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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

限定的減縮

平成27(行ケ)10115  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成28年2月24日  知的財産高等裁判所

 補正が限定的減縮でないとした判断は取り消されるべきと判断されました。ただ、補正後のクレームについて独立特許要件なしの判断は誤りはないとして全体としては拒絶審決が維持されています。
 補正前発明は,請求項において「前記光方向変換素子に設けられるホルダ片とを 有し」と特定され,「光方向変換素子」に「ホルダ片」を設けることが記載されると ともに,「前記発光素子から放射される光を入射する入射面と,前記入射面から入射 した光を反射する反射面と,前記反射面で反射した光を屈折して側面方向へ出射す る出射面」を「有する」ことが記載されているところ,この「前記発光素子から放 射される光を入射する入射面と,前記入射面から入射した光を反射する反射面と, 前記反射面で反射した光を屈折して側面方向へ出射する出射面」は,本願明細書の 記載によれば,「光方向変換部」と呼ばれるものである。そうすると,「光方向変換 素子」中には,「光方向変換部」と「ホルダ片」を設ける部分が記載されているもの の,その「ホルダ片」を設ける部分の具体的形状が特定されていないものと解され る。一方,補正発明は,「光方向変換部」を明示するとともに,「光方向変換素子」 の具体的形状,ホルダ片を設ける態様などについて,請求項に記載のとおり「嵌合 部が形成されたケース部」に限定したものである。 そうすると,本件補正は,補正発明の「光方向変換素子」を前記のとおり規定す ることによって,補正発明を特定するために必要な事項を限定するものと認められ る。
イ 産業上の利用分野及び解決課題について
補正発明及び補正前発明は,いずれも,「光源モジュール」であり,両者の産業上 の利用分野は同一である。 また,前記1のとおり,補正発明及び補正前発明の解決しようとする課題は,光 方向の厳密な調整を不要とし,輝度ムラのない光源モジュールを提供することであ る。 したがって,補正発明及び補正前発明の解決しようとする課題は,同一であると 認められる。
ウ よって,本件補正は,補正前発明を特定するために必要な事項を限定す るものであって,補正前発明と補正発明の産業上の利用分野及び解決しようとする 課題は同一であるから,特許法17条の2第5項2号にいう「特許請求の範囲の減 縮」に該当し,これを目的要件違反とした審決の判断は,誤りである。
・・
被告は,本件補正によれば,補正発明は,「光方向変換部」(光学的機能を有する\nもの)により特定されることに加え,「ホルダ片」を嵌合するための手段である「嵌 合部が形成されたケース部」(機械的機能を有するもの)によっても新たに特定され\nることになり,「光方向変換部」により特定される補正前の「光方向変換素子」(光 学的機能を有するもの)を限定するものでないと主張する。\nしかし,前記のとおり,補正前発明の「光方向変換素子」は,請求項1にあると おり,「『入射面』と,・・・『反射面』と,・・・『出射面』とを有する『透明材料』 からなる」もの,すなわち,「光方向変換部」を「有する」,「透明材料」からなるも のであるとともに,「前記光方向変換素子に設けられるホルダ片とを有し」と特定さ れ,「光方向変換素子」に「ホルダ片」を設けるものである(被告は,これを機械的 機能と称する。)から,本件補正は,発明特定事項を新たに追加するものではなく,\n上記主張を採用することはできない。 また,被告は,発明が解決しようとする課題が,補正前発明では,光方向の厳密 な調整を不要とし,輝度ムラのない光源モジュールを提供することであったのに対 し,補正発明では,嵌合部を持つ光方向変換素子を有する光源モジュールを提供す ることを追加しており,本件補正は,発明が解決しようとする課題を追加して変更 するものである旨主張する。 しかし,前記のとおり,補正発明は,補正前発明と同様の課題を有しているが, それに加えて,光方向変換素子がケース部と円形の光方向変換部からなり,ホルダ 片が光変換素子の嵌合凹部11aに内嵌固定されるということが,補正前発明又は 補正発明の課題であることを示す記載は存在せず,ケース部の形状やホルダ片の固 着態様に格別の意義があるとは認められないから,光方変換素子の「光方向変換部」 以外の形状を限定したからといって,新たな課題を追加したものとはいえない。

◆判決本文

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