2004.12. 6
被告製品の輸入行為は真正商品の並行輸入に実質的に準じるものとして違法性が阻却されるものかが争われました。
裁判所は、「我が国において商標権を有しない者が、我が国における商標権者の許諾を受けないで、当該登録商標の指定商品と同一の商品につき、その登録商標と同一又は類似の商標を付したものを輸入する行為は、当然に商標権を侵害するものであり、前記(2)に記載した要件を充足する場合に初めて、真正商品の並行輸入として商標権侵害の実質的違法性を欠くことになるものというべきである。本件が厳密な意味での真正商品の並行輸入とは異なるものとして、上記の要件のすべてを充足しなくても実質的違法性を欠くという主張は、独自の主張であって採用することができない。」と判断しました。
◆H16.11.30 大阪地裁 平成15(ワ)11200 商標権 民事訴訟事件
2004.12. 5
被告ホームページのURLとして「http:/www.esite.nttdocomo.co.jp/」との使用が、登録商標「e−sight」の使用に該当するかが争われました。
裁判所は、「本件商標と被告esite標章とは,称呼において共通しているが,前記観念の相違,外観の相違及び取引の実情を併せ考慮すると,同一又は類似の役務に使用されたとしても,被告esite標章と本件商標との間で出所の誤認混同を生じるおそれは認められず,被告esite標章は本件商標に類似するとは認められない。」と判断しました。
◆H16.12. 1 東京地裁 平成16(ワ)12137 商標権 民事訴訟事件
2004.09. 2
使用済みの空の容器に再度インキを詰め替えたインクボトルを販売する行為について、「控訴人らが被控訴人インクの販売の際に使用するパンフレット,注文書等には,控訴人印刷機やこれに対応したインクカートリッジの名称がそのまま使用されている反面,上記パンフレットには,「被控訴人インクが控訴人と無関係に製造されたものである」旨のいわゆる打ち消し表示もされておらず,むしろ被控訴人インクが控訴人の純正インクであるかの如き誤解を招く記載もあり,・・・これらの事情によれば,被控訴人らの被控訴人インクの販売行為が,市場における取引者,需要者の間に,「本件登録商標が付されたインクボトルに充填されたインクが控訴人を出所とするものである」との誤認混同のおそれを生じさせていることは明らかであるから,本件登録商標は,商品(インク)の取引において出所識別機能\を果たしているものであって,被控訴人らの行為は,実質的にも本件登録商標の「使用」に該当し,本件商標権を侵害するものというべきである。」と判断し、原審の判断を一部取り消しました。
原審では「商標法上の商標の「使用」に該当するというためには,当該商標が商品の取引において出所識別機能を果たしている必要がある。この点に照らせば,個別の取引において,買主から商品の容器又は包装紙等が提供され,売主が商品を当該容器に収納し,あるいは当該包装紙等により包装して,買主に引き渡す場合には,当該容器ないし包装紙等に商標が表\示されていたとしても,商標法上の商標の「使用」には該当しない。けだし,この場合には,容器ないし包装に付された商標とその内容物である商品との間には何らの関連もなく,当該商標が商品の出所を識別するものとして機能していないことが外形的に明らかだからである(例えて言えば,顧客が酒店に空瓶を持参して,酒を量り売りで購入する場合や,顧客が鍋等の容器を豆腐店に持参して豆腐等を購入する場合と,同様である。)」と述べて非侵害と認定されていました。
◆H15. 1.21 東京地裁 平成14(ワ)4835 商標権 民事訴訟事件
◆H16. 8.31 東京高裁 平成15(ネ)899 商標権 民事訴訟事件
少し前の事件です。
訴外Aの社員と被告が共同で開発したパチスロ機の関する著作権の帰属および商標権侵害が争われました。原告Bは、訴外Aの破産管財人から知的財産権の譲渡を受け、自己が権利者であると主張しました。
具体的には、著作物に該当するのか、著作者は誰か、商標の使用に該当するのか等が争われました。裁判所はパチスロ機の液晶画面について美術の著作物に当たり、また、共同著作物ではないと判断しました。
また、商標権については、「ソフトウエアは、一般に、その記憶媒体のいかんにかかわらず、プログラム自体が商品の本質をなすという特質を有するものである。そして、ソ\フトウエアを実行した場合にその導入部で表示される標章は、需要者に認識され、出所識別機能\を果たすものであるから、商標として使用されているというべきであり、これをプログラムに組み込むことも、商品に標章を付することに当たるというべきものである。・・・したがって、同ソフトウエアの「隠しムービー」で別紙標章目録2記載の標章が表\示されるように同ソフトウエアに組み込むことは、本件商標に類似する標章を商品に付して使用することに当たるというべきである。」と判断しました。
◆H16. 1.15 大阪地裁 平成14(ワ)1919等 著作権 民事訴訟事件
特別号として「がん治療の最前線」という標章を、雑誌の表紙,裏表\紙及び1枚目表側に表\記した雑誌を販売していた行為が、「がん治療最前線」という登録商標(指定商品、新聞・雑誌)の使用に該当するかが争われました。
東京地裁は、「被告が本件書籍において被告標章を用いた行為は,被告標章を,本件書籍の自他商品識別機能ないし出所表\示機能を有する態様で使用する行為,すなわち商標としての使用行為であると解することはできないから,本件商標権の侵害には当たらない。」と、類似性にはふれず、商標的使用でないとして、侵害を否定しました。
◆H16. 3.24 東京地裁 平成15(ワ)25348 商標権 民事訴訟事件