2003.11.14
◆H15.11.13 東京高裁 平成14(行ケ)194 特許権 行政訴訟事件
出願中にした補正が新規事項であるとして無効審決がなされました。裁判所は審決を維持しました。
「原告は,・・・段落【0011】のみならず,図3及び図4を考慮して検討すれば,出願当初から,「2枚の網目部材」が示されていることは明白であって,特に図示上,網目部材であることが明瞭であることから,「2枚の網目部材」という構成要素が十\分に,運用指針にいう「直接的かつ一義的に導き出せるもの」であることが明らかであると主張する。・・・しかしながら、・・・このように,出願明細書等においては,「極薄の透光フィルムが小孔径エキスパンドメタルと大孔径エキスパンドメタルの間に挟持された構造」であることが極めて明示的に記載されているのであり,上記以外の構\造をも包含しているものと解する余地のないことが一層明らかである。・・・審決は,出願明細書等には,網目部材として,目(孔)の大きさが同じ構造のものについては,何ら記載されていないし,かつ,出願明細書等を総合して検討したとしても,「網目部材として,目(孔)の大きさが同じ構\造のものをも含む」という事項が直接的かつ一義的に導き出せないとした。
・・・上記の記載は,・・・という本件発明における組立構造体の基本的な構\造に関する説明又は発明の効果に関するものであって,透光吸音パネル部材の具体的な構成,特に,透光フィルムの支持方法については何ら触れられていない。したがって,上記の記載をもって,「網目の大小」に関する開示がされているということはできないのであって,「網目に大小のあることに限る旨の記載はない」との原告の主張は,採用することができない。」
特に、以下の判決理由が気になります。
「仮に,使用する素材としては,エキスパンドメタルに限定すべき技術的必然性はないというのであれば,出願明細書等を記載するに際し,そのような工夫をすべきことであった。いずれにしても,本件補正前の特許請求の範囲の記載が前記のとおりであること,本件出願明細書等の発明の詳細な説明の記載や図面の記載をみると,上記のとおり極めて明示的に記載されていることや,極薄透光フィルムなどの部材については限定されないことの記載があるのに,エキスパンドメタルについてはそのような記載はもとより示唆もないことなどからすれば,前記のとおり解釈するほかない。・・・また,原告は,特許第2823182号に関する審決や東京高裁平成10年(行ケ)第298号事件の平成14年2月19日判決を引用して主張するが,いずれも,出願明細書等の記載が極めて明示的であってこれを他の素材等に拡大解釈する余地のない本件とは事案を異にするものであって,原告の主張は,採用の限りでない。」
◆H15.11.13 東京高裁 平成14(行ケ)194 特許権 行政訴訟事件
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2003.11.10
◆H15.10.16 東京地裁 平成14(ワ)15810 特許権 民事訴訟事件
技術的範囲に属しないと判断した上、さらに、補正が要旨変更として、出願日が繰り下げられる結果、進歩性欠如されるものであり、また、特許出願前に頒布された刊行物から進歩性がないので、明かな無効理由があり、権利濫用であると判断されました。
裁判所は以下のように述べました。「原告は,上記構成要件Dは,出願当初明細書に記載された発明の詳細な説明及び図面の記載から当業者が明らかに理解できると主張するが,大きな空間があれば毛細管現象を防止できることは当業者にとって自明な事項であるといえても,大きな毛細管現象防止用の空間が,本来の軒側成形部が有する空間の略1/3以上の容積を占めることは明らかとはいえないし,特許図面は,設計図面や製造図面とは異なり,発明の理解を助ける概念図に過ぎないのであるから,本件明細書の図面の各部材の寸法等から空間の容積比率を割り出すこともできないのであって,構\成要件Dが出願当初明細書の説明及び図面から明らかであるということはできない。・・・本件発明は,本件リーフレットに記載された発明及び上記実公昭52−10190号公報に記載された発明に基づき,本件特許に関する当初出願時において当業者が容易に発明をすることができたものであるものと認められる。」
◆H15.10.16 東京地裁 平成14(ワ)15810 特許権 民事訴訟事件
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2003.10.23
◆H15. 7. 1 東京高裁 平成14(行ケ)3 特許権 行政訴訟事件
補正事項が要旨変更であるとして補正却下され、補正却下不服審判でも同様に判断され、出訴しましたが、裁判所も要旨変更と認定した事例です。
裁判所はこの事案で、「当初明細書に記載されている」とは、「現実には記載がなくとも,現実に記載されたものに接した当業者であれば,だれもが,その事項がそこに記載されているのと同然であると理解するような事項であるといえなければならず,その事項について説明を受ければ簡単に分かる,という程度のものでは,自明ということはできない」と述べています。
この事件は、当初は見過ごしていました。しかし、特許庁の補正に関する審査基準案に対して出されたパブリックコメントに対する事例として説明されているので、取り上げてみました。特許庁は、条文上は「当初明細書に記載された範囲内」というように文言が同じにもかかわらず、平成6年前後で補正の内容的制限が変わったというスタンスをとっています。ですから、本来的には、この判決をあげるのはおかしいわけです。それとも、今回の基準改定で変わったんでしょうか?
裁判所は、「当初明細書に記載された「各家庭内等」とは,前記認定の(1)エ(発明が解決しようとする課題)及びケ(発明の効果)の記載に照らすならば,「屋外」を包含しないと解するのが相当である。上記補正後発明の請求項1に記載された技術的事項(d)のうち,実行したデータ情報を「屋外」に伝送する点については,当初明細書に記載されているということはできない。」、「 (5) 原告は,本件補正書において補正した事項は,当初明細書の請求項1,2中の「等」及び「など」の語によって,すべて記載されていると解すべきである,と主張する。しかしながら,・・・・そこで現実に記載されたものから自明な事項であるというためには,現実には記載がなくとも,現実に記載されたものに接した当業者であれば,だれもが,その事項がそこに記載されているのと同然であると理解するような事項であるといえなければならず,その事項について説明を受ければ簡単に分かる,という程度のものでは,自明ということはできないというべきである。本件補正に係る事項のうち,上記(2)ないし(4)で指摘した事項は,いずれも当初明細書の記載から上記の意味で自明な事項ということはできず,「等」及び「など」の語によって記載されているに等しい事項であるということができないことは明らかである。」と述べました。
◆H15. 7. 1 東京高裁 平成14(行ケ)3 特許権 行政訴訟事件
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2003.10.20
◆H15.10.16 東京高裁 平成14(行ケ)186 特許権 行政訴訟事件
訂正事項が新規事項であるので、訂正請求が認められなかった点について、裁判所は、審決を維持しました。
裁判所は、”本件発明が,「成形孔であるから,挿着孔の内周面が滑らかで,光沢面となる」こと,従来の切削孔と対比した場合に,本件発明が,「挿着孔の面粗度は非常に小さい」ことが記載されているにとどまり,訂正発明における「挿着孔の内周面が滑らかで,光沢面状である」ための理由が工具の高温状態の加熱に起因することについては,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であるとはいえない。したがって,審決が,「挿着孔の内周面が滑らかで,光沢面である」ための理由として,加熱温度との関係を述べた本件訂正は新規事項の追加に該当するものと認定判断したことは,正当であって,誤りがあるとはいえず,原告ら主張の審決取消事由1は理由がない”と判示しました。
この事件の無効審判に関する審決取消訴訟は、
H15.10.16 東京高裁 平成13(行ケ)356 特許権 行政訴訟事件にあります。
◆H15.10.16 東京高裁 平成14(行ケ)186 特許権 行政訴訟事件
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2003.10. 8
◆H15.10. 6 東京高裁 平成15(行ケ)120 特許権 行政訴訟事件
1つの争点として、新規事項に該当するかが争われました。
裁判所は、本件補正は特許庁と同様に、新規事項と判断しました。特許庁の代理人である指定代理人は、補正できる範囲について、”直接的かつ一義的に導き出せるものだけでなく、当初明細書等の記載に基づいて当業者が自明でないので、本件補正は,当初明細書等の範囲外の事項を含むものして許されない”と03年夏に発表された審査基準案を先取りした形で、本件補正は新規事項だと主張しました。
裁判所は、これをそのまま認め、「そうすると,本願発明の蒸留装置に回転ドラム等を設けることは,当初明細書等に直接記載されていないばかりでなく,当初明細書等に記載した事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項であるとも,また,当業者に自明な技術事項であるとも認められないから,本件補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるということはできない。」と判断しました。
◆H15.10. 6 東京高裁 平成15(行ケ)120 特許権 行政訴訟事件
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2003.10. 3
◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)408 特許権 行政訴訟事件
「電源投入時にその日の番組表の表\示及び録画予約を行うことの記載に基づき電源投入後の任意の時間にその日の番組表\を取り出す」とする補正が当初明細書等の要旨を変更するか否かが争われました。特許庁では要旨変更と認定されましたが、裁判所はこれを取消しました。
「当初明細書等における請求項1には、・・・電源の投入と番組表示の時期との関連については、特に開示されていないことが明らかである。また、当初明細書等の、「発明が解決しようとする課題」、「課題を解決するための手段」、「発明の実施の形態」及び「発明の効果」の各項目においても、電源の投入と番組表\示の時期との関連についての記載はなく、発明の効果において、・・・と記載されるように、番組が録画予約のためテレビ受像機に表\形式で表示されることが、本願発明1の重要な特徴と認められるが、電源の投入と番組表\示の時期との関係は、当初明細書等において問題とされていないものと解するのが相当である。
他方、当初明細書等の段落【0008】から【0027】には、本願発明1の実施例が記載されており、・・・・記載されている。これらの記載によれば、本願発明1の実施例では、電源投入を最初の処理ステップとする、あるいは、使用者の行う一連の処理・操作において、電源を投入した日の番組表を表\示し、録画予約を行うことが開示され、電源が投入されると自動的に初期画面表\示としてその日の番組表が表\示されるものと認められるが、電源投入後の任意の時間経過後に番組表を表\示させたり、予約を行うこと、例えば、再生や録画を行った後の処理や操作については記載されていない。
しかし、上記記載はあくまで本願発明1の実施例に関するものであり、当初明細書等の段落【0028】に「以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、・・・本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。」と記載されるように、前記の本願発明1の発明の要旨から逸脱したり、当初明細書等の他の記載に反したりするものでない実施例としての事項は、当初明細書等の要旨に含まれるものと解するのが相当といえるから、電源の投入とテレビ受像機に表形式で番組を表\示する時期との時間的関係については、当初明細書等において限定がなされていないものと認められる。
また、被告は、本件決定における補正後各発明の認定に関して、補正後各請求の特許請求の範囲には、電源を投入した日のテレビの番組内容を取り出して表示することは示されているが、電源投入後のどの時点でテレビの番組内容を取り出して表\示するかについては何ら規定されていないことを理由に、電源投入時を含む電源投入後の任意の時間にその日の番組表を取り出して表\示する構成であると主張するものであるところ、そうであるとすれば、当初明細書等の特許請求の範囲においても、電源の投入とテレビ受像機に表\形式で番組を表示する時期との時間的関係については、全く規定するところがないことが明らかであるから、同様の理由により、電源投入時を含む電源投入後の任意の時間にその日の番組表\を取り出して表示する構\成が開示されているものと認定すべきものといえる。」
なお、本件については、兄弟出願(同じ親出願から分割された出願)についても同様に判断されています。
◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)409 特許権 行政訴訟事件
◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)410 特許権 行政訴訟事件
◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)411 特許権 行政訴訟事件
◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)412 特許権 行政訴訟事件
◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)413 特許権 行政訴訟事件
◆H15. 9.29 東京高裁 平成14(行ケ)408 特許権 行政訴訟事件
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2003.09.18
◆H13.12.11 東京高裁 平成11(行ケ)311 特許権 行政訴訟事件
同じく補正に関する審査基準案中にあった判決です。当初明細書の記載された事項か否かが問題となった事例です。
特許庁、裁判所とも新規事項と判断しました。
「原告は,当初明細書の実施例に記載された「純白紙」が,・・「純白ロール紙」を指すことは,当業者において,自明であり,このような純白紙の性質に伴う作用効果aないしcも自明である旨主張する。しかしながら,仮に,当初明細書の「純白紙」の語が,上記の性質を有する「純白ロール紙」を意味することが当業者に自明であると認められるとしても,純白紙を本願発明において用いれば,作用効果aないしcが得られる,ということが,当初明細書から自明である,と認めることはできないというべきである。すなわち,前記認定事実によれば,当初明細書には,そこに記載された「薄紙」の性質について,「薄手」であること以外には記載がなく,効果についても,「薄紙」の性質に伴う効果としては,「薄手」であることに伴う効果しか記載されておらず,かつ,そこに記載された発明は,純白紙を用いた実施例に限られず,純白紙に代えて,和紙やワラ半紙を使用することも可能であると記載されている。そして,甲第6号証によれば,薄紙として純白紙を用いた場合と,和紙やワラ半紙など他の紙を用いた場合との相違に係ることは,当初明細書に全く記載されていないことが明らかである。このような当初明細書の記載内容によれば,当初明細書の実施例に記載された「純白紙」は,単に,「薄手」であるという性質を有する紙の一例として挙げられているにすぎないとしか理解できず,このような状況の下で,これが,本願発明において,「一方の表\面がつるつるとした滑らかな面であり,他方の面がざらざらとした凹凸面である」という性質を有するものであることに伴う効果を有するものであることを,当初明細書の記載内容から自明のこととして導き出すことはできないものというべきである。・・・当初明細書の記載から自明な事項であるというためには,当初明細書に記載がなくとも,同明細書に接した当業者であれば,誰もが,その事項がそこに記載されているのと同然であると理解するような事項であるといえるものでなければならず,その事項について説明を受ければ簡単に分かる,という程度のものでは,自明ということはできないというべきである。」
特許庁発表の補正に関する審査基準において同様の表\現が採用されています。この部分だけを読むと意図が分かりにくいですね。上記記載もあわせて読むことをお勧めします。
◆H13.12.11 東京高裁 平成11(行ケ)311 特許権 行政訴訟事件
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2003.09.18
◆H13.12.11 東京高裁 平成13(行ケ)89 特許権 行政訴訟事
補正に関する審査基準案中にあった判決です。数値限定の補正が新規事項かが問題となった事例です。
審決では、実施例には5ミリジュールが開示されているだけでなので、5ミリジュール以上とする訂正は新規事項と判断されました。これに対して、裁判所は、他の記載からこれは少なくとも5ミリジュールという下限を示したものであるとして審決を取り消しました。
◆H13.12.11 東京高裁 平成13(行ケ)89 特許権 行政訴訟事
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2003.07.31
◆H15. 7.30 東京高裁 平成14(行ケ)235 特許権 行政訴訟事件
新規事項でありかつ記載不備とした拒絶審決が維持されました。
「「逸脱の性質」という用語自体は、当初明細書等に記載されていないばかりでなく、「異常動作」という用語に関しても、当初明細書等おいては、前記のとおり、「分析すべきそれぞれの動作ごとに、分析装置は、エレベータの動作を登録し誤動作を検出する信号が動作の中断を必要とする性状のものであるか、もしくは異常動作の場合として記録するだけの誤りであるかに関わりなく、それらの信号を受信する必要がある。」と記載されているのみである。ここにいう「異常動作」とは、警報を発生せず、エレベータの動作を中断しないで記録されていくだけの誤動作を意味していることは明らかである
また、前記のとおり、当初明細書等には、「例えば、2000件の正常動作に対して、警報を必要としない誤動作は5件が許容可能である。正常動作と誤動作の比がこの限度を超えると、保守要求の通知が発せられる。」と記載されているから、異常動作である誤動作がどのようなものであれ、1回生じただけでは保守要求はなされず、正常動作との比が所定の限度を超えたときにはじめて保守要求されることしか開示されていない。 そうすると、当初明細書等において、保守の必要性を表示するメッセージを発するのは、異常動作である誤動作が記録されて所定の回数に達したときであるから、第3の補正事項である、「逸脱の性質に鑑みて異常動作と判定される場合」に保守の必要性を表\示するメッセージを発することは、当初明細書等に記載されていなかったことである。」
◆H15. 7.30 東京高裁 平成14(行ケ)235 特許権 行政訴訟事件
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2003.07.23
◆H15. 7. 8 東京高裁 平成13(行ケ)461 特許権 行政訴訟事件
補正が要旨変更か否かが争われました。裁判所は、要旨変更とした特許庁の判断を取り消しました。
「以上によれば,当初明細書には,沈降物と上澄水の全部を合わせた組成のもの,すなわち槽内の生コンスラッジと同じ成分割合のものをセメントの練り水として使用することが記載されていたことが明らかである。
そして,骨材を分離した後の生コンスラッジは,練り混ぜに使用する時まで何らかの槽で保管する必要があるが,骨材を分離した後の生コンスラッジで成分の分離をする必要がないものをセメントの練り水として再使用するとき,そのような生コンスラッジを保管するための槽としては,「必ずしも沈降を目的としない貯めるための槽」であれば足りることは明らかである。
また,本件発明の属する技術分野において,「必ずしも沈降を目的としない(液体を)貯めるための槽」としては,貯留槽はごく普通に用いられている槽であると認められ(乙2,115頁の図-4.2.3「スラッジ水槽」等),当業者であれば,そのような用途に使用する槽として,貯留槽が当初明細書に記載されているのと同視できるものである。したがって,骨材を分離した後の生コンスラッジを次いで「必ずしも沈降を目的としない生コンスラッジを貯めるための槽」すなわち「生コンスラッジ貯留槽」に導くことは,当初明細書に記載した事項の範囲内のものということができる。」
◆H15. 7. 8 東京高裁 平成13(行ケ)461 特許権 行政訴訟事件
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2003.06. 3
◆H15. 5.29 東京高裁 平成13(行ケ)420 特許権 行政訴訟事件
当初明細書に記載されてた発明が、第3種パチンコ遊技機(図柄がそろった後,権利が発生して権利発生中に始動口に入賞すると大当たり状態となる)のみなのか、それとも、第1種パチンコ遊技機(図柄がそろうと大当たり状態となるパチンコ遊技機)を含むものなのかが争われました。
「先願明細書には、乱数情報に基づく配当テーブルのアドレスから「絵柄の組合せ及び配当」を読み取り、読み取った情報に基づいてリールの停止位置を制御することしか記載されておらず、また、作用効果についても、「以上のように、本発明においては絵柄の組合せを乱数によって決定するので、完全に確率に基づく絵柄の組合せをうることができ、しかもその組合せで正確にリールを停止することができる。」(3頁右上欄7〜11行)と記載されるのみである。・・・・先願明細書には、本件発明のように、乱数情報(値)と「絵柄の組合わせ及び配当」との間に「入賞ランク」を決定するための「入賞確率テーブル」を介在させることにより両者の対応関係を可変なものとする技術思想は、何ら開示されていないというべきである。」と判断しました。
◆H15. 5.29 東京高裁 平成13(行ケ)420 特許権 行政訴訟事件
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2003.05.26
◆H15. 5.22 東京高裁 平成14(行ケ)138 特許権 行政訴訟事件
本件補正後の請求項の記載を機械的に分割して得た各構成要素が出願当初の明細書に記載されている場合に、本件補正後の発明が出願当初の明細書に記載されていることになるかが争われました。裁判所は、特許庁の要旨変更であるとの認定を肯定しました。発明が技術思想であることからすると、当然といえますが,もし、積極的な排除がない場合には同じように認定されたのでしょうか。興味があるところです。
裁判所は、以下のように述べました。
「上記(?@)の一般論はそのとおりであるが,本件補正後の発明についての認定,並びに,出願当初の明細書及び図面に記載された発明の認定は,前判示のとおりであって,本件補正後の「モジュレータ」の構成は,出願当初の明細書又は図面に開示されているとはいえないことが明らかである(むしろ積極的に排除されているのである。)。・・・・・補正が発明の構\成要素を削除するものであっても,補正後の発明が出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内であれば要旨変更にならないことは当然である。そして,前判示のとおり,本件補正後の発明は,モジュレータへの冷媒の流入量について何らの限定がないので,冷媒のうち一部のみ流入するものも,冷媒の全量が流入するものも包含する発明であると解される。このような冷媒の流入量の限定のないモジュレータが,出願当初の明細書又は図面に開示されていれば要旨変更にはならないのであるが,本件の場合,前判示のとおり,出願当初の明細書には,「冷媒の全量がモジュレータに流入する」という構成が記載されていなかったのみならず,「冷媒の全量が流入するモジュレータ」を積極的に排除するものであるから,冷媒の流入量を限定しない単なるモジュレータを構\成とする発明が記載されていたと認めることはできないのである。したがって,本件の場合には,本件補正は,要旨の変更に当たるものといわざるを得ない。」
◆H15. 5.22 東京高裁 平成14(行ケ)138 特許権 行政訴訟事件
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2003.04.11
◆H15. 4. 9 東京高裁 平成13(行ケ)369 特許権 行政訴訟事件
審査中に行った補正が、要旨変更に該当するか否かが争われました。
裁判所は、「当初明細書等には第5図の説明として「電極20にテフロン等のフランジ82を固定し」と記載されていることは上記d.の記載のとおりであり,フランジ82が電極に移動できるように嵌合されたものであるとは認められない。したがって,本件補正後の「一方の電極に移動出来るように嵌合したテフロン等電気絶縁性のフランジ」を当初明細書等の「第5図のフランジ82」に記載した事項の範囲内のものということはできず,原告の上記主張は理由がない。」と認定しました。
◆H15. 4. 9 東京高裁 平成13(行ケ)369 特許権 行政訴訟事件
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2003.02.18
◆H15. 2.17 東京高裁 平成15(行ケ)39 特許権 行政訴訟事件
誤記訂正か実質上の変更かが争われました。
裁判所は、「このような本件明細書の記載に接した当業者が,発明の詳細な説明中の参考例,実施例及び試験例の記載が一貫して誤りであり,特許請求の範囲の請求項1,7の記載が正しいと考えることは,特段の事情がない限りあり得ないというべきところ,・・・・本件明細書の特許請求の範囲の請求項1,7の記載が誤記であること,この−CH2−基の数は,正しくは「1」又は「0」であるべきことは,本件明細書の記載全体から明白であり,当業者はたやすくこのことを認識し得たものと認められ・・・
なお,特許請求の範囲の記載の訂正が,明細書中に記載された特許請求の範囲を信頼する一般第三者の利益を害することになるとして,特許法126条2項(注,平成6年法律第116号による改正前のもの)により許されないとした被告引用の最高裁判決は,いずれも事案を異にし,本件に適切ではない。」と訂正を認めなった審決を取り消しました。
◆H15. 2.17 東京高裁 平成15(行ケ)39 特許権 行政訴訟事件
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2003.01. 6
◆H14.10.24 東京高裁 平成13(行ケ)557 特許権 行政訴訟事件
異議申立にて、特許取消の決定がされ、かかる審決に対して取消訴訟を提起した後、訂正審判を請求し、訂正審判では、出願中における補正が新規事項として訂正が認められないと判断され、これを争った事件です。
裁判所は、「上記記載箇所や実施例に関する他の記載箇所を参照しても、「風呂水吸水ポンプの設置個所」の提案と、実施例の気水分離室を有する風呂水吸水ポンプの構成とが、相互に関連を有するものであることは記載されておらず、また、両者の関連を示唆する記載も見出すことができない。・・・」と判断しました。
◆H14.12.26 東京高裁 平成13(行ケ)127 実用新案権 行政訴訟事件
クレームに記載のない用語に基づく限定解釈を行い、無効理由なしと判断した審決が取り消されました。
裁判所は、「本件審判において甲第1号証刊行物に記載されているものとして原告が主張している考案(甲第1号証考案)の中には,実用新案登録請求の範囲に記載された考案も含まれており,これが,甲第1号証刊行物中の考案の詳細な説明及び各図面に記載された実施例に限定されるものでないことは,明らかである。・・・・件考案の実用新案登録請求の範囲の記載は,・・・滑り防止片の「ぎざぎざ」の大きさについて限定はされていない。甲第1号証考案の滑り止め体及びこれに群設された小突起,突設された突条の大きさについても,甲第1号証刊行物中には,これを限定する記載は見当たらない。そうである以上,本件考案の滑り防止片の「ぎざぎざ」の大きさと甲第1号証考案の滑り止め体に群設された「小突起」,突設された「突条」の大きさとが異なるとすることはできない,というべきである。」と判断しました。
◆H14.10.24 東京高裁 平成13(行ケ)557 特許権 行政訴訟事件
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