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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

間接侵害

平成21(ワ)3527等 特許権侵害差止請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年06月24日 東京地方裁判所

 少し前の事件ですが、最高裁で上告棄却され、確定しましたのでアップしておきます。
 インクタンクの販売が、本件液体インク供給システムの特許権侵害か争われました。 争点は、技術的範囲、無効、間接侵害等です。
 特許法101条2号所定の「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは,より広い用途を有するねじや釘のような普及品を想定して制定されたものである。原告製プリンタにしか使用することができない被告製品2は,発光と受光という本件発明の特徴的機能を有しない機種計67機種の他の原告製プリンタにも使用することができるとしても,汎用品ということは到底できず,「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは認められない。上記「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは,汎用の部品や材料が,特許発明の侵害する製品の製造に用いられたとしても,間接侵害とならないように設けられた規定であり,被告製インクタンクは,原告製プリンタ専用のインクタンクであるから,到底,汎用の部品とはいえない。したがって,被告製品2は,「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは認められない。\n

◆判決本文

◆控訴審はこちらです。平成22年(ネ)10064
 

関連カテゴリー
 >> 新規性・進歩性
 >> 消尽
 >> 間接侵害
 >> 主観的要件
 >> 汎用品
 >> 104条の3

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平成20(ワ)33440 特許権侵害差止等請求事件 平成23年07月12日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。間接侵害はイ号ソフトをインストールしたサーバが技術的範囲外である以上、これについても否定されました。
 そして,本件発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載と上記認定の本件明細書の開示事項を総合すれば,本件発明のデータ入力装置においては,部品表データベースに登録された部品表\を検索キーとし,「画面表示手段」(構\成要件D)によって上記部品表に示された製品の各部位を示す項目を階層関係に従って画面に表\示すること,「項目指示手段」(構成要件E)によって上記画面上の任意の項目を指示すること,「入力処理手段」(構\成要件F)によって上記指示のあった指示項目に対して登録する情報を所定の記憶領域に入力すること,「リンク設定手段」(構成要件G)によって上記入力された情報(登録する情報)に対して上記指示項目及びこれを含む上位の階層関係の項目をリンクさせる情報を付すこと,「メニュー表\示手段」(構成要件H)によって上記指示項目に対して入力する情報の用途別の種類が表\示されたメニューを画面に表示すること,「情報種類設定手段」(構\成要件I)によって上記メニューに表示された情報種類を選択することで,その選択された情報種類を,上記入力された情報(登録する情報)(本来の情報)に対して関連付けること,「情報登録手段」(構\成要件J)によって上記入力された情報(登録する情報)と,上記リンクさせる情報と,上記情報種類の情報とをデータベースサーバに送ってそのサーバ内の統合データベースに登録することを「一連の動作」として行うことができるようにしたことで,データ入力の負担を極力抑えて,各現場で発生する各種情報を誰でもが簡易に入力することができるようにするとともに,入力した情報を簡易に検索して利用できるようにしたことに技術的意義があるものと認められる。・・・そこで検討するに,ネットワーク接続したイ号サーバシステムは,前記(1)イのとおり,部品に関する情報がイ号サーバシステムとは別の複数の既存システムに保持されたまま各既存システムで個別管理され,かつ,その情報の入力・登録も各既存システムが有する入力手段・登録手段によって行われることを前提とし,これらの既存システムに保持された部品に関する情報の検索・参照を容易にすることを目的としたサーバシステムであって,クライアントの要求に従って,これらの既存システムに保持された部品に関する情報が整理・記述された入力用データをコピー及び一部データ変換してイ号サーバシステム内に構築されたイ号データベースを検索し,検索条件(文字列)に合致した部品の部品番号,部品名及び属性情報をクライアントの表\示装置に表示させ,更に指示された部品の上流又は下流にある部品の部品番号等を階層的に上記表\示装置に表示させる機能\(検索機能及び階層展開機能\)を有するものである。しかしながら,ネットワーク接続したイ号サーバシステムにおいては,上記検索機能及び階層展開機能\によりクライアントの表示装置(画面)に表\示又は階層的に表示させた部品の部品番号,部品名及び属性情報について,上記画面上の任意の項目を指示し,その上で,その指示項目に対して登録する部品に関する情報を所定の記憶領域に入力する「入力処理手段」(構\成要件F)を備えるものではなく,また,部品に関する情報を個別管理する既存システム内のデータベース及びイ号データベースのいずれに対しても,上記指示項目に対して登録する情報,上記指示項目と上位の関係の項目とをリンクさせる情報,及び情報種類の情報を登録する「情報登録手段」(構成要件J)を備えるものではない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 間接侵害
 >> コンピュータ関連発明

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平成20(ワ)19874 特許権侵害差止等請求事件 平成23年06月10日 東京地方裁判所

 特殊な例ですが、間接侵害の主観的要件について、警告だけでは知ったことにならないと判断されました。また、変形イ号については均等の主張は認められませんでした。
 均等論について
 これに対し原告は,2本の穿刺針の「ほぼ平行」な位置関係を維持するために,指を併用するか,部材自体の構成のみによるかは,本件発明1の目的・効果を実現する上で本質的な相違ではない旨を主張する。しかし,本件発明1においては,2本の穿刺針を穿刺した上での縫合による前腹壁と内臓壁との固定を,「容易,かつ短時間に,さらに安全かつ確実に」行うという目的・効果を実現するべく,2本の穿刺針の「ほぼ平行」な位置関係を実現する具体的な手段として,専ら術者の指による保持によって実現される固定などではなく,「固定部材」を用いた固定という,より容易で,安全かつ確実な構\\成を採用したものであると考えられるから,原告の上記主張は失当というべきである。(エ) 以上によれば,構成要件Dの「固定部材」の構\\成は,本件発明1の本質的部分というべきであり,これを欠いている指による重ね保持状態にある被告製品は,本件発明1の構成と均等なものとはいえないから,均等侵害が成立する旨の原告の上記主張は理由がない。
間接侵害について
 X1の代理人弁護士らが,平成18年12月22日に,被告らに対し,被告製品が一体化同時穿刺のできる構造であることを指摘し,本件特許に抵触する旨を警告する内容の本件通知書を送付したことといった諸事情を挙げるので,以下,これらの諸事情が,原告の上記主張の根拠となり得るか否かについて検討する。・・・以上で検討したとおり,原告が指摘する前記の諸事情は,いずれも,被告製品の添付文書の前記(イ)cの記載にもかかわらず,なお医師らが被告製品を一体化同時穿刺の方法で使用することがあり得ることを被告らにおいて認識していたことを推認させるに足りる事情とはいい難いものであり,この点は,これらの諸事情を総合してみても同様である。このほか,被告製品の販売開始の時点(平成19年4月)までに,被告らに上記の認識があったことを示す事情も見当たらない。したがって,被告製品の販売が開始された平成19年4月の時点において,被告らは被告製品が一体化同時穿刺の方法で使用されることを認識していたとする原告の主張は,これを認めることができない。
b 平成20年2月26日時点の被告らの認識について
・・・ しかるところ,原告アンケートは,一方当事者である原告が,原告製品の納入実績のある医療機関の医師の中から任意に選択した医師を対象として行ったアンケート調査であることなど,その結果の信頼性に限界があることを考慮しても,甲8の陳述書においては,被告製品を一体化同時穿刺の方法で使用したと回答した医師が存在したことが具体的な数字によって示されており,かつ,そのうちの1名の医師が作成した回答書の写しが現に裏付資料として添付されていることからすれば,甲8の陳述書の記載は,被告らからみても,被告製品を用いて一体化同時穿刺を行っている医師が存在することを疑わせる一つの証拠資料であることは否定できないことといえる。・・・以上によれば,被告らは,本件訴状及びこれとともに提出された書証の写しの送達を受けることによって,少なくとも被告製品を用いて一体化同時穿刺を行っている医師が存在することを疑わせるに足りる事実を認識したものということができる。(b) さらに,被告製品の使用態様に関する被告らの認識状況を検討するに当たっては,前記(イ)dのとおり,本件調査嘱託の結果から,被告製品を胃瘻造設のための胃壁固定術に使用する医師らの相当数の者が現に被告製品を使用して一体化同時穿刺を行っているという実態が認められることが重要である。すなわち,前記(イ)dで認定したとおり,相当数の医師らが被告製品を使用して一体化同時穿刺を行っているという実態は,被告製品の販売開始当時(平成19年4月)から継続的に存在しているものと考えられ,しかも,その規模については,本件調査嘱託の結果によれば,被告製品の使用経験がある58の医療機関のうちの約45%に当たる26の医療機関で一体化同時穿刺の実績があり,また,上記58の医療機関における被告製品の使用症例数合計2869の約27%に当たる785の症例で一体化同時穿刺が行われているという,広範囲にわたるものであることが認められることは,前記(1)イ(ウ)aのとおりである。しかるところ,このように多数の医療機関における多数の症例において,被告製品を使用した一体化同時穿刺が現に行われており,しかも,そのような実態が相当期間継続しているという事実を前提とすれば,被告製品を使用する多くの医師らと日常的に接触し,これらの医師から被告製品に関する質問や意見を聴取しているはずの被告オリンパスメディカルの営業担当者らが,このような被告製品の使用実態を認識することは,ごく自然な経過ということができる。むしろ,上記のような被告製品の使用実態が現に存在するにもかかわらず,被告オリンパスメディカルの営業担当者らの中に,被告製品を使用して一体化同時穿刺を行っている医師が相当程度存在するとの事実を認識している者が全く存在しないなどということは,およそ考え難いことというべきである。 この点,少なくとも,被告製品の販売が開始された平成19年4月から1年数か月が経過し,上記のような被告製品の使用実態が既に相当期間継続していたものといえる本件訴状の送達時点(被告秋田住友ベークにおいては平成20年8月1日,被告オリンパスメディカルにおいては同年7月31日)を基準とすれば,被告オリンパスメディカルの営業担当者らの中に,被告製品を使用して一体化同時穿刺を行っている医師が現に相当程度存在するとの事実を認識している者がいたことは,優にこれを推認することができる。
 (c) 以上によれば,遅くとも本件訴状が被告らに送達された時点には,被告らにおいて,被告製品の添付文書の前記(イ)cの記載にかかわらず,医師らが被告製品を用いて胃壁固定術を行う際に一体化同時穿刺を行うことがあることを認識していたものと認めることができる。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 間接侵害
 >> 主観的要件

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平成22(ネ)10089 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成23年06月23日 知的財産高等裁判所

 地裁では、技術的範囲に属しないと判断されましたが、知財高裁は差止、損害賠償を認めました。
 間接侵害について
 特許法101条4号は,その物自体を利用して特許発明に係る方法を実施する物についてこれを生産,譲渡等する行為を特許権侵害とみなすものであるところ,同号が,特許権を侵害するものとみなす行為の範囲を,「その方法の使用にのみ用いる物」を生産,譲渡等する行為のみに限定したのは,そのような性質を有する物であれば,それが生産,譲渡等される場合には侵害行為を誘発する蓋然性が極めて高いことから,特許権の効力の不当な拡張とならない範囲でその効力の実効性を確保するという趣旨に基づくものである。このような観点から考えれば,その方法の使用に「のみ」用いる物とは,当該物に経済的,商業的又は実用的な他の用途がないことが必要であると解するのが相当である。被告装置1は,前記のとおり本件発明1に係る方法を使用する物であるところ,ノズル部材が1mm以下に下降できない状態で納品したという被控訴人の前記主張は,被告装置1においても,本件発明1を実施しない場合があるとの趣旨に善解することができる。しかしながら,同号の上記趣旨からすれば,特許発明に係る方法の使用に用いる物に,当該特許発明を実施しない使用方法自体が存する場合であっても,当該特許発明を実施しない機能のみを使用し続けながら,当該特許発明を実施する機能\\は全く使用しないという使用形態が,その物の経済的,商業的又は実用的な使用形態として認められない限り,その物を製造,販売等することによって侵害行為が誘発される蓋然性が極めて高いことに変わりはないというべきであるから,なお「その方法の使用にのみ用いる物」に当たると解するのが相当である。被告装置1において,ストッパーの位置を変更したり,ストッパーを取り外すことやノズル部材を交換することが不可能ではなく,かつノズル部材をより深く下降させた方が実用的であることは,前記のとおりである。そうすると,仮に被控訴人がノズル部材が1mm以下に下降できない状態で納品していたとしても,例えば,ノズル部材が窪みを形成することがないよう下降しないようにストッパーを設け,そのストッパーの位置を変更したり,ストッパーを取り外すことやノズル部材を交換することが物理的にも不可能になっているなど,本件発明1を実施しない機能\のみを使用し続けながら,本件発明1を実施する機能は全く使用しないという使用形態を,被告装置1の経済的,商業的又は実用的な使用形態として認めることはできない。したがって,被告装置1は,「その方法の使用にのみ用いる物」に当たるといわざるを得ない。
均等について
 前記1の本件明細書の記載からすると,本件発明1は,その後に続く椀状に形成する工程や封着する工程との関連が強く,その後の椀状に形成する工程や封着する工程にとって重要な工程である外皮材の位置調整を,既に備わる封着用のシャッタで行う点,そして,別途の手段を設けることなく簡素な構成でこのような重要な工程を達成している点に,その特徴があるということができる。本件発明1においては,シャッタ片及び載置部材と,ノズル部材及び生地押え部材とが相対的に接近することは重要であるが,いずれの側を昇降させるかは技術的に重要であるとはいえない。よって,本件発明1がノズル部材及び生地押え部材を下降させてシャッタ片及び載置部材に接近させているのに対し,被告方法2がシャッタ片及び載置部材を上昇させることによってノズル部材及び生地押え部材に接近させているという相違部分は,本件発明1の本質的部分とはいえない。エ 均等侵害の要件ii)についてノズル部材及び生地押え部材を下降させてシャッタ片及び載置部材に接近させているのに代えて,押し込み部材の下降はなく,シャッタ片及び載置部材を上昇させてノズル部材及び生地押え部材に接近させる被告方法2によっても,外皮材が所定位置に収まるように外皮材の位置調整を行うことができ,外皮材の形状のばらつきや位置ずれがあらかじめ修正され,より確実な成形処理を行うことが可能であり(【0008】【0013】),より安定的に外皮材を戴置し,確実に押え保持することができ(【0011】),装置構\成を極めて簡素化することができる(【0012】)といった本件発明1と同一の作用効果を奏することができる。本件発明1の構成要件1C及び1Dは,押え部材が外皮材を受け部材上に保持することができ,押し込み部材が,受け部材の開口部に内材を供給するため一定の深さに進入することにより,達することができるとするものである。そうすると,ノズル部材及び生地押え部材を下降させてシャッタ片及び載置部材に接近させる構\成を,シャッタ片及び載置部材を上昇させることによってノズル部材及び生地押え部材に接近させる構成に置き換えたとしても,同一の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものということができる。オ 均等侵害の要件iii)について本件発明1と被告方法2の上記構成の相違は,ノズル部材及び生地押え部材を載置部材上の生地に接近させるための動作に関して,単に,上方の部材を下降させるか,下方の部材を上昇させるかの違いにすぎない。したがって,被告方法2の上記構\成に想到することは,当業者にとって容易である。・・・以上のとおり,被告方法2は,本件発明1の構成要件1Cの構\成と均等なものである。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成21(ワ)1201平成22年11月25日東京地裁
 

関連カテゴリー
 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> 間接侵害
 >> のみ要件

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