設けられた構成を有するものであって,ガイドピンの大径部が係止ガイド片に当接することにより機械的に保持され,走行溝から下降しないようにした点に主たる技術的意義があるものであるのに対し,刊行物2(甲2)においては,規制ピンは敷居に植設固定されており,突出引退自在に設けられたものではないから,「走行中や停止中において,吊戸本体3の揺れや振動などにてガイドピン4が磁着体Xから外れ,ガイドピン4がその自重で容易に床面下に下降する」(訂正明細書〔甲8の2〕段落【0003】)という本件発明1の従来技術にいう課題を解決する手段として突出引退自在に設けられたガイドピンを係止ガイド片によって機械的に保持する技術を開示するものではない。しかも,刊行物2(甲2)の遊転ローラは,フランジと当接する構\造(フランジがローラーを機械的に保持する構造)であってはならず,引用発明2は,フランジと遊転ローラーとの間の高さ方向において,一定の間隔を設けることを前提とする技術であるから,本件発明1のガイドピンの大径部が係止ガイド片に当接することにより機械的に保持する構\造とは,その技術的意義が異なるものである。したがって,引用発明1における,ガイドピンが突出引退自在である構成を前提としたまま,刊行物2の「フランジ18を有したコの字型案内溝19にビス22の遊転ローラー21を案内させる構\成」を適用することはできないというべきである。」  

◆平成18(行ケ)10484 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所

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