拒絶査定不服審決に対する取消訴訟です。審決では、クレームの用語「ウェブ・サービス」、「トランザクション・ベース」が不明瞭として、明確性違反、および実施可能要件違反と判断されました。知財高裁はこれを取り消しました。\n
上記アの各刊行物(甲5、6、11、13、16、17)の各記載によ
れば、「ウェブ・サービス」という用語は、「インターネット上に分散し
た複数のウェブアプリケーションシステムをシステム同士で連携させる技
術であり、XML、UDDI、WSDL及びSOAPの規格に適合したも
の」という意味で用いられ、本願の国際出願日の当時、技術常識となって
いたと認められる。
また、この「ウェブ・サービス」との関係において、「トランザクシ
ョン」という用語は、「複数の処理をひとまとまりにしたものであって、
同時にアクセスされる基礎データの一貫性を確保することができるもの」
という意味で用いられると認められ、そうすると、「トランザクショ
ン・ベースのウェブ・サービス」とは、この「トランザクション」を基
礎とした「ウェブ・サービス」という意味の用語であって、これも、本
願の国際出願日(平成25年12月20日)の当時、技術常識となって
いたと認められる。
したがって、出願当時における技術常識を踏まえると、本願各発明の
「ウェブ・サービス」及び「トランザクション・ベースのウェブ・サー
ビス」は、それぞれ、上記の意味で用いられているといえるから、本願
明細書において、これらの用語の具体的な説明がされていなかったとし
ても、特許請求の範囲の記載が第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不
明確であるとはいえない。
◆判決本文