特許請求の範囲が不明瞭か否かが争われました。裁判所は、不明瞭とした審決を取り消しました。
「確かに,「符号化パターン」について,訂正明細書には,バーコードなどであることのほかに格別の記載はない。しかし,上記1の訂正明細書の記載によれば,被告が主張する「所定情報,所定の情報,付加情報,付加する情報又は固有の情報と表現され,画像形成装置ごとの固有の情報であるとして,画像形成装置の設置場所,管理者,シリアルナンバー,日付又は地域コードが例示されている」ものは,「2次元ビットマップ情報」ではなく,「画像形成に用いた画像形成装置を特定するために,少なくとも画像形成装置ごとに割り当てられた情報を含んだ」ものであって,バーコードなどの「符号化パターン」は,その一つに相当するものである。そして,上記2のとおり,本件発明の「2次元ビットマップ情報」は,「符号化パターン」に対応した画素データであり,「符号化パターンの一部」は,「2次元ビットマップ情報」の黒画素であるから,訂正明細書には,「符号化パターンの一部」がどのような部分であるのかについての説明があるということができる。」
◆H17.12.20 知財高裁 平成17(行ケ)10451 特許権 行政訴訟事件
2005.02. 5
実施例に記載した効果を奏する構成を請求項に記載していないことが無効理由となるかについて争われました。裁判所は、「無効理由に当たらない」とした審決を維持しました。
「仮に,考案の詳細な説明中に記載された効果(イ)を奏するために必要不可欠な上記各構成が,訂正明細書の実用新案登録請求の範囲に記載されていないとしても,そのこと自体は,旧実用新案法5条4項2号の規定に違反するものではなく,単に,当該効果が本件訂正考案の効果ではないことを意味するにすぎない。」
◆H17. 1.31 東京高裁 平成16(行ケ)175 実用新案権 行政訴訟事件
薬品に関する発明について、特許庁では無効理由無しと判断されましたが、裁判所はこれを取り消しました。
「本件発明の技術内容(技術手段)によってその目的とする技術効果を挙げることができるものであることを推認することはできないのであるから,本件発明とされるものは,発明として未完成であり,特許法29条1項柱書きにいう「発明」に当たらず,特許を受けることができないものというべきである。」と判断しました。
◆H17. 1.18 東京高裁 平成15(行ケ)166 特許権 行政訴訟事件