2003.07. 1
裁判所は、意匠の類似判断について、需用者が購入時に注意して観察する部分の違いから非類似と判断し、特許庁の審決を取り消しました。
「本件物品は,電気配線等の配線を覆い保護するものであり,その性質上,室内の壁,床面等に取り付けられた後は,それらの構造物と調和を保ちつつ,できる限り目立たないように設置されるものであり,また,本件物品は,第一次的には,最終需要者から電線等の配線工事の依頼を受けた配線業者が本件物品の販売業者からこれを選択,購入して,これを用いて配線工事を行うのが通常であると考えられる。 そして,配線保護カバー等の上記性質からすれば,配線業者が本件物品を購入する際には,その取り付け箇所との調和を念頭に置きその選択を行うものであり,また,・・・この嵌合構\造いかんは,本件物品の全体の形態的印象を形成する上で,1つの重要な要素となるものであり,しかも,配線業者にとって,本件物品の設置工事をする際に嵌合構造がどのようになっているかは重要な関心事であり,必ずこれを視認して選択を行うものと考えられる。したがって,配線業者は,各種の本件物品の中から特定のものを選択する場合には,・・・に注意を払い,さらに本件物品を上記構\造物に取り付けた場合の外観,すなわち,本件物品の上面及び側面の形状,色彩,模様が,取り付け箇所である室内及びその構造物等の形状,色彩等と調和するか否かの観点からこれに注意を払うものと認めるのが相当である。」
◆H15. 6.30 東京高裁 平成14(行ケ)626 意匠権 行政訴訟事件