意匠権および特許権に基づく損害賠償が請求されました。裁判所は104条の3の規定により、権利行使を認めませんでした。
「原告は,ランドの面積を小さくするというのは,有限の小さい面積にすることであり,ランドの幅を実質0にするという思想ではないし,本件特許の出願前は,ランドの幅が小さ過ぎると,剛性が低下するし,飛距離も劣ると考えられており,ランドの面積を小さくすることからランドの幅を0.0mmにするという発想に至ることは,飛躍があって直ちにはできないと主張する。しかしながら,本件発明1においても,実際には,ランドの面積は有限の小さい面積となるし,ランドの幅は有限の細い幅となるのであるから,結局,ランドの幅を0.0mmに設定することは,ランドの合計面積を小さくすることの延長線上にあるといえる。また,ランドの幅と連動するディンプル占有率については,最適値に係る特定の見解が確立されておらず,当業者が,剛性の低下にも配慮しつつ,各自の見解に基づき,飛距離を伸ばすにあたって最適な範囲を設定していたのであり(甲36ないし44),これを定めるにあたり特段の制約があった事実は認められない。したがって,上記組合せにつき,特段の阻害要因も認められないといえる。・・・以上のとおり,引用例3及び5は,いずれもゴルフボールに関する発明であって,解決すべき課題も共通し,引用例3に引用例5を組み合わせることによる特段の作用効果も認められないか,認められたとしても予測し得る範囲のものであり,組合せについて特段の阻害要因も認められない。そうすると,相違点に係る本件発明1の構\成は,引用例3に引用例5を組み合わせることにより,当業者が容易に想到し得たといえる。」
◆平成20(ワ)5712 損害賠償請求事件 意匠権 民事訴訟 平成21年09月10日 大阪地方裁判所