参考図に記載されている意匠を分割できるかが争われました。裁判所は、分割要件を満たしていないとした審決を維持しました。
一意匠一出願制度の下で,「二以上の意匠を包含する意匠登録出願」について,拒絶査定を回避するためには,同法10条の2第1項の規定による意匠登録出願の分割をすべきことになるが,同規定の「二以上の意匠」にいう「意匠」が「意匠登録を受けようとする意匠」に限定されるか否かが本件の実質的な争点である。・・・原出願は,意匠に係る物品を「ピアノ補助ペダル」とし,意匠登録を受けようとする意匠として,アタッチメントを取り付けていないピアノ補助ペダルに係る意匠を登録出願したものである。原出願に添付の図面の参考図においては,アタッチメントを取り付けた状態のアタッチメント部分を含むピアノ補助ペダルの意匠が示されているということができるが,それは,意匠登録を受けようとする意匠の理解を助ける目的で,当該意匠以外の意匠として示されている。本件出願は,原出願の参考図において示されたアタッチメントを取り付けた状態のアタッチメント部分を含むピアノ補助ペダルに係る意匠について,意匠に係る物品を「ピアノ補助ペダル」として,意匠登録を受けようとするものであるところ,本件出願において意匠登録を受けようとする本願意匠は,原出願において,意匠登録を受けようとする意匠ではないのであるから,本件出願は,意匠法10条の2第1項の要件を満たす分割出願であるということはできない。」
◆平成18(行ケ)10136 審決取消請求事件 平成18年08月24日 知的財産高等裁判所