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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

用語解釈

平成20(ネ)10080 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年07月29日 知的財産高等裁判所

 決済管理サーバを備えていないので技術的範囲外とした1審判断を維持しました。
 「原告らは,被告方法においては,「承諾しMUSIC.JP300に登録」 をクリックすることによって,当該携帯電話機から一旦MTIサーバに対し, 当該携帯電話機を特定する情報と30コイン分の楽曲の代金が315円である であるという情報とを含む30コイン分の楽曲が購入できる30コインの発行 を希望する希望信号を発信し,これを受信したMTIサーバは,当該携帯電話 機を特定する情報が記録されているか否かを判断していると主張する。 しかし,本件全証拠によっても,被告方法が,マイメニュー登録の段階で, MTIサーバが携帯電話機から上記の希望信号を受信した後に,当該携帯電話 機を特定する情報がMTIサーバのデータベースに記録されているか否かを判 断した上で当該携帯電話機をiモードサーバに接続させる処理経路が採用され ていることを認めることはできない。」

◆平成20(ネ)10080 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成21年07月29日 知的財産高等裁判所

1審判断はこちらです

◆平成19(ワ)13244平成20年10月02日 大阪地方裁判所
 

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◆平成20(ワ)8611 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 大阪地方裁判所

 構成要件を充足していないとして、技術的範囲に属しないと判断されました。
  「原告は,物理的,構造的な観点から構\成部分の一体性を判断するのであれば,本件特許発明も構成全体が一体ということになってしまい不合理であるから,機能\と位置を基準に各構成部分を判断するほかない,被告製品のA部分6’と補強片9’の機能\は異なるとして,両部分は独立した構成部分であると主張する。確かに,本件特許発明の掛止部材においては,構\造的に連続する周縁部,アーム部及び舌片部がそれぞれ別の構成部分とされており,構\成部分の区分に当たっては機能と位置が重視されているものと解されるところ,被告製品のA部分6’と補強片9’(保持部分)とは構\造的に連続しているだけではなく,上記のとおり,袋本体2’に一体的に貼着されているため,一体として把手部5’とともに袋本体2’を対向する2面からそれぞれ外向けに互いに反対方向に引っ張り,袋本体2’の開口部8’の開口形状を良好に維持し,袋本体2’の表\裏の矩形面2’a,2’bが撓んで開口部8’が閉ざされるのを防止するという共通の機能を有するのであるから,機能\的にも両部分を切り離して捉えることはできない。」

◆平成20(ワ)8611 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 大阪地方裁判所

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◆平成19(ワ)22715 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 東京地方裁判所

 特許請求の範囲の用語「抽出」について、化学変化を起こさせる方法については開示または示唆がないとして、技術的範囲に属さないと判断されました。
   「燕窩の含水溶剤抽出物」の製造方法としては,「燕窩乾燥物の粉砕品を,1〜 1000 倍重量,好ましくは5〜 500 倍重量,より好ましくは10 〜 100 倍重量の含水溶剤中において,0〜 180 ℃,好ましくは室温〜 120 ℃の範囲の温度において,10 分〜 50 時間,好ましくは1〜8時間抽出処理する」ものであり,「抽出処理は,常圧下および加圧下のいずれで行ってもよく,抽出装置としては,加熱抽出機等が利用できる」こと,抽出処理に用いる含水溶剤の例としては,「例えば,水を始め,水と水混和性有機化合物との混合物が用いられ,水混和性有機化合物としては,メタノールなどが挙げられる」こと,成分としては,「通常タンパク質が40 〜 80 重量%,糖質が20 〜 60 重量%およびシアル酸が0.1 〜 15 重量%の割合で含有されている」こと,作用としては,「優れた保湿作用、皮膚細胞におけるコラーゲン合成促進作用及び良好な皮膜形成能を有しており、皮膚に対して極めて安全性が高い」ことなどが説明されているにとどまり,燕窩の含水溶剤抽出に際し,単に目的物(燕窩中の成分)を抽出相(水や水と水混和性有機化合物との混合物)に溶解させて抽出する方法のほかに,タンパク分解酵素による加水分解反応等の化学変化を起こさせる方法も採り得ることや,このように化学変化を起こさせる方法により燕窩から取り出した物質が,燕窩から水等によって抽出した物質と同様の成分,作用を有することなどを示唆する記載は,存在しないことが認められる。また,本件明細書中には,「含水溶剤」及び「抽出物」という用語について,酵素を用いた加水分解のように,燕窩の中の成分に適当な化学変化を起こす場合をも含むものである旨の,格別の定義は記載されていない。したがって,本件明細書の記載からも,特許請求の範囲に記載された「燕窩の含水溶剤抽出物」は燕窩の酵素分解物を含むものであると解釈することは,困難である。」

◆平成19(ワ)22715 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 東京地方裁判所

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◆平成19(ワ)22715 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 東京地方裁判所

 構成要件を充足しないとして非侵害と認定されました。

◆平成19(ワ)22715 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年06月30日 東京地方裁判所

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◆平成18(ワ)11429 特許権侵害差止等 特許権 民事訴訟 平成21年04月07日 大阪地方裁判所

 原実施権者に対する損害賠償請求事件です。1)特許請求の範囲の用語の解釈、2)均等判断、3)補正された場合の通知義務なとが争われまれした。
  争点1)
 「原告は,本件明細書の発明の詳細な説明には,熱伝導性無機フィラーの全量がカップリング処理されていなければ本件各特許発明の効果が得られないとは記載されていないから,構成要件Bの「熱伝導性無機フィラー」全量がカップリング処理されることまで要求されていないとも主張する。確かに,本件明細書では,熱伝導性無機フィラーの全量がカップリング処理されていなければ本件各特許発明の効果が得られないとまでは明示的に記載されていない。しかし,他方で,本件明細書には,未処理の熱伝導性無機フィラーを加えてもよいことについて何らの開示も示唆もなく,実施例にも熱伝導性無機フィラーの全量がカップリング処理されたものだけが開示されており,未処理の熱伝導性無機フィラーを加えた場合にも,そうでない場合と同様の効果が得られることについて何ら記載されていない。むしろ,前記ウのとおり,未処理の熱伝導性無機フィラーは,その表\面が疎水性の長鎖アルキル基に全く覆われていないのであるから,これを加えた場合に本件各特許発明と同様の効果が得られるとは容易に想到できないと考えられる。この点,原告は,自ら実験した結果(甲6)を基に,熱伝導性無機フィラーの半量を処理した場合であっても,本件各特許発明の効果を奏するに十分であると主張する(原告第3準備書面15頁6行〜16頁9行)。しかし,特許請求の範囲の解釈(均等侵害の成否は別論)において,明細書の記載のほか,出願経過及び公知技術を参しゃくすることを超えて,当業者にとって自明でない実験結果を考慮することはできないというべきであるから,同実験結果の信用性にかかわらず,これを根拠とすることはできない。・・・以上からすると,本件補(ウ) 正における原告の主観的意図はともかく,少なくとも構成要件Bを加えた本件補正を外形的に見れば,カップリング処理された熱伝導性無機フィラーの体積分率を限定したものと解するのが相当であり,自らかかる補正をしておきながら,後になってこれと異なる主張をすることは,本件補正の外形を信用した第三者の法的安定性を害するものであり,禁反言の法理に抵触し許されないというべきである。
 争点2)
 「そうすると,特許権者において特許発明の技術的範囲に属しないことを承認したといった主観的な意図が認定されなくても,第三者から見て,外形的に特許請求の範囲から除外されたと解されるような行動をとった場合には,第三者の予測可能\性を保護する観点から,上記特段の事情があるものと解するのが相当である。そこで,かかる解釈を前提に,本件において上記特段の事情が認められるかどうかについて検討する。・・・前記1 において認定したとおりであり,本件補正をするに当たっての原告の主観的意図はともかく,少なくとも構成要件Bを加えた本件補正を外形的に見れば,カップリング処理された熱伝導性無機フィラーの体積分率を限定したものと解される。したがって,原告は,熱伝導性無機フィラーの体積分率が「40vol%〜80vol%」の範囲内にあるもの以外の構成を外形的に特許請求の範囲から除外したと解されるような行動をとったものであり,上記特段の事情に当たるというべきである。なお,本件拒絶理由通知は,単に組成物に係る発明だからという理由で,その組成比の記載がない本件出願は,特許法36条6項2号に規定する要件を充足しないと判断しているところ,この判断の妥当性には疑問の余地がないではない。しかし,第三者に拒絶理由の妥当性についての判断のリスクを負わせることは相当でなく,原告としても,単に熱伝導性無機フィラーの総量を定める意図だったというのであれば,その意図が明確になるような補正をすることはできたはずであり,それにもかかわらず,自らの意図とは異なる解釈をされ得るような(むしろそのように解する方が自然な)特許請求の範囲に補正したのであるから,これによる不利益は原告において負担すべきである。(3) 以上により,GR−b等について,「対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない」ことという要件を充たさないから,これらを本件各特許発明と均等なものとして,その技術的範囲に属すると認めることはできない。」
 争点3)
 「原告は,信義則上,本件補正を通知する義務を負っていたと主張するところ,上記 イ・ウのとおり,出願段階では補正が認められて特許されるものかどうかが未だ確定しておらず,原告が本件補正書を提出したというだけでは直ちに本件実施契約上の権利義務に影響を及ぼすものではないと解すべきであるから,そもそも補正の事実を通知する実益に乏しく,信義則上,かかる義務を認めることはできない。他方で,補正によって特許請求の範囲が減縮された上で特許査定され,特許権が発生した場合には,本件実施契約上の権利義務にも影響を及ぼすことになるから,減縮の事実を被許諾者に通知する実益があることは否定できない。また,本件実施契約では,まず,被告において自己の販売する製品が「許諾製品」に該当するかどうかを判断すべきであるから,その判断に当たって特許請求の範囲が減縮されたことは重要な情報といえる。したがって,少なくとも,被告から本件出願の経過等について問合せがされた場合には,原告はこれに誠実に応答すべき信義則上の義務があったというべきである。しかし,さらに進んで,特許請求の範囲が減縮されたことについて,被告からの問合せの有無にかかわらず原告から積極的にこれを通知すべき義務があったか否かについては,これを容易に肯定することはできない。なぜなら,本件実施契約書においてかかる通知義務の存在を窺わせる条項は全く見当たらず,同契約書外においても通知義務を認める旨の合意の存在を推認させる具体的事情は何ら認められないのであるから,本件において通知義務を認めるということは,実施許諾契約一般において,これについての明示又は黙示の合意の有無にかかわらず,許諾者たる特許権者に信義則上の通知義務を負わせることになりかねないからである。もともと,出願段階で許諾を受けようとする者にとって,契約締結後の補正により特許成立段階で特許請求の範囲が減縮されることは,当然に想定できる事柄であり,減縮があった場合に許諾者から通知して欲しいというのであれば,契約交渉段階でその旨の同意を取り付けて契約書に明記しておくべきといえる(かかる交渉を経ずに許諾者一般にかかる義務を負わせることは,むしろ許諾者に予期しない不利益を被らせるおそれがある。)。また,被許諾者は,許諾者に特許請求の範囲を問い合わせたり(少なくとも許諾者には問合せに応答すべき義務がある。),特許公報等を参照するなどして,特許請求の範囲がどのようになったか調査することができるのである。上記のような事情を併せ考慮すれば,許諾者たる特許権者一般に,信義則上,特許請求の範囲が減縮された場合の通知義務を認めることはできないというべきであり,本件においても,原告に,信義則上かかる通知義務があったと認めるに足りる事情はない(なお,上記は特許請求の範囲が減縮された場合を前提としており,拒絶査定不服審判における不成立審決が確定した場合や,特許無効審判における無効審決が確定したような場合における通知義務については別途考慮を要するところである。)。」

◆平成18(ワ)11429 特許権侵害差止等 特許権 民事訴訟 平成21年04月07日 大阪地方裁判所
  

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◆平成19(ネ)10025 特許権に基づく差止請求権不存在確認等,売掛代金等請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成21年03月11日 知的財産高等裁判所

  地裁は差止請求権無し等と判断しましたが、知財高裁は、これを取り消しました。
  「被控訴人製品(1)の「d 当該シート体には,アクリル系接着剤で接着された合わせ目を除いて,エポキシ樹脂の合成樹脂体が浸透して,シート体と合成樹脂体が一体化されている」は,アクリル系接着剤で接着された合わせ目において,固化したアクリル系接着剤が存在することにより,エポキシ樹脂の合成樹脂体が浸透することが妨げられるとしても,その余の大半の部分については,エポキシ樹脂の合成樹脂体が浸透するのであるから,本件発明1の構成要件Dの「該シート体には前記合成樹脂が浸透してシート体と合成樹脂が一体化されてなること」に該当する。エ そうすると,被控訴人製品(1)は,本件発明1の構成要件をすべて充足するから,本件発明1の技術的範囲に属する。」

◆平成19(ネ)10025 特許権に基づく差止請求権不存在確認等,売掛代金等請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成21年03月11日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(ネ)10065 特許権侵害差止請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成21年02月18日 知的財産高等裁判所

   地裁は「メッセージ」という文言を実施形態の記載に基づき解釈して、技術的範囲に属しないと判断しましたが、知財高裁はこれを取り消しました。
  「証拠(甲9)によれば,「メッセージ」とは「任意の量の情報」ないし「言語その他の記号によって伝達される情報内容」(広辞苑第6版2766頁)を指す。ところで,本件発明の詳細な説明には,実施例として,「応答音」を用いて3種類の番号に仕分けする手段が示されている。しかし,前記2で判断したとおり,構成要件Bにおける「接続信号」は,可聴信号に限られるものではなく,可聴信号及び非可聴信号の両者を含む上位概念と理解すべきであることに照らすならば,構\成要件Cにおける「応答メッセージ」も,可聴なものに限られると解すべき根拠はなく,応答を受けた可聴情報及び非可聴情報の両者を含む上位概念と理解するのが相当である。したがって,「応答メッセージ」とは電話を発したときに応答される言語その他の記号によって伝達される情報を指すものと解するのが相当である(「信号」と「メッセージ」はいずれも情報を指すものであり,「応答メッセージ」を「接続信号」と異なる性質を有するものとして,可聴のものに限定する根拠はない。)。」

原審はこちらです
    ◆平成19(ワ)32525 平成20年07月24日 東京地方裁判所
    ◆平成20(ネ)10065 特許権侵害差止請求控訴事件 特許権民事訴訟 平成21年02月18日 知的財産高等裁判所

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