2017.06. 9
会社名をロゴ化したについては商標については侵害、その他については、自己の名称を「普通に用いられる方法」により表示したものと判断されました。
(ア) 被告標章4は,まず,被告の事務所の正面玄関口の看板として表示さ\nれているところ,通常,企業の事務所においては当該企業の商品又は役務に関する
需要者向けの業務が,あるいは,そのための広告宣伝がなされるのであり,現に「AD
EBiS」と「EC-CUBE」の広告物が陳列されている。そうすると,被告の事務所の正面
玄関口における被告標章4の使用は,少なくとも「AD EBiS」と「EC-CUBE」につい
ての使用であると認められる。
また,被告標章4は,セッションの壁面においても表示されているところ,そこ\nには同時に,「AD EBiS」及び「THREe」の広告の表示があるから,被告は,セッショ\nンにおいて,「AD EBiS」及び「THREe」について被告標章4を表示して使用している\nと認められる。(争点2)
また,これらからすると,被告4サービス中の他のものについても被告標章4を
使用するおそれがあるというべきである。
(イ) そして,被告の商号の英訳は「LOCKON CO.,LTD.」であり(甲32の1
頁,乙2の1頁,乙8),「LOCKON」との被告標章4はその略称であるから,被告標
章4が「自己の名称」を表示するものとはいえない。なお,この略称が著名である\nことを認めるに足りる証拠はないから,被告標章4が「著名な略称」を普通に用い
られる方法で表示する場合に当たるものともいえない。(争点3)\n
◆判決本文
◆原告と被告が逆の事件です。平成28(ワ)5249 こちらは、原告の請求は全て棄却されています。
2017.06. 9
ウェブサイトにおける使用が35類の広告サービスとしての側面があるかが争われました。裁判所は、42類のプログラムの提供としての使用であり、35類の広告サービスではないと判断しました。
(1) 前記のとおり,被告のホームページにおいて,被告サービスは,「スマート
フォン対応のケイータイサイト作成ASP」,「華やかなケータイサイトが専門知識
なしで簡単に作成できる」として総括的に紹介されており,被告サービスの17の
機能の多くはホームページの作成支援に関わる機能\であることからすると,被告サ
ービスは,ホームページ作成支援を主たる機能とするものであると認められる。そ\nして,前記のとおり,被告サービスは,「ASP」とされ,ASPとは,ソフトウェ\nアをインターネットを介して利用させるサービスをいうこと(弁論の全趣旨)から
すると,被告標章が使用されている被告サービスは,全体として,インターネット
を介してスマートフォン等の携帯電話用のホームページの作成・運用を支援するた
めのアプリケーションソフトの提供を行うものであり,第42類の「電子計算機用\nプログラムの提供」に該当すると認められ,本件商標の指定役務第35類の「広告」
には該当せず,また,これに類似する役務とも認められない。
(2) これに対し,原告は,被告サービスのうちのプッシュ通知機能及びメール\nマーケティング機能に着目し,これらの機能\のうち,メールサーバによる電子メー
ルの配信を提供するインターネット役務部分は広告業に当たるから,広告及び操作
画面に被告標章を表示する行為が「広告業」について被告標章を使用するものであ\nる旨主張する。
しかし,まず,被告サービスの内容は上記のとおりであり,これらの機能は,被\n告サービスの機能として広告されてはいるものの,それぞれ,被告サービスに付随\nする17種類の機能のうちの1つにすぎず,価格面でもこれらの機能\の有無によっ
て区分されておらず,これら機能が独立して提供されているわけではないから,被\n告標章がそれらの機能について独立して使用されていると認めることはできない。\nそして,前記のとおり,被告サービスは全体としてインターネットを介してスマー
トフォン等の携帯電話用のホームページの作成・運用を支援するためのアプリケー
ションソフトの提供を行うものであると認められ,被告標章はそのような被告サー\nビスの全体について使用されているのであるから,被告サービスのうちのプッシュ
通知機能及びメールマーケティング機能\のみに着目して,被告標章が「広告業」に
使用されているとする原告の上記主張は採用できない。
また,被告サービスのプッシュ通知機能及びメールマーケティング機能\が,メー
ルサーバによる電子メールの配信を提供する要素を含んでおり,それが広告機能を\n営むものであるとしても,それは,被告サービスによって提供されるアプリケーシ
ョンソフトを被告の顧客が使用することにより自動的に行われるものであるから,\n被告の提供する役務は,そのような配信機能を有するプログラムを提供するものと\nいうべきであり,被告自身が広告配信サービスを提供していると捉えることはでき
ない。
◆判決本文
◆原告と被告が逆の事件です。平成28(ワ)6268 こちらは、原告の請求が一部認められています。
商標「医の心」「医心」について、ウェブサイトでの使用形態は、商標的使用でないと判断されました。
前記(1)ア(ア)のとおり,「医の心」という語は,従前から医療関係の書
籍や番組等で頻繁に用いられている語であり,その文言からしてその意味は
医師ないし医療の心得といったものであると自然に理解できるところ,現に,
昭和62年に発行された心臓外科の権威とされる医師による「医の心」と題
する書物(乙8)では,「医の心」につき,医師の心得ないし医師の心情と
の意味である旨が詳細に記載されている。
また,「医心」という語も,「医の心」を短縮した語であると解され,現
に,前記(1)ア(イ)のとおり,「医術の心得」(広辞苑第6版)といった意
味で一般に用いられている。
そして,前記(1)イ(ア)ないし(カ)のとおり,被告は,本件ウェブサイト
等を含む被告のウェブサイト及びパンフレット等において,被告標章1「医
の心」や被告標章2「医心」という語を,上記のような一般的な意義と同様
に,医師としての心構えや医師が有すべき素養等といった意味で用いている\nものであり,被告標章3「医心養成ゼミ」も,そのような「医の心」や「医
心」を養成するためのゼミであることを説明しているものである。実際に,
被告は,前記(1)イ(キ)のとおり,「医心養成ゼミ」において,医学部受験
のための知識ではなく,医師としての心構えや素養を養うことを目的とした\nカリキュラムを提供している。
以上のとおり,本件ウェブサイト等を含む被告のウェブサイト及びパンフ
レットにおいて,被告標章1及び2は,医学部志望者が医師になるために学
力とともに備えるべき心構えや素養を記述的に説明した語であり,被告標章\n3も,医師として必要な心構えや素養の養成を目的とするゼミであることを\n記述的に説明した語であると認められるから,これらの標章は自他識別機能\nを有する標識として商標的に使用されているものではなく,したがって,被
告のウェブサイト及びパンフレットにおける被告標章1ないし3の使用には,
本件商標権1及び2の効力は及ばない(商標法26条1項6号)。
なお,仮に,原告から使用許諾を受けた者が本件商標を商標的に用いてい
るとしても,同事実によって,被告が被告標章を商標的に使用していること
にはならない。
(3) また,本件検索結果における被告標章1ないし3の表示についても,被\n告が開講している「医心養成ゼミ」に関する被告のウェブサイトの記載の
一部が表示されるものであるところ,そもそもそれが被告による使用に当\nたるか否かの点(争点(2))は措いて,その表示内容を検討しても,上記\n(2)の被告のウェブサイト及びパンフレットにおける被告標章の使用の場合
と同様に,被告標章を商標的に使用しているものではなく,本件商標権1
及び2の効力は及ばない。
◆判決本文