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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

第5要件(禁反言)

平成26(ワ)27277  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成27年10月14日  東京地方裁判所

 CS関連発明について、均等の第5要件を満たしていないとして侵害不成立と判断されました。
 事案に鑑み,まず,前記1において認定説示した本件特許発明と被告方法とが相違する部分(構成要件F4と被告方法との相違部分)に関し,均等の第5要件(上記(1)5))の成否を検討する。
前記1(3)において認定説示したとおり,本件特許の出願人である原告は,本件特許の出願手続において,当初(分割出願時)は,「数量に基づく計算」を「Web−POSクライアント装置」により行うか,「Web−POSサーバ・システム」により行うかについて,本件特許請求の範囲により規定していなかったところ,第1手続補正により,本件特許請求の範囲に「3)商品オーダ内容の操作に関する表示制御,すなわち,上記Web−POSクライアント装置の入力手段を有する表\示装置に表示された上記商品の注文明細情報について,ユーザが,該入力手段により,オーダ内容(数量)を入力(選択)すると,該オーダ内容に基づく計算が上記Web−POSサーバ・システムにおいて行われると共に,その結果が上記Web−POSクライアント装置に通知され,また,ユーザが,該入力装置により,オーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)を行うと,該商品の注文明細情報に対する該オーダ内容に基づく計算結果の販売情報または注文情報が該Web−POSサーバ・システムにおいて取得(受信)されること」との構\成を付加しようとしたこと,特許庁審査官は,同構成を付加する補正は,願書に最初に添付された明細書,特許請求\nの範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく,特許法17条の2第3項に違反するなどの理由により,第1手続補正を同法53条1項により却下する旨の決定をしたこと,原告は,同却下決定を受けて,第2手続補正により,本件特許請求の範囲に「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に,」との構成を付加したことが認められ,また,同補正により,本件請求項1記載の発明は,「該数量に基づく計算」が「Web−POSクライアント装置」により行われるものに限定されたと解すべきである。
そうすると,原告は,本件特許の出願手続において,被告方法のような「該数量に基づく計算」が「Web−POSサーバ・システム」により行われ,その結果が「Web−POSクライアント装置」に通知される構成について,これを明確に認識しながら,あえて本件特許請求の範囲から除外したものと外形的に評価し得る行動をとったものというべきである(なお,原告は,前記1において認定説示した本件特許発明と被告方法とが相違する部分〔構\成要件F4と被告方法との相違部分〕以外については,被告方法が本件特許発明と同一であるか,少なくとも均等であると主張しているのであるから,同主張を前提とする限り,被告方法は,客観的にみて,本件特許の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものにあたることになるといえる。)。
この点,原告は,第1手続補正が却下されているとか,第2手続補正のうち,構成要件F4に関する部分は,サポート要件(特許法36条6項1号)違反の拒絶理由の解消を目的としたものであるなどと主張するが,第1手続補正が却下されたとの事実は,出願人である原告が,被告方法のような「該数量に基づく計算」が「Web−POSサーバ・システム」により行われ,その結果が「Web−POSクライアント装置」に通知される構\成を明確に認識していたとの上記認定を左右するものではなく,また,原告が当該構成を明確に認識しており,第2手続補正により本件請求項1記載の発明が「該数量に基づく計算」が「Web−POSクライアント装置」により行われるものに限定されたと解される以上,第2手続補正のうち,構\成要件F4に関する部分についての補正の目的が原告主張のとおりであったとしても,被告方法のような構成をあえて本件特許請求の範囲から除外したものと外形的に評価し得る行動をとったとの上記認定判断が左右されるものではない。\nしたがって,均等の第5要件の成立は,これを認めることができない。

◆判決本文

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