2022.07.19
令和4(ネ)10021 特許権侵害差止請求控訴事件 特許権 民事訴訟 令和4年7月7日 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所
令和4(ネ)10021
医薬品の特許権侵害について、原審は、請求項1,2についてはサポート要件違反の無効理由あり、また請求項3,4については技術的範囲に属しないと判断していました。
原告(特許権者)が控訴し、知財高裁は原審の判断を維持しました。
本件発明2の特許請求の範囲の請求項2(「化合物が、式IにおいてR3およびR2はいずれも水素であり、R1は−(CH2)0−2−iC4H9である化合物の(R),(S),または(R,S)異性体である請求項1記載の鎮痛剤」)の記載に照らすと、本件発明2の化合物は、本件発明1の化合物の範囲に含まれるものである。
本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明2の化合物を線維筋痛症や神経障害等の痛みの処置における鎮痛剤として使用することについての一般的な記載があるが(前記1(2)及び(4))、一方で、本件発明2の化合物を神経障害又は線維筋痛症による痛覚過敏又は接触異痛の痛みの処置における鎮痛剤として使用することについて明示の記載はない。
また、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明2の化合物に該当するCI−1008及び3−アミノメチル−5−メチル−ヘキサン酸を用いたラットホルマリン足蹠試験結果、CI−1008を用いたラットカラゲニン誘発機械的痛覚過敏及び熱痛覚過敏に対する試験結果、本件発明2の化合物に該当するS−(+)−3−イソブチルギャバを用いたラット術後疼痛モデルにおける熱痛覚過敏及び接触異痛に対する試験結果の記載がある(前記1(3)、(6)、(7)及び(9))。
しかし、前記(1)オ(ア)dの認定事実に照らすと、上記試験結果は、いずれも神経障害又は線維筋痛症による痛みの処置に本件発明2の化合物を使用した試験に関するものといえないから、上記試験結果から、本件発明2の化合物が、「神経障害又は線維筋痛症による、痛覚過敏又は接触異痛の痛み」に対して鎮痛効果を有することを認識することはできない。
そうすると、当業者は、本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件出願当時の技術常識から、本件発明1の化合物の範囲に含まれる本件発明2の化合物が、本件発明1及び2の「痛み」の範囲に含まれるすべての「痛み」に対して鎮痛効果を有する鎮痛剤を提供するという本件発明1及び2の課題を解決できるものと認識することはできないから、本件発明1及び2は、いずれも本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものと認めることはできない。
・・・・
控訴人は、本件発明3は、慢性疼痛に対する画期的処方薬として、抗てんかん作用を有するGABA類縁体を痛みの処置に用いることを見いだしたものであり、その本質的部分は本件化合物を慢性疼痛の処置に用いる点にあるから、対象となる痛みが侵害受容性疼痛か、神経障害性疼痛や線維筋痛症かは本質的部分ではなく、効能・効果を神経障害性疼痛や線維筋痛症に伴う疼痛とし、慢性疼痛の処置に用いる鎮痛剤である被告ら医薬品は、均等論の第1要件を満たすと主張する。しかし、本件明細書の記載(前記1(4))によれば、本件発明3は、本件発明3の「炎症を原因とする痛み、又は手術を原因とする痛み」の範囲に含まれるすべての「痛み」に対して鎮痛効果を有する鎮痛剤を提供することを課題とするものと認められること、痛みは、その基礎となる病態生理に著しい差異があり、「侵害受容性疼痛」、「神経障害性疼痛」、「心因性疼痛」の3つに大別されることは、本件出願当時の技術常識であったこと(前記2(1)オ(ア)a)に照らすと、いかなる痛みに対して鎮痛効果を有するかは、本件発明3において本質的部分であるというべきであり、その鎮痛効果の対象を異にする被告ら医薬品は、本件発明3の本質的部分を備えているものと認めることはできない。したがって、本件発明3に係る特許請求の範囲(本件訂正後の請求項3)に記載された構成中の被告ら医薬品と異なる部分が本件発明3の本質的部分でないということはできないから、被告ら医薬品は均等論の第1要件を満たさない。\n
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19925等
特許権は同じで、被告(被控訴人)が異なる事件(1)です。
令和4(ネ)10009
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19927
被告(被控訴人)が異なる事件(2)です。
令和4(ネ)10002
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)22283
被告(被控訴人)が異なる事件(3)です。
令和4(ネ)10012
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19924
被告(被控訴人)が異なる事件(4)です。
令和4(ネ)10020
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19929
被告(被控訴人)が異なる事件(5)です。
令和4(ネ)10013
◆判決本文
原審。
◆令和2(ワ)19917
被告(被控訴人)が異なる事件(6)です。
令和4(ネ)10016
◆判決本文
原審。
◆令和2(ワ)19918等
被告(被控訴人)が異なる事件(7)です。
令和4(ネ)10039
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19919
被告(被控訴人)が異なる事件(8)です。
令和4(ネ)10028
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19920等
被告(被控訴人)が異なる事件(9)です。
令和4(ネ)10015
◆判決本文
原審。
◆令和2(ワ)19922等
被告(被控訴人)が異なる事件(10)です。
令和4(ネ)10036
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19923等
被告(被控訴人)が異なる事件(11)です。
令和4(ネ)10017
◆判決本文
原審。
◆令和2(ワ)19926
被告(被控訴人)が異なる事件(12)です。
令和4(ネ)10003
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19928
被告(被控訴人)が異なる事件(13)です。
令和4(ネ)10037
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19931等
被告(被控訴人)が異なる事件(14)です。
令和4(ネ)10025
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)19932
被告(被控訴人)が異なる事件(15)です。
令和4(ネ)10026
◆判決本文
原審
◆令和2(ワ)22290等
本件特許の無効審判事件の審取です。
令和2(行ケ)10135
審決は、「訂正後の請求項1ないし2に係る発明についての特許を無効、請求項3,4に係る発明についての本件審判の請求は,成り立たない。」と判断していました。
知財高裁は、審決維持です。
◆判決本文
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2022.04.23
令和2(ワ)19920等 特許権侵害差止請求事件 特許権 民事訴訟 令和4年1月19日 東京地方裁判所
医薬品の用途発明について、請求項1,2については、実施可能要件・サポート要件違反として訂正が認められず、請求項3,4については均等侵害も否定されました。
医薬の用途発明においては,一般に,物質名,化学構造等が示されるこ\nとのみによっては,当該用途の有用性を予測することは困難であり,当該\n医薬を当該用途に使用することができないから,医薬の用途発明において
実施可能要件を満たすためには,明細書の発明の詳細な説明にその医薬の\n有用性を当業者が理解できるような薬理試験結果を記載する必要がある
が,前記判示のとおり,本件明細書等には,本件化合物が神経障害性疼痛
又は心因性疼痛による痛覚過敏又は接触異痛の痛みの治療に有効である
と当業者が理解し得るような薬理試験結果の記載は存在しない。
(3) 本件特許出願当時の技術常識
ア 本件明細書等には,本件化合物が侵害受容性疼痛による痛覚過敏又は接
触異痛に対して有効であれば,神経障害又は心因性による痛覚過敏又は接
触異痛についての薬理試験を要することなく治療効果が予測されること\nを明示又は示唆する技術常識の記載は存在しない。また,侵害受容性疼痛,
神経障害性疼痛,心因性疼痛などの種類を問わず,痛覚過敏又は接触異痛
などの痛みの発症原因や機序が同一であり,いずれかの種類の痛みに対し
て有効な医薬品であれば,他の種類の痛みに対しても有効であることが本
件特許出願当時の当業者に知られていたなどの記載もない。
・・・・
上記各文献は,本件の技術分野に属する専門家により執筆されたもので
あり,その当時の技術常識を反映した書籍であるというべきところ,上記
に摘示した各記載によれば,侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛及び心因性
疼痛は,その発症原因,痛みの態様・程度及び治療方法がそれぞれ異なる
というのが本件特許出願当時の技術常識であり,痛みの種類を問わず,痛
覚過敏又は接触異痛などの痛みの発症原因や機序は同一であり,いずれか
の種類の痛みに対して有効な医薬品であれば,他の種類の痛みに対しても
有効であるとの技術常識が存在したということはできない。
ウ 以上によれば,本件化合物が神経障害又は心因性による痛覚過敏又は接
触異痛の痛みの治療に有効であることを示す薬理試験結果の記載もなく,
本件明細書等の記載に接した当業者が,本件化合物がこれらの痛みの治療
に有効であると認識し得たとは考えられない。
(4) したがって,本件明細書等の記載は訂正前発明1及び2を当業者が実施で
きる程度に明確かつ十分に記載したものであるということはできず,実施可\n能要件を充足しない。\n
(5) 原告の主張について
これに対し,原告は,本件特許出願当時,慢性疼痛は,それが侵害受容性
疼痛,神経障害性疼痛又は心因性疼痛のいずれによるものであっても,末梢
や中枢の神経細胞の感作という神経の機能異常で生ずる痛覚過敏や接触異痛\nの痛みであるとの技術常識が存在したので,当業者は,本件明細書等の記載及
び同明細書等に記載された薬理試験から,本件化合物が同明細書等に記載さ
れた各種の痛みに有用であると認識することができたと主張する。
・・・・
(オ) 以上によれば,上記(ア)ないし(ウ)の各記載から,侵害受容性疼痛,神
経障害性疼痛等で出現する痛覚過敏と,脊髄のNMDA受容体の活性化
による中枢性感作との間に関連性があるといい得るとしても,本件特許
出願当時,本件明細書等に記載された侵害受容性疼痛(炎症性疼痛,術
後疼痛,転移癌に伴う骨関節炎の痛み,痛風,火傷痛等)や神経障害性
疼痛(三叉神経痛,急性疱疹性神経痛,糖尿病性神経障害,カウザルギ
ー等)により出現する痛覚過敏がすべて末梢や中枢の神経細胞の感作と
いう神経の機能異常により生じるとの技術常識が存在したとは認め難\nく,まして,これらの記載から,当業者が,薬理試験結果の記載もなく,
本件化合物が神経障害性疼痛の治療に有効であると認識し得たという
ことはできない。
・・・・
原告は,被告医薬品が構成要件3B及び4Bの文言を充足しない場合であっ\nても,均等侵害が成立すると主張する。
しかし,相手方が製造等をする製品(対象製品)が,特許請求の範囲に記載
された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属すると認められる\nためには,当該対象製品が特許請求の範囲に記載された構成と異なる部分が特\n許発明の本質的部分ではないことを要する(第1要件)。
本件発明3及び4と被告医薬品との相違部分は,その用途にあるところ,同
各発明は,既知の薬物である本件化合物が,侵害受容性疼痛の治療に有効であ
ることを新たに見出したことにあるので,その用途が同各発明の本質的部分を
構成することは明らかである。\nしたがって,被告医薬品は,第1要件を充足しないので,均等侵害は成立し
ない。
7 まとめ
以上によれば,訂正前発明1及び2に係る特許は,実施可能要件及びサポー\nト要件の各違反を理由に特許無効審判により無効にされるべきものであり,本
件訂正は訂正要件を具備せず,同訂正によっても上記各無効理由が解消されな
い。また,被告医薬品は,本件発明3及び4の技術的範囲に属しない。
◆判決本文
特許権は同じく、被告が異なる事件です。
◆令和2(ワ)19932
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2022.03.30
令和2(ワ)19931等 特許権侵害差止請求事件 特許権 民事訴訟 令和4年2月16日 東京地方裁判所
医薬用途発明の特許権侵害訴訟です。東京地裁(29部)は、本件発明1,2については実施可能要件・サポート要件違反の無効理由ありと判断しました。また、本件発明3,4について、均等侵害も否定しました。本件発明1,2は特許庁で訂正要件を満たさないと判断されており、審決取消訴訟に係属しています。本件発明3,4は特許庁で訂正が認められています。
いわゆる医薬用途発明においては,一般に,当業者にとって,物質名,
化学構造等が示されることのみによっては,当該用途の有用性及びそのた\nめの当該医薬の有効量を予測することは困難であり,当該発明に係る医薬\nを当該用途に使用することができないから,そのような発明において実施
可能要件を満たすためには,明細書の発明の詳細な説明に,薬理データの\n記載又はこれと同視し得る程度の記載をすることなどにより,当該用途の
有用性及びそのための当該医薬の有効量を裏付ける記載を要するものと解
するのが相当である。
本件発明1及び2の特許請求の範囲においては,本件化合物が「痛みの
処置における」(構成要件1B)「鎮痛剤」(構\成要件1C)及び「鎮痛
剤」(構成要件2C)として作用することが記載されているところ,いず\nれも本件化合物の鎮痛効果が認められる痛みは特定されていない。しかし,
本件明細書には,本件化合物について,「痛みの処置とくに慢性の疼痛性
障害の処置における使用方法である。このような障害にはそれらに限定さ
れるものではないが炎症性疼痛,術後疼痛,転移癌に伴う骨関節炎の痛み,
三叉神経痛,急性疱疹性および治療後神経痛,糖尿病性神経障害,カウザ
ルギー,上腕神経叢捻除,後頭部神経痛,反射交感神経ジストロフィー,
線維筋痛症,痛風,幻想肢痛,火傷痛ならびに他の形態の神経痛,神経障
害および特発性疼痛症候群が包含される。」(前記1(1)イ)と記載されて
いることに照らすと,本件発明1及び2は,本件化合物が少なくとも上記
各痛みに対して鎮痛効果を有することを内容とするものと解される。
したがって,本件発明1及び2について実施可能要件を満たすというた\nめには,本件明細書の発明の詳細な説明に,薬理データの記載又はこれと
同視し得る程度の記載をすることなどにより,上記各痛みに対して鎮痛効
果があること及びそのための当該医薬の有効量を裏付ける記載が必要であ
るというべきである。
・・・
前記(ア)の各文献の記載によれば,本件出願当時,術後疼痛試験は,ラ
ットの皮膚,筋膜及び足蹠の足底側面の筋肉を切開することにより,痛
覚過敏を引き起こし,これに対する薬剤の効果を確かめる試験であるこ
とが,技術常識であったと認められる。
そして,本件明細書には,「S−(+)−3−イソブチルギャバ」\n(弁論の全趣旨によれば,構成要件3Aを充足する本件化合物の一種で\nあると認められる。)が術後疼痛試験において有効であったことが記載
されており,さらに,「ラット足蹠筋肉の切開は熱痛覚過敏および接触
異痛を生じた。いずれの侵害受容反応も手術後1時間以内にピークに達
し,3日間維持された。実験期間中,動物はすべて良好な健康状態を維
持した。」(前記1(1)キ(キ)),「ここに掲げた結果はラット足蹠筋肉
の切開は少なくとも3時間続く熱痛覚過敏および接触異痛を誘発するこ
とを示している。本試験の主要な所見は,ギャバペンチンおよびS−
(+)−3−イソブチルギャバがいずれの侵害受容反応の遮断に対して\nも等しく有効なことである。」(同(コ))との記載がある。
以上によれば,本件出願当時,本件明細書の術後疼痛試験の結果に接
した当業者は,本件化合物について,侵害受容性疼痛としての熱痛覚過
敏及び接触異痛に対して有効であると理解し,その他の痛みに対して有
効であると理解することはなかったというべきである。
・・・
ア 被告医薬品が本件発明3の構成と均等なものであるかについて\n
(ア) 原告は,本件発明3は,慢性疼痛に対する画期的処方薬として,抗て
んかん作用を有するGABA類縁体を痛みの処置に用いることを見いだ
したものであり,その本質的部分は本件化合物を慢性疼痛の処置に用い
る点にあるから,対象となる痛みが侵害受容性疼痛か,神経障害性疼痛
や線維筋痛症かは本質的部分ではなく,効能・効果を神経障害性疼痛や\n線維筋痛症に伴う疼痛とし,慢性疼痛の処置に用いる鎮痛剤である被告
医薬品は,均等侵害の第1要件を満たすと主張する。
しかし,前記1(1)アのとおり,本件特許に係る発明は,てんかん,ハ
ンチントン舞踏病等の中枢性神経系疾患に対する抗発作療法等に有用な
薬物である本件化合物が,痛みの治療における鎮痛作用及び抗痛覚過敏
作用を有し,反復使用により耐性を生じず,モルヒネと交叉耐性がない
ことに着目した医薬用途発明であるところ,前記2(1)イのとおり,本件
出願当時,痛みには種々のものがあり,その原因や機序も様々であるこ
とが技術常識であった。
そうすると,いかなる痛みに対して鎮痛効果を有するかは,本件発明
3において本質的部分というべきであり,その鎮痛効果の対象を異にす
る被告医薬品は,本件発明3の本質的部分を備えているものと認めるこ
とはできない。したがって,本件発明3に係る特許請求の範囲に記載さ
れた構成中の被告医薬品と異なる部分が本件発明3の本質的部分でない\nということはできないから,被告医薬品は均等の第1要件を満たさない。
(イ) また,前記(1)アによれば,原告は,本件訂正前発明3においては鎮痛
の対象となる痛みを限定していなかったところ,本件訂正により「炎症
を原因とする痛み」及び「手術を原因とする痛み」に限定していること
からすると,本件発明3との関係においては,被告医薬品の効能・効果\nである神経障害性疼痛及び線維筋痛症に伴う疼痛を意図的に除外したと
認めるのが相当である。
したがって,被告医薬品は均等の第5要件も満たさない。
(ウ) 以上によれば,被告医薬品は,本件発明3の特許請求の範囲に記載さ
れた構成と均等なものとは認められない。\n
イ 被告医薬品が本件発明4の構成と均等なものであるかについて\n
前記アと同様に,いかなる痛みに対して鎮痛効果を有するかは,本件発
明4の本質的部分というべきであり,被告医薬品は均等の第1要件を満た
さず,また,本件発明4との関係においては,被告医薬品の効能・効果で\nある神経障害性疼痛及び線維筋痛症に伴う疼痛が意図的に除外されている
から,均等の第5要件も満たさない。
したがって,被告医薬品は,本件発明4の特許請求の範囲に記載された
構成と均等なものとは認められない。\n
◆判決本文
関連事件です。本件特許は同じですが、被告が異なります。なお、原告代理人はなぜか異なります。
◆令和2(ワ)19923等
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>> 104条の3
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2022.02.14
令和2(ワ)19927 特許権侵害差止請求事件 特許権 民事訴訟 令和3年12月24日 東京地方裁判所
薬について技術的範囲に属しないと判断されました。均等侵害についても本質的要件を満たさないと判断されました。
原告は,本件発明3は,慢性疼痛に対する画期的処方薬として,抗て
んかん作用を有するGABA類縁体を痛みの処置に用いることを見いだ
したものであり,その本質的部分は本件化合物を慢性疼痛の処置に用い
る点にあるから,対象となる痛みが侵害受容性疼痛か,神経障害性疼痛
や線維筋痛症かは本質的部分ではなく,効能・効果を神経障害性疼痛や\n線維筋痛症に伴う疼痛とし,慢性疼痛の処置に用いる鎮痛剤である被告
医薬品は,均等侵害の第1要件を満たすと主張する。
しかし,前記1(1)アのとおり,本件特許に係る発明は,てんかん,ハ
ンチントン舞踏病等の中枢性神経系疾患に対する抗発作療法等に有用な
薬物である本件化合物が,痛みの治療における鎮痛作用及び抗痛覚過敏
作用を有し,反復使用により耐性を生じず,モルヒネと交叉耐性がない
ことに着目した医薬用途発明であるところ,前記2(1)イのとおり,本件
出願当時,痛みには種々のものがあり,その原因や機序も様々であるこ
とが技術常識であった。
そうすると,いかなる痛みに対して鎮痛効果を有するかは,本件発明
3において本質的部分というべきであり,その鎮痛効果の対象を異にす
る被告医薬品は,本件発明3の本質的部分を備えているものと認めるこ
とはできない。したがって,本件発明3に係る特許請求の範囲に記載さ
れた構成中の被告医薬品と異なる部分が本件発明3の本質的部分でない\nということはできないから,被告医薬品は均等の第1要件を満たさない。
(イ) また,前記(1)アによれば,原告は,本件訂正前発明3においては鎮痛
の対象となる痛みを限定していなかったところ,本件訂正により「炎症
を原因とする痛み」及び「手術を原因とする痛み」に限定していること
からすると,本件発明3との関係においては,被告医薬品の効能・効果\nである神経障害性疼痛及び線維筋痛症に伴う疼痛を意図的に除外したと
認めるのが相当である。
したがって,被告医薬品は均等の第5要件も満たさない。
◆判決本文
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