知財みちしるべロゴマーク
知財みちしるべトップページへ

更新メール
購読申し込み
購読中止

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商標の使用

平成23(ワ)23260 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年09月06日 東京地方裁判所

 Tシャツに「SURF'SUP」を含む標章の表示が、原告商標「SURF\SUP」の使用に該当するかどうかが争われました。裁判所は、被告標章に含まれている「SURF\SUP」の部分には識別力がないとして、請求を棄却しました。
 被告標章は,胸元に目立つように表示され,その中でも「SURF\SUP」の部分が大きく表\示されているが,「SURF'S UP」は, 原告の造語などではなく,サーフィン関連のものとして,一般にも,また,Tシャツ等にもしばしば使用されるありふれた表現であり,需要者がその標章により原告の商品であると認識するなど,それが原告の商標として周知又は著名であると認めるに足りる証拠もないから,それ自体が有する出所識別力はもともと弱いものということができる。そして,被告標章は,「SURF\S UP」のみからなるものではなく,その「P」の縦棒部分には,白抜きで「GOTCHA」の文字が「C」を左右反転させた人目を引く形態で配され,また,「UP」の上部には波の図やGマーク商標が配され,これらが一体として表示されているものである。Tシャツの出所が一般に表\示される襟ネームや前身頃の裾付近に付された2か所のタグには,胸元に付された「GOTCHA」の文字やGマーク商標に対応するGOTCHA商標やGマーク商標等が付され,襟ネームの下方にも「GOTCHA」の文字が記載され,背面側にもGOTCHA商標2等が表示されていて,商品タグにも「GOTCHA」の文字やGマーク商標が記載されている。これに対し,「SURF\S UP」は上記の胸元部分以外には表示されていない。こうした表\示態様に照らすと,被告商品に接した需要者は,被告商品を,「SURF'S UP」なるブランドのものとしてではなく,むしろ「GOTCHA」というブランドのものと認識するものと考えられる。とりわけ,被告が,「GOTCHA」の名を冠したサーフィンの大会を協賛し,雑誌にも「GOTCHA」や被告の各商標を頻繁に掲載していることからすると,被告の「GOTCHA」や被告の各商標は,サーフィン愛好家はもちろんのこと,被告商品の需要者と考えられる10代から20代の若者の間においても相当程度周知性を有すると推認される上,被告商品は,被告やその関連会社の直営店で,「GOTCHA」と明示される態様で販売され,かつ,それらの店舗では被告やその関連会社以外の商品は取り扱われていないから,被告商品の胸元に「SURF'S UP」が目立つように表示されているとしても,被告商品に接した需要者は,「SURF\S UP」ではなく,むしろ「GOTCHA」によってその出所を識別するのが普通であると考えられる。そうすると,被告標章における「SURF'S UP」の表示は,商品の出所識別機能\を果たす態様で使用されていると認めることはできないから,被告標章の使用は本来の商標としての使用には当たらないというべきである。
 (3) 原告は,「SURF'S UP」が被告商品の胸元に目立つように,しかも周辺の文字等とは区別して明確に認識し得る態様で表現されているから,出所識別機能\をも有するものとして使用されていると主張をする。確かに,胸元にブランド名等を目立つように表示した衣料品も日常的に目にするところではあるが,衣料品のデザインは,通例,その装飾性やファッション性と切り離し難いものであり,胸元に目立つように表\示されたものであるからといって,当然にそれが出所識別機能を有するものであるということはできない。そして,被告標章においては,「GOTCHA」の文字が「SURF\S UP」の「P」を白抜きし,しかも「C」を左右反転させた目立つ形態で使用されるなどしているから,被告商品に接する需要者は,胸元のみならず襟ネームやタグ等にも記載されている「GOTCHA」がその商品の出所を表示するものと認識するというべきである。また,原告は,「GOTCHA」が周知であるとは認められないし,仮に被告の商標として周知であるとしても,被告による「SURF\S UP」の使用行為が本件商標権の侵害を免れることにはならないと主張する。しかしながら,前記(2)の認定事実によれば,「GOTCHA」は,被告商品をはじめとする被告の取扱商品の需要者に対して相当程度の周知性を獲得していると考えられるのであって,そうであれば,需要者が,当該商品の出所を「GOTCHA」であると認識することは当然というべきである。さらに,原告は,「SURF'S UP」は英和辞典に載っていないし,「いい波が来た」との意味を理解する者は極めて少数であるから,ありふれた一般的な英語表現であるということはできないと主張する。しかしながら,被告商品の需要者が「SURF\S UP」の意味を理解しているかどうかにかかわらず,サーフィンに関連して「SURF'S UP」がしばしば用いられていることに鑑みると,その表現はありふれたものであって,出所識別力が弱いことは否定することができない。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商標の使用

▲ go to TOP

平成24(行ケ)10011等 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年06月06日 知的財産高等裁判所

 不使用であるとした審決が取り消されました。
 ここで,ネオンブラケットが用いられるパイロットランプは,これが取り付けられた機器の状態(例えばスイッチのオン,オフ)を示す表示灯としての機能\を果たすものであるが,甲第25,第44号証によれば,ネオンランプ(ネオンブラケット)をその定電圧特性を活かして回路保護のために用いることがあることが認められるから,上記カタログにおける使用商標1,2の使用をもって,「電子応用機械器具及び部品」についての使用と評価することが可能である。この点,被告は,ネオンランプの主たる用途は照明にあるとか,原告の「ネオンランプ」が電球の類として用いられることは明らかであると主張するが,種々の発光色のネオンランプを用いて照明装置を構\成することがあるとしても,原告の「ネオンブラケット」を照明装置ないしその部品にすぎないとしてよいと断定することはできないし,カタログ(甲8の3)に電球交換型ネオンブラケットのための「ネオン交換電球」が掲載されているとしても(21頁),ネオンランプを交換できるようにするために電球型のネオンランプが採用されているにすぎず,その名称ゆえに一般の照明用の「電球」と単純に同一視してよいかは疑問である(上記カタログには,ネオンランプを交換できないタイプのネオンブラケットも掲載されている。)。そうすると,被告の上記主張を採用することはできない。2 甲第10ないし第19号証によれば,原告は,平成20年7月ないし平成23年1月ころ,顧客に対し商品「センサー用LED基板Assy」,「拡散照明装置」,「透過照明装置」,「2面バックライト照明」を納入するに当たり,取引書類である納品書や納入仕様書に使用商標1を使用したことが認められる。上記「センサー用LED基板Assy」は基板上に複数のLED(発光ダイオード)を並べて実装したもの(甲10),「拡散照明装置」,「透過照明装置」は基板上にLEDのほかに,ツェナーダイオード,トランジスタ,コンデンサー等を実装して装置を構成したもの(甲11,12,29,30,51),「2面バックライト照明」も基板上にLEDのほかに,定電圧ダイオード等を実装し,偏光板と組み合わせるなどして装置を構\成するもの(甲13,14)であるが,これらは顧客が画像解析装置を製造するために,注文を受けた原告においてその構成部品(装置)を設計,製造したものである(弁論の全趣旨)。ここで,上記「センサー用LED基板Assy」等が画像解析を行うために,対象となる物に光を照射する機能\を果たすものであるとしても,日常生活において光を照らして空間を明るくする目的とは程遠いことは明らかである。そして,上記「センサー用LED基板Assy」等は,電子部品であるLEDやダイオード等を使用して構成されており,その機能\に照らせば,電子の作用を応用し,その電子の作用が当該機械器具にとっての構成要素となっているということができる。そうすると,原告は,「電子応用機械器具及びその部品」につき,取引書類である納品書や納入仕様書に使用商標1を使用したということができる。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商標の使用
 >> 不使用

▲ go to TOP