2018.07. 2
部分意匠について、先行意匠に類似するので無効と主張しましたが、知財高裁4部は、「無効理由無し」とした審決を維持しました。判決の最後に、図面があります。
本件登録意匠と甲1意匠とは,本件審決が認定するとおり,意匠に係る
物品が「検査用照明器具」である点で共通し,共に検査用照明器具の放熱
に係る用途及び機能を有し,正面視全幅の約1/3以上の横幅を占める大\nきさ及び範囲を占め,正面視右上に位置する点で,物品の部分の用途及び
機能並びに位置,大きさ及び範囲の点で共通する(争いがない。)。\nそこで,本件登録意匠と甲1意匠との類否について検討するに,甲18
の2(各図面は別紙5参照)及び弁論の全趣旨によれば,「横向き円柱状
の軸体に,それよりも径が大きい複数のフィン部を等間隔に設けて,最後
部のフィン部の形状について,中間フィン部とほぼ同形として幅(厚み)
を中間フィン部に比べて大きくし,後端面の外周角部を面取りした」構成\n態様(共通点Aに係る構成態様)は,検査用照明機器の物品分野の意匠に\nおいて,本件登録意匠の意匠登録出願前に広く知られた形態であることが
認められる。
そうすると,共通点Aに係る構成態様(全体の構\成態様)は,需要者の
注意を強く惹くものとはいえず,本件登録意匠と甲1意匠との類否判断に
及ぼす影響は小さいものといえる。また,共通点Bに係る構成態様(フィ\nン部の数が6つであること)についても,需要者が特に注目するとは認め
られず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものといえる。
一方で,本件登録意匠と甲1意匠とは,各フィン部の形状について,本
件登録意匠では,各フィン部の右側面形状が「下部を切り欠いた円形状」
であって,その切り欠き部は底面から見た最大縦幅が各フィン部の最大縦
幅の約2分の1を占める大きさであり,かつ,平面から見た各フィン部の
左側面側外周寄りに傾斜面が形成されているのに対し,甲1意匠では,各
フィン部の右側面形状が「円形状」であって,切り欠き部が存在せず,平
面から見た各フィン部に傾斜面が形成されていないという差異(差異点a
及びb)があるところ,各フィン部の形状の上記差異は,需要者が一見し
て気付く差異であって,本件登録意匠は甲1意匠と比べて別異の視覚的印
象を与えるものと認められる。
以上のとおり,本件登録意匠と甲1意匠は,共通点Aに係る構成態様(全\n体の構成態様)及び共通点Bに係る構\成態様(フィン部の数)は,需要者
の注意を強く惹くものとはいえないのに対し,差異点a及びbに係る各フ
ィン部の形状の差異は,需要者が一見して気付く差異であって,本件登録
意匠と甲1意匠を別異のものと印象付けるものであること,本件登録意匠
と甲1意匠には,上記差異のほかに,差異点cないしeに係る差異もある
ことを総合すると,本件登録意匠と甲1意匠は,視覚を通じて起こさせる
美観が異なるものと認められるから,本件登録意匠は甲1意匠に類似する
ということはできない。
◆判決本文
関連事件です。
◆平成30(行ケ)10020