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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

用語解釈

◆H17.12.27 東京地裁 平成15(ワ)23079 特許権 民事訴訟事件

 クレームに対応する発明の詳細な説明が十分でないとして、技術的範囲が限定して解釈されました。
 裁判所は、「マップから2つの読出順序データを得,これを図形発生手段に供給しないと,当時の技術では図形の回転表示を行なうことができないといわざるを得ず,本件実施例以外の回転表\示方法による構成は,本件明細書中に一切開示されていない。すなわち,本件特許発明について,本件実施例以外の説明では,当業者がマップとキャラクタジェネレータとを用いて図形の回転表\示を行うこと,すなわち本件特許発明を実施することができる程度に明確かつ十分に特許請求の範囲が説明されているとはいえないから,開示されていない技術思想を特許請求の範囲に含ませることはできない。」と述べました。

◆H17.12.27 東京地裁 平成15(ワ)23079 特許権 民事訴訟事件

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◆H17. 3. 3 東京高裁 平成15(行ケ)530 特許権 行政訴訟事件

 CS関連発明について、特許請求の範囲に記載された「同時に」という構成要件を「特定の情報フィールドの指示に『連動してないし自動的に』,あらかじめその特定の情報フィールドにリンクされている所定のツールを表\示するということ」を意味するものと解し得るか否かということが争われました。
 裁判所は、「参加人は,「同時に」という用語を,「特定の情報フィールドの指示に『連動してないし自動的に』,あらかじめその特定の情報フィールドにリンクされている所定のツールを表示するということ」を意味するものと主張するが,「同時に」との日本語の意義は,「二つ以上のことがほとんど同じ時に行われるさま」であれば,様々な態様を広く含む意味を有するのであって,「一方のことが他方のことに『連動して』いるとか,一方のことから『自動的に』他方のことが生じる」などという意味ないしニュアンスを含むものではない。参加人主張の意義をもたせるには,特許請求の範囲の記載においてしかるべき表\記をすべきところ,本件においては,単に「同時に」とされて,特段の定義付けがされているわけではなく(明細書においても定義は見当たらない。),また,特許請求の範囲の記載全体を精査しても,上記日本語の通常の意義と異なる意味に使われていることをうかがわせる記載は存在しない。  よって,「同時に」の解釈に関する参加人の主張は採用し得ず,これを前提とする主張も採用することができない。」と判断しました。

◆H17. 3. 3 東京高裁 平成15(行ケ)530 特許権 行政訴訟事件

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◆H17. 2. 1 東京地裁 平成16(ワ)16732 特許権 民事訴訟事件

  パッケージソフトに対して、アイコンの範囲および間接侵害が成立するかが争われました(CS関連発明?)。裁判所は、出願時の技術常識を考慮して、「アイコンとは、「表\示画面上に,各種のデータや処理機能を絵又は絵文字として表\示して,コマンドを処理するもの」であり,かつそれに該当すれば足りるのであって,本件明細書の記載によっても,本件特許出願当時の当業者の認識においても,それ以上に,ドラッグないし移動可能なものであるとか,デスクトップ上に配置可能\なものであるなどという限定を付す根拠はないというべきである。」と認定しました。
 また、間接侵害についても、「被告製品をインストールしたパソコン及びその使用は,本件各発明の構\成要件を充足するものであるところ,被告製品は,「被告製品をインストールしたパソコン」の生産に用いるものであり,かつ,「(従来の方法では)キーワードを忘れてしまった時や,知らないときに機能\説明サービスを受けることができない」という本件発明による課題の解決に不可欠なものであると認められる。また,被告製品が「日本国内において広く一般に流通しているもの」でないことは明らかである。被告は,Windowsというマイクロソフト社のオペレーティングシステムそのものに,本件発明と同様の機能\があるから,被告製品は「その発明による課題の解決に不可欠なもの」ではないと主張する。その主張の趣旨は必ずしも判然としないが,仮に被告がいうように,Windowsのヘルプ表示プログラム等によって,「『ヘルプモード』ボタンの指定に引き続いて他のボタンを指定すると,当該他のボタンの説明が表\示される」という機能が実現されるとしても,別紙イ号物件目録ないしロ号物件目録記載の機能\は,あくまで被告製品をインストールしたパソコンによってしか実行できないものであるから,被告製品は本件発明による課題の解決に不可欠なものであり,被告製品をインストールする行為は,本件特許権を侵害する物の生産であるといわざるを得ない。」と間接侵害認めました。かかる間接侵害の規定の適用は知っている限りでは初めてです。

 関連事件(当事者および該当特許が同じ)(H16. 8.31 東京地裁 平成15(ワ)18830等 特許権 民事訴訟事件)こちら(当事者同じ)にあります。 また、こちらは、(H16.10.29 東京地裁 平成15(ワ)27420 特許権 民事訴訟事件)当事者のみ同じ事件です。  

◆H17. 2. 1 東京地裁 平成16(ワ)16732 特許権 民事訴訟事件

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 >> 間接侵害
 >> コンピュータ関連発明

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◆H17. 1.27 東京高裁 平成16(ネ)1664 特許権 民事訴訟事件

 争点はいくつかありますが、1つは請求の範囲の表記方法です。裁判所は「しかし,「AとBからなる」との文言は,AとB以外の第三成分を排除する趣旨で使用するのが通常であるから,本件明細書の特許請求の範囲や発明の詳細な説明にAとB以外の第三成分を明示的に加える旨の記載があるなどの特段の事情が認められない限り,「AとBからなる」との文言が「AとBを用いている」との文言と同様にAとB以外の第三成分を排除する意味合いがないと解することはできない。」と判断しました。  

 こちらは、その損害賠償請求事件です。◆H17. 1.27 東京高裁 平成16(ネ)1589 特許権 民事訴訟事件
 

◆H17. 1.27 東京高裁 平成16(ネ)1664 特許権 民事訴訟事件

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◆H16.12.28 東京地裁 平成15(ワ)19733等 特許権 民事訴訟事件

  機能的な表\現で記載されているクレーム関する技術的範囲についての判断が為されました。なお、本件は明らかな無効理由も存在するとされてます。
 問題となったクレームは、以下の通りです。「芯のくり抜かれた新鮮な苺の中にアイスクリームが充填され,全体が冷凍されているアイスクリーム充填苺であって,該アイスクリームは,外側の苺が解凍された時点で,柔軟性を有し且つクリームが流れ出ない程度の形態保持性を有していることを特徴とするアイスクリーム充填苺」
 裁判所は、「この「外側の苺が解凍された時点で,柔軟性を有し且つクリームが流れ出ない程度の形態保持性を有していることを特徴とする」との記載は,「新鮮な苺のままの外観と風味を残し,苺が食べ頃に解凍し始めても内部に充填されたアイスクリームが開口部から流れ出すことがなく,食するのに便利であ」る(本件明細書【0008】。本件公報3欄38行ないし41行)という本件特許発明の目的そのものであり,かつ,「柔軟性を有し且つクリームが流れ出ない程度の形態保持性」という文言は,本件特許発明におけるアイスクリーム充填苺の機能ないし作用効果を表\現しているだけであって,本件特許発明の目的ないし効果を達成するために必要な具体的な構成を明らかにするものではない。 このように,特許請求の範囲に記載された発明の構成が作用的,機能\的な表現で記載されている場合において,当該機能\ないし作用効果を果たし得る構成であれば,すべてその技術的範囲に含まれると解すると,明細書に開示されていない技術思想に属する構\成までもが発明の技術的範囲に含まれ得ることとなり,出願人が発明した範囲を超えて特許権による保護を与える結果となりかねない。しかし,このような結果が生ずることは,特許権に基づく発明者の独占権は当該発明を公衆に対して開示することの代償として与えられるという特許法の理念に反することになる。 したがって,特許請求の範囲が,上記のような作用的,機能的な表\現で記載されている場合には,その記載のみによって発明の技術的範囲を明らかにすることはできず,当該記載に加えて明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌し,そこに開示された具体的な構成に示されている技術思想に基づいて当該発明の技術的範囲を確定すべきものと解するのが相当である。」と述べました。

◆H16.12.28 東京地裁 平成15(ワ)19733等 特許権 民事訴訟事件

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 >> 104条の3

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