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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

第4要件(公知技術からの容易性)

平成24(ネ)10054 損害賠償請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成25年12月19日 知的財産高等裁判所

均等の第4要件を満たさないとして均等侵害が否定されました。
 上記ウのとおり,乙27には,ヒトの肝癌組織片をヌードマウスで継代した肝癌腫瘍の継代2代目を,ヌードマウスの肝に移植したことで,右肺下葉に直径約2mmの球状の転移を認めた旨の記載があり(31頁右欄18行〜32頁右欄7行目),その上で,肝移植肝細胞癌が肺転移を惹起したことを明確に証明したものとする記載があるのであるから(33頁左欄11〜19行目),乙27には,ヒトの肝癌組織片を原発臓器であるヌードマウスの肝臓に同所移植することによって肺転移が生じるヌードマウス(モデル動物)を得られるとの知見が開示されているものと認められる。そして,1)乙14発明と乙27発明は,肝癌患者の肝臓から採取した肝腫瘍組織片をヌードマウスの皮下で継代移植して得られた腫瘍組織塊をヌードマウスに同所移植することによってモデル動物を作成するという同一の技術分野に属するものであり,その技術分野において,本件出願の優先権主張日当時,転移過程を再現できるヒトモデル動物を作製することは共通の技術課題とされていたこと,2)その技術課題に直接関するヌードマウスに肺転移が認められたとする部分について,乙14は乙27を参照文献として引用していることに照らすならば,乙14及び乙27に接した当業者であれば,乙14発明に乙27に記載された知見を適用して本訴マウスの構成とすることは,容易であるものと認められる。
キ 小括
以上のとおりであるから,本訴マウスは,本件出願の優先権主張日当時における公知技術から容易に推考できたものであり,均等の第4要件を満たさない。

◆判決本文

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