2017.12. 6
発明特定事項「裾絞り部」について、明細書の記載および出願経過から、限定解釈されました。
「裾絞り部」の形状については,構成要件Gで特定されているとおり「底部に近\nづくに連れて先細りとなる」ものであり,本件明細書において,「裾絞り部」につ
き,「垂直に延在するのではなく,裾絞り状に傾斜している」(【0015】)と
説明されている上,構成要件G及びHを含まない出願当初の特許請求の範囲の請求\n項 1 を削除した上記(2)認定の本件特許の出願経過に照らしても,裾絞り部は,それ
が直線であっても,曲線であっても,少なくとも,垂直の部分を含むことなく,蛇
腹部から底部にかけて,徐々に先細りになっていくものに限定されていると解され
る。
(5) まとめ
したがって,構成要件Gにいう「裾絞り部」とは,胴部において「蛇腹部」と「底\n部」の間にあって,それぞれに接続部で連続して存在するものであり,また「蛇腹
部」との接続部において「垂直に延在」する部分があっても許容されるが,それは
極く限られた幅のものにすぎないのであり,またその形状は,「蛇腹部」方向から
「底部」方向に向けて,徐々に先細りになっているものということになる。
(6) 以上の「裾絞り部」の解釈を踏まえ,被告容器が裾絞り部を備え,構成要件\nGを充足しているかを検討する。
ア 原告は,別紙「被告容器の構成(原告の主張)」記載の図面で「湾曲部」と\n指示した部分が「裾絞り部」に相当し,同部分の存在により構成要件Gを充足する\nと主張し,併せて,その上部にある垂直部分は,本件明細書の【0015】にいう
「接続部」にすぎないとしている。
しかしながら,上記検討したとおり,「裾絞り部」は,「蛇腹部」から接続部で
連続しているものであるが,この接続部は,極く限られた幅の範囲であるべきであ
って,上記図面に明らかなように,被告容器における原告主張に係る「裾絞り部」
に相当する湾曲部と蛇腹部の間に存する,湾曲部と高さ方向の幅がほぼ一緒である
垂直に延在する部分をもって「接続部」にすぎないということはできない。
したがって,被告容器は,上記定義した「裾絞り部」で構成されるべき「蛇腹部」\nから「底部」にかけて胴部の大半が,「裾絞り部」に該当しない部分で構成されて\nいるということになるから,被告容器は,「裾絞り部」を備えているものというこ
とはできない。
◆判決本文