特許権者は、専用実施権を設定した場合でも、その特許権に基づく差止請求権を行使できるかについて、最高裁が判断を示しました。
「特許法100条1項の文言上,専用実施権を設定した特許権者による差止請求権の行使が制限されると解すべき根拠はない。また,実質的にみても,専用実施権の設定契約において専用実施権者の売上げに基づいて実施料の額を定めるものとされているような場合には,特許権者には,実施料収入の確保という観点から,特許権の侵害を除去すべき現実的な利益があることは明らかである上,一般に,特許権の侵害を放置していると,専用実施権が何らかの理由により消滅し,特許権者が自ら特許発明を実施しようとする際に不利益を被る可能性があること等を考えると,特許権者にも差止請求権の行使を認める必要があると解される。これらのことを考えると,特許権者は,専用実施権を設定したときであっても,差止請求権を失わないものと解すべきである。」と判断しました。
高裁の判決です 。
◆H16. 2.27 東京高裁 平成15(ネ)1323 特許権 民事訴訟事件
第1審です。
◆ H15. 2. 6 東京地裁 平成13(ワ)21278 特許権 民事訴訟事件
◆平成17年06月17日 第二小法廷判決 平成16年(受)第997号 特許権侵害差止請求事件