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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

第1要件(本質的要件)

平成25(ネ)10112  損害賠償請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成26年10月30日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 チーズ製造方法についての特許権侵害控訴事件です。一審では、構成要件が不充足と判断され、控訴審では均等侵害を追加しました。裁判書は、均等の第2要件、さらに第1要件を満たさないと判断しました。製造方法ゆえに、かなりの部分が伏せ字になってます 。
 本件各発明は,構成要件C及びFの「香辛料を内包」との構\成により,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかないとの作用効果を奏するものである。 これに対し,被控訴人製品等は,6ポーションカット切断面が白カビに覆われておらず香辛料が露出しているから,上記作用効果,すなわち,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかないとの作用効果を奏しないことは明らかである。 したがって,被控訴人製品等は,第2要件を充足しない。
イ 非本質的部分(第1要件)について
前記で認定した本件明細書の記載(【0001】〜【0005】)によれば,本件各発明の本質的部分すなわち技術思想の中核的部分は,構成要件A2及びD2の「チーズカードを結着するように熟成させ」て,「結着部分から引っ張ってもはがれない状態に一体化させ」,さらに,構\成要件B及びEの「その後,加熱」することにより,構成要件C及びFの「香辛料を内包」との構\成を得,これによって,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかず,また,加熱時に流動化したチーズが切断面から流れ出たり,香辛料が流出したり漏れたりすることがないという作用効果を奏する点にあるものと認められる。 これに対し,被控訴人製品等は,構成要件C及びFの「香辛料を内包」との構\成を具備しないから,通常のカマンベールチーズ製品と比べて,外観上全く見分けがつかないとの作用効果を奏するものではないし,「香辛料を内包」との構成によって,加熱時に流動化したチーズが切断面から流れ出たり,香辛料が流出したり漏れたりすることがないという作用効果を奏するものでもない。\nそうすると,本件各発明と被控訴人製品等との上記相違点は,本件各発明の本質的部分というべきである。したがって,被控訴人製品等は,第1要件も充たさないものである。

◆判決本文

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 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 第2要件(置換可能性)

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平成25(ワ)7569  特許権侵害差止等請求事件  特許権  民事訴訟 平成26年7月17日  東京地方裁判所

 特許権侵害訴訟において、均等侵害も否定されました。また特104条の3の規定により権利行使できないとも判断されています。
 本件特許の出願経過において,原告は,前記前提事実(2)エのとおり,引用文献1に基づく進歩性欠如等をいう本件拒絶理由通知に対し,特許請求の範囲の記載等を補正するとともに本件意見書を提出して,引用文献2及び同3はいずれもエジェクタを用いた技術であり,本件発明を示唆するものでない旨の意見を述べた。本件拒絶理由通知は,補正前の特許請求の範囲記載の発明と引用文献1記載の発明は,吸着具を上下動部材の先端に設けるか,正圧源からの正圧空気を着脱路と上下動部材を上下動させる空気圧シリンダに共用して供給するかの点で相違するが,これらの点は吸着搬送装置の技術分野において引例を示すまでもない周知技術であるとしつつ,括弧書きで「(不足であれば,例えば,引用文献2及び3等を参照されたい。)」と記載するものであった。原告は,本件意見書において,原告の特許出願に係る発明の構成,技術的意義等について説明し,引用文献1との比較をした後,引用文献2及び同3につき,これら文献に記載された技術内容や本件発明との具体的な相違点については何ら言及することなく,これ\nらが「エジェクタを用いた技術」であることのみを理由に,本件発明を示唆するものでないとの意見を述べた。(乙2〜5) ウ 上記イ(ア)〜(ウ)の事実関係によれば,本件発明は,大気開放ポートがなく,真空破壊のための空気が出力ポートのみから着脱路に流入し,かつ,出力ポートから供給される正圧空気が全て着脱路の吸着面から排出される従来技術を前提に,ワークを迅速に離脱させるとともに吹き飛ばしを防止して正確な位置決めをするという課題の解決のため,大気開放ポートを設けてこれを着脱路及び出力ポートと連通させることにより,着脱路が大気圧に達するまでは大気開放ポートからも空気を流入させてワークの離脱を迅速にし,これが大気圧に達した後は正圧空気が大気開放ポートからも流出するものとしてワークの吹き飛ばしを防止したものであり,この点の構成が本件発明の課題解決のための本質的部分に当たると認められる。そうすると,大気開放ポートがなくても排気口から大気の流入及び正圧空気の排出が行われるエジェクタを備えた構\成は,上記の前提を欠くものであり,本件発明が解決すべき課題も存在しないことになるから,本件発明とは本質的部分において相違すると解するのが相当である。 上記イ(エ)の出願経過における原告の意見は,エジェクタを用いたものは本件発明とは基本的な技術思想が異なる旨をいうものと解され,本件発明の本質的部分についての上記解釈を裏付けるものということができる。 そうすると,前記のとおりエジェクタにより構成されたロ号製品は本件発明の本質的部分を備えていないものとみるべきであり,前記1)の要件を充足しないから,ロ号製品について均等による特許権侵害は認められないと判断するのが相当である。

◆判決本文

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 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)

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平成23(ワ)29178 損害賠償等請求事件  特許権 民事訴訟 平成26年06月06日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、均等論の主張も否定されました。無効主張に対して、訂正の抗弁をしていましたが、訂正後のクレームも技術的範囲に属しないと判断されました。
 上記(1)に判示した均等侵害の成立要件のうち1)の要件に関し,特許発明の本質的部分とは,特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうち,公開された明細書や出願関係書類の記載から把握される当該特許発明特有の課題解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分をいうと解するのが相当である。これを本件発明についてみると,本件発明は,従来のネットワークゲームにあった課題,すなわち,くじ引きゲームのようなゲームでは,くじ引きという当たり又は外れによる偶然性に基盤が置かれるため,ユーザはゲームの進行度合いに応じて画像データの獲得率が向上する等の期待感が高まることがないため,ユーザに継続的にゲームを行わせることが困難である,という課題を解決するため,ユーザに「対価データ」の獲得を容易に行わせるとともに,ユーザに継続的にゲームを行わせるために,ユーザに対してゲームを行うことで直接に「対価データ」を付与するのではなく,「対価データ」を獲得するために必要な「ポイント」を付与するものとし,「対価データ」はその「ポイント」の対価としてユーザが獲得するものとした構\成が採用されたのであり,これが本件発明の課題解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分であるというべきである。そうすると,本件発明と被告サーバ装置との間において構成の異なる部分のうち,構\成要件A,D−1,E,F,G,D−2,C−2における「対価データ」を備える構成は,本件発明の本質的部分であるというべきである。他方,前記3のとおり,本件ゲームにおいては,「対価データ」に相当するものはなく,原告が主張する「強化された選手カード画像」は,強化ポイントによって新たにユーザに付与されるものではないから,本件発明の「対価データ」と本件ゲームの「強化された選手カード画像」の相違点は発明の非本質的部分と認めることはできない。したがって,均等侵害の成立要件の1)の要件を充たさないというべきである。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 104条の3
 >> コンピュータ関連発明

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平成25(ネ)10017等 特許権侵害行為差止請求控訴,同附帯控訴事件 特許権 民事訴訟 平成26年03月26日 知的財産高等裁判所

 1審では、発明1については技術的範囲に属する、発明2については技術的範囲に属しないと判断されました。控訴審にて、原告は、発明2について均等を追加主張しました。発明2については均等侵害が認められました。また、原告の均等の追加主張も時期に後れた抗弁には該当しないと判断されました。 ただ、発明1について無効と判断され、全体としての損害額が減額されました。
 さらに,掬い上げ部材について,本件訂正明細書2には,「尚,該板状の掬い上げ部材5c1及び5c2の傾斜角度は,図示の例では,回転軸5aの中心軸線に対し20°傾斜せしめたものを示したが,一般に10°〜80°の範囲が採用できる。」(段落【0015】)と記載されているから,回転軸5aの中心軸線に対して10°〜80°の傾斜があれば足り,その傾斜角は一定でなければならないものではない。すなわち,回転軸5aの中心軸線に対する角度が小さくなればなるほど,走行方向に対し直交する長矩形の板状で構成される従来の掬い上げ部材に近いものとなり,掬い上げの効果は大きくなる一方,堆積物の外側への拡散が増大するが,回転軸5aの中心軸に対する角度が大きくなると,掬い上げの効果は小さくなるが外側への拡散を防止できることとなるものと推測されるところ,本件訂正発明2のV字型掬い上げ部材において,これらの角度は適宜選択できるものとなっているから,V字状のみに限定されず,より頂点への角度が緩やかな逆への字状のもの等も含まれる。また,段落【0006】には,「本発明のパドルの変形例として,図5に示すようなパドル5b″に構\成しても良い。すなわち,先の実施例のそのV字状の傾斜板5c1及び5c2の一端部を当接し,互いに直接溶接する代わりに,その両傾斜板5c1及び5c2の一端部間を適当な距離離隔し,そのスペース内に板状などの補強梁5jを介在させ,その両端部を傾斜板5c1及び5c2の一端部とを溶接し,その前後一対の板状の掬い上げ板部5c1及び5c2はハの字状に対称的に傾斜した傾斜板に構成しても良い。」との記載もあり,必ずしもV字状の掬い上げ部材に限られるものではないことが明らかである。さらに,段落【0009】には,「また,その本発明のパドル5b′の夫々の傾斜板5c1及び5C2は長矩形状とし,同一形状,寸法であることが一般であり好ましく,また,通常のパドル5bの板状掬い上げ部材5cと同一形状,寸法であることが一般であるが,これに限定する必要はない。また,その各傾斜板5c1及び5C2の長さ又は高さ寸法は所望に設定される。」と記載され,しかも,本件発明1の掬い上げ部材について,本件明細書1の段落【0005】に「その先端には堆積物を掬い上げる板状,爪状などの掬い上げ部材5cを有し,その回転により堆積物の撹拌とその正転,逆転による往復動撹拌を行う作用を有する。」と記載されているから,堆積物を掬い上げるための形状も,平面な「板状」に限られるものではない。\n
(ウ) 以上に照らせば,堆積物の外側への掬い上げ時の拡散,崩れなどの不都合を解消するために,前後一対の板状の掬い上げ部材が,それぞれ回転軸の軸方向に対し所定角度内側(オープン式発酵槽の長尺壁の方向)を向くようにし,掬い上げ部材の内側に向いて傾斜した部材の外側が,その前方に堆積する堆積物の長尺開放面側の外端堆積部に当接し,斜め内側に向けてこれを掬い上げるよう,傾斜板を所定角度内側に向けて配置したことが,本件訂正発明2を基礎付ける特徴的部分であると認められる。そして,本件訂正発明2の攪拌機は,往復動走行に伴って正又は逆回転するものであることから,掬い上げ部が外端堆積部に当接する場合は,回転軸に直交する前後方向のいずれの場合もあり得ることから,そのいずれの場合においても,堆積物を掬い上げる必要があり,そのために,掬い上げ部材を前後にかつ前後方向に対し傾斜させて配置し,その前側の傾斜板の外面は斜め1側前方を向き,その後側の傾斜板の外面は斜め1側後方を向くように配向させて配設されたものと認められる。そうすると,掬い上げ部材が前後の両方向に傾斜されて配置されるとの構成も,本件訂正発明2を基礎付ける特徴的部分であるといえる。これに対して,本件訂正明細書2には,掬い上げ部材が2枚であることの技術的意義は,何ら記載されておらず,前記のとおり,傾斜板の外面が正又は逆回転時のそれぞれにおいて,外端堆積部に当接することが重要であるから,本件発明2の掬い上げ部材が2枚で構\成されることに格別の技術的意義があるとはいえず,本件訂正明細書2に記載されるように2枚の部材を直接溶接してV字状を形成することと,1枚の部材を折曲してV字状を形成することとの間に技術的相違はないから,この点は本質的部分であるとはいえない。また,前記のとおり,前後に傾斜させる角度が,回転軸5aの中心軸線に対して10°〜80°の角度であればよく,逆への字状が含まれることや,掬い上げる部材としても,平面な板状に限定されず,外端堆積部に当接して内側に掬い上げることができればよいことに照らすと,掬い上げ部材が,平面な板状で構成されていることも,本質的部分であるとはいえない。そうすると,上記アで述べた,本件訂正発明2のV字型掬い上げ部材が「2枚の板状の部材を傾斜させて配置されるもの」に対し,ロ号装置の掬い上げ部材105dは,「半円弧状の形状を有する1枚の部材から構\成されたもの」であるとの相違点は,本質的部分に係るものであるということはできない。
・・・・
原告日環エンジニアリングによる均等侵害の主張は,原判決において本件発明2の文言侵害が認められなかったことを受けて,平成25年5月23日に行われた当審の第1回口頭弁論期日以前に提出された同年4月30日付けの附帯控訴状において均等侵害に該当する旨が記載され,同年5月16日付け準備書面において均等侵害の5要件に関する主張が記載されていたものであり,その内容は,新たな証拠調べを要することなく判断可能なものであり,訴訟の完結を遅延させるものとはいえない。したがって,上記主張を時機に後れた攻撃防御方法として却下はしない。なお,被告が,原告らが,原審において,請求原因を明確にせず,被告及び裁判所から1年間にわたり請求原因の補充を促され続けたことにより遅延した旨主張する部分については,仮にそのような事実があったとしても,上記判断を左右するものでない。\n

◆判決本文

◆原審:平成25年01月31日 東京地裁 平成21(ワ)23445

◆関連審取はこちら 平成25(行ケ)10105

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 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 裁判手続

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平成21(ワ)32515 損害賠償等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年01月30日 東京地方裁判所

 第1要件(本質的部分)および第5要件(意識的除外)により均等侵害が否定されました。
 上記の補正にもかかわらず,上記拒絶理由通知の理由に より拒絶査定(乙179の33)がされたため,原告は,拒絶査定不服審判の審判請求書(乙19)において,本件発明は「市外局番と市内局番と連続する予め電話番号が存在すると想定される番号の番号テーブルを作成しハードディスクに登録する手段」が中核的構\成要件であると述べるとともに,平成19年6月15日提出の補正書(乙179の37)により,上記部分を「市外局番と市内局番と連続する予め電話番号が存在すると想定される番号の番号テーブルを作成しハードディスクに登録する手段」と補正し,本件特許の特許登録がされるに至ったこと,以上の事実が認められる。ウ 上記事実関係によれば,本件発明の本質的部分は,実在する電話番号を収集しその利用状況を調査するために,実在すると想定される市外局番及び市内局番とこれに連続する4桁の番号からなる全ての電話番号の番号テーブルを作成してこれをハードディスクに登録するという構成を採用した点にあると解される。したがって,特許請求の範囲に記載された構\成と被告装置5の相違点は,本件発明の本質的部分に当たるということができる。さらに,上記出願経過に照らせば,原告は,拒絶理由を回避するために,特許請求の範囲を「ハードディスクに登録する手段」を有する構成に意識的に限定したものと認められる。したがって,均等の第1要件及び第5要件を欠くから,被告装置5は,本件発明と均等なものとはいえず,その技術的範囲に属しないというべきである。\n
(4) 以上のとおり,被告装置2〜4は,携帯電話の調査に係る構成を除き,本件発明の技術的範囲に属すると認められるのに対し,被告装置1及び5は本件発明の技術的範囲に属するとは認められないと判断することが相当である。\n

◆判決本文

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 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 第5要件(禁反言)

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