2010.12.21
平成21(ワ)36145 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟平成22年12月03日 東京地方裁判所
CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。
以上のとおり,本件明細書の上記イの記載及び図示は,上記アの文言解釈と整合するものであり,これらの記載及び図示を考慮しても,本件発明は,構成要件Bで生成された番組ディレクトリ(記録された番組の位置を含んでいる。)をそのまま構\成要件Dで表示するものであると解釈するのが相当である。・・・他方,被告製品については,「録画番組一覧表\」において,「記録された番組の前記ディレクトリ」に含まれる情報のうち「記録された番組のタイトル」を表示していることは認められるものの,「記録された番組の位置」を表\示しているとは認められない。すなわち,被告製品では,番組を記録する記録媒体として,先頭から順次アクセスするテープではなく,任意の位置にランダムにアクセスすることが可能なHDDを利用しているのであるから,「録画番組一覧表\」に表示されている順序は,HDD上での記録位置とは何らの関連がないものであり,その他,本件全証拠を検討しても,被告製品について,「記録された番組の位置」を表\示していることを認めることはできない。オ したがって,被告製品方法は,本件発明の構成要件Dを充足するものと認めることはできない。2 以上のとおり,被告製品方法は,本件発明の構成要件Dを充足するものと認めることはできないから,被告製品は本件発明の方法の使用に用いられる物ということはできず,その製造,販売が特許法101条5号のみなし侵害に該当するということはできない。\n
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2010.12.21
平成21(ワ)35184 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟平成22年12月06日 東京地方裁判所
ナビゲーションサービスに対する特許侵害訴訟にて、裁判所は、車載用ではないとして、技術的範囲外と認定しました。また一部構成要件についても充足しないとして、間接侵害も否定しました。
以上のような被告サーバー及び本件携帯端末の構成からすれば,被告装置においては,現在地及び目的地を入力・設定して,経路探索を行い,その結果をディスプレイに表\示してユーザーに伝達するために,被告サーバーと本件携帯端末が,それぞれ次の機能を分担しているものと認められる。・・・以上のとおり,被告装置は,被告サーバーと本件携帯端末とによって構\成され,両者がそれぞれ機能を分担してナビゲーション機能\を果たしていることから,このような被告装置が「車載ナビゲーション装置」ということができるか否か,すなわち,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」が,複数の機器に機能が分担され,かつ,その機器の一部が車両に搭載されていないものを含むか否かが問題となる。・・・・証拠(甲22ないし25)によれば,「車載」という語の一般的な意義は,「車に積みのせること」をいうと認められる。また,弁論の全趣旨によれば,「装置」という語の一般的な意義は,「ある目的のために機械・道具等を取り付けること。そのしかけ。」をいい,一定の機能\を持ったひとまとまりの機器をいうと認められる。エ検討(ア) 前記ウの「車載」及び「装置」という語の一般的な意義からすれば,「車載ナビゲーション装置」とは,車両に載せられたナビゲーションのための装置(ひとまとまりの機器)をいい,ひとまとまりの機器としてのナビゲーション装置が車両に載せられていることを意味すると解するのが,自然である。そして,本件各特許の特許請求の範囲の記載のように,A,B,C,Dとの「手段を含むことを特徴とする車載ナビゲーション装置」というとき,「ナビゲーション装置」がA,B,C,Dという手段を備えるとともに,そのような手段を備えたナビゲーション装置が「車載」,すなわち,車に載せられていることが必要であると解するのが,その文言上,自然である。また,本件各明細書に開示されている「車載ナビゲーション装置」の構成は,前記イのとおり,各構\成要素から成る一体の機器としての「車載ナビゲーション装置」であって,被告装置における被告サーバーと本件携帯端末のように,車両内の機器と車両外の機器にナビゲーション装置の機能を分担させ,両者間の交信その他の手段によって情報の交換を行い,全体として「ナビゲーション装置」と同一の機能\を持たせることは開示されていない。したがって,各機器をどのように構成し,また,各機器にどのように機能\を分担するか,各機器間の情報の交換をどのような手段によって行うかについても,本件各明細書には何らの開示もされていない。さらに,本件各特許発明はナビゲーション「装置」に関する特許発明であるから,「装置」の構成が特許請求の範囲に記載された構\成と同一であるか否かが問題となるのであって,同一の機能,作用効果を有するからといって,構\成が異なるものをもって,本件各特許発明の技術的範囲に属するということはできないことはいうまでもない。以上のことからすれば,本件各特許発明にいう「車載ナビゲーション装置」とは,一体の機器としてのナビゲーションのための装置が車両に載せられていることが必要であり,車両に載せられていない機器は,「車載ナビゲーション装置」を構成するものではないと解される。\n
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2010.12. 7
平成21(ワ)7718 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月30日 東京地方裁判所
切り餅事件について、明細書の記載、出願経過が参酌されて上面および底面に切り込みがあるものは技術的範囲外と解釈されました。
原告は,焼き上がった後の切り込み部が「忌避すべき焼き形状とならない」ことについて述べる本件明細書の記載(段落【0034】等)は,単に「側周表面」に設けられた切り込み部が忌避すべき焼き形状とならないことを指摘したものにすぎず,「載置底面又は平坦上面」に切り込み部を設けるか否かについて何ら言及するものではない旨主張する。しかしながら,前記ア(イ)で述べたとおり,本件明細書には,加熱時の膨化による噴き出しを制御するための切り込み部を餅の表面(切餅では平坦上面)に設けた場合には,「人肌での傷跡のような焼き上がりとなり,焼き上がり形状が忌避すべき状態となってしまい,切餅への実用化がためらわれる」という従来の課題を踏まえ,当該切り込み部を,平坦上面の場合に比べて見えにくい上に,オーブンによる火力が弱い位置である「側周表\面」に設けたことによって,「焼き上がった後の切り込み部位が人肌での傷跡のような忌避すべき焼き形状とならない場合が多い」などの作用効果を奏することが記載されていることに照らすならば,原告の上記主張は,理由がない。
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2010.12. 7
平成21(ワ)7718 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月30日 東京地方裁判所
切り餅事件について、明細書の記載、出願経過が参酌されて上面および底面に切り込みがあるものは技術的範囲外と解釈されました。
原告は,焼き上がった後の切り込み部が「忌避すべき焼き形状とならない」ことについて述べる本件明細書の記載(段落【0034】等)は,単に「側周表面」に設けられた切り込み部が忌避すべき焼き形状とならないことを指摘したものにすぎず,「載置底面又は平坦上面」に切り込み部を設けるか否かについて何ら言及するものではない旨主張する。しかしながら,前記ア(イ)で述べたとおり,本件明細書には,加熱時の膨化による噴き出しを制御するための切り込み部を餅の表面(切餅では平坦上面)に設けた場合には,「人肌での傷跡のような焼き上がりとなり,焼き上がり形状が忌避すべき状態となってしまい,切餅への実用化がためらわれる」という従来の課題を踏まえ,当該切り込み部を,平坦上面の場合に比べて見えにくい上に,オーブンによる火力が弱い位置である「側周表\面」に設けたことによって,「焼き上がった後の切り込み部位が人肌での傷跡のような忌避すべき焼き形状とならない場合が多い」などの作用効果を奏することが記載されていることに照らすならば,原告の上記主張は,理由がない。
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2010.11.30
平成19(ワ)10364 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月18日 大阪地方裁判所
クレームの用語の意義について争われました。裁判所は、技術的範囲外と認定しました。
以上のように,「単孔円筒状」の語義及び構成要件Cの数値限定の趣旨からすれば,「単孔円筒状」とは,貫通した孔を有する形状と解するのが自然であること,本件明細書において外側と内側から燃焼する形状として開示されているものは図1に示すような形状のみであり,他の形状について何らの開示や示唆もないこと,図1に示すような形状のほかに,本件特許発明の作用効果を奏する形状が当業者において自明であったとも認めがたいことに照らすと,構\成要件Bにおける「単孔円筒状」とは,1つの貫通した孔を有する円筒状の形状,すなわち図1のような形状を指すものと解するのが相当である。・・・そして,証拠(甲53)によれば,被告各製品のガス発生剤成型体が本件形状である以上,目視で孔を確認することはできない。また,証拠(乙109)によれば,被告各製品のガス発生剤成型体は,・・・を通すことにより,連続して両側から押し潰しながら切断し,乾燥して製造していると認められ,このような過程で製造された被告各製品のガス発生剤成型体は,通常は,その両端が押し潰されており,孔は開いていないものと考えられる。このように,本件形状のガス発生剤成型体には,そもそも孔が開いていないのであるから,構成要件Bにおける単孔円筒状に該当するとは認められない。\n
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2010.11.10
平成20(ネ)10056 各損害賠償請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年10月25日 知的財産高等裁判所
侵害事件の控訴審です。原審は構成要件B2ないしB4を具備しないとの理由で原告の請求棄却しましたが、知財高裁は、B3要件を具備しないとの理由で控訴棄却しました。
原判決が被控訴人製品における「暗号化された固定値」は本件発明の構成要件B2ないしB4にいう「番号識別子」に該当しないから本件発明の技術的範囲に属さないとしたのと異なり,同製品は上記構\成要件のB2ないしB4要件における「番号識別子」は充足するもののB3要件における「番号識別子が前記自局電話番号に該当するか否かを判定する」は充足しないから,結局,被控訴人製品は本件発明の技術的範囲に属さないと判断する。その理由は,以下に述べるとおりである。・・・c 上記記載によれば,本件発明の課題はコンテンツの著作権保護を図ることにあり(段落【0003】),本件発明は,メモリカード等の外部記憶媒体に対するデータの記録・読出しが可能な携帯電話機において,外部記憶媒体に記録したデータが,その記録を行った携帯電話機の電話番号以外の電話機で利用されるのを禁止できるようにすることを目的とするものである(段落【0004】,【0023】)。そして,本件特許明細書に「番号識別子」を定義付ける記載はないが,特許請求の範囲には,「前記自局電話番号を識別するための番号識別子」との記載があり,また,本件特許明細書には,「請求項1記載の発明によれば,外部記憶媒体に記録されるデータには,自局電話番号に固有の番号識別子が関係付けられ,関係付けられた番号識別子が携帯電話機の自局電話番号に該当しない場合には,データの読出しが禁止される。」(段落【0006】)との記載がある。したがって,本件発明の特許請求の範囲に記載されている「番号識別子」の解釈としては,外部記憶媒体に記録したデータがその記録を行った携帯電話機の電話番号以外の電話機で利用されるのを禁止することを目的に,携帯電話機の自局電話番号がその記録を行った携帯電話機の自局電話番号であることを識別するためのものであるから,「自局電話番号がその記録を行った携帯電話機の自局電話番号であることを識別するとの目的を達成し得る機能\を有するもの」と解するのが相当である。・・・・被控訴人製品は,前記のとおり,所定の「固定値」をコンテンツデータの記録を行う携帯電話機の自局電話番号及びその他の情報から所定のアルゴリズムにより生成された暗号鍵を用いて暗号化した記号(暗号化された固定値)をコンテンツデータに関係付けてSDカード(外部記憶媒体)に格納し,暗号化されたコンテンツを外部記憶媒体から読み出す前に,読出しを行う携帯電話機が自局電話番号及びその他の情報から所定のアルゴリズムにより復号鍵を生成し,「暗号化された固定値」を正しく所定の「固定値」と一致する値に復号することができた場合に暗号化されたコンテンツの読出しと復号を行うものであるから,上記のとおり正しく復号することができた場合は,記録を行った携帯電話機の自局電話番号及びその他の情報と,読出しを行う携帯電話機の自局電話番号及びその他の情報とが同一であると判定するものである。そうすると,「暗号化された固定値」は,コンテンツの読出しを行おうとする携帯電話機の自局電話番号等により生成された復号鍵により所定の「固定値」に復号されるか否かが判定されることにより,「自局電話番号がその記録を行った携帯電話機の自局電話番号であることを識別する」との目的を達成し得る機能があるから,本件発明の「番号識別子」に相当すると認めるのが相当である。よって,被控訴人製品は,構\成要件B2を充足する。
ウ B3要件該当性の有無
(ア) 「番号識別子が自局電話番号に該当するか否かを判定する」の意義B3要件は,前記のとおり「前記記録読出し手段が前記外部記憶媒体からデータを読み出す前に,そのデータに関係付けられて記録された番号識別子が前記自局電話番号に該当するか否かを判定する手段」とするものであるが,その素直な文理解釈からすると,そこでいう「番号識別子が前記自局電話番号に該当するか否かを判定する」とは,本件発明の実施例のごとく,番号識別子と自局電話番号とを直接対比して一致するか(該当するか)どうかを判別することを意味し,それ以上に,番号識別子によって携帯電話機の自局電話番号がその記録を行った携帯電話機の自局電話番号であるかどうかを判別する(番号識別子によって,データを記録した携帯電話機の自局電話番号が,データを読み出そうとする携帯電話機の自局電話番号に一致するか〔該当するか〕否かを判定する)ことも含んでいるとまでは意味しないと解するのが相当である。(イ) 被控訴人製品への当てはめa 本件発明の「番号識別子が前記自局電話番号に該当するか否かを判定する」とは,上記のとおり,外部記憶媒体に記録されているデータ(番号識別子)自体を直接の判断対象として,それが読出しを行おうとする携帯電話機の自局電話番号に当てはまるかどうか(一致するかどうか)の判定を行うこと,言い換えれば,番号識別子と自局電話番号とを直接対比して一致するか(該当するか)どうかを判別することを意味するところ,被控訴人製品においては,所定の「固定値」をコンテンツデータの記録を行う携帯電話機の自局電話番号等から生成された暗号鍵を用いて暗号化した記号(暗号化された固定値)が,読出しを行う携帯電話機においてその自局電話番号等から生成された復号鍵により正しく所定の「固定値」と一致する値に復号できるかどうかを見ることにより,記録を行った携帯電話機の自局電話番号と読出しを行う携帯電話機の自局電話番号が同一であるか否かを(いわば間接的に)判定するものであり,「番号識別子」である「暗号化された固定値」を直接の判断対象としてコンテンツデータの読出しを行おうとする携帯電話機の自局電話番号に当てはまるかどうか,言い換えれば「暗号化された固定値」と携帯電話機に記憶された自局電話番号を直接対比して一致するか(該当するか)どうかを判断するものではない。そうすると,被控訴人製品は,構成要件B3を充足しないというべきである。\n
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2010.10.23
平成21(ワ)5717 損害賠償請求事件 特許権 平成22年10月15日 東京地方裁判所
ワープロソフトに対して間接侵害を主張しましたが、技術的範囲外として非侵害と認定(CS関連発明)
。
(1)で説示したように,本件特許発明における「文法辞書」とは,現代仮名遣いの文法規則並びに歴史的仮名遣いの文法規則及び各仮名遣いに対する漢字候補を統合的に登録した「ファイル」であり,「ファイル」として仮名漢字変換部によって参照されるものであるが,被告装置における文法辞書の一部である「活用語尾テーブル」は,ファイルα(ATOK21W.IME)に格納されているデータではあるものの,仮名漢字変換に当たり参照される際にはメインメモリ上に展開されており,「ファイル」として存在するものではないため,被告装置の仮名漢字変換部は,「ファイル」としての「文法辞書」を参照するものと認めることはできない。そうすると,被告装置は,本件特許発明の構成要件B〜Dの上記「『ファイル』として仮名漢字変換部によって参照される」「文法辞書」の構\\成を有しないものであるから,上記構成要件を充足するものとは認められない。\n
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2010.09.16
平成21(ワ)1986 特許権 民事訴訟 平成22年08月31日 東京地方裁判所
特許権侵害について実施例に限定されるわけではないが、技術的範囲に属しないと判断されました。
本件発明の特許請求の範囲の記載中には,偶数番グローバルワードラインに対応する複数のローカルワードラインと奇数番グローバルワードラインに対応する複数のローカルワードラインとを交互に配置する旨の文言はなく,また,一般論として,特許発明の技術的範囲は,実施例に記載された構成に必ずしも限定されるものではない。しかしながら,原告が主張するようにグローバルワードラインに対応するローカルワードラインの並び順は問わないと解すると,本件発明には,例えば,前記ウの本件発明の実施の形態において,偶数番グローバルワードライン(EGWLi)に,順に並んだローカルワードライン(WL0ないしWL7)のうちWL0,WL1,WL2,WL3を対応させる構\成も含まれることになる。このような構成の下で,仮にWL2が選択される場合について考えると,前記ウ(コ)記載のとおり,選択されなかったローカルワードラインWL0,WL1及びWL3は,フローティング状態となるから,ローカルワードラインWL2の電位が選択電位に上昇すると,カップリング効果により,同じ偶数番グローバルワードラインに属する他のローカルワードラインWL0,WL1及びWL3の電位も一斉に上昇することになり,メモリ装置として正常に動作しない状態になってしまうことは明らかである。このような場合に生じるカップリングの問題を解決するための具体的な手段は,本件明細書中には一切開示されておらず,その解決手段が自明であると認めるに足りる証拠もない。
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2010.07.26
平成22(ワ)4486 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年07月08日 大阪地方裁判所
CS関連発明(?)について、技術的範囲外であるとして非侵害と認定されました。
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2010.05.24
平成21(ネ)10055 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月30日 知的財産高等裁判所
知財高裁は「本件訂正発明の構成要件gの「選択手段」を具備せず,また,被告製品は,本件訂正発明の均等物ではない」判断しました。
以上によれば,本件訂正発明は,従来の無線電話装置と,携帯型コンピュータとGPS利用者装置とをすべて携帯することができず,かつ相互を組み合わせてそれらを複合した機能を得ることができないとの課題を解決するために,複合した機能\を,実用的に得ることを目的とするものである。そうすると,本件訂正発明は,携帯型の情報装置がこれらの装置の機能を複合させた機能\を有することに特徴があり,機能の一部を他のサーバ等に置くことを想定したものということはできない。そして,前記認定の本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,「携帯型コミュニケータ」は,CPUを備えた携帯コンピュータと無線電話装置とGPS利用者装置とを備えるとともに,地図情報を備えた地図データROMが接続されており,CPUにより実行される最寄発信処理においては,まず,現在位置の座標と発信先の名称が入力され,次に,地図データROMから現在位置から最も近い発信先番号を選択する処理を行い,それは,現在位置の座標と地図データROMから読み込まれた地図情報とに基づいて選択しているものと認められる。したがって,「選択手段」による「発信先番号の選択」は,携帯コンピュータのCPUが,携帯型コミュニケータ自体で取得できるデータを用いて,発信先番号の選択に係る処理を実行することを指すと解するのが相当である。・・・,本件訂正発明における「携帯コンピュータ」が,「位置座標データ入力手段の位置座標データに従って,所定の業務を行う複数の個人,会社あるいは官庁の中から現在位置に最も近いものの発信先番号を選択する選択手段」との構\成を被告製品における上記処理手段に置換することは,解決課題及び解決原理が異なるから,置換可能性はないものというべきである。\n
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◆原審はこちらです。平成20年(ワ)第18866号
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2010.04.14
平成18(ワ)28244 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月25日 東京地方裁判所
パチスロ機の特許について、技術的範囲外と判断されました。
以下,構成要件1Hの共通報知の解釈について,本件明細書1の記載を考慮しつつ検討する。
ア 本件発明1に係る特許請求の範囲の記載によれば,構成要件1Gにおいて「前記可変表\\示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表\\示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え」と定め,これを受けて構\\成要件1Hは,構成要件1Gの「入賞態様に対応した報知情報」を共通報知とその後の報知からなるものに限定するものであることは明らかであり,そうすると,2つの異なる報知態様の各組合せが入賞態様に対応していることが必要であると解される。そして,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出については,その後の報知と合わせた報知全体として入賞態様の絞り込みが行われたとしても,それはその後の報知が入賞態様に対応していることによる結果にすぎず,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出とその後の報知との組合せが入賞態様に対応しているとみることは困難である。そうすると,共通報知というためには,それ単独であっても,入賞態様を絞り込むことのできる情報を有していなければならず,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出のような入賞態様を絞り込む情報を有しない演出については,共通報知に当たらないものと解するのが自然である。・・・上記のとおり,本件明細書1及び図面中には,遊技開始時に鳴る2種類の遊技開始音と,その後の各リール停止時における複数のリールランプ消灯パターンの組合せに対応して報知当選フラグが割り当てられ,「遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く」ものが開示されており,共通報知もそれ単独で,入賞態様の絞り込みができるものとなっている。また,発明の効果について「報知は各入賞態様に対して行われるため,例えば,停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる」とし,これは共通報知により入賞態様について一定の絞り込みがされることを前提とした記載であると解される。このような本件明細書1及び図面の記載に鑑みても,共通報知というためには,それ単独であっても,入賞態様を絞り込むことのできる情報を有していなければならず,配当のない当選役(ハズレ)を含むすべての入賞態様に共通する演出のような入賞態様を絞り込む情報を有しない演出については,共通報知に当たらないものと解するのが相当である。・・・・以上のとおり,被告物件の各演出は,いずれも,共通報知を備えないか,又は,共通報知を備えていても,その後の報知を備えないものであるから,被告物件は,構\\成要件1Hを充足するものと認めることができず,本件発明1の技術的範囲に属するものということはできない。・・・・,本件発明2は,報知態様を遊技状態及び当選フラグを参照して選択するとされていたものを,現在の特許請求の範囲のとおり訂正されたのであって,この訂正は,遊技状態及び当選フラグを参照する方法について,これらの変数からなるデモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択し,抽選値と乱数値を演算する方法に限定することで,特許請求の範囲を減縮するものである。すなわち,構成要件2Eは,報知態様を遊技状態及び当選フラグを参照して選択するという機能\\を果たすために,その計算処理過程を具体的に規定するものということができる。論理的には,遊技状態及び当選フラグの組合せごとにテーブル番号が割り当てられた表(デモ抽選テーブル選択テーブル)と,抽選値に報知態様が割り当てられた表\\(デモ抽選テーブル)とを1つの表に統合することは可能\\であり,かつ,これらのテーブルは,遊技状態,当選フラグ及び乱数という3つの変数によって報知態様を決定するという1つの機能を果たしていると見ることが可能\\なものである。そうであるにもかかわらず本件発明2において,デモ抽選テーブル選択テーブルとデモ抽選テーブルを別個のテーブルと位置付けていることに照らすと,本件発明2における「テーブル」は,論理的又は機能的に見て該当性を判断するのではなく,複数の変数から1つの値を抽出するための表\\を指し,あるアドレスの範囲において複数の変数から1個の値が抽出され,その抽出された値と他の変数を用いて別のアドレスの範囲において別の値が抽出される場合は,それぞれが別個のテーブルであるというべきである。以上のような解釈を前提とすると,原告が「デモ抽選テーブル選択テーブル」に当たると主張する被告物件の2つのアドレス範囲(アドレス0EC3C74Hないし0EC3F8BH及びアドレス0EC3180Hないし0EC3C73H)は,これを一体として本件発明2における「テーブル」に当たるとは評価することができず,被告物件が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備するものと認めることはできない。エ また,2つのアドレス範囲を一体として「テーブル」と評価することができないことを措いたとしても,以下のとおり,被告物件は,構成要件2E−1を充足するものとは認められない。・・・以上のとおり,被告物件が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備するものと認めることはできないから,その余の点について判断するまでもなく,被告物件は,本件発明2の技術的範囲に属するものということはできない。\n
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2010.03.16
平成21(ワ)5610 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年02月24日 東京地方裁判所
一部の製品を除き、用語の技術的意義を解釈して、技術的範囲に属しないとの判断されました。
「そこで,構成要件C1の技術的意義を検討する。まず,特許発明の技術的範囲は,願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならないところ(特許法70条1項),特許請求の範囲に記載された用語の意義は,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して解釈すべきであるから(特許法70条2項),構\成要件C1の意義を解釈するに当たっては,本件明細書中の「前記後の壁面である後方側の壁面は,前記上側段部と前記中側段部との間が,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面となっている」との記載部分及びこれに関連する記載部分について検討するとともに,後記(2)のとおり,【請求項1】(本件発明1)は,本件特許の出願経過において,構成要件C1の部分が補正されているから,この点についても,併せて検討する必要がある。て特許請求の範囲に記載していたところ,特許庁審査官から,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとの拒絶理由通知を受け,【請求項1】を,「前後の壁面の,上部に上側段部が,深さ方向の中程に中側段部が形成されて,前記上側段部および前記中側段部のいずれにも同一のプレートを,掛け渡すようにして載置できるように,前記上側段部の前後の間隔と前記中側段部の前後の間隔とがほぼ同一に形成されてなり,かつ,前記後の壁面である後方側の壁面は,前記上側段部と前記中側段部との間が,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面となっていることを特徴とする流し台のシンク。」と補正し,出願当初の【請求項1】の構\成のうち,構成要件C1の構\成を有するものに限定することにより,特許庁審査官の指摘した特許法29条2項の規定に該当するという拒絶理由を回避して,特許査定を受けたものであることが認められる。エ 以上のような本件明細書の記載,図面及び出願経過に照らせば,「前記後の壁面である後方側の壁面は,前記上側段部と前記中側段部との間が,下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面となっている」(構成要件C1)という構\成は,後方側の壁面の傾斜面が,中側段部によりその上部と下部とが分断されるように後方側の壁面の全面にわたるような,本件明細書に記載された実施形態のような形状のものに限られないと解されるものの,その傾斜面は,少なくとも,下方に向かうにつれて奥方に向かって延びることにより,シンク内に奥方に向けて一定の広がりを有する「内部空間」を形成するような,ある程度の面積(奥行き方向の長さと左右方向の幅)と垂直方向に対する傾斜角度を有するものでなければならないと解するのが相当である。したがって,構成要件C1の「下方に向かうにつれて,奥方に向かって延びる傾斜面」とは,上側段部と中側段部との間において,下方に向かうにつれて奥方に延びることにより,奥方に向けて一定の広がりを有する「内部空間」を形成するような,ある程度の面積と傾斜角度を有する傾斜面を意味すると解するのが相当である。\n
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2010.02. 5
平成20(ワ)14169 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年01月27日 東京地方裁判所
特許請求の範囲の用語が争われました。裁判所は技術的範囲外と判断しました。
このように,イソブチレン−無水マレイン酸共重合体は,無水マレイン酸環が全く開環しておらず,その開環により生ずるイソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体のアンモニウム塩とは,化学構造を異にするだけでなく,水溶性の点においても,その性質を異にする別異の物質である。したがって,本件発明の特許請求の範囲の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」(訂正後の「イソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体」)との用語の一般的な意義から,直ちに,化学構造を異にするだけでなく,水溶性においてもその性質を異にする別異の化学物質である「そのアンモニウム塩」が含まれると解することはできない。そこで,次に,本件明細書中の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」,「イソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体」についての記載を検討する。・・・原告は,請求項1の訂正に伴い,本件明細書の中の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」との記載部分のうちの対応部分を,「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」と訂正しているが,「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」は,「イソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体」を含むものであり,原告自身,この請求項1の訂正は,特許請求の範囲の減縮するものとしているのであるから(甲14),この訂正請求による特許請求の範囲,明細書の記載の訂正がされるか否かにより,「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」又は「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」に,その塩や中和物が含まれないという上記解釈が左右されるものではない。ウ この点,原告は,本件明細書3欄26〜31行の記載が,ゼラチンとオレフイン−無水マレイン酸共重合体のそれぞれを水溶液にして,しかも,中性にした状態で混合して反応させることを前提としており,オレフイン−無水マレイン酸共重合体又はイソ\ブチレン−無水マレイン酸共重合体を水溶液とするために,それを中和物とすることは慣用的な技術にすぎないから,本件発明の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」又は本件訂正発明の「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」は,その塩を除外しておらず,むしろこれを含むことを前提としており,「イソ\ブチレンーマレアミド酸アンモニウム共重合体」もこれに含まれると主張する。しかしながら,前記( )の1 とおり,イソブチレン−無水マレイン酸共重合体と,これをアンモニア変性させた「イソ\ブチレン−マレアミド酸アンモニウム共重合体」などの「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」のアンモニウム塩とは,その化学構\造や性質を異にする別異の物質であるから,直ちに,後者が前者に含まれると解釈することはできない。また,本件明細書は,前記アのとおり,ゼラチンとオレフイン−無水マレイン酸共重合体の反応方法として,それぞれの水溶液をあらかじめ調製した後,両者を混合することが,均一なゲルを得やすく好ましい方法として推奨するものにすぎず,そのような反応方法が推奨されているからといって,当初の成分である「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」にその塩や中和物が含まれるものと解することはできない。しかも,原告の指摘する本件明細書3欄26〜31行には,オレフイン−無水マレイン酸共重合体を中和するという記載は一切なく,かえって,本件明細書3欄29,30行の「反応時のpHは5〜9」との記載からは,pH5の酸性でもよい結果が得られるとも理解し得るのであって,この記載のみから,本件明細書の「オレフイン−無水マレイン酸共重合体」あるいは「イソブチレン−無水マレイン酸共重合体」が,その塩を含むことを前提としているとか,アルカリにより中和された中和反応物を含むことを示していると解釈することも困難である。\n
◆判決本文
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