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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

使用による識別性

平成27(行ケ)10019  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年10月29日  知的財産高等裁判所

 アルファベットの「i」一文字をデザイン化して,特定の緑色の単色で着色した商標について、識別力なしとした審決が維持されました。3条2項(使用による識別性)も否定されました。
(3) 上記認定事実からすれば,本件審決時である平成26年9月16日におい て,原告が提供する役務である上場投資信託「iShares」は,その売上高が 極めて大きいことからして,金融商品の需要者・取引者によく知られているものと 認められるが,一方,本願商標は,その使用期間が1年2か月程度と短く,新聞や 雑誌に本願商標を用いた広告(その立体的置物を含む。以下同じ。)を掲載したのは 7回にすぎず,トレードショーなどで本願商標を用いたと認められる事例は本件審 決後を含めても5回に限られ,しかも,本願商標は,原告の役務名である「iSh ares」や,原告の名称を表す「byBLACKROCK」と共に使用されるの\nが通例であり,本願商標単独で使用されるものとは認められない。 そうすると,本願商標が指定役務とされる役務に使用されたか否かの判断はひと まず措くとしても,本願商標は,その使用の結果,需要者が原告の業務に係る役務 であることを認識することができるに至ったとは認めるに足りない。
(4) 原告の主張について
ア 原告は,本願商標の使用回数が多いとはいえなくとも,本願商標がコン セプトを感じさせるものであること,その使用者である原告が世界最大級の資産運 用会社であること,原告のiシェアーズのサービスが上場投資信託市場のトップブ ランドであることから,本願商標は取引者,需要者に広く知られている,と主張す る。 しかし,原告及び原告の提供する役務であるiシェアーズが広く知られていると しても,本願商標自体が使用されている頻度が低いのであるから,本願商標が取引 者,需要者に広く知られているとは認めることはできない。原告の主張には,理由 がない。

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商3条1項各号
 >> 識別性
 >> 使用による識別性

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平成26(行ケ)10193  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年1月29日  知的財産高等裁判所

 商標「全国共通お食事券」指定商品「第16類 印刷物」および指定役務「第36類 前払式証票の発行」が識別力無しとした審決が維持されました。使用による識別力獲得(商3条2項)の主張も認められませんでした。
 原告は,「全国共通お食事券」の語については,種々の代替可能な名称が存在することから,独占適応性を欠くとはいえない旨主張する。\nしかしながら,商標法3条1項3号の意義について前述したとおり,商品又は役務の特性を表示記述する標章は,多くの場合,当該商品又は役務に係る取引一般において,取引の内容を説明するために必要かつ適切な表\示として機能するものであるから,たとえ当該標章と同じ意味合いを生ずるなど同標章に代替し得るものが存在するとしても,同標章について特定人の独占的使用を認めれば,その他の者は同標章を使用できなくなり,このことによって,取引に支障を来し,円滑な流通が阻害されるなどという公益上の問題が生じるおそれは,依然として存在するというべきである。\nそして,前述したとおり,本願商標を構成する「全国共通お食事券」の語は,本願指定役務の質を記述する標章であるから,これに代替し得るものが存在するとしても,特定人に独占的使用を認めれば,前述した公益上の問題が生じるおそれがあることは明らかである。\nしたがって,「全国共通お食事券」の語については,代替可能な語の存否にかかわらず,独占適応性を認めることはできず,原告の前記主張は採用できない。
a 原告は,「食事券」が「食事券の発行」という役務との関係においては,「役務の提供の用に供する物の質」の表示に当たることを前提として,本件審決は,本願商標をもって,「食事券」という本願指定役務の提供の用に供する物の質の表\示として認識される旨の判断をしており,商標法3条1項3号の適用範囲に含まれない「役務の提供の用に供する物の質」の表示まで同号の範疇に取り込ん\nでいる旨主張する。 b しかしながら,「食事券の発行」という役務との関係において,「食事券」は,「発行」の対象であり,上記役務の成果に他ならない。したがって,「食事券」に係る表示は,上記役務の成果に係る表\示であるから,同役務の「質」の表示に該当するというべきである。\n本件についてみると,本願商標である「全国共通お食事券」は,「食事券」に係る表示であり,本願指定役務は,「全国の加盟店で利用可能\な」という性質を有する「食事券の発行」であるから,本願商標は,本願指定役務の質を表示するものと認められる。\n他方,商標法3条1項3号所定の「(役務の)提供の用に供する物」とは,当該役務を提供するための手段として供される物を指すものと解され,例えば,「自動車による輸送」という役務については,輸送手段であるトラックや大型車などの自動車が,「コーヒー飲料の提供」という役務については,コーヒーカップなどの容器やサイフォンなどコーヒー飲料を作る用具などが,当該役務の提供の用に供する物に該当する(甲98)。本願指定役務については,「(役務の)提供の用に供する物」の例として「食事券を作成する印刷機」などが挙げられるが,「発行」という役務の対象となる「食事券」そのものが,「提供の用に供する物」に該当すると解する余地はない。 c 以上によれば,本件審決が,本願商標をもって,本願指定役務の質を表示するものと認めたことに誤りはなく,原告の前記主張は,採用できない。
・・・・
他方において,前記2のとおり,ぐるなびのウェブサイト上に平成23年9月15日付けで「『ぐるなびギフトカード』全国共通お食事券の販売を開始」などという広告が掲載されるまでは,本件証拠上,原告以外の者が,食事券について「全国共通お食事券」の語を使用していた事実は,認められない。 イ(ア) しかしながら,原告食事券,加盟店一覧表,加盟店リスト,原告加盟店ステッカー,その他原告作成に係る販促用チラシ等の資料,広告のいずれにおいても,原告食事券を示すものとして,「全国共通お食事券」の語が単独で使用されたことはなく,同語は,常に,「ジェフグルメカード」の語と併記されて使用されてきた。この点に関しては,原告自身,本願商標,すなわち,「全国共通お食事券」を単独で使用したことがない点については,争わない旨を述べているところである。\n加えて,前述したとおり,原告食事券を採り上げたテレビ番組等における紹介など,原告以外の主体が原告食事券に言及する場合においても,「全国共通お食事券」の語が単独で使用されたことはなく,常に「ジェフグルメカード」の語と併用されてきた。
・・・
(エ) 以上に鑑みると,前述したとおり,「全国共通お食事券」の表示は,原告食事券を示すものとして単独で使用されたことはなく,常に「ジェフグルメカード」の表\示と併用されているところ,これらに接した取引者,需要者においては,「全国共通お食事券」の表示をもって,原告食事券という特定の商品を指すものとして理解し,同表\示のみによって原告食事券の出所が原告である旨を認識することはなく,併用されている「ジェフグルメカード」に着目して,原告食事券の出所が原告である旨を認識するものというべきである。

◆判決本文

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 >> 識別性
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