類似するとして拒絶された審決が取り消されました。本件・引用意匠は判決本文の最後に添付されています。
「上記の認定に基づいて,本願意匠と引用意匠の類否を判断する。本願意匠は,折り返し部及び注ぎ口ともに基本的に直線で形成され,全体の縦が長く,注ぎ口を大きくかつ深く,正面視において二重略V字形状を有し,これらの特徴を総合すると規則的であるが,シャープな印象を与える形状ということができる。これに対して,引用意匠は,注ぎ口の側方視を除いて折り返し部及び注ぎ口ともに基本的に曲線で形成され,全体の縦の長さが横の長さに比して短く,注ぎ口が小さくかつ浅く,正面視において円弧形状を示し,平面視において,注ぎ口は,手前から先端に進むに従い,曲率半径を変化させ,曲線が多用され,これらの特徴を総合すると,不規則かつ複雑であるが,全体として柔軟で暖かな印象を与えるものといえる。. 上記によれば,本願意匠と引用意匠とは,意匠に係る物品がいずれもビールピッチャーであり,いずれもその構造が内容器と外容器の二重構\造を有するうちの内容器に関するものである他,注ぎ口及び折り返し部を有するという基本的な構成態様において共通する点を有するが,具体的な注ぎ口及び折り返し部の形状態様において,看者に異なる美感を与えているものというべきである。したがって,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。」
◆平成20(行ケ)10251 審決取消請求事件 意匠権行政訴訟 平成20年12月25日 知的財産高等裁判所