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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商3条1項各号

令和3(行ケ)10100  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和4年5月19日  知的財産高等裁判所

 知財高裁(1部)は、41類「知識の教授」などについて、商標「Scrum Master」は識別力無しと判断しました。異議・無効審判では識別力ありと判断されていました。

 前記(1)の認定事実によれば、1)「Scrum(スクラム)」の語は、本件商 標の登録査定前に発行、作成されたコンピュータ、IT関連の事典、用語集 等において、アジャイルソフトウェア開発の手法の一つと説明されていること(前記(1)ア)、2)「Scrum Master(スクラムマスター)」の語 は、本件商標の登録査定前に作成されたウェブサイト上の辞典等において、 アジャイルソフトウェア開発の手法の一つである「Scrum」における役割の名称として説明されていること(同イ)、3)「Scrum」の提唱者が執 筆した「スクラムガイド」において「スクラムマスター」の定義が説明され ていること(同ウ)、4)本件商標の登録査定前に発行されたコンピュータやI T関連の複数の書籍、雑誌、ウェブサイトやブログにおいて、「アジャイルソフトウェア開発」や「Scrum(スクラム)」をテーマとした記事等に「S\ncrum Master(スクラムマスター)」についての記載があること (同エないしカ)、5)平成21年から平成30年4月までの間に複数の団体 が、スクラムマスターの研修を複数回実施していること(同キ)、6)本件商標 の登録査定前に発行・作成された雑誌やウェブサイト等に「Scrum M aster(スクラムマスター)」の認定制度、研修やセミナー等に関する記 載があること(同ク)が認められる。
以上の1)ないし6)を総合すれば、本件商標の登録査定時において、「Scr um」の語は、コンピュータ、IT関連の分野において、アジャイルソフトウェア開発の手法の一つを表\すものとして認識され、また、「Scrum M aster」の語は、同分野において、アジャイルソフトウェア開発の手法の一つである「Scrum」における役割の一つを表\すものとして認識されていたものと認められる。
2 本件商標の商標法3条1項3号該当性について
(1) 商標法3条1項3号が、「その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、 効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標」について商標登録の要件を欠くと規定しているのは、このような商標は、指定役務との関 係で、その役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表\示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人\nもその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるの は公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場 合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、商標が、指定役務について役務の質を普通に用いられる方法 で表示する標章のみからなる商標であるというためには、商標が指定役務との関係で役務の質を表\示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であ\nり、当該商標が当該指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、 将来を含め、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも当該商標が現実に当該指定役務に使用されて\nいることを要しないと解される。以上を前提に、本件商標の本件指定役務との関係における同号該当性について判断する。
(2) 本件商標は、「Scrum Master」の文字を標準文字で表してなり、「Scrum」の語及び「Master」の語から構\成される結合商標である。本件商標から「スクラムマスター」の称呼が生じる。 前記1(2)認定のとおり、本件商標の登録査定時において、「Scrum」の 語は、コンピュータ、IT関連の分野において、アジャイルソフトウェア開発の手法の一つを表\すものとして認識され、また、「Scrum Maste r」の語は、同分野において、アジャイルソフトウェア開発の手法の一つである「Scrum」における役割の一つを表\すものとして認識されていたものと認められる。
また、「マスター」(master)の語は、一般に、「あるじ。長。支配者」、 「修得すること。熟達すること」等(広辞苑第7版。甲391の2の2)の 意味を有することからすると、「Scrum Master」の語からは、ア ジャイルソフトウェア開発の手法の一つである「Scrum」を修得した者、「Scrum」に熟達した者などの観念をも生ずるものと認められる。\nそうすると、本件商標が本件指定役務に含まれる「教育訓練、研修会及び セミナー等」に使用された場合には、取引者、需要者は、当該教育訓練等が アジャイルソフトウェア開発の手法の一つである「Scrum」を修得することや、「Scrum」における特定の役割に関する教育訓練等であることを\n示したものと理解するものといえるから、本件商標は、かかる役務の質(内 容)を表示したものとして一般に認識されるものと認めるのが相当である。そして、本件商標は、標準文字で構\成されており、「Scrum Mast er」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるといえるから、本件商標は、本件指定役務の質(内容)を普通に用いられ\nる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)に該当するものと認められる。\n
(3) この点に関し本件審決は、「Scrum Master(スクラムマスタ ー)」に特化した研修やセミナー等に関する証拠は限定的である上、その具体 的な内容についての説明や当該研修やセミナー等の開催規模や開催頻度等の 具体的な証拠はなく、また、「Scrum Master(スクラムマスター)」 の認定制度の有資格者数もさほど多いとはいえないから、本件商標は、その 指定商品及び指定役務中、第41類の教育訓練、研修会及びセミナー等に関 する役務との関係においては、「Scrum Master(スクラムマスタ ー)」を内容とする役務であることを理解させるものとはいい難いと述べた 上で、本件商標である「Scrum Master」の文字が、商品の品質 及び役務の質等を直接的に表すものとして一般に使用されているとまではいえず、また、本件商標に接する取引者、需要者が、本件商標を商品の品質及\nび役務の質等として認識するとみるべき特段の事情も見いだせないとして、 本件商標は、本件指定役務を含む本件商品・役務以外の指定商品及び指定役 務について商標法3条1項3号に該当しない旨判断した。 しかしながら、前記(1)で説示したとおり、本件商標が、本件指定役務につ いて役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるというためには、本件商標が本件指定役務との関係で役務の質を表\示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本件商標が本件指定役務に使用された場合に、本件商標の取引者、需要者によって、将来を含め、役\n務の質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、必ずしも本件商標が現実に本件指定役務に使用されていることを要し\nないと解されるから、本件審決の上記判断は、その前提において誤りがある。
3 被告の主張について
被告は、1)商標法3条1項3号の趣旨によれば、同号により不登録とされる 商標は、「将来必ず一般的に使用されるもの」に限定されるところ、本件商標が 「将来必ず一般的に使用されるもの」であることについての立証はなく、また、 本件商標は、その登録査定時において、使用実績は僅かであり、周知性は全く なく、一般に認識されておらず、むしろ無名である、2)スクラムマスターのセミ ナー・研修の受講・参加、資格・認定取得が、本件商標の登録査定前に多数なさ れていた事実は認められず、「スクラムマスター」は、資格として世間一般に認 知されておらず、セミナーの開催数や資格者数もごく僅かである、3)本件商標 は、「Scrum」の語と「Master」の語を単に結合しただけの造語であ り、本件商標から、特段の観念は想起されない、4)証拠上「スクラムマスター」 の語の使用が確認される最も早い時期である平成16年10月から被告が本件 商標の登録出願をした平成29年6月までの12年8か月の間、原告らが本件 商標の登録出願をしなかったという事実は、誰もその使用を欲することがなか ったことの証左であり、本件商標は「何人もその使用を欲する」ような商標に 該当しないとして、本件商標は、本件指定役務について同号に該当しない旨主 張する。
しかしながら、1)ないし3)については、前記2(1)及び(2)で説示したとおり、 本件商標が、本件指定役務について同号に該当するというためには、本件商標 が本件指定役務との関係で役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表\示であり、本件商標が本件指定役務に使用された場合に、本件商標の取引者、需要者によって、将来を含め、役務の質を表示したものとして一般に認識されるものであれば足りるものであって、被告がいうように「将来必ず一\n般的に使用されるもの」に限定されるものではなく、また、必ずしも本件商標 が現実に本件指定役務に使用されていることを要しないと解されるから、その 使用実績の程度や周知性の有無が問題となるものではない。 さらに、前記1(2)で説示したとおり、本件商標の登録査定時において、「Sc rum Master」の語は、コンピュータ、IT関連の分野において、ア ジャイルソフトウェア開発の手法の一つである「Scrum」における役割の一つを表\すものとして認識されていたものと認められ、また、「Scrum M aster」の語からは、アジャイルソフトウェア開発の手法の一つである「Scrum」を修得した者、「Scrum」に熟達した者などの観念をも生ずるも\nのと認められるから(前記2(2))、本件指定役務の需要者において、本件商標が 一般に認識されず、無名であったとはいえないし、本件商標から、特段の観念 が想起されないとはいえない。4)については、ある用語の使用を必要とすることと、その用語について商標登録出願をすることとは別の問題であり、原告らが本件商標の登録出願をしなかったことをもって、本件商標が「何人も使用を欲する」ような商標に該当し ないものとはいえない。

◆判決本文

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令和4(行ケ)10002  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和4年6月16日  知的財産高等裁判所

 商標「温石灸」の識別力について、知財高裁は識別力なしとした審決を維持しました。

原告は、原告が「温石灸」の語を使用して行っている施術は、平成26 年に施術を開始した、温石及びもぐさの両方を用いるオリジナルの施術で あり、「温石灸」の語は、「温石をもぐさの上に置いて行う施術」との意味 合いを有する造語であるから、本願商標の指定役務との関係で出所識別機 能を有する旨主張する(前記第3の1〔原告の主張〕(1))。 そこで検討するに、証拠(甲9、10、33)及び弁論の全趣旨によれ ば、原告は、平成26年10月頃から、温めた石をもぐさの上に置いて患 部を温める施術を「温石灸」との名称で行っていること、原告がこのよう な内容の施術を「温石灸」との名称で行うことを許諾したのは、「MoMo Soはり灸院」のみであることが認められる。 しかしながら、本願商標が商標法3条1項3号に該当するか否かは、本 件審決がされた時点における取引の実情を考慮して判断すべきものであ るところ、上記(4)で検討したとおり、本件審決がされた当時の本件業界に おいて、温石を用いた施術が、火をつけたもぐさの代わりに温めた石を用 いることにより、灸に類似する効果を得ることができる施術として、「温石 灸」との名称でも広く行われている実情があったといえることからすれば、 原告がそれ以前から温石及びもぐさの両方を用いる施術を「温石灸」と称 して行っているなどの事情があるからといって、前記の結論が左右される ものではないというべきである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。
イ 原告は、本件業界において「温石」又は「温石灸」の語が使用されてい る例について、「温石」が「温めた石」ほどの意味合いを有するとしても、 施術において「温石」をどのように用いるかや、「温石」と肌にのせたもぐ さに火を点じて焼く施術である「灸」との関係性が明らかではないから、 使用されている「温石灸」の語から直接的かつ具体的な施術の方法及び内 容(効能)等が想起されるものではない旨主張する(前記第3の1〔原告\nの主張〕(2))。しかしながら、原告が指摘するとおり、商標法3条1項3号に該当する というためには、当該商標から具体的な役務の質(内容)が認識されるこ とが必要であると解されるものの、上記(4)で検討したとおり、本件審決が された当時の取引の実情を考慮すると、「温石灸」の語は、「火をつけたも ぐさの代わりに温めた石を患部に置く、灸と同種の施術」を表すものと容\n易に理解されるものであったというべきである。そうすると、「温石灸」の 語からは、施術に用いる道具、施術の方法及び施術によって得られる効果 がいずれも容易に理解されるものといえるから、本願商標の取引者、需要 者は、「温石灸」の語から役務の質(内容)を具体的に認識することができ るものといえる。したがって、原告の上記主張は採用することができない。
ウ 原告は、本件業界において行われている「温石灸」の施術について、1) 「灸」の語の一般的な意味とは異なる内容の施術であり、かつ、様々な施 術の方法及び内容(効能)等を含むものであること、2)「温石」や「温石 療法」等とも表示することができるから、「温石灸」の語は役務の質を表\示 記述するものとして取引に際し必要適切な表示であるとはいえないこと、\n3)全国に存在する「はり及びきゅうを行う施術所」の数からすれば、「温石 灸」の語を使用する事業者はごくわずかであることを理由に、本件業界に おいて「温石灸」が施術されている例があることをもって、「温石灸」の語 が示す役務の内容が一般に理解されるものとはいえない旨主張する(前記 第3の1〔原告の主張〕(3))。 しかしながら、上記1)については、上記(4)で検討したとおり、本件業界 において一般に行われている「温石灸」の施術は、火をつけたもぐさを使 用しない点において、本来的な意味における灸とは異なるものではあるも のの、火をつけたもぐさの代わりに温めた石を用いることにより、灸に類 似する効果を得ることができる施術として行われていることなどからす れば、「温石灸」の語は、このような内容の施術を表すものとして容易に理\n解されるものといえる。 また、上記2)については、上記(4)で検討したとおり、本件審決がされた 当時の本件業界において、温石を用いた施術は、「温石療法」や「温石」等 と呼ばれ、灸とは区別されて取り扱われている実情があったといえるもの の、他方で、必ずしも灸と厳格に区別されていたものではなく、灸に類似 する効果を得ることができる施術として、「温石灸」との名称でも広く行わ れている実情があったといえることからすれば、温石を用いた施術が「温 石療法」や「温石」等とも表示されているからといって、「温石灸」の語が、\n役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表\示であるこ とが否定されるものではないというべきである。 さらに、上記3)については、上記(4)で検討したところに照らせば、全国 に存在する「はり及びきゅうを行う施術所」の数のみを根拠として、前記 のとおりの取引の実情があったことを否定することはできないというべ きである。したがって、原告の上記主張は採用することができない。
エ 原告は、材料等の名称を冠した従来の「味噌灸」等と原告が行っている 「温石灸」とでは施術内容が全く異なるものであり、「温石灸」の語を従来 の「味噌灸」等の語と同様の意味で捉えると、施術の方法及び内容(効能)\n等が理解し難いものとなるから、「味噌灸」等と称する灸が存在するからと いって、「温石灸」の語が、特定の役務の質・内容を直接的かつ具体的に示 すものであるとはいえない旨主張する(前記第3の1〔原告の主張〕(4))。 しかしながら、本件において検討すべきであるのは、本件審決がされた 当時の本件業界において使用されていた「温石灸」の語から認識される内 容であるから、原告が行っている「温石灸」の具体的な施術内容が考慮さ れるものではないというべきである。そして、上記(4)で検討したとおり、 本件審決がされた当時の本件業界において、温石を用いた施術は、施術の 道具として温めた石を用いる灸と同種の施術であることから、「味噌灸」等 と同様に、「温石灸」とも称されるようになったものであり、「温石灸」の 語は、「火をつけたもぐさの代わりに温めた石を患部に置く、灸と同種の施 術」を表す語として容易に理解されるものであったというべきである。\nしたがって、原告の上記主張は採用することができない。
オ 原告は、本件テレビ番組において「温石灸」と称された施術は、従来か ら広く使用されてきた「温石」又は「温石療法」と同義のものとして紹介 されたものにすぎないから、そのような内容の放送がされ、本件業界の関 係者がこれに否定的な意見を述べなかったとの事実をもって、「温石灸」の 語が、灸(施術)の一種を表したものとして、特定の役務の質・内容を示\nすものとして理解されたものとみるのは相当でない旨主張する(前記第3 の1〔原告の主張〕(5))。
しかしながら、上記(4)で検討したところに照らせば、原告が指摘すると ころによって、前記の結論が左右されるものではないというべきである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。

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令和3(行ケ)10113  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和4年1月25日  知的財産高等裁判所

 商標「睡眠コンサルタント」が識別力無し(3条1項3号)とした拒絶審決が維持されました。

(3) 上記認定事実によれば,「睡眠コンサルタント」が,「睡眠の事柄につい て相談・助言・指導を行う専門家」の意味合いを容易に認識させることは, その構成から明らかである。そして,上記認定事実によれば,「睡眠コンサ\nルタント」と称する資格又は「睡眠コンサルタント」の文字を含む名称を冠 する資格を与える団体が存在し,当該団体が睡眠に関する専門的な知識の教 授等を行っている例が複数あること(上記ア〜エ),これらの団体により認 定資格を得た者が「睡眠コンサルタント」と名乗り,睡眠に関する知識の教 授,及び睡眠に関するセミナーの企画・運営又は開催を行っている例が複数 あること(上記オ〜ク),それ以外にも,睡眠に関する専門的な知識を有す る「睡眠コンサルタント」と称する者が,睡眠に関する知識の教授,及び睡 眠に関するセミナーの企画・運営又は開催等を行っている例が複数あること (上記ケ〜タ)が認められる。また,知識の教授及びセミナーの企画・運営 又は開催を行う業界において,講義及びセミナー等の内容に関する書籍(テ キスト,問題集等)及びビデオ等が制作されている実情があることは,顕著 な事実である。
以上からすると,本願商標は,本願指定役務である「技芸・スポーツ又は 知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制 作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用 のものを除く。)」との関係で,本件審決がされた令和3年7月26日の時 点において,「睡眠に関する専門的な知識を有する者による,睡眠に関する 役務である」という役務の質を表示記述するものとして取引に際し必要適切\nな表示であり,本願商標の取引者,需要者によって本願商標が本願指定役務\nに使用された場合に,役務の質を表示したものと一般に認識されるものであ\nるから,本願商標は,本願指定役務について役務の質を普通に用いられる方 法で表示する標章のみからなる商標であると認めるのが相当である。\nしたがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。これと同旨の 本件審決の認定判断に誤りはない。 ・・・ 原告は,「○○〇コンサルタント」という商標の登録例が多数あること,専門分野を表す「〇〇〇」の次に「専門家」を意味する言葉を付加した商標の登録例も多数あることを挙げて,これらの登録例と構\成を同じくする本願商標は登録されて然るべきである旨主張する。しかしながら,商標登録の可否は,商標の構成,指定役務,取引の実情等を踏まえて,具体的な実情に基づき商標ごとに個別に判断すべきものであって,原告が指摘するような他の商標登録事例が多数あるからといって本願商標の登録の可否が影響を受けるものではないから,本願商標が本願指定役務について役務の質を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標であることを否定する理由にはならない。

◆判決本文

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