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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

意匠その他

平成23(ワ)3361 意匠権侵害差止等請求事件 意匠権 民事訴訟 平成24年11月08日 大阪地方裁判所

 意匠権侵害が認められました。
 本件本意匠と被告意匠は,上記ア(ア)の共通点があるところ,これらのうち特に右側外形線の具体的形状は本件本意匠の要部に関するものであって,両者に共通の美感を生じさせるといえる。本件本意匠と被告意匠とは,上記ア(イ)の差異点が認められる。しかしながら,これらはいずれも本件本意匠の要部に関するものではない。左側外形線の下部の突起部分の有無(i))や下側外形線の構成(ii))については,意匠全体の外縁を画するもので一定の美感を形成するものということはいえるが,左側外形線については,全体的な形状が共通していることからすれば下部の突起部分によってそれほど美感の相違が生じているとはいえないし,下側外形線の構成は異なるものの,本件本意匠の要部に関する共通点によって生じる美感の共通性を失わせるほどの差異とまではいえない。また,孔部の具体的形状(iii))についても,孔部の位置や大きさに大差がない以上,上記程度の相違点が美感に及ぼす影響は小さいといえる。さらに,切込線(iv)v)vi))についても,被告意匠には,本件本意匠の切込線とほぼ同じ位置に切込線があることからすれば,その具体的な構成の差異は美感を異にするとまではいえない。また,右側外形線に対応する矩形の配置(vii))についても,そもそも矩形自体が細かい上,矩形の配置に需要者が着目するともいえないことからすれば,この点が美感に及ぼす影響もまた小さいといえる。(イ) 被告らは,本件各意匠及び被告意匠の構成に関して,各寸法比に差異があると主張するが,被告らの主張する寸法比を前提にしても,証拠(乙8,9)及び弁論の全趣旨によれば,両意匠の重なり合いの程度は別紙意匠対照図の程度と認められるから,この点を理由に両意匠は類似しないということはできない。
(5) 小括
したがって,本件本意匠と被告意匠とは,その美感を共通にするものであって,類似すると認められる。
・・・
証拠(甲9,乙11〜19,21〜30)によると,被告amiは,化粧品製造販売業者としての許可を有しており,平成21年3月頃から,被告美友が販売する化粧品について,その化粧液の成分表に基づく成分の確認や薬事法に係る申\請手続等の業務を請け負っていたこと,被告商品については,被告amiが製造販売元として表記され,被告amiにおいて,上記成分の確認や薬事法に係る申\請手続等を行っていたことは認められるものの,被告amiが,被告商品の実際の通関手続まで行っていたこと,及び被告amiが被告商品の輸入販売によって利益を得ていたことについては,これを認めるに足りる証拠はない。
(2) 以上を踏まえて検討するに,被告amiは,被告商品の輸入販売行為を直接行うものではないにせよ,被告美友の依頼を受けて被告商品の輸入販売に必要不可欠な手続を行っており,一般消費者にもその関与が周知されていたといえる。このような関与に照らせば,被告amiは,被告美友と共同して,被告商品の輸入販売等によって意匠権侵害を行ったと認めるのが相当である。したがって,被告amiは,本件の意匠権侵害について,共同不法行為責任を負い,侵害行為も認められる。

◆判決本文

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平成23(ワ)9476 意匠権侵害差止請求事件 意匠権 民事訴訟 平成24年05月24日 大阪地方裁判所 

 意匠権侵害に基づき、差止が認められました。原出願は、特許出願から分割された出願で、分割要件違反を主張しましたが、分割要件は満たしていると判断されました。
 これによれば,「くさび形の空間部」は,i)その内部において,浮動くさび部材が移動可能に配設されていること,ii) くさび形の空間部を形成する外方側のくさび面は,浮動くさび部材の当接面と当接すること,iii) 浮動くさび部材の歯面は,第2アームに形成されたギア部と噛合することが認められる。そうすると,「くさび形の空間部」も,外方側のくさび面とギア部との間に形成される浮動くさび部材を収容する空間として構成されていることが明らかである。したがって,「くさび形窓部」と「くさび形の空間部」は,その意義・構\成において何ら異なるものではないから,「くさび形窓部」を「くさび形の空間部」と変更したことが分割要件違反に当たるとはいえない。

◆判決本文

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平成22(ワ)32858 損害賠償 特許権 民事訴訟 平成23年12月28日 東京地方裁判所

 請求の範囲の文言「摘みを垂設」について争われ、技術的範囲外と認定されました。意匠権侵害についても非類似と判断されました。
 構成要件Fは,「外側の一部にはその切取りのための摘みを垂設し,」というものであり,身(環状突片)の外側の一部にその切取りのための「摘みを垂設」することを定めている。この「摘みを垂設」について,本件明細書には,「【0014】開蓋装置5については,環状突片11の基端に,下面開放形の切取溝13を設け,その切取溝13に沿って環状突片11を切り取り得るように,一端において環状突片11に摘み15を突設し,摘み15が下向きの舌片状に形成される。」と記載され,【図1】,【図2】及び【図5】には,摘み15が下向きの舌片状に形成された形状で図示されている。また,「垂設」という用語は一般的用語ではないが,「垂」については,「たれること。ぶら下がること。」という意味があり,「垂れる」については,「重みで下にだらりとさがる。先端がさがった状態になる。」という意味があるものと認められる(いずれも広辞苑第4版)。そうすると,構\成要件Fにおける「摘みを垂設」とは,垂れ下がるように,下向きに摘み15が形成されていることを意味するものと解するのが相当である。これを被告製品についてみるに,被告製品における摘みはいずれも水平方向(容器面に対して平行)に設けられており,垂れ下がるように下向きに形成されたものはない(弁論の全趣旨)。したがって,被告製品は,いずれも構成要件Fを充足すると認めることはできない。
イ 原告は,「摘みを垂設」とは,摘みが容器側面に対して略垂直方向(水平方向)に設けられていることを意味し,そのような構成を備える被告製品はいずれも本件発明の構\成要件Fを充足すると主張する。しかしながら,かかる用語の使い方は前記した「垂」の字の一般的な意味,用法に明らかに反しており,本件明細書に「垂」ないし「垂設」をそのような特別な意味,用法で使用することについての記載がない以上,上記解釈は採り得ない。したがって,原告の主張は採用できない。  

◆判決本文

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