2007.12.26
◆平成19(行ケ)10148 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年12月25日 知的財産高等裁判所
進歩性無しとした無効審決が、動機付けがないとの理由で取り消されました。
「ア 引用例は,前記(1)のとおり,熱プレス成形によるフィルム同士の熱接着の
問題を課題として開示するものといえるが,これを解決するための手段としてのマ
ット加工技術を開示し,又は示唆するものではない。
イ 周知例2及び3には,マット加工が施された樹脂膜又はプラスチックシート
が,熱と圧力をかけて容器等に成形されるとの記載も示唆もないところ,上記(2)
イのとおり,本件特許出願当時の当業者において,マット加工面に熱と圧力を同時
に加えると上記のようにマット加工の技術的意味が没却されると考えられていたこ
とに照らすと,熱プレス成形によるフィルム同士の熱接着の問題を解決するため,
引用発明に,周知例2又は3に記載されたマット加工技術を適用することについて
は,その動機付けがないばかりか,その適用を阻害する要因が存在したものという
べきである。・・・エ 他方,周知例1は,本件発明や引用発明と同種の技術分野におけるマット加
工技術を開示するものであるほか,同周知例には,「本発明の加熱調理用食品容器
は,上記した食品容器材料を公知の成形法,例えば加熱圧縮法により所望形状に成
形してなるものである」,「この食品容器材料を用いて加熱圧縮法により成形し,
・・・カップ状の加熱調理用食品容器・・・を得た」との各記載があるところであ
る。
しかしながら,周知例1に記載された食品容器材料は,紙である基材の上に,ポ
リプロピレンよりも融点が高い・・・ポリメチルペンテン等の耐熱性樹脂層を有するものであって,ポリプロ
ピレン樹脂製フィルムのみから成る本件発明及び引用発明のラミネートフィルムと
はその材質を異にするものであるほか,同周知例には,加熱圧縮法において用いら
れる加熱温度についての具体的な記載はみられないところ,紙である基材は,復元
性の高い樹脂製フィルムとは異なり,折り込みのような機械的な作用のみでも成形
が可能であることからすると,その加熱温度が,上記ポリブチレンテレフタレート等の耐熱性樹脂の成形温度(軟化温度)よりも相当低いことも想定され,また,食\n品容器材料から容器を形成する際の方法についても,複数枚の材料を積層して加熱
圧縮するとの方法が示されているものではないから,結局,周知例1が,複数枚の
樹脂製ラミネートフィルムを重ねて金型に配置し,熱プレス成形によりフィルム製
容器を製造する場合に生ずる熱プレス成形によるフィルム同士の熱接着の問題の解
決方法を開示し,又は示唆するものということはできず,したがって,当該問題を
解決するため,引用発明に,周知例1に記載されたマット加工技術を適用すること
についても,その動機付けがないといわざるを得ない。」
◆平成19(行ケ)10148 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年12月25日 知的財産高等裁判所
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2007.12.20
◆平成18(行ケ)10537 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年12月18日 知的財産高等裁判所
審決は、「該当する構成部品の前記駆動手段からの解除」という構\成要件について、単に、「装置を停止させることのみ」を意味しているとして、引用例から進歩性無しと主張しましたが、裁判所は、クレームの記載だけでは不明瞭なので、明細書を参酌して、「構成部品が駆動手段からの接続を解かれて容易に動くことができる状態にすること」であると認定して、拒絶審決を取り消しました。
「審決の上記認定判断によれば,審決は,その認定した相違点にいう「該当する構成部品の前記駆動手段からの解除を制御する第1の駆動解除信号を発生する」こと及び「駆動解除」を「装置の作動を停止させること」と限定的に理解し,その点(「装置の作動を停止させること」)についてのみ,「格別の技術的意義を見いだすことはできず,設計的事項にすぎない」と判断したものと解されるところ,上記(1)において説示したとおり,請求項1中の「該当する構成部品の前記駆動手段からの解除」との要件は,「構\成部品が駆動手段からの接続を解かれて容易に動くことができる状態にすること」を意味するものであるから,審決には,相違点1について,判断を遺脱した違法があるものといわざるを得ない。
イ(ア) 被告は,「仮に,請求項1中の『該当する構成部品の前記駆動手段からの解除』との要件が,『停止後に容易に動き得る』ことまでを含むものであるとしても,安全の観点からは,装置の停止後,そのままの状態で放置しておくことは,通常あり得ず,復旧作業を行うことが一般的である。復旧,すなわち,元に戻すためには,停止後に逆方向に動き得るものが望ましいことは明らかであり,乙2公報にも記載されたとおり,ごく自然なことにすぎない」旨主張するので,以下,検討する。・・・しかしながら,乙2公報に開示された上記のサーボモータへの電力供給を遮断し,モータフリー状態にする構\成は,前記(1)において説示した本願発明の構成とは技術的に異なるものであるといわざるを得ないから,乙2公報に上記構\成が開示されているからといって,当業者が,相違点1に係る本願発明の構成に容易に想到することができたものと認めることはできない。(エ) また,仮に,被告が主張するように,「安全の観点からは,・・・停止後に逆方向に動き得るものが望ましいことは明らかであり,・・・ごく自然なことにすぎない」ということが一般的にいえるとしても,そのためにどのような技術的構成を具体的に採用するかが問題なのであるから,そのような一般論をもって,当業者が,相違点1に係る本願発明の構\成に容易に想到することができたものと認めることはできず,その他,そのような事実を認めるに足りる証拠はない。」
◆平成18(行ケ)10537 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年12月18日 知的財産高等裁判所
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2007.11.29
◆平成19(行ケ)10004 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年11月28日 知的財産高等裁判所
阻害要因有りとして、進歩性無しとした審決を取り消しました。
「そして,前記(2)ウの周知技術(「同じ質量で反対方向に運動する機構を背中合わせに付加することにより,振動を相殺して装置の振動をなくす技術」)を採用した場合,運動する部分の質量が2倍程度になることに照らすならば,上記周知技術は,引用例3,甲4のように「慣性系(静止系又は等速直線運動をしている系)」の装置では振動抑制の効果があるのに対して,引用例1発明のように加速運動をする「加速系」の装置では,質量の増加に起因して加速に伴う外力が大きくなり,振動抑制の設計がより困難となると考えるのが自然である。このように「加速系」の装置である引用例1発明に,上記周知技術を適用することには,これを妨げる事情があり,また,引用例2,引用例3,甲4,甲7,8等を勘案しても,「加速系」の装置における上記振動の問題を解決する手段を示唆する記載はない。ウそうすると,当業者が,引用例1,2に接したとしても,引用例1発明に,上記周知技術を採用しようとするものとは考え難いから,引用例1発明に,引用例2に基づいて,上記周知技術を適用して,相違点(ロ)に係る本願発明の構成(「第2本体,及び前記第1本体の実質的に反対方向に,前記第1スライドに対して前記第2本体を配置するための第2アクチュエータ」の構\成)を容易に想到し得たものとは認められない。」
◆平成19(行ケ)10004 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年11月28日 知的財産高等裁判所
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2007.11.15
◆平成18(行ケ)10502 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年11月13日 知的財産高等裁判所
本件発明における「測点」の技術的意義を誤っているとして、進歩性無しとの拒絶審決を取り消しました。
「そこで検討するに,上記(1)のとおり,引用発明の「基準点」は,既にその3次元座標値(地上座標値)が測定されている「点」であるところ,本願発明の「測点」は,顧客が測量対象を的確に把握するために必要と考える測量対象内の点であり,演算処理により「3次元座標値を示す数値情報」が算出されるべき「点」であるから,その内容に照らし,測点が基準点を兼ねる場合を除き,3次元座標値がいまだ算出されていないものであることは明らかである。そうすると,3次元座標値が既に知られているか否かという観点からは,引用発明の「基準点」は既知の「点」であり,本願発明の「測点」は未知の「点」であるといえ,したがって,両者は,技術的意義を異にするものというほかない。してみると,審決は,本願発明の「(複数の)測点」の技術的意義の把握を誤り,これが引用発明の「基準点」,すなわち,「共線条件を設定するために測量対象に設けられた撮影対象点」と即断したものといわざるを得ない。その結果,原告が主張するとおり,引用発明の「基準点」と本願発明の「測点」とを混同し,これを一致点と誤認したものといわざるを得ない。」
◆平成18(行ケ)10502 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年11月13日 知的財産高等裁判所
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2007.11. 9
◆平成18(行ケ)10564 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年11月07日 知的財産高等裁判所
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2007.10. 5
◆平成18(行ケ)10174 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月26日 知的財産高等裁判所
新たなステップを追加することは、限定的減縮に該当しないとの考え方についてはこれを維持しましたが、相違点を看過しているとして、拒絶審決が取り消されました。
「・・?Dのステップの後に,新たに「前記安定した基板を上記物体に付属させるステップ」を追加するものである。ところで,上記追加に係る「前記安定した基板を上記物体に付属させるステップ」は,?@ないし?Dのステップとは無関係であり,請求項11の全体を減縮するものではあるが,?@ないし?Dのいずれかのステップを減縮するものではない。そうすると,本件補正は,平成18年法律第55号による改正前の特許法17条の2第4項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る。)」にいう「第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定する」場合には当たらないと解するのが相当である。したがって,本件補正を却下すべきものとした審決の判断に誤りはない。」
「結局,審決は,刊行物1記載の発明を基本としつつ,被告が自ら認めるとおり,刊行物1,3記載の発明が「光硬化性流動物質」又は「液体,粉末等の材料」を使用するものであるとすることによって,「光硬化性流動物質」と「液体,粉末等の材料」とを一つのまとまりとして取り扱い,「材料」の上位概念をもって一致点とした際に,その「材料」の中に,「光硬化性流動物質」のみならず「材料粉末」をも含めてしまったため,本願発明について,進歩性の有無を判断すべき相違点を看過する結果となったものといわざるを得ない。」
◆平成18(行ケ)10174 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月26日 知的財産高等裁判所
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2007.09.14
◆平成19(行ケ)10007 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月12日 知的財産高等裁判所
進歩性無しとした審決を、阻害要因有りとして取り消しました。
「まず,審決の相違点1についてした判断の内容は,次のとおりである。引用発明の「金属製」のものも,本件訂正発明1の「カーボングラファイト製」のものも,燃料電池のセパレータとして,周知慣用のものであること,いずれの材料も,電解質膜との間のガスの遺漏を防止する必要があり,比較的肉厚の薄い薄膜のシールをシール材として組み入れようとするときに,薄膜上にシワ,薄膜同志で密着し剥がしづらくなる等の作業性の問題がある点で共通している。このような問題を解決できる引用発明の成形一体化方法におけるセパレータとして,「金属製」のものを「カーボングラファイト製」のものとすることは,当該燃料電池の分野の周知の事項に基づいて当業者であれば容易に想到することができたことと認められるとするものである。しかし,セパレータとしてカーボングラファイト製のものが周知慣用であり,作業性に関する課題が「金属製」のものと共通であるとしても,引用発明が射出成形手段を前提とするものである以上,引用発明におけるセパレータをカーボングラファイトに代えることには,次のとおり阻害要因があったというべきである。この点を詳細に述べる。」
◆平成19(行ケ)10007 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月12日 知的財産高等裁判所
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2007.09.14
◆平成18(行ケ)10421 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月12日 知的財産高等裁判所
進歩性無しとした審決が取り消されました。
「確かに,「また,他の実施例として,上記ウエハ保持部(28),(33)はどちらか一方だけを動かすことも可能である。」(上記(ア)f)との記載によれば,「左右のアーム部材とそれらの回転軸とを共通の第1のアーム部材を設け」た第4図及び第5図に記載の搬送装置において,左右のウエハ保持部は「どちらか一方だけを動かすことも可能である」ことを一応示唆するものといえる。しかし,甲3には,単に上記の記載がされているだけであって,「左右のアーム部材とそれらの回転軸とを共通の第1のアーム部材を設け」た搬送装置において,「どちらか一方だけを動かす」ための構\成及び手段について何ら具体的な記載や示唆はない。また,甲3の他の記載事項部分を参酌しても,上記搬送装置において「どちらか一方だけを動かす」ことを実現することが自明であるともいえない。」
また、本件について、一部の請求項については、無効理由無しとした審決は確定しているとして、特許庁の取り扱いについて補足意見が述べられました。
「第1次審決中「特許第2580489号の請求項5に係る発明についての審判請求は,成り立たない。」との審決部分については,被告(審判請求人)において取消訴訟を提起することなく出訴期間が経過したのであるから,同審決部分は形式的に確定した。しかるに,特許庁は,本件特許の請求項5に係る無効審判請求が形式的に確定していないとの前提に立った上で,当該請求項についても審判手続で審理し,「特許第2580489号の請求項5に係る発明についての審判請求は,成り立たない。」旨の判断をした。上記審判手続のあり方は,著しく妥当を欠くというべきである。けだし,本件特許の請求項5については,無効審判請求に係る無効理由が存在しないものとする審決部分が確定したことにより,原告は,形式的確定の利益を享受できる地位を得ているのであるから,それにもかかわらず,他の請求項に係る特許を無効とした審決部分について取消訴訟を提起して,当該請求項について有利な結果を得ようとしたことにより,かえって無効審判請求を不成立とする請求項5についてまで,不安定な地位にさらされることになることは著しく不合理だからである。」
◆平成18(行ケ)10421 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月12日 知的財産高等裁判所
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2007.08.30
◆平成18(行ケ)10368 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年08月28日 知的財産高等裁判所
無効理由無しとした審決が、動機付けの障害がないとして、取り消されました。
「被告の多岐にわたる主張の要点は,審決と同様,本件特許出願前,当業者がテトラアルキルアンモニウムイオンのNF膜の透過可能性を予\測することは困難であったという点にあり,このような予測可能\性がなければNF膜を採用しようと動機付けられることもないとするものである。そこで検討するに,確かに,本件特許出願前にNF膜がテトラアルキルアンモニウムイオンを透過することを指摘した技術文献がないことは被告の主張するとおりである。しかし,このことから直ちにNF膜を採用しようと動機付けられないといえないことは,前項に説示したところに照らして明らかである。NF膜が有する電荷の影響が分離対象物質の挙動に複雑な影響を及ぼすものであり,テトラアルキルアンモニウムイオンのNF膜の透過可能性について予\測することが困難であったとしても,このような事情は,NF膜のテトラアルキルアンモニウムイオンの透過可能性を否定したものではないのであるから,NF膜の持つ低分子量の化合物の分離に極めて有効であるという従来の膜にない一般的特徴を根拠に,優れた透過性能\を期待してこれを分離膜として採用してみようとする動機付けの障害となるものではないというべきである。」
◆平成18(行ケ)10368 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年08月28日 知的財産高等裁判所
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2007.08.30
◆平成18(行ケ)10493 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年08月28日 知的財産高等裁判所
引用例に記載の技術は2つの条件が一体不可分であると主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。
「これに関し原告は,引用例2に記載されたマルチングには土壌を袋状に包むという意味は存在しないから,引用発明の袋の材料として,引用例2に記載の熱可塑性樹脂製不織布を採用することは困難であると主張する。しかし,引用例2の記載上,引用例2に記載の熱可塑性樹脂製不織布を採用することと,植物の栽培方法としてマルチング栽培を採用することが,不可分一体のものとしてひとまとまりの技術的思想を構成していると解すべき事情は見当たらない。このことは,土壌の連続・不連続性や根の伸張やイオン交換体の配合の有無について原告がるる主張する事項を考慮したとしても,左右されるものではない。かえって,上記3(2)エに述べたとおり,袋栽培に関する引用発明とマルチ栽培に関する引用例2記載発明とは,植物の育成に用いる「土」自体の温度上昇を抑制するという基本的な課題において共通し,しかも,両者の差異は,植物の育成という共通の基盤を前提とした上での栽培方法の違いにすぎないことからすれば,マルチングという概念に畑の土壌を袋状に包むという意味が存在しないからといって,引用発明の袋の材料として,引用例2に記載の熱可塑性樹脂製不織布を採用することが,当業者にとって困難になるとは考え難い。したがって,この点に関する原告の主張は採用することができない。」
◆平成18(行ケ)10493 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年08月28日 知的財産高等裁判所
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2007.07.27
◆平成18(行ケ)10488 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所
知財高裁は、進歩性について、「一般的な動機付けがあっても、適用することを妨げる事情がある場合には、容易とはいえない」と判断し、審決を取り消しました。
「しかし,PWM調光技術,すなわちパルス幅変調(Pulse Width Modulation)を用いて光の強度を調節する方法自体が周知技術であることは,当事者間に争いがなく,本願発明においても長時間の点灯等によりLEDランプのパルス電流が変化して,発光光量が変動するのを抑えることが目的とされており(本願明細書段落【0008】〜【0011】),一般的な動機付けがないわけではない。もっとも,当業者が引用発明にPWM調光技術を適用することが容易であるか否かについては,後記の技術的困難性を検討する必要があり,動機付けのみで判断することはできない。・・・原告が主張するように「電源の破壊」に至らないとしても,審決が引用発明にPWM調光技術を適用することを妨げる事情について十分な検討をしないまま,当業者が引用発明にPWM調光技術を適用することに困難はないと判断したことは誤りである。以上のとおり,発光強度を調節するという一般的要請があり,かつ,その手段としてPWM調光技術が周知であったとしても,引用例の第2又は第3実施形態のLEDランプ装置にPWM調光技術を適用することを妨げる事情があるから,引用例の記載に接した当業者が引用発明にPWM調光技術を適用しようとする動機付けも弱く,相違点に係る構\成に容易に想到することができたとはいえない。」
◆平成18(行ケ)10488 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所
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2007.07.27
◆平成18(行ケ)10062 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所
進歩性無しとした審決を取り消しました。
「審決は,刊行物5のほかに,「等」として周知技術をも考慮すると記載しているところ,これは,審決記載の特開平4−31557号公報(乙第4号証),特開平4−31558号公報(乙第8号証),特開平4−31560号公報(乙第9号証),実願平2−55492号(実開平4−14642号)のマイクロフィルム(乙第10号証)を意味する(以下,乙第4及び第8ないし第10号証をまとめて「乙4等」という。)。乙4等には,審決の認定するとおり,「何れにも,ダイニングキッチンの天袋部に設けた天袋回転収納装置に対して寝室側から収納物を出し入れでき,寝室の床下部に設けた床下回転収納装置に対してダイニングキッチン側から収納物を出し入れできる住宅」が記載されている。しかし,乙4等は,同一の発明者,同一の出願人による同日の出願であり,乙4等に記載された技術が当業者に広く知られていたことの証拠とはいえない。また,乙4等には,建物ユニットを組み合わせて建物を構成する旨の記載がなく,本件訂正発明と技術分野の共通性に乏しい。また,審決が刊行物1ないし3から認定した「周知のスキップフロア型建物」は,いずれも建物ユニットを組み合わせて建物を構\成するものであるから,乙4等記載の技術を「周知のスキップフロア型建物」に適用するためには,この見地から適用の可能性を検討する必要があるところ,審決において,この見地からの検討はみられない。仮に,建物ユニットの点を除いたとしても,乙4等では,床面の高さが異なる居室を隣接させ(これだけで,スキップフロア型建物ということができる。),床面が低い方の居室の天井裏に相当する部分及び床面が高い方の居室の床下に相当する部分をいずれも収納スペースとして隣の居室から利用可能\にしたものと解することができるが,隣接する部屋の構造(上下に隣り合う居室スペースと収納スペースの配置)が同一になることはない(構\造が同一であれば,スキップフロア型建物ではないことになる。)。」
◆平成18(行ケ)10062 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所
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2007.07.27
◆平成18(行ケ)10339 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所
引用発明において,「スクリーン巻取り最終段階からさらに巻取速度を減速させるようにする」ことが必要となるものとは認められず,そうであれば,当業者が,あえて,そのような構成を採用して引用発明に適用することが,設計事項であるとも,容易であるともいえないとして、拒絶審決を取消ました。
「もっとも,スプリングの蓄勢力に対し,制動力が小さすぎる粘性ダンパを選択したような場合を仮定すれば,引用発明の粘性ダンパであっても,「スクリーン巻取り初期段階から同様の減速を行っても最終段階で充分な巻取筒の減速特性が得られないような特性のブレーキ」に当たるといえないこともない。しかしながら,粘性ダンパの制動力の大きさをスプリングの蓄勢力に見合ったものとすることこそ,まさに設計事項であり,引用例1には,そのための手段も記載されている(上記(1)のア(カ))のであるから,本願補正発明に対する公知技術として引用発明を選択しながら,上記のような仮定を設定すること自体,失当といわざるを得ない(もっとも,スクリーンの巻終わりの衝突を防止しつつ,巻上げ時間の短縮を図ることを課題として,あえて,引用発明の粘性ダンパの制動力をスプリングの蓄勢力に対して小さいものとし,巻取り最終段階で巻取速度を減速することも考えられないではないが,そのような技術課題は引用例1に記載も示唆もなく,また,周知であると認めるに足りる証拠もないから,引用発明を前提として採用し得るものではない。)。
◆平成18(行ケ)10339 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所
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2007.07.27
◆平成18(行ケ)10173 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所
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2007.06. 7
◆平成18(行ケ)10315 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年05月30日 知的財産高等裁判所
CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました
「引用例1ないし3に接した当業者であれば,引用例2記載の前記(1)アの技術的事項(利用者側装置で,自己消去機能を持つプログラムに設定されている日限になったところで,前記プログラムが起動され,提供された自己消去機能\付ソフトウェアが前記プログラムを含めて消去すること)及び引用例3記載の前記イの技術的事項(書籍のデジタルコンテンツをメモリに記憶する表\示装置において,該書籍のデジタルコンテンツを処理可能なソ\フトウェアに,書籍のデジタルコンテンツがメモリに記憶されてから予め定められた期間が経過すると,書籍のデジタルコンテンツを自動的に消去する機能\を有する構成)を適用することによって,引用例1において,あらかじめ所定時間が設定され,提供後該所定時間が経過すると,提供された該プログラム自身とデジタルコンテンツとを自動的に消去する機能\を持つ,デジタルコンテンツを処理可能とするプログラムを用いることは,当業者が容易に推考し得たことであると解される。その際,あらかじめ設定された所定時間の計時の開始の時期は提供者により適宜決定される設計的事項であるものと認められるから,プログラムの計時動作の開始時期をデジタルコンテンツを組み込んだときとし,消去動作の契機をプログラムの起動又は動作ステップとした上で,消去動作に伴って消去確認用のデータを提供者側装置に送るようにすることは,当業者が容易に想到し得たことであると解される。」
◆平成18(行ケ)10315 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年05月30日 知的財産高等裁判所
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2007.05.29
◆平成19(行ケ)10003 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年05月24日 知的財産高等裁判所
CS関連発明(BM発明)について進歩性なしとした審決が維持されました。
「原告らは,売上額累計額が所定の条件を満足したときに特典の内容を付与することについては,何ら引用例が示されていないと主張するが,売上額累計額が所定の条件を満足したときに特典の内容を付与すること自体を内容とする引用例が示されていないとしても,上記(4)のとおり,引用例1発明と引用例2に記載されている事項から,「処理装置が売上金額を累計し,売上金額の累計額が購入条件テーブルに格納されている予め設定したボーナスポイントを発行する条件を満足したときには,購入者に対してボーナスポイントを発行する点数管理システム」を容易に想到することができるのであるから,相違点3に係る本願発明の構\成については,容易に想到することができるというべきであって,売上額累計額が所定の条件を満足したときに特典の内容を付与すること自体を内容とする引用例が示されていないことは,この判断を左右するものではない。また,原告らは,本願発明は,売上額の累計額に基づいて特典を付与するから,その時々の店舗の経済的な力量に見合った特典を付与することができるという発明の効果を奏するとも主張するが,本願明細書(甲3を甲4〜7で補正したもの)には,そのような効果についての記載はないから,原告らが主張する上記効果が本願発明の効果とは認められない。また,仮に,原告らが主張する上記効果が本願発明の効果と認められるとしても,上記のとおり当業者が容易に想到することができる構成から予\想し得る範囲内のものというべきである。」
◆平成19(行ケ)10003 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年05月24日 知的財産高等裁判所
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2007.05. 4
◆平成18(行ケ)10355 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
タクシーの表示装置(CS関連?)について、進歩性有りとした審決が取り消されました。
「甲1の上記記載によれば,・・・したがって,甲1の39頁の「表示部」には,料金にとどまらず,運賃料金を計算する条件を文字で表\示することが予定されているというべきである。本件明細書においては,「空車,賃走,割増,迎車,支払等」をタリフとして例示しているが,甲1の表\示部にも「割増の事由や割増率」などを表示することが記載されているのであるから,甲1の39頁にいう「表\示部」には,タリフ表示も含むということができる。・・・・このように,甲1は,少なくとも人数,荷物,迎車等のタリフ表\示を,ディスプレイタッチで表示することが示唆され,そのためには,これらのタリフ表\示をドットマトリックス方式で行うことが前提となる。以上のとおり,甲1には,タリフ表示も含む表\示部にドットマトリックス方式を採用することが記載されているということができる。したがって,「タリフ表示部までにもドットマトリックス方式を採用することが記載されているとは読み取ることができない」とした審決の認定は誤りである。」
◆平成18(行ケ)10355 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
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2007.05. 4
◆平成18(行ケ)10281 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
CS関連発明について、進歩性なしとした審決を取り消しました。理由は、”審査及び審判手続で挙示されなかった文献を周知技術として摘示し,かつ,これを引用例として用いることは、手続違反である”というものです。
「以上検討したように,審決が認定した「業務の中で,一方の部署から,他方の部署へ書類を送付し,他方の部署で審査処理を行う場合に,その処理に要する時間を短くするために,一方の部署でできあがった書類を順に他方の部署に送付し,他方の部署では,それらの書類を順次受け取って処理を順次開始し進行させていき,最後に順次進行させた処理の総合的な結果に基づいて承認するか否かの結果を示すこと」は,たとえ周知技術であると認められるとしても,特許法29条1,2項にいう刊行物等に記載された事項から容易想到性を肯認する推論過程において参酌される技術ではなく,容易想到性を肯認する判断の引用例として用いているのであるから,刊行物等に記載された事項として拒絶理由において挙示されるべきであったものである。しかも,本件補正発明1が引用例1に記載された発明と対比した場合に有する相違点2の構成は,本願発明の出願時から一貫して最も重要な構\成の一つとされてきたのであり,出願人である原告が,審査及び審判で慎重な審理判断を求めたものであるのに,審決は,この構成についての容易想到性を肯認するについて,審査及び審判手続で挙示されたことのない特定の技術事項を周知技術として摘示し,かつ,これを引用例として用いたものであるから,審判手続には,審決の結論に明らかに影響のある違法があるものと断じざるを得ない。したがって,拒絶通知をした理由と異なる理由に基づいてされた措置が原告の防御の機会を与えなかったなどとして違法であるとする取消事由2は,上記の趣旨を主張するものとして理由があるものというべきである。」
◆平成18(行ケ)10281 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
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2007.05. 2
◆平成18(行ケ)10484 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
進歩性なしとした審決が取り消されました。
「以上検討したところによれば,本件発明1は,ガイドピンが床面に磁力にて突出引退自在に設けられた構成を有するものであって,ガイドピンの大径部が係止ガイド片に当接することにより機械的に保持され,走行溝から下降しないようにした点に主たる技術的意義があるものであるのに対し,刊行物2(甲2)においては,規制ピンは敷居に植設固定されており,突出引退自在に設けられたものではないから,「走行中や停止中において,吊戸本体3の揺れや振動などにてガイドピン4が磁着体Xから外れ,ガイドピン4がその自重で容易に床面下に下降する」(訂正明細書〔甲8の2〕段落【0003】)という本件発明1の従来技術にいう課題を解決する手段として突出引退自在に設けられたガイドピンを係止ガイド片によって機械的に保持する技術を開示するものではない。しかも,刊行物2(甲2)の遊転ローラは,フランジと当接する構\造(フランジがローラーを機械的に保持する構造)であってはならず,引用発明2は,フランジと遊転ローラーとの間の高さ方向において,一定の間隔を設けることを前提とする技術であるから,本件発明1のガイドピンの大径部が係止ガイド片に当接することにより機械的に保持する構\造とは,その技術的意義が異なるものである。したがって,引用発明1における,ガイドピンが突出引退自在である構成を前提としたまま,刊行物2の「フランジ18を有したコの字型案内溝19にビス22の遊転ローラー21を案内させる構\成」を適用することはできないというべきである。」
◆平成18(行ケ)10484 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
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2007.05. 2
◆平成18(行ケ)10444 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
進歩性なしとした審決が取り消されました。
「カ 被告は,本願補正発明の2次元回折格子について,具体的な構造,つまり格子をどのような形状とするか,あるいは,寸法をどの程度に設定するのかといった点は,本願補正発明の特許請求の範囲には具体的に示されておらず,本願補正発明と引用発明の2次元回折格子は,格子の具体的構\造そのものに差異はないと主張する。確かに,本願補正発明の特許請求の範囲には,2次元回折格子の具体的構造そのものについては規定されていない。しかし,本願補正発明の「2次元回折格子」は,光を2次元的に結合させて2次元的にコヒーレントなレーザ光の発振を可能\とするレーザ共振器として機能するものであり,これにより発振するレーザ光の波長が規定されるものであることは,上記イ,ウに検討したとおりである。したがって,本願補正発明の2次元回折格子と引用発明の2次元回折格子に技術的に差異がないとすることはできず,被告の上記主張は採用することができない。」
◆平成18(行ケ)10444 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
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2007.05. 2
◆平成18(行ケ)10435 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
進歩性なしとした審決が取り消されました。
「(5) 以上を総合すると,上記(1)イの「従来,上記の粘着クリーナー用テープには,テープ状または長尺シート状の片面粘着テープに長さ方向の一定間隔ごとにミシン目状の切り目を施し,これを粘着面を外側に向けて芯管上に巻回したものを用いている。」との記載について,「最後に使用する場合でも,切れ目間の粘着面で全周にわたりゴミを付着できるよう,粘着テープの巻き始め部分において,切れ目間の一定の間隔を周長を360°となるよう,切れ目間の一定間隔を選定するもの」(態様(2)「内径基準」)が包含されているものと解することはできない。
(6) 被告は,甲3にかかる出願が審査され公告決定を受けて発行された公報(平1−11167号。乙1)の4欄9行〜14行の「(なお,従来,ミシン目の間隔を一定としたものが公知(間隔はほぼ上記の2πD)であるが,この構成では,上記?@式のΔLを負にしなければならず,これは巻回体外周にミシン目が表出することを意味する。)」との記載に基づいて,上記(1)イの「従来,上記の粘着クリーナー用テープには,テープ状または長尺シート状の片面粘着テープに長さ方向の一定間隔ごとにミシン目状の切り目を施し,これを粘着面を外側に向けて芯管上に巻回したものを用いている。」との記載には,審決の「態様(2)(内径基準)」が包含されているものと主張するが,乙1は,甲3とは別の文献であるから,甲3にはない乙1の記載を根拠として審決取消訴訟において上記のような主張をすることはできないし,乙1においても,審決のいう「態様(2)(内径基準)」によった場合,切れ目が実質上重なることにより,「ロール状粘着クリーナー用テープの切り目個所を硬い床面等に強く衝突させた場合,その切れ目個所が割れ易く,問題がある。」ということはできないことは,甲3と変わりがないから,乙1の記載を考慮したとしても,上記(5)の結論が左右されることはない。」
◆平成18(行ケ)10435 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月26日 知的財産高等裁判所
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2007.04.23
◆平成18(行ケ)10499 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月25日 知的財産高等裁判所
請求理由なしとした無効審決を取り消しました。
「そうすると,審決は,結果として,引用例2の中から,引用発明1に無用の事柄を抽出し,これを引用発明2Aに結合させることによって,引用発明1と相容れない公知技術を創出したものといわざるを得ない。本件相違点についての判断において,引用発明1に引用発明2Aを適用する動機付けが問題となるのであれば,その時点で,引用例2の記載の全体を観察して,動機付けの有無,阻害事由の有無などを検討すべきである。審決のような引用発明2の認定の手法は,正確性を欠き,容易想到性の判断を誤らせる要因となるものであって,誤りというべきである。このように,引用発明2の認定の誤りは,それ自体で取消事由となるのではなく,これが相違点についての認定判断に結び付いて,審決の結論に影響を及ぼすときに初めて取消事由となるものと解すべきである。」
◆平成18(行ケ)10499 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月25日 知的財産高等裁判所
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2007.04.23
◆平成17(行ケ)10680 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月25日 知的財産高等裁判所
侵害系事件でなく、査定系事件において、詳細な説明を参酌して本件発明の要旨認定を行いました。ただ、審決も同じ判断をしていると述べていますので、リパーゼ最高裁判決との関係は明確ではありません。
「以上のとおり,請求項1には,「該CPUボードが,該投入紙幣識別機構と該販売品管理機構\との間に介在され同一のマイクロプロセッサー制御器にて一元化され」ること及び「前記マイクロプロセッサー制御器が,前記入力信号系からのデータを基に前記紙幣を適正と判断したときに,前記販売品管理機構が前記販売品を払い出してなること」が記載され,また,本願明細書の発明の詳細な説明には,投入紙幣識別機構\と販売品管理機構との双方のマイクロプロセッサー制御器を搭載したCPUボードを一元化し,同一のマイクロプロセッサー制御器で,投入紙幣識別機構\と販売品管理機構を制御することが開示されている。そうすると,本願発明では,同一のマイクロプロセッサー制御器にて,CPUボードを一元化しているのであるから,投入紙幣識別機構\と販売品管理機構とを制御するマイクロプロセッサー制御器は,CPUボード上に1個だけ搭載されていると認定するのが相当である。」
◆平成17(行ケ)10680 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年04月25日 知的財産高等裁判所
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2007.04.10
◆平成18(行ケ)10382 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月27日 知的財産高等裁判所
CS関連発明についての進歩性が争われました。裁判所は進歩性なしとした審決の判断には相当でない部分があるが結論に影響を及ぼすものではないとして、原審決を維持しました。
「審決は,本願発明と同様に「削除指示入力手段が受け付けた削除指示に基づく操作が文書の論理構造に矛盾を生じさせずに行えると判断した場合に,前記範囲決定手段が決定した範囲を削除(する)」(本願発明の構成g1,g2)ものである引用例発明に対して,通常の文書編集処理における慣用技術である「範囲指定した範囲を削除する際に,削除した部分以外の部分を移動させること」を適用すれば,論理構\造を持つ文書の削除に伴う移動として,本願発明のように「該範囲の最後尾を含むセグメントの弟のセグメントを該削除範囲の先頭を含むセグメントの親の子として移動すること」は,当業者にとっては容易想到であると認定したものと解される。すなわち,上記慣用技術である削除に伴う移動の対象となる文書が,引用例発明におけるSGMLのような論理構造を有する文書である場合に,移動に先立つ削除操作を,その文書の論理構\造に矛盾を生じさせることなく行ったのであれば,これに引き続く移動においても論理構造の整合が図れるように行うことは,当業者であれば当然の創意工夫にとどまるというべきである。そして,上記(2)ウのとおり,「該範囲の最後尾を含むセグメントの弟のセグメントを該削除範囲の先頭を含むセグメントの親の子として移動する」ことが,本願明細書記載の実施例に限定されるものではなく,例えば〔ケース1〕において,削除操作に伴って「1.3節」を「1.2節」とするセグメントの移動を行うことに,特段の困難性があるということはできない。」
◆平成18(行ケ)10382 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月27日 知的財産高等裁判所
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2007.04. 2
◆平成18(行ケ)10422 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月29日 知的財産高等裁判所
進歩性なしとした審決が取り消されました。
「引用例(甲1)には,・・・と記載されているから,革製本底1の上面全体に防水布2を積層配置すれば防水性が高まるが,その場合には,通気性が損なわれ,靴内部の蒸れによる不快感の問題が生じることが記載されているということができる。しかし,この問題を解決するために防水布の通気性を保つために貫通孔を備えた不透過性の材料でできた上部部材により被覆するという技術的思想については,記載も示唆もない。被告は,引用発明において防水部材2が積層配置された部分は,防水部材2によって防水性が確保されているのであるから,防水性をより向上させるためには,防水部材2が積層配置されていない革製本底1の上面が露出する部分に対して合成樹脂を積層すればよく,革製本底1の上面が露出する部分は,革製本底1の周縁となるから,周縁に沿って革製本底1の上面が露出する部分を合成樹脂で被うことは,当業者が容易に想到し得たことであり,周縁に沿って革製本底1の上面が露出する部分を合成樹脂で被えば,必然的に合成樹脂は貫通孔を備えたものになると主張する。確かに,引用発明において,防水性を向上させるため革製本底1の上面が露出する部分に対して合成樹脂を積層すれば,革製本底1の上面が露出する部分は周縁であるから,「貫通孔を備えた不透過性の材料でできた上部部材」を採用すること,すなわち,本願発明の相違点の構成を採用することにより,引用発明の防水性をより向上させることができるが,引用発明は,防水性を「通気性を有する防水部材」を積層することにより達成しているものであり,かつ,「本実施例のように踏付け部のみに防水布2(判決注:本願発明の「通気性でかつ耐水性の材料からなる膜」に相当)を積層配置しただけで充分に効果的である」(甲1の明細書5頁第2段落)とあるように,それで足りるとしているものである。引用例には,更に防水性を高めるために「不透過性の材料でできた上部部材」で覆うというようなことについては記載も示唆もなく,また,審決が周知技術として引用する甲2刊行物ないし甲4刊行物にも記載がないのであるから,防水布の通気性を保つために貫通孔を備えた不透過性の材料でできた上部部材により被覆するという本願発明の相違点に係る構\成を採用することが,当業者に容易想到とすることはできない。被告の上記主張は,裏付けのない主張であり,本願発明の相違点に係る構成を後から論理付けしたものというほかなく,採用することができない。」
◆平成18(行ケ)10422 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月29日 知的財産高等裁判所
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2007.03.28
◆平成18(行ケ)10161 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月26日 知的財産高等裁判所
CS関連発明における進歩性判断事例です。争点はいくつかありますが、パチンコ機におけるの引例として、テレビ会議システム等に採用されている技術を組み合わせる動機付けがあるのか等が争われました。
「以上によれば,複数の画像表示領域を有する引用刊行物1発明において,大当たりの組合せとなるか否かを表\示する画像表示技術という性質上,大当たりの組合せとなるか否かを最終的に表\示するものである,中デジタルBの画像が注目されるものであり,同発明は,その注目される中デジタルBの画像を見やすくするという課題を有していたということができるし,また,画像を拡大表示することを開示している。一方,前記(2)のとおり,本件出願の出願日当時,注目される部分の表示内容を見やすくするという課題を解決するため,複数個の表\示領域を備える表示装置において,注目すべき表\示領域を他の表示領域にまで拡大することは,周知・慣用の技術であったと認められる。そうすると,引用刊行物1発明は,上記周知・慣用技術と同様の課題を有していたものと認められ,引用刊行物1発明が画像を拡大表\示することを開示し,その点において,画像を拡大表示する上記周知・慣用技術と共通することからすれば,引用刊行物1発明に対して,画像表\示技術分野における同様の課題を映像領域の拡大等の手段により解決する上記周知・慣用技術を適用することに動機付けがあったというべきである。このことに,引用刊行物1発明が属する遊技機の分野では,複数の画像表示領域からなる画像表\示技術において,複数の表示領域を使用して,図柄を見やすくすることは既に知られていたことも併せ考慮すると,当業者は,引用刊行物1発明に対して上記周知・慣用技術を適用することに容易に想到することができたものと認められる。」
こちらは関連事件です。
平成18(行ケ)10162 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月26日 知的財産高等裁判所
平成18(行ケ)10163 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月26日 知的財産高等裁判所
平成18(行ケ)10196 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月26日 知的財産高等裁判所
平成18(行ケ)10197 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月26日 知的財産高等裁判所
◆平成18(行ケ)10161 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月26日 知的財産高等裁判所
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2007.03.12
◆平成18(行ケ)10277 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月08日 知的財産高等裁判所
進歩性判断において、当接という用語の解釈が争われました。
「請求項2の「当接」との用語は,被告も指摘するとおり,一般的に用いられる言葉ではなく,広辞苑や大辞林にも登載されていないが,この言葉を構成する「当」と「接」の意味に照らすと,「当たり接すること」を意味すると解することができる。そうすると,請求項2の「前記カバー体(3)の内面と前記保持部(5)の上面とは当接する」とは,「カバー体(3)の内面と保持部(5)とが当たり接すること」を意味し,「前記カバー体(3)におけるヒンジ結合側端縁部は前記保持板(2)のヒンジ結合側端縁部と当接可能\になっており」とは,「カバー体(3)のヒンジ結合側端縁部と保持板(2)のヒンジ結合側端縁部とが,当たり接することが可能な状態となっていること」を意味するものと一応理解できる。・・・(5) 審決は,「当接」の解釈に当たり,本件訂正明細書の段落【0028】【0033】の記載を参酌しているところ,これらの段落には,以下の記載がある。・・・上記記載によれば,なるほど,カバー体3と保持板2とが「当接」した後,その「当接状態」を乗り越えて,カバー体3と保持板2との相対回動を許容する構成が記載されていると認められる。しかしながら,上記各段落の記載を参照するとしても,「当接」という用語自体はいずれも「当たり接すること」を意味するものとして用いられているというべきであり,しかも,上記各段落の記載は,本件発明2の実施例についての説明であり,請求項2自体には,カバー体3と保持板2とが180°開いた状態で「当接」した後,その「当接状態」を乗り越えて,カバー体3と保持板2との相対回動を許容するとの構\成についての記載はないことは前記判示のとおりである。そうすると,請求項2の「当接」という用語の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとして,本件訂正明細書及び図面を参酌するとしても,同請求項の「当接」は「当たり接すること」を意味するにとどまるというべきであって,審決のように「当接」の意義を限定的に理解することは相当ではない。」
◆平成18(行ケ)10277 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月08日 知的財産高等裁判所
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2007.03.12
◆平成18(行ケ)10245 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月08日 知的財産高等裁判所
発明は、特定のラベルを印刷するプリンタに関するものですが、CS関連発明の進歩性判断の参考になるかもしれません。
「甲第1号証の・・・との記載によれば,甲1発明において,「特売期間」の設定に係るフラグYF2が,印字機構部の選択に関与しないこと,すなわち,「特売価格」は,通常の計量ラベルに印字されることが認められる。しかしながら,審決が,この「特売価格」ではなく,「広告文データ」を,本件発明の「値引価格」と対比させ,両者が「通常データ(計量データ)とは異なるデータである点で共通している。」と認定したことが誤りであるということはできない。すなわち,発明の進歩性の判断に際し,当該発明の発明特定事項と,引用発明の発明を特定するための事項とを対比するに当たっては,当該発明の発明特定事項の機能\,作用,性質等に着目し,引用発明のそれと共通する機能,作用,性質等を備える発明特定事項と対比することにより,両発明の一致点,相違点を認定することは,通常行われている手法である。そして,本件発明の要旨に照らし,本件発明は,印字データ中に「値引価格」が含まれているときには,通常ラベルを発行する通常ラベル印字部ではなく,臨時ラベル印字部に,値引価格と通常データとが合わせて印字された臨時ラベルを発行させるものであることが認められる。他方,甲1発明においては,上記のとおり,「特売価格」は,通常の計量ラベルに印字されるものであるのに対し,甲第1号証の・・・との記載によれば,通常の計量ラベルデータと「広告品」等の広告文データとから成るラベルを,プロモーションラベルとして,通常の計量ラベル印字機構\部(第1の印字機構部3)とは異なる印字機構\部(第2の印字機構部4)によって印字することが開示されているものと認められる・・。そうすると,本件発明の「値引価格」が,通常ラベルには印字されず,臨時ラベル印字部によって臨時ラベルにのみ印字されること,すなわち,「値引価格」に係る印字データが通常のデータと異なるデータとしての機能\,性質を有することに着目し,甲1発明において,通常の計量ラベルに印字される「特売価格」ではなく,通常の計量ラベル印字機構部とは異なる印字機構\部によって,通常の計量ラベルとは異なるラベルに印字される「広告文」を,それに係るデータ(広告文データ)が通常のデータと異なるデータとしての機能,性質を有するものとして,本件発明の「値引価格」と対比することは合理的であり,したがって,審決の上記認定に誤りはない。」
◆平成18(行ケ)10245 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年03月08日 知的財産高等裁判所
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2007.03. 1
◆平成17(行ケ)10779 特許取消決定取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年02月28日 知的財産高等裁判所
CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
「上記の事項からは,刊行物1記載発明において,OSがアプリケーションの印刷処理に共通な機能を提供する印刷制御プログラムを有し,印刷制御プログラムはプリンタドライバを介してプリンタに印刷コマンドを転送すること,プリンタドライバがプリンタを制御することが認められる。また,プリンタドライバがプリンタとのインターフェイスを動作させる部分をOSから独立させた別のプログラムであることは,コンピュータの分野では技術常識であり,ワイヤドットプリンタとの接続方式とレーザプリンタとの接続方式とは,異なるのが一般的であるから,刊行物1記載発明の各プリンタドライバが本件発明のホストコンピュータデータインターフェイス制御部に対応するものであることは,明らかである。したがって,刊行物1記載発明におけるOSの印刷制御プログラムの一態様として,プリンタドライバの機能\以外の,印刷処理に共通な機能のみを有する場合,すなわち,ホストコンピュータと印刷装置の接続方式について共通な機能\のみを有する場合も含まれる。以上によれば,刊行物1記載発明におけるOSの印刷制御プログラムは,本件発明のホストコンピュータデータ処理部に対応するものと解するのが相当である。刊行物1記載発明において,OS205は,ワイヤドットプリンタドライバ208とレーザプリンタドライバ209を介して,低速で安価なワイヤドットプリンタ103と高速なレーザプリンタ104の2種類のプリンタを制御しているから,印刷装置が異なる場合でもOS205をそのまま使うことができ,刊行物1記載発明のOS205(本件発明1の「ホストコンピュータデータ処理部」に相当)を,ホストコンピュータと印刷装置の接続方式が異なる場合でも共通にすることは,当業者が容易になし得るとした決定の判断は,是認し得るものである。」
◆平成17(行ケ)10779 特許取消決定取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年02月28日 知的財産高等裁判所
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2007.02.28
◆平成18(行ケ)10203 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年02月27日 知的財産高等裁判所
CS関連発明について、進歩性なしとした審決が取り消されました。
「甲第3号証には,・・・との各記載があり,これらの記載によれば,引用発明2は,ネットワークサービスに関する利用者の認証システムであり,認証用コードである「一時的なパスワード」は,例えば「VWXYZ」のような文字メッセージであって,利用者(被認証者)により,利用者のパーソナルコンピュータに入力されるものであることが認められ,また,認証用コードを使用する場所は,利用者の自宅等,被認証者の支配領域内であり,被認証者と認証要求者(ネットワーク資源の提供者)とは対面しておらず,認証用コードは,利用者のパーソ\ナルコンピュータのキーボードという,通常,パーソナルコンピュータに付属し,かつ,汎用性の高い入力機器によって入力されることが示唆されているということができる。そうすると,上記甲第2号証の場合において,認証用コードとしてバーコードを利用することを合理的とした事情,とりわけ,店舗内という他の来店客等の目を考えなければならない状況,認証要求者側の者と被認証者が,認証要求者の支配領域内で対面し,認証コードの入力を認証要求者側が,認証要求者の装置で行い得るという不正に対処する上での利点,バーコード読取り装置の汎用性のないという欠点を,多数の来店客について使用することによって補い得ること等は,引用発明2においては存在し得ない条件となるから,これらの点について何ら考慮することなく,甲第2号証に,携帯電話を認証に用いる際,認証用コードとしてバーコードを表\示するものが示されているとの理由により,引用発明2に,認証用コードとしてバーコードを適用することが,当業者に容易になし得ることとするのは誤りである。」
◆平成18(行ケ)10203 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年02月27日 知的財産高等裁判所
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2007.02.19
◆平成18(行ケ)10255 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年02月15日 知的財産高等裁判所
CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
「上記(1)のとおり,求人情報を閲覧した求職者が所望の求人情報を選択して応募するシステムは,引用例1の従来の人材募集サイトとして,本件出願前既に実現されていたと認められるから,引用例1に記載された発明の案件情報の検索システムと求人情報を閲覧した求職者が所望の求人情報を選択して応募するシステムを単に寄せ集めてホームページを作成する程度のことは,当業者が容易に想到し得たものである。そして,上記イのとおり,本願補正発明は,それぞれ独立した案件情報の検索システムと求人情報の検索システムを単に寄せ集めてホームページを作成することにより複数情報の検索を実現するという態様をも含むのであるから,クライアントに案件情報と求人情報とを同時に提供することは,当業者が適宜なし得るものであるといわなければならない。」
◆平成18(行ケ)10255 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年02月15日 知的財産高等裁判所
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2007.02. 6
◆平成18(行ケ)10138 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年01月30日 知的財産高等裁判所
引用例の認定が誤っているとして、進歩性なしとした審決が取り消されました。
「以上のとおり,引用例1(甲1)には,「位相差板とミラーを有しない反射型直線偏光素子を備えた液晶表示素子の発明」が記載されていると認めることはできないのであるから,引用例1の液晶表\示素子から,必須の構成である反射型直線偏光素子とミラーとの間に配置された位相差板を除外し,反射型偏光子のみを単独で取り出し,「液晶表\示素子であって,光源,表示モジュール,及び,一方の偏光を透過し,他の一方の偏光を反射する反射型直線偏光素子を含む,液晶表\示素子。」の発明(審決のいう引用発明)が開示されているとした審決の認定は,誤りであるというほかない。審決は,本願発明と引用発明との相違点1の判断において,「引用例2には,光源と隣接する端を有し,前記光源からの光が,導光器の端に入り,前記導光器の出口表面を通って前記導光器を出る導光器が示唆されていると言える。そして,引用発明及び引用例2に記載された発明は,いずれも表\示装置という同一技術分野に属している。したがって,引用発明に引用例2に記載された発明の導光器を適用して相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得た事項である」(審決5頁第1段落〜第2段落)とのみ判断し,引用例1の液晶表\示素子の「位相差板,光源,ミラー」に替えて引用例2(甲2)記載の「導光器」とすること,すなわち,引用例1の液晶表示素子を「位相差板,ミラー」を有しないものとすることについての想到容易性を何ら検討をすることなく,本願発明の進歩性について判断したことは明らかであり,審決の判断はこの点の検討を看過した誤りがあるというほかない。」
◆平成18(行ケ)10138 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年01月30日 知的財産高等裁判所
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2007.02. 2
◆平成18(行ケ)10205 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年01月31日 知的財産高等裁判所
補正により使用用途を限定しましたが、かかる用途の限定は当業者にとって容易に想到できたとして、進歩性なしとした審決を維持しました。
本願補正発明と引用発明は,本願補正発明は,「冷凍バッグ」であり,バッグに供給されるものが「血液またはその血液成分,及び凍結防止剤との混合物」であり,それをバッグから移行させる時期が「冷凍保存された後」であり,その移行先が「他の容器」であり,受血者とヒト白血球抗原適正が適合か否かのテスト用との用途限定がされているのに対して,引用発明は,冷凍バッグであるかどうか明らかでない点などにおいて,形式的には相違点がある。しかし,これらの相違点は,いずれも,構造上の差異を来すような実質的な相違点ではなく,また,引用発明において,設計上,ごく自然に選択できる事項における相違にすぎないから,結局のところ,本願補正発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に想到することができたものであるといえる(個々の点は,(2)において判断する。)。
◆平成18(行ケ)10205 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年01月31日 知的財産高等裁判所
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2007.01.22
◆平成17(行ケ)10325 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年01月18日 知的財産高等裁判所
知財高裁は、進歩性について無効理由なしとした審決を取り消しました。
「構成要件(A)の「一体とした」との要件の意義について,本件明細書には「レーザー光を投射するレーザー発振器5と光波によって距離を測定する光波測角測距儀6とを,レーザー光の光軸と光波の光軸とが平行になるように一体とした」(4欄30〜33行)と記載されているにすぎず,「一体」の意義や程度についての具体的な説明はなされていない。一般に「一体」とは「一つになって分けられない関係にあること」(広辞苑第5版)を意味するのであるから,一般的な用語の意味に照らすと,構成要件(A)の「一体」とは,レーザー発振器と光波測角測距儀が水平及び鉛直方向の駆動軸を共有することを意味するものとは解し得ず,光波測角測距儀にレーザー発振器が取り付けられるなどしてひとまとまりの装置を構成していれば足りると解すべきである。前記判示のとおり,甲2記載の光波距離計付きレーザートランシットは,レーザートランシットに光波距離計が搭載され,ひとまとまりの装置として構\成されたものであるということができるので,構成要件(A)の「一体とした」との要件を充足するというべきである。したがって,甲2の光波距離計付きレーザートランシットの「レーザー発振器と光波距離計とは一体となってはいないとみるのが相当である」との審決の判断は是認し得ない。(3) 仮に,審決の前提とするとおり,構成要件(A)の「一体とした」との要件が,レーザー発振器と光波測角測距儀が水平及び鉛直方向の駆動軸を共有することを意味すると解したとしても,甲2記載の光波距離計付きレーザートランシットと本件発明の相違点は,レーザー発振器と光波測角測距儀が鉛直方向の駆動軸を同一にするかどうかという点にすぎない。レーザー発振器と光波測角測距儀の水平及び鉛直方向の駆動軸を同一にすることは,本件発明において技術的な課題として言及されている事項でもなく,そのような構成とすることに格段の困難があることをうかがわせる証拠もないことに照らすと,単なる設計事項というべきである。」
◆平成17(行ケ)10325 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年01月18日 知的財産高等裁判所
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2007.01. 4
◆平成18(行ケ)10262 審決取消請求事件 裁判年月日 平成18年12月27日 裁判所名 知的財産高等裁判所
拒絶理由通知の段階では指摘されていなかった引用例を審決で追加し、これを主引例として拒絶査定を維持した審決が取り消されました。
「上記認定事実によれば,原告は,平成6年3月21日になした本願の明細書の発明の詳細な説明の冒頭において,刊行物1について言及し,同刊行物に記載された内容が公知である旨述べているが,その後平成13年6月12日付けでなされた特許庁審査官からの拒絶理由通知書(甲7)には刊行物1についての言及は一切なく,これに対して原告が提出した平成13年11月26日付けの意見書(乙1)にも刊行物1について触れる記載はなく,平成14年1月7日付けでなされた拒絶査定(甲8)も,前記拒絶理由通知を引用したものであったこと,そして,平成18年1月30日になされた本件審決において刊行物1が主引用例とされ,前記拒絶理由通知書(甲7)及び原告の意見書(乙1)で取り上げられた刊行物2は周知技術を示す一例とされたことが,それぞれ認められる。・・・前記認定のとおり,平成18年1月30日付けでなされた本件審決は,刊行物1を主引用例とし,刊行物2を補助引用例として,本願発明について進歩性の判断をして,進歩性を否定したものであるが,主引用例に当たる刊行物1(西ドイツ特許・・・・)は,拒絶査定の理由とはされていなかったものである上,これまでの審査・審判において,原告に示されたことがなかったものであることが認められる。そうすると,審判官は,特許法159条2項が準用する同法50条により,審決において上記判断をするに当たっては,出願人たる原告に対し,前記内容の拒絶理由を通知し,相当の期間を指定して,意見書を提出する機会を与えなければならなかったものということができる。したがって,原告に意見を述べる機会を与えることなくされた審決の上記判断は,特許法159条2項で準用する同法50条に違反するものであり,その程度は審決の結論に影響を及ぼす重大なものというべきである。」
◆平成18(行ケ)10262 審決取消請求事件 裁判年月日 平成18年12月27日 裁判所名 知的財産高等裁判所
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2007.01. 4
◆平成18(行ケ)10253 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成18年12月25日 知的財産高等裁判所
ビジネスモデル特許(CS関連)に関する進歩性が争われました。裁判所は、進歩性なしとした審決を維持しました。
「結婚式場の決定プロセスが,多様な制約条件の中で試行錯誤を繰り返すことを本質とするものであり,予めユーザにおいて具体的なニーズが決まっているホテル予\約情報等と異なる性質を有することを前提としたとしても,上記(2)イで説示したように,情報サービス端末用プラットフォームや双方向情報提供装置といった仕組みにおいて,ホテル等旅行情報と結婚式場等ブライダル情報とが,提供する情報の内容の例として並記され,ホテル等旅行情報の案内と結婚式場等ブライダル情報の案内とが,提供すべき情報の内容を構成するものとして,本願の出願前によく知られていたというのである。これに照らせば,ユーザによるホテル等と結婚式場等の決定プロセスに原告主張のような相違があったとしても,当業者が刊行物2や乙1,2の記載内容を引用発明に適用することを技術的に妨げる要因になるとまでは解することができない。以上によれば,原告の上記主張は採用することができない。」
◆平成18(行ケ)10253 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成18年12月25日 知的財産高等裁判所
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