2013.11. 6
子供用の練習箸の特許について、請求項に規定されている「パッド」という用語について意義を認定し、技術的範囲に属しないと判断されました。
前記ア及びイの記載によれば,本件特許発明の「パッド」とは,通常の箸先とは異なるものであり,固形物をつかみ取るための部材(当て物)として箸先に取り付けられ,取り外しが可能なものであることが認められる。\n
エ 被告製品の構成及び構\成要件充足性
証拠(乙7)によれば,被告製品の箸先には滑り止め加工が施されていることが認められるものの,固形物をつかみ取るための部材(当て物)として箸先に取り付けられ,取り外しが可能な構\成を有しているとは認められない。したがって,被告製品は「パッド」に相当する構成を有するものとは認められないから,構\成要件B,D,G及びIを充足するとはいえない。
◆判決本文
2013.11. 6
CS関連発明について、技術的範囲に属しないと判断されました。
,原告は,構成要件Cの「実行されることにより」という文言は,構\成要件Dの1)ないし4)の過程全体に係っているものと読むべきであるから,初期フレームプログラムの実行と,カテゴリーリストプログラム及びPLUリストプログラムのダウンロードとの間には,厳密な前後関係は要求されておらず,また,上記の文言は,因果関係を示すものでもなく,構成要件Dの1)ないし4)の過程が初期フレームプログラムの実行なしには行われないという程度の関係を示すものにすぎないと解すべきであると主張する。しかしながら,構\成要件Cにいう「より」は,因果関係等を意味する自動詞「よる」の連用形であって,動詞等に連なる語法において用いられるものであるから,構成要件Cの「ことにより」が,構\成要件Dの1)ないし3)の「送信される」及び4)の「問い合わされる」の各動詞にそれぞれ係っていることは文法上明らかであり,これと異なる読み方をすべき根拠は見当たらない。また,仮に,構成要件Cの「実行されることにより」を原告の主張のように解したとしても,前記ア及びイのとおり,被告システムにおいては,カテゴリーリスト及び個別商品リストの表\示領域を確保するプログラムと,その内容を表示するプログラムとが,それぞれ一つのHTML文書のプログラムの実行過程において同時に実行されており,構\成要件C及びDに記載された手順を順次実行するという形では実行されていないのであるから,いずれにせよ,上記ウの結論を左右するには足りないというべきである。オ よって,原告の主張は理由がなく,被告システムの実施態様1が,構成要件A,C,D及びJに記載された各プログラムの実行手順及び実行内容を充足すると認めることはできない。\n
◆判決本文
2013.09. 9
CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。
本件各発明の構成要件CないしFにいう「共用アプリケーションソ\フトウェア」がどのようなアプリケーションソフトウェアを意味するかについて検討すると,・・・本件各発明の「共用アプリケーションソ\フトウェア」は,少なくとも,1)情報データの文字数及び行数,2)印刷用紙に印字する前記情報データの個数,並びに,3)印刷用紙に印字する前記情報データの文字サイズ及び文字フォントを,統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能を有するものでなければならず,そのいずれかの機能\を欠くアプリケーションソフトウェアは,「共用アプリケーションソ\フトウェア」に当たらないものと解される。また,本件各明細書の記載をみても,前記(1)ア(ア)a及び同(イ)aのとおり,本件各発明は,従来の技術では,HTTPの記述言語と情報データを受信した端末装置との間に互換性の相違(端末装置の機種やOS,アプリケーションソフトウェア,フォント環境等の相違)があると,情報データが不規則に散在してディスプレイに表\示されたり,文字が入り乱れた乱雑な状態で印刷用紙に印字されてしまう場合があったところ,これを,情報データを中間データに変換して端末装置に送信し,端末装置にインストールされた共用アプリケーションソフトウェアの機能\により,統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力することによって,統一した所定の書式で表示又は印刷させることができるとの作用効果を有するものとされている。そして,本件各明細書において,共用アプリケーションソ\フトウェアは,「印刷用紙における文字数および行数,印刷用紙に印字する個別情報データのデータ数,文字サイズおよび文字フォント,印刷用紙の上下端縁および両側縁のマージン等を自動的に設定する機能を有し,個別情報データをディスプレイ7または印刷用紙に無駄なく最適なレイアウトで表\示または印字する機能」を有するものとされている。さらに,前記(1)ア(ア)b及び同(イ)bのとおり,本件各明細書には,本件各発明の実施例として,(ア)スポーツ用品の販売に供する紙票を出力する場合,(イ)宿泊施設の提供の取次ぎに供する紙票を出力する場合,(ウ)展示会や即売会等のイベントに参加した出展者がイベント会場に来場したユーザーに後日,紹介状や案内状等の郵便物を発送する際の郵便物に貼付する宛名ラベルを出力する場合が挙げられている。そして,このうちの(ア)を例に採ると,本件明細書1中の図6に掲記されたB5縦の紙票には,テニスラケットのメーカー名,商品名,キャッチフレーズ,性能,販売価格及び販売店名が所定の文字数以内,所定の行数以内,所定の列数以内に印字され,テニスラケットの形態(全体図)が所定の範囲に印刷されている。そして,販売店は,この紙票を,テニスラケットやショウケースに貼\付したり,広告として使用したり,紹介状や案内状と共に顧客に郵送したりすることもできる旨の作用効果が記載されている(【0079】,【0080】)。上記の1)ないし3)の一部でもレイアウトが崩れた場合は,このような作用効果を発揮することができず,各販売店が情報データを製造者から郵送やファクシミリ等で取り寄せなければならなくなり,本件各発明の課題(前記(1)ア(ア)a及び同(イ)a参照)を解決することができないこととなる。以上によれば,本件各発明にいう「共用アプリケーションソフトウェア」は,上記1)ないし3)の全てを統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能を有するものであることを要し,これらを設定する機能\を一部でも欠き,又は機能自体はあっても手動で設定しなければならないこともあるようなアプリケーションソ\フトウェアは,上記の「共用アプリケーションソフトウェア」には当たらないものと解するのが相当である。イ これを被告サービスについてみると,前記(1)エのとおり,被告サーバにおいては,あらかじめ用意されているテンプレートに従って利用明細に係るPDFファイルが作成され,これが利用者に送信されると,利用者は,元のレイアウトを変更することなく,単に,受信したPDFファイルをリーダーで表示又は印刷するにすぎないことが認められる。すなわち,被告サービスにおいて,共用アプリケーションソ\フトウェアが有するとされている基本的な機能(利用者端末の機種やOS,アプリケーションソ\フトウェア,フォント環境等の相違にかかわらず,情報データを統一された所定の形式で端末装置が出力することができるようなファイルを作成する機能)を有するアプリケーションソ\フトウェアに相当するのは,PDFファイルの作成機能を有するアクロバット等のアプリケーションソ\フトウェアであって(なお,それは,利用者端末ではなく被告サーバにインストールされているものと認められる。),利用者が利用明細に係るPDFファイルを表示又は印刷する際に使用する利用者端末のリーダーは,これには当たらないものと解される。
ウ これに対し,原告らは,リーダーにも,元の文書に使用されたフォントが端末装置に存在しない場合に代替フォントを用いて出力する機能,元の文書を縮小して印刷する際に文字サイズ,上下端縁及びマージンを変更して出力する機能\があると主張する。しかしながら,前記(1)ウ(イ)のとおり,リーダーのフォントの設定次第では,別の端末で表示・印刷したときに元のレイアウトを保持することができず,エラーや文字化けが発生する場合もあり,これを補正するためには手動で字形を埋め込むなどの作業をしなければならないこともあることが認められる。また,同(ウ)のとおり,リーダーを使用してPDFファイルを印刷する場合,その設定次第では,常に最適のサイズでの印刷がされるとは限らないことが認められる。そうすると,リーダーに原告らの主張するような機能があるとしても,リーダーが,文字サイズ及び文字フォントを常に一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能\(前記アの3))を有するとは断定することができないものというべきである。また,この点をおくとしても,原告らは,共用アプリケーションソフトウェアが有していなければならない前記アの1)ないし3)の機能のうち,1)の情報データの文字数及び行数並びに2)の印刷用紙に印字する前記情報データの個数については,リーダーにこれを統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能があることについて主張すらしていない。なお,この点に関し,原告らは,リーダーはPDFファイルについて印刷命令が出された場合,プリンタの機種に応じたページ記述言語データを作成するところ,これはページ記述言語データにデータ数,文字数,文字サイズ,文字フォント,行数,上下端縁,マージン等を設定するものであると主張するが,それも,元のファイルのレイアウトを最適なものに設定するものではなく,元のファイルのレイアウトを何ら変更することなく,そのとおりに印刷することしかできない機能\として主張されているものと解されるから,リーダーが上記1)及び2)の機能を有していることの根拠とはならないものというべきである。したがって,原告らの主張はいずれも理由がない。
エ 加えて,原告らを含む出願人は,本件各特許権の出願経過において,特許庁審査官の本件各拒絶理由通知書(前記(1)イ(ア))に対して本件各意見書を提出し,これには同(イ)のとおりの記載がされていた。これをみると,原告らは,本件各発明が乙5発明とは異なるもので,かつ,当業者が乙5発明から本件各発明を容易に想到することができないものであることを裏付けるために,リーダーを用いて印刷した場合,文字フォントを統一することができず,クライアントがサーバと同一の文字フォント,サーバと同一の文字数(情報データの個数)で帳票を出力することができない場合があるのに対し,本件各発明の共用アプリケーションソフトウェアにはこのような制約がなく,規則正しく最適なレイアウトで出力することができる旨主張しているのであるから,本件各発明の共用アプリケーションソ\フトウェアはリーダーとは異なるアプリケーションソフトウェアを想定している旨の主張をしていることが明らかである。そうすると,本件各特許の出願経過においてこのような主張をし,その登録を受けた原告らが,本件訴訟において,これを翻し,リーダーが本件各発明の共用アプリケーションソ\フトウェアに当たるとの主張をすることは,信義誠実の原則に反し,許されないというべきである。この点からも,原告らの主張は理由がない。
◆判決本文
2013.09. 9
CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。
本件各発明の構成要件CないしFにいう「共用アプリケーションソ\フトウェア」がどのようなアプリケーションソフトウェアを意味するかについて検討すると,・・・本件各発明の「共用アプリケーションソ\フトウェア」は,少なくとも,1)情報データの文字数及び行数,2)印刷用紙に印字する前記情報データの個数,並びに,3)印刷用紙に印字する前記情報データの文字サイズ及び文字フォントを,統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能を有するものでなければならず,そのいずれかの機能\を欠くアプリケーションソフトウェアは,「共用アプリケーションソ\フトウェア」に当たらないものと解される。また,本件各明細書の記載をみても,前記(1)ア(ア)a及び同(イ)aのとおり,本件各発明は,従来の技術では,HTTPの記述言語と情報データを受信した端末装置との間に互換性の相違(端末装置の機種やOS,アプリケーションソフトウェア,フォント環境等の相違)があると,情報データが不規則に散在してディスプレイに表\示されたり,文字が入り乱れた乱雑な状態で印刷用紙に印字されてしまう場合があったところ,これを,情報データを中間データに変換して端末装置に送信し,端末装置にインストールされた共用アプリケーションソフトウェアの機能\により,統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力することによって,統一した所定の書式で表示又は印刷させることができるとの作用効果を有するものとされている。そして,本件各明細書において,共用アプリケーションソ\フトウェアは,「印刷用紙における文字数および行数,印刷用紙に印字する個別情報データのデータ数,文字サイズおよび文字フォント,印刷用紙の上下端縁および両側縁のマージン等を自動的に設定する機能を有し,個別情報データをディスプレイ7または印刷用紙に無駄なく最適なレイアウトで表\示または印字する機能」を有するものとされている。さらに,前記(1)ア(ア)b及び同(イ)bのとおり,本件各明細書には,本件各発明の実施例として,(ア)スポーツ用品の販売に供する紙票を出力する場合,(イ)宿泊施設の提供の取次ぎに供する紙票を出力する場合,(ウ)展示会や即売会等のイベントに参加した出展者がイベント会場に来場したユーザーに後日,紹介状や案内状等の郵便物を発送する際の郵便物に貼付する宛名ラベルを出力する場合が挙げられている。そして,このうちの(ア)を例に採ると,本件明細書1中の図6に掲記されたB5縦の紙票には,テニスラケットのメーカー名,商品名,キャッチフレーズ,性能,販売価格及び販売店名が所定の文字数以内,所定の行数以内,所定の列数以内に印字され,テニスラケットの形態(全体図)が所定の範囲に印刷されている。そして,販売店は,この紙票を,テニスラケットやショウケースに貼\付したり,広告として使用したり,紹介状や案内状と共に顧客に郵送したりすることもできる旨の作用効果が記載されている(【0079】,【0080】)。上記の1)ないし3)の一部でもレイアウトが崩れた場合は,このような作用効果を発揮することができず,各販売店が情報データを製造者から郵送やファクシミリ等で取り寄せなければならなくなり,本件各発明の課題(前記(1)ア(ア)a及び同(イ)a参照)を解決することができないこととなる。以上によれば,本件各発明にいう「共用アプリケーションソフトウェア」は,上記1)ないし3)の全てを統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能を有するものであることを要し,これらを設定する機能\を一部でも欠き,又は機能自体はあっても手動で設定しなければならないこともあるようなアプリケーションソ\フトウェアは,上記の「共用アプリケーションソフトウェア」には当たらないものと解するのが相当である。イ これを被告サービスについてみると,前記(1)エのとおり,被告サーバにおいては,あらかじめ用意されているテンプレートに従って利用明細に係るPDFファイルが作成され,これが利用者に送信されると,利用者は,元のレイアウトを変更することなく,単に,受信したPDFファイルをリーダーで表示又は印刷するにすぎないことが認められる。すなわち,被告サービスにおいて,共用アプリケーションソ\フトウェアが有するとされている基本的な機能(利用者端末の機種やOS,アプリケーションソ\フトウェア,フォント環境等の相違にかかわらず,情報データを統一された所定の形式で端末装置が出力することができるようなファイルを作成する機能)を有するアプリケーションソ\フトウェアに相当するのは,PDFファイルの作成機能を有するアクロバット等のアプリケーションソ\フトウェアであって(なお,それは,利用者端末ではなく被告サーバにインストールされているものと認められる。),利用者が利用明細に係るPDFファイルを表示又は印刷する際に使用する利用者端末のリーダーは,これには当たらないものと解される。
ウ これに対し,原告らは,リーダーにも,元の文書に使用されたフォントが端末装置に存在しない場合に代替フォントを用いて出力する機能,元の文書を縮小して印刷する際に文字サイズ,上下端縁及びマージンを変更して出力する機能\があると主張する。しかしながら,前記(1)ウ(イ)のとおり,リーダーのフォントの設定次第では,別の端末で表示・印刷したときに元のレイアウトを保持することができず,エラーや文字化けが発生する場合もあり,これを補正するためには手動で字形を埋め込むなどの作業をしなければならないこともあることが認められる。また,同(ウ)のとおり,リーダーを使用してPDFファイルを印刷する場合,その設定次第では,常に最適のサイズでの印刷がされるとは限らないことが認められる。そうすると,リーダーに原告らの主張するような機能があるとしても,リーダーが,文字サイズ及び文字フォントを常に一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能\(前記アの3))を有するとは断定することができないものというべきである。また,この点をおくとしても,原告らは,共用アプリケーションソフトウェアが有していなければならない前記アの1)ないし3)の機能のうち,1)の情報データの文字数及び行数並びに2)の印刷用紙に印字する前記情報データの個数については,リーダーにこれを統一された一定の規則性に基づいて規則正しい(最適な)レイアウトで出力する状態に自動的に設定する機能があることについて主張すらしていない。なお,この点に関し,原告らは,リーダーはPDFファイルについて印刷命令が出された場合,プリンタの機種に応じたページ記述言語データを作成するところ,これはページ記述言語データにデータ数,文字数,文字サイズ,文字フォント,行数,上下端縁,マージン等を設定するものであると主張するが,それも,元のファイルのレイアウトを最適なものに設定するものではなく,元のファイルのレイアウトを何ら変更することなく,そのとおりに印刷することしかできない機能\として主張されているものと解されるから,リーダーが上記1)及び2)の機能を有していることの根拠とはならないものというべきである。したがって,原告らの主張はいずれも理由がない。
エ 加えて,原告らを含む出願人は,本件各特許権の出願経過において,特許庁審査官の本件各拒絶理由通知書(前記(1)イ(ア))に対して本件各意見書を提出し,これには同(イ)のとおりの記載がされていた。これをみると,原告らは,本件各発明が乙5発明とは異なるもので,かつ,当業者が乙5発明から本件各発明を容易に想到することができないものであることを裏付けるために,リーダーを用いて印刷した場合,文字フォントを統一することができず,クライアントがサーバと同一の文字フォント,サーバと同一の文字数(情報データの個数)で帳票を出力することができない場合があるのに対し,本件各発明の共用アプリケーションソフトウェアにはこのような制約がなく,規則正しく最適なレイアウトで出力することができる旨主張しているのであるから,本件各発明の共用アプリケーションソ\フトウェアはリーダーとは異なるアプリケーションソフトウェアを想定している旨の主張をしていることが明らかである。そうすると,本件各特許の出願経過においてこのような主張をし,その登録を受けた原告らが,本件訴訟において,これを翻し,リーダーが本件各発明の共用アプリケーションソ\フトウェアに当たるとの主張をすることは,信義誠実の原則に反し,許されないというべきである。この点からも,原告らの主張は理由がない。
◆判決本文
真円度の測定方法について別の条件で測定した場合には範囲に入らないイ号について、裁判所は、明細書に測定方法が記載されていない以上、いずれの測定方法でも該当する必要があるとの判断をしました。
本件発明の真円度を測定するに当たっては,乾式の試料又は湿式処理をした試料のいずれを用いても差し支えないことは,前記ウで認定したとおりである。ところで,本件発明の真円度の測定に当たり乾式の試料を測定対象とするか,又は湿式処理をした試料を測定対象とするかによって真円度の数値に有意の差が生じる場合,当業者がいずれか一方の試料を測定対象として測定した結果,構成要件所定の真円度の数値範囲外であったにもかかわらず,他方の試料を測定対象とすれば上記数値範囲内にあるとして構\成要件を充足し,特許権侵害を構成するとすれば,当業者に不測の不利益を負担させる事態となるが,このような事態は,特許権者において,特定の測定対象試料を用いるべきことを特許請求の範囲又は明細書において明らかにしなかったことにより招来したものである以上,上記不利益を当業者に負担させることは妥当でないというべきであるから,乾式の試料及び湿式処理をした試料のいずれを用いて測定しても,本件発明の構\成要件Dが規定する粒径30μm未満の粒子の真円度の数値範囲(「0.73〜0.90」)を充足する場合でない限り,構成要件Dの充足を認めるべきではないと解するのが相当である。しかるところ,前記(ア)のとおり,原告測定データ3は,被告製品の乾式の試料を対象として粒径30μm未満の粒子の真円度を測定した場合に,被告製品が構成要件Dの数値範囲内にあることを示している。しかし,他方で,本件においては,被告製品の湿式処理をした試料を対象として粒径30μm未満の粒子の真円度を測定した場合に,被告製品が構\成要件Dの数値範囲内にあることを認めるに足りる証拠はなく,かえって,前記(イ)のとおり,湿式処理をした試料を対象にした被告測定データ1によれば,被告製品は構成要件Dに規定する数値の範囲外にあるというべきである。したがって,被告製品は,構\成要件Dを充足するものと認めることはできない。
(2) まとめ
以上のとおり,被告製品は,構成要件Dを充足しないから,本件発明の技術的範囲に属するものと認めることはできない\n
◆判決本文