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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

識別性

◆平成18(ワ)8621 商標権侵害差止等請求事件 商標権民事訴訟 平成19年12月13日 大阪地方裁判所

   侵害訴訟にて、「マイクロクロス」に商標法3条1項3号の無効理由があるかが争われました。
   「これらの状況からすると,マイクロファイバーという超極細繊維は,開発されてから相当の年月が経過したとはいえ,なお一般消費者に対しては構造や性質の説明をしてその効用を訴えることを要する状態にあるということができ,ポリエステルとかナイロンといった通常の合成繊維のように特段の説明を要しないほどに一般消費者の間に浸透した繊維素材になっているとはいえない。まして,「マイクロファイバー」という語については,その語が単独で使用される例よりも,内容を端的に表\す「超極細繊維」の語とともに,又はその語のみが使用される例の方が多く,やはり超極細繊維の名称として一般消費者の間に浸透しているとはいえない。「マイクロファイバー」自体の以上のような浸透度に加え,前記のとおり「マイクロ」の語が単に「極小・微小」を意味する語として一般に知られていること,また「マイクロ○○」という語が「マイクロファイバー製の○○」を示す名称として使用される例も証拠上見られないこと,マイクロファイバー製の布製品でも「マイクロ」が付されない商品があること,本件登録商標は冗長ではなく,かつ「マイクロ」「クロス」と「クロ」が連続して小気味良く一気に発音しやすいため全体として一体感が強いことも併せ考慮すると,本件登録商標「マイクロクロス」から「マイクロ」の部分のみを取り出して,それが「マイクロファイバー」の更にその一部である「マイクロ」に当たるものであって,かつ素材としてのマイクロファイバーを意味する趣旨であると一般に認識されるとは認められない。したがって,本件登録商標の登録査定時及び本訴口頭弁論終結時において,本件登録商標の指定商品の需要者において,本件登録商標「マイクロクロス」から「マイクロファイバー製の布・布地・織物」の観念が生じると認めることもできない。もっとも,マイクロファイバー製の布製品について,「マイクロタオル」や「マイクロふきん」といった商品名の商品が散見されることは先に認定したとおりではある。しかし,上記のようなマイクロファイバー自体の一般消費者への浸透度を考慮すると,それらの商品名に接した一般消費者において,「マイクロ○○」といえば一般にはマイクロファイバー製のものであるとの認識が生じるとも認め難いから,そのような例があるからといって,上記認定を覆すものではない。」

◆平成18(ワ)8621 商標権侵害差止等請求事件 商標権民事訴訟 平成19年12月13日 大阪地方裁判所

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 >> 商3条1項各号
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◆平成18(ワ)28323 損害賠償等請求事件 商標権民事訴訟 平成19年07月26日 東京地方裁判所

  「自然健康館」「スーパーフコイダン」の2段併記の商標について、「スーパーフコダイン」には識別性がないと判断しました。
 「既に述べたとおり「フコイダン」は,海藻類の成分を抽出して作られた健康食品の原材料を表示する用語である。そして,いわゆる健康食品において,「スーパー」は,商品の誇称表\示として一般的に使用されている用語である。したがって,本件商標権の指定商品である「海藻エキスを主材料とする液状又は粉状の加工食品」又は「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」の分野では,「スーパーフコイダン」という用語は,高品質の「フコイダン」,すなわち,高品質な,海草類に含有される硫酸化多糖類が含有されていることを記述するにすぎないのであって,それ自体では出所識別力を有せず,本件商標の要部とはなり得ないというべきである。そして,「フコイダン」を名称に含む様々な健康食品が販売されている状況に照らせば,本件商標は,「自然健康館」という製造元の表示と相まって初めて出所識別力が生じるというべきであり,「自然健康館スーパーフコイダン」という本件商標全体が要部であると解するのが相当である。原告は,自然健康館は小さめに記載され,また,製造元を示すにすぎないので,要部となり得ないと主張する。しかし,既に述べたとおり「スーパーフコイダン」単独では要部となり得ないのであるから,製造元を示す「自然健康館」と「スーパーフコイダン」との表\示が相まって出所識別力を発揮するものと認めるのが相当である。原告の上記主張は採用することができない。」

◆平成18(ワ)28323 損害賠償等請求事件 商標権民事訴訟 平成19年07月26日 東京地方裁判所

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◆平成18(行ケ)10441 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成19年03月29日 知的財産高等裁判所

  「お医者さんのひざベルト」が品質を表すとした審決が維持されました。
  また、審判段階においては全く主張しなかった商標法3条2項の適用について、審決取消訴訟で新たに主張することも認められると判断されました。
  「以上のイ〜エを総合すると,本願商標は「お医者さん」が開発・考案し た「ひざベルト」の意味に理解されるものと認められるところ,「お医者さん」が開発・考案したことによって,その「ひざベルト」が,高品質の信頼性が高いものという認識が生ずるということができるから,誰が製造したかが商品の品質と密接に関連しており,本願商標を本願の指定商品である「保温用サポーター」に使用した場合は,商品の「品質」を表したものと理解されるにとどまるものというべきである。・・・商標法3条2項は上記のとおり商標法3条1項3号を前提としてこれに対する例外を規定したものであるから,審判手続段階において商標法3条2項のいわゆる特別顕著性に該当する事実について主張立証がなされていなかったとしても,その後の審決取消訴訟段階において,原告は,商標法3条1項3号によって本願が拒絶されるべきでないことについての主張立証として,商標法3条2項に該当することを主張立証することができると解するのが相当である。」

◆平成18(行ケ)10441 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成19年03月29日 知的財産高等裁判所

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