2004.12.23
◆H16.12.21 大阪地裁 平成16(ワ)3640 特許権 民事訴訟事件
1つの争点は、補正による限定が審査基準に合致させるためにしたもので、意識的に限定したものではないかでした。
裁判所は、以下のように判断しました。
「原告は、・・・改訂前審査基準の下で新規事項の追加とされるのを免れるためには、出願当初明細書に実施例として具体的に記載された、各回路素子の極性をも含めた具体的な接続の仕方、電流の流れ方を記載するしかなかった旨主張する。
イ しかし、出願当初明細書の発明の詳細な説明の段落【0004】には、「すなわち本発明の考え方は、高周波トランスの三次巻線と定電流検出抵抗と直列ドロッパー制御用素子と逆流防止用ダイオードと二次電池とを直列に接続して充電回路を構成し、この充電回路の電流路の外側に、二次電池と三次巻線と三次側スイッチング素子とを直列に配列して放電回路を設け、放電時には、前記定電流検出抵抗と直列ドロッパー制御用素子と逆流防止用ダイオードには電流が流れないようにする、というものである。」と記載され、段落【0009】には、放電時の作用として、「この時は、逆流防止ダイオード18のカソ\ード側が、逆流防止ダイオード9および三次側スイッチング素子11の順電圧降下によって二次電池14の負極に対して逆極性になるため、充電回路3cは自動的に停止し、充電は行われないことになる。」と記載されている。また、特許出願の願書に添付された図面の図2には、前記段落【0004】の記載に対応する回路図が示されている。したがって、放電時に充電回路の充電電流路に電流が流れることを阻止するための逆流防止ダイオードを設けることは、出願当初明細書の発明の詳細な説明に記載されていたと認められる。
そうであるとすれば、改訂前審査基準の下において新規事項の追加とされるのを免れることを前提としても、特許請求の範囲に「放電時には、定電流検出抵抗と直列ドロッパー制御用素子と逆流防止用ダイオードには電流が流れないようにするものである」という作用効果に対応する構成を付け加えようとするならば、出願当初明細書の特許請求の範囲の「逆流防止ダイオード」という構\成要件を、例えば、「放電時に充電回路の充電電流路に電流が流れることを阻止するための逆流防止ダイオード」と補正すれば足りたものと認められ、補正後の特許請求の範囲のように各回路素子の具体的な接続の仕方や具体的な電流の流れ方まで記載しなければならなかったとは認められない。」
◆H16.12.21 大阪地裁 平成16(ワ)3640 特許権 民事訴訟事件
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2004.11. 2
◆H16.10.29 東京地裁 平成15(ワ)2101 特許権 民事訴訟事件
変更要件を満たしていないとして出願日が現実の出願日となると判断されました。
「原出願明細書には,以下のとおり,保護層が「熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等」で一括して被覆されている場合に,テープ状光ファイバユニットの相互を,その側端部間に樹脂を介在させることなく,直接接触させた態様で連結させるという構成が開示されているとは到底いえない。すなわち,樹脂製の保護層により,テープ状光ファイバユニット相互の側端部を互いに接触させた状態で直接連結させたものにおいて,当該保護層をちぎれ易くしたとの構\成は,原出願明細書又は図面に記載されていない。また,樹脂製の保護層を「容易にちぎれる程度にテープ状光ファイバユニットより厚さを薄くして」との構成が,原出願明細書及び図面の記載から自明の事項であるともいえない。・・・変更出願明細書には,保護層が「熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等で一括して被覆されている場合に,テープ状光ファイバユニット相互の側端部を,直接接触させる」構\成を含むことは明白である。そうすると,出願変更については,出願内容の同一性がなく,不適法であると解され,・・」
◆H16.10.29 東京地裁 平成15(ワ)2101 特許権 民事訴訟事件
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2004.11. 1
◆H16.10.28 東京高裁 平成15(行ケ)404 特許権 行政訴訟事件
補正は要旨変更であるので出願日を繰り下げ、無効でないとした審決を取り消しました。
「たしかに、当初明細書に”縦方向、横方向、斜め方向のランクフォード値の差を±0.15以下に設定”すること及び”ランクフォード値の平均が1.2以上”と記載されていることは、前示のとおりである。しかしながら、当初明細書においては、前示のとおり、イヤリングの発生を防止するために、上記の各条件を共に充足する必要があることが開示されているのであり、補正発明2、4及び6(3)のように、いずれか一方の条件を充足するのみで上記目的を達成することができることを開示するものではないから、被告の上記主張は、採用することができない」
◆H16.10.28 東京高裁 平成15(行ケ)404 特許権 行政訴訟事件
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2004.09.27
◆H11. 6.3 東京高裁 平成8年 (行ケ)222 特許権 行政訴訟事件
最近の判決ではありませんが、訂正請求書の要旨を変更するか否かが争われ、この判決以降、特許庁の運用が変更になりました。
訂正の補正に関する運用変更のお知らせ(特許庁HP)
判決の射程範囲がどこまでなのかについても議論の余地はあるかと思いますが、取消訴訟提起後90日に訂正審判の請求が制限された現行法の下では、権利者は訂正するにあたっては細心の注意が必要になるかもしれません。
◆H11. 6.3 東京高裁 平成8年 (行ケ)222 特許権 行政訴訟事件
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2004.06.30
◆H16. 6.28 東京高裁 平成16(行ケ)4 特許権 行政訴訟事件
補正が新規事項として拒絶査定がなされました。審判も同様の判断をしましたが、裁判所は下記のように述べて、これを取り消しました。
「立上がり壁部の開口部を塞ぐ防護用のパイプを設置するに当たり,壁部の側面を締め付けるために,横部材の上部にサポート部材を上方から係止する構成が,技術的視点から見て必然的に伴うものと認めることはできないから,「出願当初の明細書の記載によれば,「横部材」は,その上面にサポート部材を係合させるための「係止部」を形成したものについてしか記載されておらず,そのような「係止部」を有しない「横部材」については何らの記載も示唆もない。」とした審決の認定は誤りである。」
◆H16. 6.28 東京高裁 平成16(行ケ)4 特許権 行政訴訟事件
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2004.06.11
◆H16. 6.16 東京高裁 平成14(行ケ)217 特許権 行政訴訟事件
訂正要件である「明細書に記載された事項の範囲内および独立特許要件」を満たしているかが争われましたが、裁判所は、「新規事項であり、独立特許要件を満たしていない」とした審決を維持しました。
「本件明細書における上記重心に関する記載は,「重心をはさむ」として,あえて「重心そのもの」にジブホルダを設置することを明確に否定しているのであるから,「重心」と「ジブホルダ」との位置関係に技術的意味があるものとして記載されていると解することは到底できない。よって,実質的内容を検討しても,本件明細書には,ジブホルダを「ジブの重心近傍を保持する」ものとすることが記載されているものとはいえない。」と述べました。
◆H16. 6.16 東京高裁 平成14(行ケ)217 特許権 行政訴訟事件
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2004.05.28
◆H16. 5.26 東京高裁 平成14(行ケ)124 特許権 行政訴訟事件
補正却下不服審判にて、「具体的条件を成立条件としていたのを、「所定の条件が成立したとき」と一般化することは要旨変更に該当すると判断され、裁判所もこれを認めました。
裁判所は、「本件補正に係る特許請求の範囲の補正のうち,単に,確率が変更されたことを検出する条件について,「所定の条件が成立したとき」と補正した点については,当初明細書に記載される条件でないものを含み得るものとなったことは,その文意からして明らかである。「所定の条件が成立したとき」が,当初明細書に明示された条件に比較して広い概念であること自体は,原告自身の自認するところでもある。したがって,本件補正によって,当初明細書に記載のない事項が加わったから,本件補正は,当初明細書の要旨を変更するものであるとした審決の認定判断に誤りはない。」と判断しました。
◆H16. 5.26 東京高裁 平成14(行ケ)124 特許権 行政訴訟事件
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2004.05.22
◆H16. 5.19 東京高裁 平成15(行ケ)388 実用新案権 行政訴訟事件
1つの争点として、「棒状の案内レール」が,公告明細書に記載されていたかが争われました。
裁判所は、「公告明細書の実用新案登録請求の範囲1項には,案内レールの形状について特に規定されておらず,上記の考案の詳細な説明の記載及び図面の図示によれば,案内レールは,その形状が断面形状台形状に限定されないことも示唆されている。一般に,「棒状」の語は「棒のような形」を,「棒」の語は「手に持てるほどの細長い木・竹・金属などの称」(広辞苑第五版)を指すから,公告明細書の記載及び図面に接する当業者は,本件考案に係る上記の比較的細長い案内レールは「棒状」のものを意味し,そのことが公告明細書等に記載されているのと同然であると理解するものと認めるのが相当である。したがって,上記訂正事項(あ)における「棒状の案内レール」とする訂正は,公告明細書に記載された事項の範囲内のものであるというべきである」と述べました。
◆H16. 5.19 東京高裁 平成15(行ケ)388 実用新案権 行政訴訟事件
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2004.05.21
◆H16. 5.19 東京高裁 平成14(行ケ)358 特許権 行政訴訟事件
異議申立では、いわゆる新規事項として訂正が認められませんでしたが、裁判所はこれを取り消しました。
「これら記載を総合考慮すれば,本件明細書に接した当業者は,本件特許出願時の技術常識に照らし,内壁と外壁との空間部に通常の雰囲気空気が存在した状態で充填口をシールしても,一定の吸湿防止及び酸化防止という本件発明1〜3の効果を奏することが可能であり,本件明細書には,「空気」のみを封入することが記載されているのと同然であると理解するものと認めるのが相当である。」
◆H16. 5.19 東京高裁 平成14(行ケ)358 特許権 行政訴訟事件
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>> 新規事項
>> 当業者自明
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2004.05.21
◆H16. 5.14 東京地裁 平成13(ワ)12933 特許権 民事訴訟事件
出願公告後にした構成要件を追加する補正が、特許請求の範囲を実質上変更するものであり本件特許には無効理由ありとして、損害賠償請求を棄却しました。
「平成6年改正前特許法64条,126条2項が公告決定後の補正につき上記のように補正の要件を規定している趣旨は,特許出願人と第三者との間の利害の調整にあるところ,特許請求の範囲に新たな構成を付加することで表\面的には特許請求の範囲の減縮に当たっても,実質的にはこれによって全く別個の発明になるような場合にまで補正を許容すると,補正後の別個の発明の技術的範囲について補正前の特許発明の出願日に遡って出願公告に伴う仮保護の権利を与えることとなり,特許公報の記載を信頼して行動する第三者に対して不測の不利益を与えることとなるからである。そして,この場合において,補正前の特許請求の範囲に係る発明に新たに付加された構成が,同発明の特許出願当時,当業者にとって周知の技術手段(周知技術)に該当しない場合には,補正前の特許発明と補正後の特許請求の範囲の記載に係る発明は,特段の事情のない限り,別個の発明というべきである。けだし,周知の技術手段を付加するものである限りは,発明はその同一性を失うことがなく,特許請求の範囲も実質上変更されることはないが,周知でない新規な技術手段を付加するときは,特段の事情のない限り,構\成を異にすることになり,別個の発明となってしまうからである。」
と述べました。
実質上の変更に該当するかについては、類型化できるほどの判断例が多くないので、具体的事案について検討してみたいですね。
◆H16. 5.14 東京地裁 平成13(ワ)12933 特許権 民事訴訟事件
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>> 実質上拡張変更
>> 104条の3
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2004.04.21
◆H16. 4.14 東京高裁 平成15(行ケ)230 特許権 行政訴訟事件
1つの争点は、「いわゆる限定的減縮について、請求項の増加ができるか」でした。
原告(出願人)は「4項には,請求項を増加させてはならないと明記されていないから,請求項の増加が禁止されるわけではなく,請求項の数が増加しても,補正後の特許請求の範囲により特定される発明が全体として補正前の特許請求の範囲により特定される発明に対して減縮されていれば,当該補正は,4項2号に該当するものとして,許されるべきである」と主張しました。
これに対して、裁判所は、「4項2号は,・・・補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって,かつ,補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請されるものというべきであって,補正前の請求項と補正後の請求項とは,一対一又はこれに準ずるような対応関係に立つものでなければならない。そうであってみれば,増項補正は,補正後の各請求項の記載により特定される各発明が,全体として,補正前の請求項の記載により特定される発明よりも限定されたものとなっているとしても,上述したような一対一又はこれに準ずるような対応関係がない限り,同号にいう「特許請求の範囲の減縮」には該当しないというべきである。」とこれを否定しました。
◆H16. 4.14 東京高裁 平成15(行ケ)230 特許権 行政訴訟事件
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>> 補正・訂正
>> 限定的減縮
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2004.04.12
◆H16. 4. 8 東京高裁 平成13(行ケ)335 特許権 行政訴訟事件
裁判所は、「本件訂正請求は,訂正に係る内容が,本件明細書に記載されておらず,また,本件出願時の技術常識であるとも認められないので,新規事項の追加に該当し,認められない・・」と判断した審決を取り消しました。
ただ、その中で、「もっとも,仮に,本件訂正請求が認められるべきであるとしても(明細書に記載されていない事項を訂正により取り込むことは,たといそれが技術常識であったとしても,当然のこととして許される,というわけではない。),「前記測光手段によって発生される測光領域輝度出力との差に応じて,露出値の算出方法を異ならせる」ことが,当業者の技術常識といえることを根拠としているものであるから,この本件訂正請求に係る訂正は,それ自体により,本件発明1に新規性,進歩性を与えることになるものではない。その意味で,決定の上記誤りは,その結論に影響しない,というべきである。」とも述べ、他の取消理由で取り消しています。
◆H16. 4. 8 東京高裁 平成13(行ケ)335 特許権 行政訴訟事件
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>> 補正・訂正
>> 新規事項
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2004.03.31
◆H16. 3.30 東京高裁 平成14(行ケ)453 特許権 行政訴訟事件
訂正で追加した事項が新規事項に該当するかが争われました。裁判所は「新規事項である」とした審決を維持しました。
◆H16. 3.30 東京高裁 平成14(行ケ)453 特許権 行政訴訟事件
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>> 新規事項
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