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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

創作容易性

◆平成20(行ケ)10069 審決取消請求事件 意匠権行政訴訟 平成20年08月28日 知的財産高等裁判所

 創作容易であるとした審決が取り消されました。
  「意匠が創作容易であるか否かは,出願意匠の全体構成によって生じる美感について,公知の意匠の内容,本願意匠と公知意匠の属する分野の関連性等を総合考慮した上で判断すべきである。審決は,本願意匠の溝の形状である「三角波状ジグザグ線模様」,「相互90度の位置関係それぞれにおいて同じ構\成とした溝を多数等間隔に配列して交叉させ,間隔を両方同じとする線の配列」等について,これらの構成と共通する公知の文様,配列方法が存在することを理由として(前記第2,2(2)イ,ウ参照),本願意匠は,広く知られた形状,模様により創作容易であると判断した。しかし,審決は,前記1のとおり,本願意匠の構成(基本的態様及び具体的態様)について認定上の誤りがあり,これを前提として創作容易性についての判断をしているから,審決の創作容易性の判断結果も当然に誤りがあるというべきである。・・・・三角波ジグザグ線模様のうちにも,線の太さや各直線部の長さ・形成角度が様々なものがあり,その選択の余地がある上,一種類の三角波ジグザグ線模様を用いて,配列が縦横同じ構\成となるように配列した場合でも,溝間隔の幅によって,ジグザグ線に囲まれて形成される形状は様々であり,それぞれの場合において,当該意匠から受ける印象は異なる可能性がある。したがって,どのような溝間隔の幅を選択するかということは,当該意匠から受ける印象などをも考慮して決定されるものであり,その決定の過程においても相当程度の創作性を要するものと認められ,配列が縦横同じ構\成となるように配列したことから直ちに,意匠の創作について当業者であれば格別の創意・工夫を要しないものと断定することはできない。本願意匠は全体として,溝によって区切られる各研磨面が,前記1(2)?Cのとおりの特有の形状を呈していることから,見る者に対して,繊細さ,鋭さ,不安定さなどを印象づけるものであるといえる。審決の理由が正当であるとする被告の主張は採用できない。(4) 審決には,本願意匠について,意匠法3条2項に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとした点において誤りがあるというべきである。取消事由2は理由がある。」

◆平成20(行ケ)10069 審決取消請求事件 意匠権行政訴訟 平成20年08月28日 知的財産高等裁判所

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