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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商3条1項各号

平成26(行ケ)10134  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成26年10月22日  知的財産高等裁判所

 識別性無しとした審決が維持されました。争われた商標は「新型ビタミンC」です。
 本願商標は,「新型ビタミンC」の文字を標準文字で横書きに表してなるものであり,「新型」の文字と「ビタミンC」の文字とを組み合わせた構\成からなることは明らかである。そして,「新型」(従来のものとはかわって,新しく考案された型や形式。乙1参照)も「ビタミンC」(人体に不可欠な微量栄養素であるビタミンの一種でCと名付けられており,水溶性で,新鮮な野菜・果実・緑茶などに多く含まれるもの。乙2参照)も一般に広く知られている平易な語であり,「新型ビタミンC」の文字は,「従来のものとはかわって,新しく考案された型のビタミンC」程度の意味合いを表す複合語として容易に認識されるものである。そうすると,本願商標を,その指定商品である「サプリメント」に使用する場合には,これに接する取引者,需要者は,「従来のものとは違う新しく考案されたビタミンCを主成分としたサプリメント」であると理解し,当該商品の品質を表\したものとして認識するといえる。したがって,本願商標は,その指定商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるもの(本願商標は標準文字で構\成される。)であるから,商標法3条1項3号に該当する。

◆判決本文

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平成26(行ケ)10056  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟  平成26年8月6日  知的財産高等裁判所

 赤色の文字を白色で縁取りした太文字体で,これに陰影を付してなる商標「ネットワークおまかせサポート」について、3条1項3号違反とした審決が維持されました。
 本件指定役務中には,コンピューターやモバイル等の「電子応用機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具の修理又は保守」が含まれると解されるから,本件指定役務には「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」が含まれるということができる。 ア そして,上記「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務と関連の深いコンピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具などを取り扱う業界分野においては,本件審決時(平成26年1月20日)までに,インターネットのホームページにおいて,本願商標を構成する文字のうち,「ネットワーク」と「サポート」の文字からなる「ネットワークサポート」の語について,コンピューターネットワークシステムの障害箇所や問題点を解決するサポートサービス(乙7),コンピューターネットワークの構\築やトラブルなど情報システムの幅広い問題に対応するサポートサービス(乙11)等の意味合いを有するものとして用いられていることが認められる。 具体的には,・・・など,「ネットワークサポート」の語が前記意味合いを有するものとして用いられている。 イ また,前記アと同じく「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務と関連の深いコンピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具などを取り扱う業界分野においては,本件審決時(平成26年1月20日)までに,平成22年の技術情報誌や,インターネットのホームペー ジにおいて,本願商標を構成する文字のうち,「おまかせ」と「サポート」の文字からなる「おまかせサポート」の語については,顧客のコンピューターネットワーク接続等を遠隔(リモート)サポートや出張サポートにより解決するサポートサービス(乙13),サポートスタッフが顧客のパソ\コンを直接操作して問題解決するインターネットを通した遠隔サポートサービス(乙14),操作方法の問い合わせ対応,障害発生の原因究明・対処,その他付随する相談等のサービス(乙16),コンピューターネットワークにおける顧客の困りごとにワンストップで対応するサービス(乙18)など,コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもらうサービスの意味合いを有するものとして用いられていることが認められる。 具体的には, ・・・・など,「おまかせサポート」の語が前記意味合いを有するものとして用いられている。 また,本願商標は・・・,赤色の文字を白色で縁取りした太文字体で表した文字に陰影を付するデザインは,当該文字を目立たせ,これに接する需要者等の注目を引くためのものであるが,かかるデザインは,ごく普通に用いられる一般的な表\現方法であって,特殊な態様で表示されているものというほどの特徴はない。\n ・・・したがって,本願商標の態様は,普通に用いられる形態であるということができる。 ・・・ 前記2で認定した事実によれば,本願商標を構成する「ネットワークおまかせサポート」の語は,本件審決当時,「コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもらうサービス」程の意味合いを有する語として,本件指定役務のうち「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」に係る事業の取引者,需要者によって一般に認識されるものであったことが認められる。したがって,本件審決当時,本願商標は,本件指定役務のうち「コンピューターネットワークに関連する電子応用機械器具・電気通信機械器具等の修理又は保守」の役務に使用されたときは,「コンピューターネットワークに関する相談や接続設定の代行など,顧客が自分で判断・選択せず,他人にまかせてサポートしてもらうサービス」といった役務の質(内容)を表\示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであったと認められるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他役務の識別力を欠くものというべきである。\n・・・を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるということができる。

・・・ 前記1で説示したとおり,本願商標が商標法3条1項3号に該当するというためには,本件審決時において,本願商標がその指定役務との関係で役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特性を表\示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,その指定役務に使用された場合に,将来を含め,指定役務の取引者,需要者によって役務の上記特性を表\示したものと一般に認識されるものであれば足り,それが取引上現実に使用されていた事実があったことまで必要とするものではないというべきである。 ・・・ イ 原告は,本願商標が,一連一体に横書きされ一体不可分に構成された造語であって,造語である「ネットワークおまかせサポート」からは特定の観念が生じることはなく,かつ,商標の識別力の存否は商標の全体を観察して判断すべきであるにもかかわらず,本件審決が本願商標をあえて「ネットワーク」の構\成,「ネットワークサポート」の構成及び「おまかせサポート」の構\成に分離させた上で,それぞれの語から生じる意味合いから全体の意味合いを認定して,本願商標は自他役務の識別力がないと判断したことは誤りである旨主張する。 しかし,本願商標の「ネットワークおまかせサポート」の語は, 仮にそれ自体としては一体不可分の造語であるとしても,それを構成する各単語の語義並びに本件指定役務に関連するコンピューターやモバイル等の電子応用機械器具・電気通信機械器具などを取り扱う業界分野における「ネットワークサポート」及び「おまかせサポート」の文字の使用状況などを勘案すれば,前記の意味合いを有する複合語として認識されるものである。\nしたがって,原告の上記主張は採用することができない。

◆判決本文

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平成25(行ケ)10332  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成26年6月30日  知的財産高等裁判所

 商標「浅間山」が識別力無し(商3条1項3号)とした審決が維持されました。
 観光地では各種の土産物や特産品が生産,販売されるが,その際,商品の種類にかかわらず,当地又は近隣の観光名所の名称を付して商品を生産,販売したり,当該観光名所ないしその近郊を商品ないし主原材料の産地として宣伝したりすることは,一般的に行われている。実際,長野県・群馬県境にある浅間山の山麓及び周辺地域で生産された商品等を提供,販売する飲食店や販売店は,当該商品等の販売や宣伝に当たって,商品ないし主原材料の産地を表すものとして「浅間山」の名称を使用している(乙16ないし21)。本願指定商品である地ビールやミネラルウォーター,その他の清涼飲料水についても,同様である(乙22ないし25)。そして,山岳名を使用して,その山麓や周辺地域の商品の販売や宣伝が行われているのは,群馬県吾妻郡嬬恋村と長野県北佐久郡軽井沢町・同郡御代田町にまたがる浅間山地域に限られない(乙26ないし37)。そうすると,本願指定商品の種類,性質からして,その取引者,需要者は一般の消費者であると考えられるところ,これらの者が本願商標を付した商品に接した場合,長野県・群馬県境にある浅間山の周辺地域で製造された商品と認識するにとどまるというべきである。他方,本願商標は「浅間山」の文字を標準文字により表\してなるから,「普通の用いられる方法」で表示されている。したがって,本願商標は,単に,商品の産地,販売地を表\示するにすぎないことになるから,商標法3条1項3号に該当すると認められる。よって,審決の結論に誤りはない。

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平成25(行ケ)10332 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成26年06月30日 知的財産高等裁判所

 商標「浅間山」が産地を示すので識別力なしとした審決が維持されました。
 商標登録出願に係る商標が,商標法3条1項3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには,必ずしも当該指定商品が当該商標の表\示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず,需要者又は取引者によって,当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである(最高裁昭和61年1月23日第一小法廷判決・裁判集民事147号7頁)。よって,審決時において,本願商標が,指定商品の産地又は販売地を表\すものと取引者,需要者に認識されている場合はもとより,指定商品そのものの産地又は販売地として取引者,需要者に認識されていなくても,指定商品に付したときにその産地又は販売地を表すものと認識される場合には,その商標は商標法3条1項3号に該当するものと解するのが相当である。\n
・・・・
観光地では各種の土産物や特産品が生産,販売されるが,その際,商品の種類にかかわらず,当地又は近隣の観光名所の名称を付して商品を生産,販売したり,当該観光名所ないしその近郊を商品ないし主原材料の産地として宣伝したりすることは,一般的に行われている。実際,長野県・群馬県境にある浅間山の山麓及び周辺地域で生産された商品等を提供,販売する飲食店や販売店は,当該商品等の販売や宣伝に当たって,商品ないし主原材料の産地を表すものとして「浅間山」の名称を使用している(乙16ないし21)。本願指定商品である地ビールやミネラルウォーター,その他の清涼飲料水についても,同様である(乙22ないし25)。そして,山岳名を使用して,その山麓や周辺地域の商品の販売や宣伝が行われているのは,群馬県吾妻郡嬬恋村と長野県北佐久郡軽井沢町・同郡御代田町にまたがる浅間山地域に限られない(乙26ないし37)。そうすると,本願指定商品の種類,性質からして,その取引者,需要者は一般の消費者であると考えられるところ,これらの者が本願商標を付した商品に接した場合,長野県・群馬県境にある浅間山の周辺地域で製造された商品と認識するにとどまるというべきである。他方,本願商標は「浅間山」の文字を標準文字により表\してなるから,「普通の用いられる方法」で表示されている。したがって,本願商標は,単に,商品の産地,販売地を表\示するにすぎないことになるから,商標法3条1項3号に該当すると認められる。よって,審決の結論に誤りはない。

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平成25(行ケ)10341 商標登録取消決定取消請求事件 商標権 平成26年05月14日 知的財産高等裁判所 

 商標「オタク婚活」について、役務の質(内容)を表示するとして、識別性無しとした審決が維持されました。
 イ 本件商標は,「オタク婚活」の文字を標準文字により書してなる商標であり,「オタク」のカタカナ3字と「婚活」の漢字2字とを結合して一連表記した結合商標である。本件商標からは「オタクコンカツ」の称呼が自然に生じる。本件商標を構\成する「オタク」の語については,乙1(大辞林第三版,2006年(平成18年)10月27日発行)に「俗に,特定の分野・物事を好み,関連品または関連情報の収集を積極的に行う人。狭義には,アニメーション・テレビ−ゲーム・アイドルなどのような,やや虚構性の高い世界観を好む人をさす。…一九八〇年代中ごろから使われる語」,乙2(現代用語の基礎知識,2011年(平成23年)1月1日発行)に「個人の趣味に没頭し,異常な執着を見せる人物やふるまいを指す。1980年代前半に生まれた言葉で,元はマンガやアニメなど特定の趣味について使われたが,普及の過程で意味が拡大・変容し,現在では『マニア』とほぼ同じく,さまざまな趣味について『○○オタク』と使われることも。」との記載がある。上記記載及び弁論の全趣旨によれば,本件商標の登録査定日当時,「オタク」の語は,アニメーション,テレビゲーム,アイドルなどのような特定の趣味の愛好家を示す用語として,一般に認識され,普通に用いられていたことが認められる。また,本件商標を構\成する「婚活」の語は,本件商標の登録査定日当時,「結婚するための活動」を意味する語として,一般に認識され,普通に用いられていたことは,当裁判所に顕著である。そして,本件商標の登録査定日前の新聞記事情報には,主に30歳前後の人向けの結婚するための活動を「アラサー婚活」(2010年(平成22年)11月22日付け毎日新聞(乙16の1),2012年(平成24年)1月30日付け静岡新聞(乙16の2)),主に中高年層向けの結婚するための活動を「シニア婚活」(2011年(平成23年)2月4日付け,同年6月26日付け及び同月27日付け朝日新聞(乙17の1ないし3)),主に熟年と呼ばれる中高年層向けの結婚するための活動を「熟年婚活」(2009年(平成21年)7月10日付け読売新聞(乙18の1),2010年(平成22年)11月22日付け北海道新聞(乙18の2),2012年(平成24年)10月16日付け南日本新聞)などと称される例があることからすると,「婚活」の語の前に対象者の属性を表す語を結合した語は,当該対象者向けの結婚するための活動を意味する語として,本件商標の登録査定日当時,一般に理解されていたことが認められる。そうすると,本件商標を構\成する「オタク婚活」の語は,本件商標の登録査定日当時,「オタク」と称される人向けの結婚するための活動を意味する語として,本件商標の指定役務である「結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,インターネット上でのウェブサイトを利用した異性の紹介及びこれに関する情報の提供,インターネットを利用した結婚に必要な情報の提供」に係る事業の取引者,需要者によって一般に認識されるものであったことが認められる。以上によれば,本件商標の登録査定日当時,本件商標は,その指定役務に使用されたときは,「オタク」と称される人向けの結婚するための活動を支援する異性の紹介,情報の提供などといった役務の質(内容)を表示するものとして,取引者,需要者によって一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表\示として何人もその使用を欲するものであったものと認められるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,自他役務識別力を欠くものというべきである。加えて,本件商標は,標準文字で構成されているから,「オタク婚活」の文字を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなるものであるというべきである。
・・・・
そこで検討するに,商標法は,商標登録の要件について,3条1項で,同項各号に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる旨定め,同条2項で,前項3号から5号までに該当する商標であっても,使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,同項の規定にかかわらず,商標登録を受けることができる旨定めている。これらの規定によれば,審査官は,商標登録出願のあった商標が商標法3条1項各号に該当するかどうかを判断し,その上で,当該商標が同項3号から5号までに該当すると判断した場合であっても,同条2項に該当すると判断したときは,登録査定(同法16条)を行うこととなるのであるから,商標登録が同法3条に違反してされたことを理由に登録異議の申立て(同法43条の2第1号)がされた場合における同法3条1項各号該当性及び同条2項該当性の判断の基準時は,いずれも,その登録査定の行政処分がされた登録査定時(同法55条の2第2項により商標登録をすべき旨の審決がされたときは,その審決時。以下同じ。)と解するのが相当である。\n

◆判決本文

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平成24(ワ)1855 損害賠償請求事件 商標権 民事訴訟 平成26年03月06日 大阪地方裁判所

 ロゴ化「南京町」の商標権が、他の書体まで及ぶのかが争われました。裁判所は、本件では、特殊書体のみ識別性ありと判断しました。
 原告は,被告標章と原告商標とが類似であることの前提として,原告商標の書体に格別の意味はなく,標準文字で表現される「南京町」も,原告を指すものとして自他識別力がある旨を主張する。しかしながら,前記(1)によると,原告商標のロゴデザイン(字体)を捨象して,標準文字「南京町」としてみた場合には,単に神戸市中央区の元町通と栄町通の区域(いわゆる中華街)を指称するものとして,原告設立以前から長年にわたって使用されてきた一般的な名称であるといわざるを得ず,自他識別標識として機能するということはできない(商標法3条1項3号,4号に該当し,登録要件を欠くことに帰する。)。そうすると,原告商標は,特徴的な字体を含む外観を一体としてみた場合にのみ出所識別標識として機能\するものであり,その範囲でのみ商標権としての効力を有するというべきである。
イ また,原告は,組合法に基づいて設立された,商店街の振興等を目的とする法人であるところ,原告自身は,原告商標の指定商品等を製造販売等する事業者ではなく,中央区の元町通と栄町通の区域に所在する事業者すべてが原告の組合員であるといった事情も認められない。むしろ,証拠(原告代表者本人)によると,原告の定款上の地区内には約140店の店舗があるが,うち,原告に加入するのは81店舗にすぎない。さらに,証拠(甲69ないし76)のほか,本件全証拠及び弁論の全趣旨によっても,原告商標の指定商品の需要者として想定される一般消費者において,「南京町」の語自体が原告を指すものとして,周知性を獲得したとは認められない。原告が,その定款上の地区の復興,環境整備等に尽力したことをもって,そのような周知性の獲得の根拠とすることもできない。したがって,原告の主張する事情を考慮しても,「南京町」の語自体は一定の区域を指称する一般的な名称であり,原告商標の識別力は,特徴的な字体を含む外観にあるとの前記アの判断は左右されない。
ウ 原告は,上記(2)イ(イ)に関して,他の商店街振興組合が有する,標準文字に近い「黒門市場」,「錦市場」,「近江町市場」が,自他識別標識として機能することを前提に特許庁において商標権として認められていることを主張するが(甲35ないし40参照),「市場」については,卸売がされる場所,あるいは小売店の集合としての意味を有するのに対し,「町」は,前述のとおり,市街地の一区域等を表\すのであって,単純に同視することはできないし,当該商標の対象とする商品役務の具体的な取引態様の実情を捨象して,商標登録要件やその権利範囲を論ずることはできないから,採用できない。

◆判決本文

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平成25(行ケ)10162 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成25年12月26日 知的財産高等裁判所

 指定商品の需要者である一般消費者が普段接することのない専門的な文献を根拠として,「loop wheel」から巻き上げ機を想起させるとは認められないとして、無効理由無しとした審決が維持されました。
 商標法3条1項3号の商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,このような商標は,指定商品との関係で,その商品の産地,販売地,品質その他の商品の特性を記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事226号507頁参照)。そうすると,本件商標が商標法3条1項3号に該当するというためには,本件商標の登録査定日である平成24年5月30日の時点において,本件商標がその指定商品との関係で商品の品質を記述するものとして取引に際し必要適切な表\示であり,一般的に使用され得るものである必要があり,そのような商標であるというためには,本件商標の指定商品の取引者,需要者によって本件商標がその指定商品に使用された場合に商品の品質を表示したものと一般に認識されるものでなければならないと解される。
イ(ア) そこで検討するに,前記(1)イの認定事実によれば,別表の(ア)ないし(ト)に係る繊維関連の専門書,辞書及び辞典類には,「ループ・ホイール」は,巻き上げ機であるループ・ホイール編み機の部品の名称を意味すること,巻き上げ機と吊り編み機とは,いずれも「円形の編み機」の範疇に属するが,具体的な構造,編地の巻取方法が異なる別個の編み機であること,「巻き上げ機」の英語表\記は,「loop wheel machine」であることが記載されているものと認められる。そうすると,上記繊維関連の専門書,辞書及び辞典類の記載から,「ループ・ホイール」,「loop wheel」の語は,巻き上げ機であるループ・ホイール編み機の部品を意味するものと認識され,ひいては,巻き上げ機そのものを想起させるものといえる。しかしながら,上記繊維関連の専門書,辞書及び辞典類は,本件商標の指定商品の「織物(「畳べり地」を除く。)」又は「メリヤス生地」の需要者である一般消費者が普段接することのない専門的な文献であり,上記記載を根拠として,一般消費者に「ループ・ホイール」,「loop wheel」の語から巻き上げ機を想起させるものとまで認めることはできない。他方で,上記繊維関連の専門書,辞書及び辞典類の記載から,「ループ・ホイール」,「loop wheel」の語が,吊り編み機を意味することや,「巻き上げ機」と「吊り編み機」を包含する上位概念としての「編み機」の名称を示す一般的な用語であることが認識されるものとまでは認められない。 ・・・したがって,別表の(シ),(ソ),(チ),(ツ),(ト)に係る上記各英語表記から,「ループ・ホイール」,「loop wheel」の語が,吊り編み機を意味することや,「巻き上げ機」と「吊り編み機」を包含する上位概念としての「編み機」の名称を示す一般的な用語であることが認識されるとはいえない。
・・・
(ウ) 上記(ア)及び(イ)によれば,前記(1)イないしエの「LOOPWHEEL」等の語に関する繊維関連の専門書,辞書及び辞典類の記載,インターネットにおける使用例及び雑誌の記載等から,本件商標の登録査定日である平成24年5月30日の時点において,本件商標の指定商品の取引者,需要者によって「LOOPWHEEL」の語が「巻き上げ機」又は「吊り編み機」を意味するものと一般に認識されるものであったとは認めることはできない。他にこれを認めるに足りる証拠はない。そうすると,本件商標の登録査定日の時点において,本件商標に接する取引者,需要者によって,本件商標が「巻き上げ機又は吊り編み機で編まれた生地を使った被服」あるいは「巻き上げ機又は吊り編み機で編まれた被服」程度の意味合いを認識させ,指定商品の「織物(「畳べり地」を除く。)」又は「メリヤス生地」の品質を表示したものとして認識されるものであったとは認められない。ウ 以上によれば,本件商標の登録査定時において,本件商標が指定商品の「織物(「畳べり地」を除く。)」又は「メリヤス生地」との関係で商品の品質を記述するものとして取引に際し必要適切な表示であって,一般的に使用され得るものであるとは認められないから,本件商標がその登録査定時において,商標法3条1項3号に該当する商標であったと認めることはできない。\n

◆判決本文

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