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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

要旨変更

最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、裁判所がおもしろそうな(?)意見を述べている判例を集めてみました。
内容的には詳細に検討していませんので、詳細に検討してみると、検討に値しない案件の可能性があります。
日付はアップロードした日です。

平成24(ネ)10049 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年01月27日 知的財産高等裁判所 

 出願中の補正が要旨変更であるとして出願日が繰り下がり、これにより、新規性無しとして無効理由ありとした1審の判断が維持されました。
 上記(3)アのとおり,本件発明と乙54発明とは,X枠の長さを変えずに,かつ,左右側枠に対するX枠上端部の上下位置を変えずに車椅子の巾を調節可能にするための構\成として,下側杆(軸受パイプ41)に軸を挿通しこれを支持するための軸穴を下側杆取付部(軸受ブロック42)に相対して設けるとともに,下側杆の支持部を複数設けるとの点で一致している。また,上記(3)イによれば,乙54発明の軸受パイプ41の支持構造は,本件発明に相当する構\成でいえば,下側杆に挿通され左右側枠に沿う方向に配設されている枢軸が,左右側枠に沿う方向を向く下側杆取付部の軸穴に支持され,下側杆取付部が左右側枠に複数個上下に配列して設けられたねじ穴に支持されるとの一連の技術的機構を備えていたものと理解できる。上記の点にかんがみると,結局,相違点2)´に係る本件発明の構成とは,本件発明の技術課題と直接的な関連を有するものではなく,軸,軸受ブロック,ねじなどを用いた軸受支持構\造に代えて,部材の数を低減させ,軸と両端取付部を用いた軸受支持構造を採用したものであるといえる。しかるに,上記アの認定によれば,乙63文献及び乙5文献には,両端部に縦貫する穴を有する部材を穴を有する対向二片部間に配置するとともに,対向二片部の穴に軸を通してナット等で着脱可能\に接続することで,対向二片部の穴がその間に挿入された穴を有する部材を回動可能に支持する構\造が開示されている。このことからも明らかなように,穴のある軸受部材に着脱可能な軸を接続して軸受部材間に配置された別部材を回動可能\に支持する構造は,本件特許の出願当時,広く一般的に用いられている周知技術であると認められる。そうすると,乙54発明における軸受支持構\造に代えて,部材数を低減させて同等の構成を実現した上記周知技術の軸受支持構\造を採用し,相違点2)´に係る本件発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得るものといえる。ウ 控訴人の主張に対して控訴人は,本件発明は車椅子の巾調節に当たって工具が不要である効果を有する旨を主張するが,本件発明は,その特許請求の範囲の記載において枢軸の抜止め手段を限定しておらず,ナット等で枢軸の抜止めをする構成も排除されていない。なお,枢軸に抜止め手段を施さないことは,車椅子が通常有すべき安全性の観点からみて,技術上想定し難い(本件発明は枢軸の構\造も限定しておらず,単なる棒状のものとする構成も排除されていない。)。そのほか控訴人がるる主張するところも,本件明細書に記載のない効果をいうものか,乙54発明に前記周知技術を適用して得られた結果から当業者が予\測可能な範囲内のものである。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ワ)6273

◆関連事件はこちらです。平成25(行ケ)10155

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平成25(ネ)10055 損害賠償請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成26年01月29日 知的財産高等裁判所

 特許権侵害事件です。1審では、審査中に行った補正が特許後に要旨変更と認定され、出願日が繰り下がり、特許無効と判断されました。知財高裁もこれを維持しました。
 控訴人は,発明の要旨認定において,明細書の発明の詳細な説明や図面に記載された発明の技術内容を理解した上で,当該技術分野の技術常識に照らし,出願当時の当業者が特許請求の範囲の記載をどのように理解するかを考慮することが当然の前提となるところ,当業者は,「交換システム」が「送信」の主体として記載されている場合,「交換システムの出口」のような頭脳を有しない,出線の一点が送信の具体的な主体であるとは考えないから,「交換システムが送信する」「交換システムから送信される」「交換システムで受信」との文言について,「交換システムの出口(外部との境界点)から送信する」「交換システムの入口(外部との境界点)で受信」することを意味すると,当業者が第一義的に理解することはあり得ないし,「受信」についても,当業者が「受信」の厳密な意味を理解しようとする場合,受信が望まれる「所定のウィンドウ時間」がいかなるものかについての検討が不可避となるから,「交換システムで受信」という文言に接した当業者が,「交換システムの入口」が受信場所になるなどと第一義的に理解することはあり得ないなどと主張する。しかしながら,引用にかかる原判決第4の1アないしオのとおり,本件発明の特許請求の範囲の記載の「交換システム」という文言は,これらの機能を担う手段が一定の形状や構\造を有する実体を伴う意義を有すること,本件発明における「送信」及び「受信」という文言も,「外へ(送信)」及び「外から(受信)」という意義を当然に含んでいるということができることなどからすると,「交換システム」による「送信」及び「受信」とは,「交換システム」の内部手段と区別された外への出口及び外からの入口において行われることを示すことは明らかであって,本件特許の出願人が,「送信」及び「受信」の主体を,あえて「交換システム」であるとした以上,上記解釈が技術常識を無視したものということはできない。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
イ 控訴人は,当業者はトラヒックが「決定論的」に送られるボコーダ以降の場所のような,全く本件発明の課題が生じ得ないような場所での制御を構成要件F2が規定するものではないことを自然に理解すること,バッファは常に交換システムの内部に設置されるものであること,「個々の呼のトラヒック」についてされる送信時刻の制御は,「複数の呼のトラヒック」が既に多重化されている交換システムの出口では行うことができないし,エコー・キャンセラーの後の「出口」においても同様に制御を行うことはできないことから,当業者は構\成要件F2が規定する制御が「出口」における制御を含むと理解するとは考え難いなどと主張する。しかしながら,控訴人の上記主張は,本件発明の特許請求の範囲の記載が,送信時刻について,交換システムのいずれの部分における送信時刻であるかについて限定していないことを前提とするものであるが,本件発明では,「交換システム」が備える「第2の手段」において,入トラヒックを運ぶパケットが当該交換システムの出口から送信される時刻の前の所定のウィンドウ時間内に当該交換システムの入口で受信されるように入トラヒックを当該交換システムの出口が送信する時刻を制御するものであると認められること,本件発明の特許請求の範囲の記載において,バッファ,エコー・キャンセラー及びマルチプレクサが必須の構成であるとはされていないことからすると,控訴人の主張はその前提を欠き理由がないというべきである。\n

◆判決本文

◆関連事件はこちらです。平成20(ワ)38602

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平成20(ワ)38602  特許権 民事訴訟 平成25年04月19日 東京地方裁判所

 特許権侵害事件です。審査中に行った補正が特許後に要旨変更と認定され、出願日が繰り下がり、特許無効と判断されました。
 旧特許法41条の規定中,「願書に最初に添附した明細書又は図面に記載した事項の範囲内」とは,当業者によって,明細書又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり,補正が,このようにして導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるときは,当該補正は,「明細書又は図面に記載した事項の範囲内」においてするものということができるというべきところ,上記明細書又は図面の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項は,必ずしも明細書又は図面に直接表現されていなくとも,明細書又は図面の記載から自明である技術的事項であれば,特段の事情がない限り,「新たな技術的事項を導入しないものである」と認めるのが相当である。そして,そのような「自明である技術的事項」には,その技術的事項自体が,その発明の属する技術分野において周知の技術的事項であって,かつ,当業者であれば,その発明の目的からみて当然にその発明において用いることができるものと容易に判断することができ,その技術的事項が明細書に記載されているのと同視できるものである場合も含むと解するのが相当である。これを本件においてみるに,前記のとおり,本件発明は,「交換システム」が備える「第2の手段」において,「入トラヒックを運ぶパケットが当該交換システムの出口から送信される時刻の前の所定のウィンドウ時間内に当該交換システムの入口で受信されるように入トラヒックを当該交換システムの出口が送信する時刻を制御する」構\成(本件構成)を有するものである。そして,前記(1)のとおり,本件発明の要旨の認定に関しては,本件構成における「入トラヒックを運ぶパケットが当該交換システムから送信される時刻の前の所定のウィンドウ時間内に当該交換システムで受信されるように入トラヒックを当該交換システムが送信する時刻を制御する手段」にいう「交換システムから送信される」,「交換システムで受信される」,「交換システムが送信する」の各文言は,交換システムの出入口における送受信の制御のみならず,交換システムの内部における送受信の制御という動作をも含んでいると解されるものの,その文言解釈上,第一義的には,「入トラヒックを運ぶパケットが当該交換システムの出口から送信される時刻の前の所定のウィンドウ時間内に当該交換システムの入口で受信されるように入トラヒックを当該交換システムの出口が送信する時刻を制御する手段」と解釈される。これに対し,本件当初発明にはこのような記載はもともと存せず,本件構\成のうち上記解釈される部分は本件補正によって新たに追加された構成である。・・・したがって,プロセッサからボコーダに送信される時刻を制御する技術的事項を開示するにすぎない本件当初明細書等には,本件構\成のうち,交換システムの出口から送信する時刻を制御する技術的事項については何ら記載されておらず,また,本件当初明細書の記載から自明である技術的事項であるということできない。以上によると,本件補正は,本件当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるとは認められないから,本件補正は,旧特許法41条所定の「明細書又は図面に記載した事項の範囲内」においてするものということはできず,要旨変更に該当するものというほかない。
・・・・
 これを本件についてみるに,前記3のとおり,本件当初明細書等の発明の詳細な説明と,本件明細書等の発明の詳細な説明の記載は,その技術内容に係る記載において異なるものではなく,したがって,本件発明における構成要件F2(本件構\成)のうち,「入トラヒックを運ぶパケットが当該交換システムの出口から送信される時刻の前の所定のウィンドウ時間内に当該交換システムの入口で受信されるように入トラヒックを当該交換システムの出口が送信する時刻を制御する手段」と解釈される部分は,本件明細書等の発明の詳細な説明に記載のない事項であり,入トラヒックを交換システムの出口が送信する時刻を制御する技術的事項につき,出願当時の技術常識からみても,当業者がそれを正確に理解でき,かつ過度の試行錯誤を経ることなく発明を再現することができるだけの記載があるとはいえないから,本件発明は,平成6年法律第116号附則6条でなお従前の例によるとされる特許法36条4項の実施可能要件を満たしておらず,本件発明1及び2に係る特許はいずれも特許無効審判により無効にされるべきものと認められる。\n

◆判決本文

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平成20(ワ)8086 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年02月24日 東京地方裁判所

 特許権侵害に対して、要旨変更による出願繰り下げにより新規性無しとして、特104条の3の規定により、権利行使不能と判断されました。
 以上のとおり,本件当初明細書の特許請求の範囲の(1)や,〔課題を解決するための手段〕欄には,格子定数関係式2が記載され,これらには,活性層の平均格子定数をInPの格子定数と等しくするとの限定はない。(イ) しかしながら,格子定数関係式2に係る発明につき,本件当初明細書の〔作用〕欄には,「なお,a(CB)<a(InP)<a(CW)の場合には,量子井戸層とバリア層の厚さを調整して,活性層全体としての平均的な格子定数をInPの格子定数に等しくする。」と記載されている。また,格子定数関係式2に係る発明の実施例は,第2の実施例のみであると認められるところ,これには,「平均の格子定数がInPに格子整合する活性層(17)を有」すること,「活性層(17)の平均格子定数は,量子井戸層(20)とバリア層(21)の厚みと組成を調整することによってInPの格子定数と等しくすることができる」ことが記載されている。他方で,格子定数関係式2に係る発明について,活性層の平均格子定数をInPの格子定数と等しくすることを前提としない場合の構成及び作用に関する記載はなく,実施例の記載もない。また,活性層の平均格子定数をInPの格子定数と等しくすることを前提としない格子定数関係式2に係る発明を採用した場合に,歪を緩和するという作用効果が生ずることをうかがわせる記載はないのみならず,そもそも,転位の発生の防止という本件発明の課題との関係において,具体的にどのような効果が生ずるかについての記載もない。(ウ) また,証拠(乙6)によれば,本件特許出願前である1986年(昭和61年)に公刊されたと認められる乙6刊行物には,・・・・ことが記載されている。他方で,本件各証拠に照らしても,本件特許出願当時,歪超格子において,InP基板に格子整合させずに,単に格子定数関係式2に係る発明を採用することにより,歪を緩和して,転位の発生を防止することを記載した刊行物が存在したとは認められない。(エ) このような本件特許出願当時の技術水準に照らして,本件当初明細書の〔作用〕欄の記載及び第2の実施例の記載(特に,「平均の格子定数がInPに格子整合する活性層(17)を有」すること,「活性層(17)の平均格子定数は,量子井戸層(20)とバリア層(21)の厚みと組成を調整することによってInPの格子定数に等しくすることができる」との記載)に接した当業者は,これらの記載につき,乙6刊行物に記載された知見(歪超格子の平均的な格子定数,すなわち,全体的な平衡値を,適切な組成と厚さを選択することにより,InP基板に格子整合させ,歪エネルギーを最小化すること)を,量子井戸半導体レーザ素子に適用したものと理解するものと認められる。(オ) 以上のことからすれば,本件当初明細書の記載に接した当業者は,格子定数関係式2に係る発明が,活性層の平均格子定数をInPの格子定数と等しくすることを前提とした発明であると理解するものと認められる。したがって,活性層の平均格子定数をInPの格子定数と等しくすることを前提としない,格子定数関係式2に係る発明は,本件当初明細書には記載されていなかったものと認められる。・・・以上のことからすれば,第2回補正は,本件当初明細書には記載されていなかった,活性層の平均格子定数をInPの格子定数と等しくせずに,量子井戸層の格子定数をInPの格子定数より大きくし,バリア層の格子定数をInPの格子定数よりも小さいものとすることにより,歪による転位の発生を緩和するという技術的事項を新たに追加するものであるから,本件当初明細書の要旨を変更するものと認められる。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10131 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年12月25日 知的財産高等裁判所

 補正により追加された事項が当初明細書の範囲を超えるか否かが争われました。当時の特許法では、審査段階における補正が要件違反の場合は、出願日が繰り下がると規定されていました。知財高裁は、当初明細書の範囲内でないとした審決を取り消しました。
 明細書の要旨の変更については,平成5年法律第26号による改正前の特許法41条に「出願公告をすべき旨の決定の謄本の送達前に,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において特許請求の範囲を増加し減少し又は変更する補正は,明細書の要旨を変更しないものとみなす。」と規定されていた。上記規定中,「願書に最初に添附した明細書又は図面に記載した事項の範囲内」とは,当業者によって,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり,補正が,このようにして導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるときは,当該補正は,「明細書又は図面に記載した事項の範囲内」においてするものということができるというべきところ,上記明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項は,必ずしも明細書又は図面に直接表現されていなくとも,明細書又は図面の記載から自明である技術的事項であれば,特段の事情がない限り,「新たな技術的事項を導入しないものである」と認めるのが相当である。そして,そのような「自明である技術的事項」には,その技術的事項自体が,その発明の属する技術分野において周知の技術的事項であって,かつ,当業者であれば,その発明の目的からみて当然にその発明において用いることができるものと容易に判断することができ,その技術的事項が明細書に記載されているのと同視できるものである場合も含むと解するのが相当である。したがって,本件において,仮に,当初明細書等には,「押圧部材と装置本体との螺合されていない態様」あるいは「螺合以外の手段によって移動可能\」とすることが直接表現されていなかったとしても,それが,出願時に当業者にとって自明である技術的事項であったならば,より具体的には,その技術的事項自体が,その発明の属する技術分野において周知の技術的事項であって,かつ,当業者であれば,その発明の目的からみて当然にその発明において用いることができるものと容易に判断することができるものであったならば,本件発明3を追加した本件補正は,要旨変更には該当しないというべきである。そこで,以下,本件補正が上記要件に該当するか否かを検討する。\n・・・オ 以上のとおり,周知例1ないし4を考慮すれば,本件出願当時,「螺合以外 の手段によって移動可能」とすることが周知の技術的事項であったと認められる。
・・・
(3) 周知の技術的事項が,当業者であれば,その発明の目的からみて当然にその発明において用いることができるものと容易に判断することができるものか否かについて
ア 前記1の段落【0004】,【0005】,【0006】,【0007】及び【0032】の各記載によれば,当初明細書等から把握される本件発明の目的は,従来技術では位置決め部材が装置本体から外れてしまうことがあり,押圧部材が不用意に移動することがあったことを踏まえ,その課題を解決するために,所定の大きさ以下の力では押圧部材の移動を阻止する係止機構を設け,押圧部材が不用意に移動するのを阻止するものであることが認められる。これに対して,周知例1ないし4に示される,「押圧部材を螺合以外の手段によって移動可能\」とする周知の技術的事項を,本件発明3の「押圧部材」に用いた場合には,押圧部材の移動手段について「螺合」以外の手段を含むものであるものの,上記の本件発明の目的を変更するものではなく,まして,その目的に反するものとも解されない。したがって,上記周知の技術的事項を本件発明3において用いることに障害はないというべきである。イ そこで,次に,本件発明3の蛇腹管用接続装置に,周知例1ないし4で示されるところの,「螺合」以外の押圧部材の移動手段を用いることが特別な工夫を要することなく当然にできるかどうかを検討する(なお,当事者は,本件補正が要旨変更に該当するか否かを判断するために,専ら本件発明3の発明特定事項である「係止機構」を周知例1ないし4に適用し得るか否かを問題としているが,前記(1) に示した要旨変更に関する判断基準からすれば,誤りである。)。前記(2) エのとおり,周知例4では,本件発明の押圧部材に相当する進退筒(60)が,螺合以外の手段である「基端部方向への押し込み」によって軸方向に移動することが認められる。そして,本件発明3において,上記「基端部方向への押し込み」という手段によって押圧部材を移動することは,例えば,当初明細書等の図1において,装置本体2が押圧部材6と螺合している部分の螺合をなくすることで,特別な工夫を要することなく達成することができると認められる。(オ) このように,周知例1ないし4の螺合に代わる各手段によって,本件発明3の押圧部材を移動させることは,特別な工夫を要することなく当然にできるものであり,また,それら各手段は,本件発明の目的を変更するものでもないことが認められる。
 ウ 前記ア及びイのとおり,本件発明3について,「螺合以外の手段によって移動可能」とすることが,明細書又は図面の記載からみて出願時に当業者にとって「自明である技術的事項」に当たるといえるから,本件補正は,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,「新たな技術的事項を導入しないもの」であると認められる。したがって,本件補正は,「願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内」の補正と認めるのが相当である。\n

◆判決本文

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◆平成20(行ケ)10159 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月26日 知的財産高等裁判所

  要旨変更に基づく出願日繰り下げがあるのか(旧特40条)について争われました。裁判所は要旨変更ではないとした審決を維持しました。
  「上記記載によると,本件当初明細書には,本件特許出願に係る発明の実施例として,アナログ信号である音声による交通情報をデジタル信号に変換したものをアンテナから受信し,これをアナログ信号に変換して音声による交通情報としてスピーカから出力する構成が記載されていると認められる。(3) 上記(2)において,アナログ信号に変換される信号は,音声による交通情報信号がデジタル信号化されたものであるが,上記(1)及び(2)のとおり,本件当初明細書において「交通情報」とされるものには,画面上に表示される渋滞情報のようなものも含まれ,文字信号のような音声以外のデジタル信号による交通情報を変換して音声信号とする技術は本件特許出願前において周知であったと認められることも考慮すると,本件当初明細書に接した当業者は,本件当初明細書にいう「交通情報」には音声信号以外の信号によるものが含まれると理解するものというべきであり,上記の実施例の記載における「交通情報」が「音声による交通情報」であるからといって,本件当初明細書において開示された技術的事項を実施例の記載に限定して解すべきものではない。(4) なお,原告は,「音声信号以外の信号形態(例えば文字列信号)において受信した信号を音声化するためには,音声合成装置を備え,受信信号をその装置を介して音声化することが必須となることは当業者にとって技術常識であるところ,本件当初明細書においては,上記のとおり,ディジタル音声信号の復調,抽出及びD/A変換により音声報知する態様のみを記載しており,音声合成装置を配置することなどは全く記載も示唆もされていない」とも主張するが,上記のとおり,音声信号以外の交通情報信号についての記載があると考えられる以上,当業者は,これを可聴信号に変換するために必要となる技術常識を踏まえて開示内容を理解するのであるから,原告のこの主張は,上記認定に影響を与えるものではない。」

◆平成20(行ケ)10159 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月26日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(ワ)4056 損害賠償請求事件 特許権民事訴訟 平成21年03月05日 大阪地方裁判所

   審査においてした補正が要旨変更と判断され、特許法104条の3により権利行使が制限されました。
 「明細書の要旨」とは,旧特許法上その意義を定めた明文の規定がないものの,特許請求の範囲に記載された技術的事項を指すものと解すべきである。したがって,特許請求の範囲を増加し,減少し,変更することは,その本来的意味においては,いずれも明細書の要旨を変更するものということができる。しかし,「出願公告をすべき旨の決定の謄本の送達前に,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において特許請求の範囲を増加し減少し又は変更する補正は,明細書の要旨を変更しないものとみなす」と定めているから(旧。特許法41条),当該補正が明細書の要旨を変更することになるか否かは,結局のところ,当該補正後の特許請求の範囲に記載された技術的事項が「願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内」か否かによって決せられることになる。そして,「願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項」とは,当業者によって,出願時の明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項であり,このように導かれる技術的事項との関係において,当該補正が特許請求の範囲の記載に新たな技術的事項を導入するものであるときは,当該補正は,「願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということはできず,明細書の要旨を変更するものということになる。以下,このような見地から本件補正が当初明細書の特許請求の範囲に記載された技術的事項に新たな技術的事項を導入するものであるか否かを検討する。
 ・・・イ このように,当初明細書等に開示された発明は,もっぱら,複数の画像表示部で1つの画面を構\成し,かつ,折りたたみ可能とすることにより,不要時には小さく,必要時には大きくすることができ,装置の小型化と画面の大型化を同時に実現できる画像表\示装置であったといえる。そして,このときの各画像表示部の位置関係について,被告は,相互に当接していることを要する旨主張し,当初明細書等の実施例の説明においては「当接して」との文言が記載されている(上記(4)オ(ア))ところ,必ずしも各画像表示部が「当接」すなわち当たり接していなくても,1つの画像表\示がなされたと認識し得るような近接した位置関係にあれば,当初明細書等の上記発明の効果を奏しないとはいえない。したがって,当初明細書等に記載された発明は,「当接する」ことまでは要しないが,少なくとも複数の画像表示部が1つの画像を表\示していると認識し得る程度に近接していることを要するというべきであって,各画像表示部が離れた位置にあることによって1つの画面を構\成しないような画像表示装置は記載も示唆もされていないというべきである。そして,かかる構\成が当業者にとって自明であったともいえない。補正事項?@に係る補正後の特許請求の範囲の記載では「画像表示用の表\示部を複数有し」とされているのみで,「複数の画像表示部が一つの画像表\示がなされたと認識し得る程度に近接している」もの以外の構成を包含し得るものとなっているから,補正事項?@に係る補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係で,当初明細書等に開示された発明の構成に関する技術的事項に新たな技術的事項を導入するものというべきである。したがって,同補正は,当初明細書等の範囲内においてするものではなく,当初明細書等の要旨を変更するものというべきである。」

◆平成20(ワ)4056 損害賠償請求事件 特許権民事訴訟 平成21年03月05日 大阪地方裁判所

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◆平成17(ワ)21408 特許権侵害差止等請求事件 特許権民事訴訟 平成20年12月24日 東京地方裁判所

  一つの争点が、要旨変更に該当するか否かでした。裁判所は、「変換器の出力電流」を「変換器の出力量」とした補正は要旨変更に当たると判断しました。
 「以上からすると,当初明細書には,制御装置の制御対象を「変換器の出力電流」とするものだけが記載されていたものであり,「変換器の出力電圧」を制御対象とするものは記載も示唆もされておらず,当業者に自明でもなかったものと認めるべきであり,第2回補正は,制御装置の制御対象を,当初明細書に記載された「変換器の出力電流」から,「変換器の出力量」すなわち「変換器の出力電流」又は「変換器の出力電圧」に補正するものであり,演算の基礎を,「電流指令信号と出力電圧検出値」から,「電圧指令信号と出力電流検出値」も含むものに補正するものであり,明細書の要旨を変更するものであると認められる。」

◆平成17(ワ)21408 特許権侵害差止等請求事件 特許権民事訴訟 平成20年12月24日 東京地方裁判所

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◆平成19(行ケ)10431 補正却下決定取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年07月30日 知的財産高等裁判所

出願当初の明細書に記載されていた事項が、ある装置が当然の前提であるとして、その前提を削除する補正は要旨変更であるとした補正却下不服審決を維持しました。
 「以上によれば,本願の出願当初明細書における本願発明は,遊技球の通過を検出し,これに基づく特典の付与を可能とする始動ゲート装置を備えた遊技機に関するものであり,遊技機の遊技盤に形成された遊技領域に設けられる始動ゲート装置(これは,従来,遊技球の通過に基づき可変表\示ゲームの始動条件を付与可能な通過チャッカとして多用されていたものである。)について,従来技術においては単に球検出部を遊技盤面に突出させ,その球検出部の周りをシンプルなゲート部材で囲った程度の構\成であり,球が一瞬の間に球検出部を通り抜け,後は遊技盤面にごく普通に落下していくという単調さであったものを,球の通過を検知し,これに基づいて可変表示ゲームの始動等の特典を付与することを可能\としつつ,通過した球の挙動を変化させて遊技者の興趣を増大させるという意義を有するものである。そして,本願の出願当初明細書には,ここでの「特別可変表示装置」につき,可変表\示ゲーム,すなわち,始動口にパチンコ玉が入賞すると3箇所の特別図柄表示部における図柄が所定時間変動表\示された後に停止表示され,その際3箇所の図柄が揃うと特賞遊技状態(大当たり)となるゲームの表\示を可能とするため遊技領域に設けられた表\示装置である旨,また,「特別変動入賞装置」につき,このようにして特賞遊技状態となった場合に開閉扉が所定時間ずつ開放されるという特別遊技を可能とするための装置である旨の記載があると認められるものの,「特別可変表\示装置」が上記のように特別変動入賞装置の作動を決定する特別可変表示ゲームを実施する以外,他の目的があるとの記載はない。そうすると,本件出願当初の明細書に記載された特別可変表\示装置は,特別変動入賞装置の作動を決定する目的を有する装置であって,特別入賞装置とともに存在することに技術的意義を有する装置であると認められる。(4) これに対し,本件補正後の請求項1の記載は前記第3,1,(2)ウのとおりであるところ,これによると,「特別可変表示装置」については,「普通変動入賞装置への遊技球の入賞に基づき特別可変表\示ゲームを表示可能\な特別可変表示装置」と特定されているものの,「特別変動入賞装置」については規定するところがないから,本願補正発明は,特別可変表\示装置を有しつつ特別変動入賞装置を有しない遊技機,換言すれば,特別変動入賞装置の作動を決定する目的を持たず特別入賞装置とともに存在することを要しない特別可変表示装置をも,その請求の範囲に含むものである。そして,本願の出願当時におけるパチンコに代表\される遊技機の技術分野において,特別変動入賞装置と無関係な特別可変表示装置が遊技機に単体で存在することが自明であったとは認め難いから,このような遊技機(特別変動装置の作動との関係から切り離された「特別可変表\示装置」が単体で存在する遊技機)を出願当初の明細書から把握することは自明のことではないというべきである。そうすると,本件補正は,明細書の中に新たに遊技機に単体で存在する特別可変表示装置という技術的事項を導入するものであるから,明細書の要旨を変更するものといわなければならない。」
◆平成19(行ケ)10431 補正却下決定取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年07月30日 知的財産高等裁判所

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◆H17. 9.13 知財高裁 平成17(行ケ)10317 特許権 行政訴訟事件

  要旨変更であるのかが争われました。審決では、「突出量α1,α2の合計が対向間隙Yの数値に等しく(α1+α2=Y)なる旨の記載事項は,両突出量α1,α2の合計が対向間隙Yの数値に厳密に等しくなることを意味するものではなく,ほぼ等しいことを意味するものと解すべきものであり,…当初明細書等には,両突出量α1,α2の合計が対向間隙Yの数値より少ない(α1+α2<Y)ことが記載されている」と判断しましたが、裁判所は審決を取り消しました。

◆H17. 9.13 知財高裁 平成17(行ケ)10317 特許権 行政訴訟事件

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◆H17. 4. 8 東京地裁 平成15(ワ)3552 特許権 民事訴訟事件

  技術的範囲に属するかに加えて、要旨変更による出願日繰り下げが争点となりました。
  要旨変更については、以下のように判断しました。「本件特許の願書に最初に添附した明細書(当初明細書)には,次のとおりの記載がある・・・当初明細書の記載及び当初明細書の第4図からすると,突片7A3,7A4ないし連結片75が,保持容器外周面位置決め用片ないし保持容器頂面位置決め用片に相当する。したがって,「アース用外部端子」との文言こそ記載されていないものの,前記イの記載の意味するところは,本件発明の構成要件Eの「前記外周面位置決め用片ないし保持容器頂面位置決め用片を水晶振動子本体アース用外部端子とした」と同一であるということができる。 したがって,平成6年6月8日に提出された手続補正書による「前記外周面位置決め用片ないし保持容器頂面位置決め用片を水晶振動子本体アース用外部端子とした」とする補正は,当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内であると認められるから,明細書の要旨を変更しないものとみなされる(平成6年法律第116号による改正前の特許法41条)。\n 被告らは,更に具体的記載が必要であると主張するが,補正した特許請求の範囲が,当初明細書に記載した事項の範囲内である以上,同法41条は,それ以上に詳しい記載が当初明細書にあることまで必要としているとは解されない。」

◆H17. 4. 8 東京地裁 平成15(ワ)3552 特許権 民事訴訟事件

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◆H17. 5.26 知財高裁 平成17(行ケ)10310 特許権 行政訴訟事件

  平成3年出願の分割出願の補正が要旨変更であるとして、出願日繰り下げの適用につき、要旨変更であるとした特許庁の判断を取り消しました。
 裁判所は、下記のように述べました。
 「決定は,「例えば,「最初の可変表示部が停止した後に,最初の可変表\示部を含めてすべての可変表示部が可変表\示させられる」というような当初明細書に記載のない事項を明らかに含むと認められる手続補正は,明細書の要旨を変更するものである。」と認定判断したが,前記判示のように,【0018】第3文の「最初の回転ドラムを停止させる前に,」とは,「すべての回転ドラムが,大当たり図柄が揃った状態となるように回転」するその時期を限定するための記載ではなく,特別リーチが最初の回転ドラムを停止させることを条件としていることとの対比において,特別リーチとは異なる回転態様を簡潔に表現するための記載であると認められ,すべての回転ドラムが大当たり図柄が揃った状態となるように回転することは当初請求項に含まれている。したがって,「最初の回転ドラムを停止させる前に,」という文言が請求項に反映されなかったことをもって,形式的に,「最初の可変表\示部が停止した後に,」という態様を含むことになるとして明細書の要旨を変更するとした決定の認定判断は,誤りである。」

◆H17. 5.26 知財高裁 平成17(行ケ)10310 特許権 行政訴訟事件

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◆H17. 4. 8 東京地裁 平成15(ワ)3552 特許権 民事訴訟事件

  侵害訴訟にて、要旨変更か否か、実施料率、無効理由などいくつかの争点が争われました。
 要旨変更について、裁判所は「前記イのとおりの当初明細書の記載及び当初明細書の第4図からすると,突片7A3,7A4ないし連結片75が,保持容器外周面位置決め用片ないし保持容器頂面位置決め用片に相当する。したがって,「アース用外部端子」との文言こそ記載されていないものの,前記イの記載の意味するところは,本件発明の構成要件Eの「前記外周面位置決め用片ないし保持容器頂面位置決め用片を水晶振動子本体アース用外部端子とした」と同一であるということができる。したがって,・・・とする補正は,当初明細書又は図面に記載した事項の範囲内であると認められるから,明細書の要旨を変更しないものとみなされる(平成6年法律第116号による改正前の特許法41条)。」と認定しました。

◆H17. 4. 8 東京地裁 平成15(ワ)3552 特許権 民事訴訟事件

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◆H16.10.29 東京地裁 平成15(ワ)2101 特許権 民事訴訟事件

 変更要件を満たしていないとして出願日が現実の出願日となると判断されました。
  「原出願明細書には,以下のとおり,保護層が「熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等」で一括して被覆されている場合に,テープ状光ファイバユニットの相互を,その側端部間に樹脂を介在させることなく,直接接触させた態様で連結させるという構成が開示されているとは到底いえない。すなわち,樹脂製の保護層により,テープ状光ファイバユニット相互の側端部を互いに接触させた状態で直接連結させたものにおいて,当該保護層をちぎれ易くしたとの構\成は,原出願明細書又は図面に記載されていない。また,樹脂製の保護層を「容易にちぎれる程度にテープ状光ファイバユニットより厚さを薄くして」との構成が,原出願明細書及び図面の記載から自明の事項であるともいえない。・・・変更出願明細書には,保護層が「熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等で一括して被覆されている場合に,テープ状光ファイバユニット相互の側端部を,直接接触させる」構\成を含むことは明白である。そうすると,出願変更については,出願内容の同一性がなく,不適法であると解され,・・」

◆H16.10.29 東京地裁 平成15(ワ)2101 特許権 民事訴訟事件

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◆H16.10.28 東京高裁 平成15(行ケ)404 特許権 行政訴訟事件

 補正は要旨変更であるので出願日を繰り下げ、無効でないとした審決を取り消しました。
 「たしかに、当初明細書に”縦方向、横方向、斜め方向のランクフォード値の差を±0.15以下に設定”すること及び”ランクフォード値の平均が1.2以上”と記載されていることは、前示のとおりである。しかしながら、当初明細書においては、前示のとおり、イヤリングの発生を防止するために、上記の各条件を共に充足する必要があることが開示されているのであり、補正発明2、4及び6(3)のように、いずれか一方の条件を充足するのみで上記目的を達成することができることを開示するものではないから、被告の上記主張は、採用することができない」

◆H16.10.28 東京高裁 平成15(行ケ)404 特許権 行政訴訟事件

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◆H16. 5.26 東京高裁 平成14(行ケ)124 特許権 行政訴訟事件

 補正却下不服審判にて、「具体的条件を成立条件としていたのを、「所定の条件が成立したとき」と一般化することは要旨変更に該当すると判断され、裁判所もこれを認めました。
  裁判所は、「本件補正に係る特許請求の範囲の補正のうち,単に,確率が変更されたことを検出する条件について,「所定の条件が成立したとき」と補正した点については,当初明細書に記載される条件でないものを含み得るものとなったことは,その文意からして明らかである。「所定の条件が成立したとき」が,当初明細書に明示された条件に比較して広い概念であること自体は,原告自身の自認するところでもある。したがって,本件補正によって,当初明細書に記載のない事項が加わったから,本件補正は,当初明細書の要旨を変更するものであるとした審決の認定判断に誤りはない。」と判断しました。

 

◆H16. 5.26 東京高裁 平成14(行ケ)124 特許権 行政訴訟事件

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◆H15.10.16 東京地裁 平成14(ワ)15810 特許権 民事訴訟事件

技術的範囲に属しないと判断した上、さらに、補正が要旨変更として、出願日が繰り下げられる結果、進歩性欠如されるものであり、また、特許出願前に頒布された刊行物から進歩性がないので、明かな無効理由があり、権利濫用であると判断されました。
裁判所は以下のように述べました。「原告は,上記構成要件Dは,出願当初明細書に記載された発明の詳細な説明及び図面の記載から当業者が明らかに理解できると主張するが,大きな空間があれば毛細管現象を防止できることは当業者にとって自明な事項であるといえても,大きな毛細管現象防止用の空間が,本来の軒側成形部が有する空間の略1/3以上の容積を占めることは明らかとはいえないし,特許図面は,設計図面や製造図面とは異なり,発明の理解を助ける概念図に過ぎないのであるから,本件明細書の図面の各部材の寸法等から空間の容積比率を割り出すこともできないのであって,構\成要件Dが出願当初明細書の説明及び図面から明らかであるということはできない。・・・本件発明は,本件リーフレットに記載された発明及び上記実公昭52−10190号公報に記載された発明に基づき,本件特許に関する当初出願時において当業者が容易に発明をすることができたものであるものと認められる。」

      

◆H15.10.16 東京地裁 平成14(ワ)15810 特許権 民事訴訟事件

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◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)408 特許権 行政訴訟事件

  「電源投入時にその日の番組表の表\示及び録画予約を行うことの記載に基づき電源投入後の任意の時間にその日の番組表\を取り出す」とする補正が当初明細書等の要旨を変更するか否かが争われました。特許庁では要旨変更と認定されましたが、裁判所はこれを取消しました。
     「当初明細書等における請求項1には、・・・電源の投入と番組表示の時期との関連については、特に開示されていないことが明らかである。また、当初明細書等の、「発明が解決しようとする課題」、「課題を解決するための手段」、「発明の実施の形態」及び「発明の効果」の各項目においても、電源の投入と番組表\示の時期との関連についての記載はなく、発明の効果において、・・・と記載されるように、番組が録画予約のためテレビ受像機に表\形式で表示されることが、本願発明1の重要な特徴と認められるが、電源の投入と番組表\示の時期との関係は、当初明細書等において問題とされていないものと解するのが相当である。   他方、当初明細書等の段落【0008】から【0027】には、本願発明1の実施例が記載されており、・・・・記載されている。これらの記載によれば、本願発明1の実施例では、電源投入を最初の処理ステップとする、あるいは、使用者の行う一連の処理・操作において、電源を投入した日の番組表を表\示し、録画予約を行うことが開示され、電源が投入されると自動的に初期画面表\示としてその日の番組表が表\示されるものと認められるが、電源投入後の任意の時間経過後に番組表を表\示させたり、予約を行うこと、例えば、再生や録画を行った後の処理や操作については記載されていない。
  しかし、上記記載はあくまで本願発明1の実施例に関するものであり、当初明細書等の段落【0028】に「以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、・・・本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。」と記載されるように、前記の本願発明1の発明の要旨から逸脱したり、当初明細書等の他の記載に反したりするものでない実施例としての事項は、当初明細書等の要旨に含まれるものと解するのが相当といえるから、電源の投入とテレビ受像機に表形式で番組を表\示する時期との時間的関係については、当初明細書等において限定がなされていないものと認められる。  また、被告は、本件決定における補正後各発明の認定に関して、補正後各請求の特許請求の範囲には、電源を投入した日のテレビの番組内容を取り出して表示することは示されているが、電源投入後のどの時点でテレビの番組内容を取り出して表\示するかについては何ら規定されていないことを理由に、電源投入時を含む電源投入後の任意の時間にその日の番組表を取り出して表\示する構成であると主張するものであるところ、そうであるとすれば、当初明細書等の特許請求の範囲においても、電源の投入とテレビ受像機に表\形式で番組を表示する時期との時間的関係については、全く規定するところがないことが明らかであるから、同様の理由により、電源投入時を含む電源投入後の任意の時間にその日の番組表\を取り出して表示する構\成が開示されているものと認定すべきものといえる。」

 なお、本件については、兄弟出願(同じ親出願から分割された出願)についても同様に判断されています。

◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)409 特許権 行政訴訟事件

◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)410 特許権 行政訴訟事件

◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)411 特許権 行政訴訟事件

◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)412 特許権 行政訴訟事件

◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)413 特許権 行政訴訟事件
 

◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)408 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 7. 8 東京高裁 平成13(行ケ)461 特許権 行政訴訟事件

補正が要旨変更か否かが争われました。裁判所は、要旨変更とした特許庁の判断を取り消しました。
  「以上によれば,当初明細書には,沈降物と上澄水の全部を合わせた組成のもの,すなわち槽内の生コンスラッジと同じ成分割合のものをセメントの練り水として使用することが記載されていたことが明らかである。  そして,骨材を分離した後の生コンスラッジは,練り混ぜに使用する時まで何らかの槽で保管する必要があるが,骨材を分離した後の生コンスラッジで成分の分離をする必要がないものをセメントの練り水として再使用するとき,そのような生コンスラッジを保管するための槽としては,「必ずしも沈降を目的としない貯めるための槽」であれば足りることは明らかである。  また,本件発明の属する技術分野において,「必ずしも沈降を目的としない(液体を)貯めるための槽」としては,貯留槽はごく普通に用いられている槽であると認められ(乙2,115頁の図-4.2.3「スラッジ水槽」等),当業者であれば,そのような用途に使用する槽として,貯留槽が当初明細書に記載されているのと同視できるものである。したがって,骨材を分離した後の生コンスラッジを次いで「必ずしも沈降を目的としない生コンスラッジを貯めるための槽」すなわち「生コンスラッジ貯留槽」に導くことは,当初明細書に記載した事項の範囲内のものということができる。」

◆H15. 7. 8 東京高裁 平成13(行ケ)461 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 5.29 東京高裁 平成13(行ケ)420 特許権 行政訴訟事件

   当初明細書に記載されてた発明が、第3種パチンコ遊技機(図柄がそろった後,権利が発生して権利発生中に始動口に入賞すると大当たり状態となる)のみなのか、それとも、第1種パチンコ遊技機(図柄がそろうと大当たり状態となるパチンコ遊技機)を含むものなのかが争われました。
  「先願明細書には、乱数情報に基づく配当テーブルのアドレスから「絵柄の組合せ及び配当」を読み取り、読み取った情報に基づいてリールの停止位置を制御することしか記載されておらず、また、作用効果についても、「以上のように、本発明においては絵柄の組合せを乱数によって決定するので、完全に確率に基づく絵柄の組合せをうることができ、しかもその組合せで正確にリールを停止することができる。」(3頁右上欄7〜11行)と記載されるのみである。・・・・先願明細書には、本件発明のように、乱数情報(値)と「絵柄の組合わせ及び配当」との間に「入賞ランク」を決定するための「入賞確率テーブル」を介在させることにより両者の対応関係を可変なものとする技術思想は、何ら開示されていないというべきである。」と判断しました。

 

◆H15. 5.29 東京高裁 平成13(行ケ)420 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 5.22 東京高裁 平成14(行ケ)138 特許権 行政訴訟事件

本件補正後の請求項の記載を機械的に分割して得た各構成要素が出願当初の明細書に記載されている場合に、本件補正後の発明が出願当初の明細書に記載されていることになるかが争われました。裁判所は、特許庁の要旨変更であるとの認定を肯定しました。発明が技術思想であることからすると、当然といえますが,もし、積極的な排除がない場合には同じように認定されたのでしょうか。興味があるところです。
裁判所は、以下のように述べました。
 「上記(?@)の一般論はそのとおりであるが,本件補正後の発明についての認定,並びに,出願当初の明細書及び図面に記載された発明の認定は,前判示のとおりであって,本件補正後の「モジュレータ」の構成は,出願当初の明細書又は図面に開示されているとはいえないことが明らかである(むしろ積極的に排除されているのである。)。・・・・・補正が発明の構\成要素を削除するものであっても,補正後の発明が出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であれば要旨変更にならないことは当然である。そして,前判示のとおり,本件補正後の発明は,モジュレータへの冷媒の流入量について何らの限定がないので,冷媒のうち一部のみ流入するものも,冷媒の全量が流入するものも包含する発明であると解される。このような冷媒の流入量の限定のないモジュレータが,出願当初の明細書又は図面に開示されていれば要旨変更にはならないのであるが,本件の場合,前判示のとおり,出願当初の明細書には,「冷媒の全量がモジュレータに流入する」という構成が記載されていなかったのみならず,「冷媒の全量が流入するモジュレータ」を積極的に排除するものであるから,冷媒の流入量を限定しない単なるモジュレータを構\成とする発明が記載されていたと認めることはできないのである。したがって,本件の場合には,本件補正は,要旨の変更に当たるものといわざるを得ない。」

 

◆H15. 5.22 東京高裁 平成14(行ケ)138 特許権 行政訴訟事件

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◆H15. 4. 9 東京高裁 平成13(行ケ)369 特許権 行政訴訟事件

 審査中に行った補正が、要旨変更に該当するか否かが争われました。
裁判所は、「当初明細書等には第5図の説明として「電極20にテフロン等のフランジ82を固定し」と記載されていることは上記d.の記載のとおりであり,フランジ82が電極に移動できるように嵌合されたものであるとは認められない。したがって,本件補正後の「一方の電極に移動出来るように嵌合したテフロン等電気絶縁性のフランジ」を当初明細書等の「第5図のフランジ82」に記載した事項の範囲内のものということはできず,原告の上記主張は理由がない。」と認定しました。

 

◆H15. 4. 9 東京高裁 平成13(行ケ)369 特許権 行政訴訟事件

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