CS関連発明について、控訴審で差止請求が認められました。無効理由については「時機に後れた」として採用されませんでした。1審は、均等侵害も第1、第2、第3要件を満たさない、分割要件違反、および一部のクレームについてサポート要件違反があると判断していました。
引用発明1は,前記ア(イ)のとおり,「毎度の自動売買では自動売買テーブルでの
約定価より真下の安値の買取り及び約定価より真上の高値の売込みが同時に発注さ
れるよう設定されたものであって,それにより,先に約定した注文と同種の注文を
含む売込み注文と買取り注文を同時に発注することで,株価が最初の売買価の値段
の範囲から上下に変動する場合に,所定の収益を発生させることに加え,口座の残
高及び持ち株の範囲において,株の現在価を無視して株の値段への変動を一向に予\n測することなく,従前の株の買取り値より株価が下落すると所定量を買い取り,買
取り値より株価が上がると所定量を売り込むこと」を特徴とするものである。
このように,引用発明1において,従前の株の買取り値より株価が下落すると所
定量を買い取り,買取り値より株価が上がると所定量を売り込む,という,連続し
た買取り又は売込みによる口座の残高又は持ち株の増大をも目的とするものである
から,このような設定に係る構成を,約定価と同じ価格の注文を含む注文を発注対\n象に含めるようにし,それを「繰り返し行わせる」設定に変更することは,「約定価
より真下の安値の買取り」及び「約定価より真上の高値の売込み」を同時に発注す
ることにより,「従前の株の買取り値より株価が下落すると所定量を買取り,買取り
値より株価が上がると所定量を売込む」という,引用発明1の特徴を損なわせるこ
とになる。
そうすると,引用発明1を本件発明の構成1Hに係る構\成の如く変更する動機付
けあるといえないから,構成1Hに相当する構\成は,引用発明1から当業者が容易
に想到し得たものとはいえない。
エ 被控訴人の主張について
被控訴人は,本件発明1と引用発明1との相違点は,引用発明1が本件発明1の
構成1Fのうち「前記一の注文価格を一の最高価格として設定し」ていない点であ\nり,その余の点では一致していることを前提に,本件発明1は,引用発明1から容
易想到である,と主張する。
しかし,前記イのとおり,本件発明1と引用発明1とは,引用発明1が本件発明
1の構成1Hの構\成を有していない点について相違している。被控訴人の主張は,
その前提を欠き,理由がない。
・・・・
4 なお,被控訴人は,口頭弁論終結後に,本件発明1が無効とされるべきであ
ることが明白である事由があるとして,口頭弁論再開を申し立てるが,無効事由の\n根拠となるべき資料は10年以上前に作成されていたものであり,上記無効事由は,
被控訴人が重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法であって,
これによって訴訟の完結を遅延させることとなるから,却下されるべきものである
から,口頭弁論を再開しない。
◆判決本文
◆1審はこちらです。平成27(ワ)4461