2021.10. 8
被告はメルカリの販売サイトにて「♯シャルマントサック」のハッシュタグを使用して、ハンドメイド品の巾着袋を販売していました。
大阪地裁は、「♯シャルマントサック」は商標的使用として、差し止めを認めました。
被告は,被告標章1につき,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であるこ
とを認識することができる態様により使用されていない,すなわち商標的使用がさ
れていない旨を主張する。
しかし,前記のとおり,オンラインフリーマーケットサービスであるメルカリに
おける具体的な取引状況をも考慮すると,記号部分「#」は,商品等に係る情報の検
索の便に供する目的で,当該記号に引き続く文字列等に関する情報の所在場所であ
ることを示す記号として理解される。このため,被告サイトにおける被告標章1の
表示行為は,メルカリ利用者がメルカリに出品される商品等の中から「シャルマン\nトサック」なる商品名ないしブランド名の商品等に係る情報を検索する便に供する
ことにより,被告サイトへ当該利用者を誘導し,当該サイトに掲載された商品等の
販売を促進する目的で行われるものといえる。このことは,メルカリにおけるハッ
シュタグの利用につき,「より広範囲なメルカリユーザーへ検索ヒットさせること
ができる」,「ハッシュタグ機能をメルカリ上で使うと使わないでは,商品閲覧数\nや売り上げに大きく差が出ます」などとされていること(いずれも甲7)からもう
かがわれる。
また,被告サイトにおける被告標章1の表示は,メルカリ利用者が検索等を通じ\nて被告サイトの閲覧に至った段階で,当該利用者に認識されるものである。そうす
ると,当該利用者にとって,被告標章1の表示は,それが表\示される被告サイト中
に「シャルマントサック」なる商品名ないしブランド名の商品等に関する情報が所
在することを認識することとなる。これには,「被告サイトに掲載されている商品
が「シャルマントサック」なる商品名又はブランド名のものである」との認識も当
然に含まれ得る。
他方,被告サイトにおいては,掲載商品がハンドメイド品であることが示されて
いる。また,被告標章1が同じくハッシュタグによりタグ付けされた「ドットバッ
グ」等の文字列と並列的に上下に並べられ,かつ,一連のハッシュタグ付き表示の\n末尾に「好きの方にも・・・」などと付されて表示されている。これらの表\示は,掲載
商品が被告自ら製造するものであること,「シャルマントサック」,「ドットバッ
グ」等のタグ付けされた文字列により示される商品そのものではなくとも,これに
関心を持つ利用者に推奨される商品であることを示すものとも理解し得る。しかし,
これらの表示は,それ自体として被告標章1の表\示により生じ得る「被告サイトに
掲載されている商品が「シャルマントサック」なる商品名又はブランド名である」
との認識を失わせるに足りるものではなく,これと両立し得る。
これらの事情を踏まえると,被告サイトにおける被告標章1の表示は,需要者に\nとって,出所識別標識及び自他商品識別標識としての機能を果たしているものと見\nられる。すなわち,被告標章1は,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であ
ることを認識することができる態様による使用すなわち商標的使用がされているも
のと認められる。これに反する被告の主張は採用できない。
◆判決本文