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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

当業者自明

令和2(ワ)33027  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 令和4年2月25日  東京地方裁判所

 特許侵害事件において、出願経過時の補正が新規事項であるとして、権利行使不能(104条の3)と判断されました。

上記(2)によれば、本件特許の出願当初の請求項においては、本件発明の構成\nとして「有料自動機の動作を検知するセンサー」が含まれており、当該「セン サーの検知信号に基づいて前記有料自動機の動作状態」についての監視結果を 管理サーバへ送信することが規定されていた。ところが、本件補正により、「有 料自動機の動作を検知するセンサー」が本件特許の構成から除外されるととも\nに、「ICカードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置」によって生成 された「接続されている前記ランドリー装置が運転中であるか否かを示す情報」 を管理サーバに送信するという構成に変更されたことが認められる。このよう\nに、本件補正に補正された事項は、管理サーバに送信すべき情報が、有料自動 機の動作を検知するセンサーの検知信号に基づくものに限られることはなく、 当該センサーの検知信号以外の情報に基づくものであっても、これに含まれる というものと解するのが相当である。
これに対し、上記(2)の当初明細書等の記載内容によれば、有料自動機の動作 を検知するセンサーの検知信号以外の情報に基づき、有料自動機が運転中であ るか否かを判定したり、当該結果を推測したりする方法については、何ら開示 されていないことが認められる。そして、当初明細書等の記載に接した当業者 において、出願時の技術常識に照らし、上記補正された事項が当初明細書等か ら自明である事項であるものと認めることはできない。 そうすると、本件補正は、当初明細書等に記載した事項との関係において新 たな技術的事項を導入するものであると認めるのが相当であり、「願書に最初 に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内」におい てするものということはできない。 したがって、本件補正は、特許法17条の2第3項に違反するものと認めら れる。
これに対し、原告らは、本件特許の審査段階において、本件補正が新たな技 術的事項を導入するものと判断されておらず、本件異議申立ての審理において\nも訂正請求が認められているほか、当初明細書(【0038】)には、ICカ ードリーダー/ライタ部と通信部とを有する装置が接続されている前記ラン ドリー装置が運転中であるか否かを示す情報を生成し、出力するという技術内 容が記載されている旨主張する。 しかしながら、本件補正により補正された事項が当初明細書等に記載されて おらず、これが自明である事項ということもできないことは、上記において説 示したとおりである。そうすると、原告らの主張は、上記審査及び審理の経過 を踏まえても、上記判断を左右するものとはいえない。また、原告らが指摘す る上記当初明細書の内容は、上記(2)において認定したところによれば、電流セ ンサーの検知信号に基づき有料自動機の動作状態を監視する構成のみを記載\nするものであり、センサーの検知信号によらずに動作状態を判定する構成を記\n載するものではないから、原告らの主張は、上記認定と異なる前提に立って主 張するものにすぎない。

◆判決本文

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 >> 新規事項
 >> 当業者自明
 >> 新たな技術的事項の導入
 >> 104条の3
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