2008.12.19
◆平成20(行ケ)10139 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟
審決は、「このような比較的写実性の強い幼児の顔部分のみからなる商標から「キューピー」(キューピー人形)の称呼・観念が生ずるものとはいい難く,直ちに特定の確定的な称呼及び観念を生ずることはない」として無効理由無しと判断しましたが、知財高裁は、これを取り消しました。
「上記のような「キューピー」のキャラクターは,本件商標登録出願時(平成16年11月22日)において,我が国で周知のものとなっていたというべきである。・・・本件商標の構成は,前記第2の1(1)のとおり,頭頂部の髪と思しき部分が尖り,パッチリとした大きな目をした幼児の頭部を描いた図形であるところ,これらの特徴的容姿は上記(2)のとおり我が国においても周知となっていた「キューピー」のキャラクターの特徴と符合するものであるから,本件商標に接した取引者・需要者が,本件商標に係る図形を「キューピー」と認識するであろうことは疑いのないところというべきである。したがって,本件商標からは「キューピー」の称呼を生ずるとともに,頭の先の髪と思しき部分が尖り,目がパッチリと大きい裸体の幼児又はその人形である「キューピー」の観念を生ずるものというべきである。」
◆平成20(行ケ)10139 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟
平成20年12月17日 知的財産高等裁判所
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2008.11.17
◆平成19(ネ)3057等 商標権侵害差止等請求控訴,同附帯控訴事件 商標権民事訴訟 平成20年11月07日 大阪高等裁判所
1審では類似するとされた「love」と「Love cosmetic」について、大阪高裁は両者は非類似標章であると認定しました。
被控訴人は,「cosmetic」は「化粧品」を意味する英語(普通名称)であり,商品が化粧品であることを示す語として通常用いられ,自他商品識別力がないから,需要者は控訴人標章1を2語に分けて認識し,その要部は「Love」であると主張するが,以下のとおり,採用できない。すなわち,「Love」は,我が国においても極めて周知度の高い英語であり,「愛」「恋愛」という観念から,肯定的に受容され,普遍的に好感を持たれる語ということができ,化粧品に限っても,「Love」「ラブ」の語を含む登録商標は多数に上ることが認められ(乙32,弁論の全趣旨),化粧品以外の商品・役務においても,これらの語を含む商品名やブランド名等が多数存在することは公知である。そして,それゆえに,これらの語は商品等の標章に用いるものとしてはやや陳腐であって,少なくとも「Love」「ラブ」単独では,化粧品に限らず,商品識別・出所表示の機能\は弱く,他の語と連結されることによりそれと一体のものとして商品識別機能を果たす場合も多いものと考えられる。他方,「cosmetic」は,「化粧品」を意味する英語で,比較的周知度が高いとはいえ,日本人にとって必ずしも易しい単語とはいえないから,通常の需要者が,控訴人標章中「cosmetic」の部分を,「化粧品」と同等に,控訴人商品が化粧品であると意味するにすぎないと直ちに理解するとまではいえず,この語に自他商品識別能力がまったくないとはいえない(この点は,「Love cosmetic」ないし「ラブコスメティック」と,これらと観念上はほぼ同一といえる「ラブ化粧品」という表記とを対比すれば明らかである。)。加えて,「Love」と「cosmetic」がいずれもアルファベット表記であることを考慮すると,「Love」と「cosmetic」とを結合した一体の標章として認識されやすく,称呼としても通常「らぶこすめてぃっく」と一連のものとして称呼されるものと考えられるから,必ずしも「Love」のみが要部であるということはできず,むしろ「Love cosmetic」が一体として要部となるとみるのが相当である。そうすると,控訴人標章1は,被控訴人商標と,その外観において控訴人標章1が12字のアルファベットから成るのに対し,被控訴人商標が2字の片仮名又は4字のアルファベット若しくは2字の片仮名及び4字のアルファベットから成る点で異なり,その称呼において「らぶこすめてぃっく」と「らぶ」とで語音,語感が明らかに異なり,その観念において「愛の化粧品」「愛のための化粧品」という即物的意味あいで観念されるのに対し,「愛」「恋愛」「愛情」と抽象的意味あいで観念される点で異なるというべきであるし,また,後にみる控訴人商品の実際の宣伝・販売方法等をもしん酌すれば,控訴人標章1は,被控訴人商標のいずれとも類似するものとはいい難い。
◆平成19(ネ)3057等 商標権侵害差止等請求控訴,同附帯控訴事件 商標権民事訴訟 平成20年11月07日 大阪高等裁判所
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2008.10. 6
◆平成19(ワ)7660 商標権侵害差止等請求事件 商標権 平成20年10月02日 大阪地方裁判所
被告商標「十二単の招福巻」が、本件商標「招福巻」に類似するとして商標権侵害が認定されました。なお、「招福巻」は、普通名称、慣用商標であるとの被告の抗弁も否定されました。
「以上の事実に加え,原告が平成19年2月に,被告をはじめ,株式会社サボイ,広越株式会社,株式会社柿の葉すし本舗たなか等,節分用巻きずしに「招福巻」を使用する業者に対して警告を行い,これらの会社から今後「招福巻」を使用した巻きずしを販売しないなどの確約を得ている(甲21ないし22の各1・2)など,本件商標権を守るために一定の対応をしていることも併せ考慮すると,全国のスーパーマーケットやすし店等において,節分用の巻きずしの名称として「招福巻」を含む商品名が用いられている例が多数あるからといって,このことから直ちに,「招福巻」が,節分用の巻きずしの普通名称(商標法26条1項2号)になったものと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。」
◆平成19(ワ)7660 商標権侵害差止等請求事件 商標権 平成20年10月02日 大阪地方裁判所
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2008.09. 9
◆平成19(行ヒ)223 審決取消請求事件 平成20年09月08日 最高裁判所第二小法廷
商標の類似についての、土人形を指定商品とする商標「つつみのおひなっこや」と商標「つゝみ」,「堤」について,「つつみ」の文字部分だけを比較してその類否を判断することは許されず,構成部分全体を対比すると,両商標が類似しないとして、
原審◆平成18(行ケ)10532 平成19年04月10日を破棄しました。
「本件商標の構成中には,称呼については引用各商標と同じである「つつみ」という文字部分が含まれているが,本件商標は,「つつみのおひなっこや」の文字を標準文字で横書きして成るものであり,各文字の大きさ及び書体は同一であって,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表\されているものであるから,「つつみ」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない。また,前記事実関係によれば,引用各商標は平成3年に商標登録されたものであるが,上告人の祖父は遅くとも昭和56年には堤人形を製造するようになったというのであるから,本件指定商品の販売業者等の取引者には本件審決当時,堤人形は仙台市堤町で製造される堤焼の人形としてよく知られており,本件商標の構\成中の「つつみ」の文字部分から地名,人名としての「堤」ないし堤人形の「堤」の観念が生じるとしても,本件審決当時,それを超えて,上記「つつみ」の文字部分が,本件指定商品の取引者や需要者に対し引用各商標の商標権者である被上告人が本件指定商品の出所である旨を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるものであったということはできず,他にこのようにいえるだけの原審認定事実は存しない。さらに,本件商標の構成中の「おひなっこや」の文字部分については,これに接した全国の本件指定商品の取引者,需要者は,ひな人形ないしそれに関係する物品の製造,販売等を営む者を表\す言葉と受け取るとしても,「ひな人形屋」を表すものとして一般に用いられている言葉ではないから,新たに造られた言葉として理解するのが通常であると考えられる。そうすると,上記部分は,土人形等に密接に関連する一般的,普遍的な文字であるとはいえず,自他商品を識別する機能\がないということはできない。このほか,本件商標について,その構成中の「つつみ」の文字部分を取り出して観察することを正当化するような事情を見いだすことはできないから,本件商標と引用各商標の類否を判断するに当たっては,その構\成部分全体を対比するのが相当であり,本件商標の構成中の「つつみ」の文字部分だけを引用各商標と比較して本件商標と引用各商標の類否を判断することは許されないというべきである。(3) そして,前記事実関係によれば,本件商標と引用各商標は,本件商標を構成する10文字中3文字において共通性を見いだし得るにすぎず,その外観,称呼において異なるものであることは明らかであるから,いずれの商標からも堤人形に関係するものという観念が生じ得るとしても,全体として類似する商標であるということはできない。」
◆平成19(行ヒ)223 審決取消請求事件 平成20年09月08日 最高裁判所第二小法廷
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2008.08. 5
◆平成20(行ケ)10156 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年08月04日 知的財産高等裁判所
拒絶審決時には、存続期間満了により消滅していた商標を引用商標として、拒絶審決をしたことは違法として、拒絶審決を取り消しました。
「商標法4条1項11号は,「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて,その商標登録に係る指定商品…について使用をするもの」については,商標登録を受けることができないと規定している。したがって,審決が本願商標について商標法4条1項11号に該当すると判断することができるためには,引用商標が「他人の登録商標」であること,すなわち,引用商標に係る商標権が審決時に有効に存続するものであることが必要である。(2) ところが引用商標は,平成9年6月27日に商標登録第2722262号として登録され,この日から10年後(商標法19条1項)である平成19年6月27日をもって存続期間が満了し,平成20年3月26日に商標権抹消の登録がなされたことが認められる(当事者間に争いがない。甲12)。(3) したがって,引用商標に係る商標権は,審決時(平成20年3月19日)において既に消滅していたものであるから,審決がこれを引用商標として商標法4条1項11号に該当するとしたことは誤りである。」
◆平成20(行ケ)10156 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年08月04日 知的財産高等裁判所
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2008.08. 1
◆平成19(行ケ)10387 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年07月30日 知的財産高等裁判所
指定商品「果実」について商標「オレンジチェリー」が4条1項16号(品質誤認)に違反するかが争われました。裁判所は、該当するとした審決を支持しました。
「上記(1)ア及びイによれば,「オレンジ」はみかん科の果実の名称又はオレンジ色を指すものとして,「チェリー」もまた果実であるさくらんぼを指すものとして,それぞれ一般に認識されるものであると認められる。そして,上記ウ及びエのとおり,「チェリー」その他の果実を指す語の前に「スイート」,「サワー」,「アメリカン」等,別の語が付加されて使用される例が少なからず見受けられるところ,これら付加される語はいずれも「チェリー」その他の果実を修飾するいわば形容詞として使用されていること,殊に,「ブラック」,「レッド」,「ゴールデン」等,色に関する語が付加された場合には,果実の色自体を指すものとして用いられていることが認められる。そうすると,「オレンジチェリー」とする本願商標に接した場合,取引者及び需要者は果実としての共通性からミカン科の果実であるオレンジとさくらんぼのミックスしたものないしそれに関連した新種の果実を想起したり,また,「オレンジ」がオレンジ色をも意味する語であることからして,上記のような形容詞的な用法として「オレンジ色のチェリー(さくらんぼ)」を想起することがあり得るものと認められる。そうすると,「オレンジチェリー」との本願商標を,その指定商品である「果実」に用いた場合には,取引者及び需要者において当該商品が「さくらんぼ」の一種(例えば,オレンジ色がかったさくらんぼ等)を指すものとして認識されることがあり得るというべきであるから,これを「さくらんぼ」以外の果実に用いた場合には,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。」
◆平成19(行ケ)10387 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年07月30日 知的財産高等裁判所
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2008.06.26
◆平成19(行ケ)10392 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年06月26日 知的財産高等裁判所
商標法4条1項7号(公序良俗違反)に該当するとした審決を取り消しました。
「当該出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して,先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や,国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた法4条1項19号の趣旨に照らすならば,それらの趣旨から離れて,法4条1項7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは,商標登録の適格性に関する予測可能\性及び法的安定性を著しく損なうことになるので,特段の事情のある例外的な場合を除くほか,許されないというべきである。・・・・しかし、?@原告と被告との間の紛争は,本来,当事者間における契約や交渉等によって解決,調整が図られるべき事項であって,一般国民に影響を与える公益とは,関係のない事項であること,?A本件のような私人間の紛争については,正に法4条1項19号が規定する「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的・・・をもって使用をするもの・・・」との要件への該当性の有無によって判断されるべきであること,?B被告が米国において有している商標権は,あくまでも私権であり,被告がそのような権利を有したからといって,原告が,日本において,同商標と類似又は同一の商標に係る出願行為をすることが,当然に「公の秩序又は善良な風俗を害する」という公益に反する事情に該当するものとは解されないこと,?C被告は,スコービル社から承継した「CONMAR」との文字からなる米国商標(第324689号)に係る商標権については,平成8年3月,更新せずに消滅させており,また,ファスナーについて「CONMAR」との文字からなる米国商標の登録を平成13年12月に受けた者から,同米国商標に係る商標権の譲渡を受けているなどの事情があり,その子細は必ずしも明らかでないこと,?D審決において,原告が本件商標の登録を受けたことは認定されているが,それを超えて原告が被告の日本国内への参入を阻止していることを基礎づける具体的な事実は,何ら認定されていないこと,?E原告の本件商標の出願は,後記認定のとおり,法4条1項19号に該当するのみならず,同項10号,15号にも該当する事由が存在するといえること等を総合すると,本件について,原告の出願に係る本件商標が「公の秩序又は善良な風俗を害する」とした審決の判断には,誤りがあるというべきである。したがって,本件商標に法4条1項7号所定の無効事由があるとした審決は取り消すべきものと判断する。」
こちらは関連事件です。
◆平成19(行ケ)10391 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年06月26日 知的財産高等裁判所
◆平成19(行ケ)10392 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年06月26日 知的財産高等裁判所
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2008.05.30
◆平成19(行ケ)10383 商標登録取消決定取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年05月29日 知的財産高等裁判所
「ルネッサンスホテル創世」が「ルネッサンスホテル」と出所混同が生ずるとした審決が取り消されました。
「これを本件についてみるに,上記(1),(2)の事実等及び前記1の認定判断によれば,?@本件商標から生ずる「ルネッサンス」との称呼,観念は,申立人商標「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」及び申立人商標3から生ずる「RENAISSANCE」と称呼,観念が同一であること,?A本件商標の指定役務は「宿泊施設の提供」であるのに対し,申立人商標の指定役務は「宿泊施設の提供」等であり,また,申\立人はホテル業者であって,その取引者,需要者に共通性があることが認められるが,他方,?B我が国において,「RENAISSANCE」及び「ルネッサンス」の語は極めて一般的な語であり,類似の「ルネサンス」等も含め,法人名その他の固有名詞等において,単独又は他の語と組み合わせて多数使用されており,その自他識別機能,出所表\示機能は弱いといわざるを得ないこと,?C本件商標の登録出願時である平成16年及び登録査定時である平成17年時点において,申立人が経営にかかわる「ルネッサンスホテル」は全国に散在する5軒しかなく,我が国における「ルネッサンスホテル」の紹介も,海外旅行者向けの出版物等が中心であって,国内所在の「ルネッサンスホテル」に係る全国規模の出版物やウェブページでの紹介等もそれほど一般的で多いものであったとはいえず,国内所在の申\立人関与による「ルネッサンスホテル」の「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」との名を付しての営業期間が平成16年時点までで約17年から約9年というもので長い歴史を有するというほどのものではなかったことなどに照らすと,そもそも,国内に散在した上記5軒のホテルにつき,同一グループに関連するものであるとして広く理解されていたとは考えにくく,国内旅行者等において,申立人が経営にかかわるホテルについての「RENAISSANCE」又は「ルネッサンス」の標章が相当程度認識されていたとまではいえない状況にあったものであること,以上の事情等が認められる。そうすると,本件商標の登録出願時である平成16年9月29日及びその登録査定時である17年12月26日時点において,本件商標を「宿泊施設の提供」に使用することにより,その取引者,需要者である国内旅行者等において,原告の「宿泊施設の提供」という役務が,申立人の「宿泊施設の提供」等という役務と緊密な営業上の関係又は同一の表\示による事業を営むグループに属する営業主の業務に係る役務であると誤信されるおそれ(広義の混同を生ずるおそれ)があったものということはできない。」
◆平成19(行ケ)10383 商標登録取消決定取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年05月29日 知的財産高等裁判所
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2008.05.29
◆平成19(行ケ)10411 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年05月28日 知的財産高等裁判所
2段併記の本件商標「トリートメントチャージ」(指定商品 化粧品,せっけん類)が先行商標「チャージ」と類似するかが争われました。
「証拠(甲9,12〜20,22,26,29〜
93,113,114)及び弁論の全趣旨によれば,「トリートメン
ト」は,本件商標の指定商品である「化粧品,せっけん類」との関係
では,「手入れ」,「保護」の意味で使用されているほか,以下のと
おり,髪の毛及び頭皮を補修ないしは保護する商品を示す名称として
も使用されており,髪の毛及び頭皮を補修ないしは保護する商品を示
す普通名称となっていると認めることができる。
・・・
そうすると,「トリートメント」,「TREATMENT」は,本
件商標の指定商品である「化粧品,せっけん類」に使用された場合に
は,識別力の乏しい言葉であるということができる。
・・・
本件商標のうち上段の「トリートメントチャージ」の部分は,「ト
リートメントチャージ」と,間隔を空けずに同一書体,同一の大きさで
表記されている。しかし,上記イのとおり,「トリートメント」と「チャージ」は,別\n個の意義を有する言葉であって,「トリートメントチャージ」という一
つの言葉が存するわけではないから,本件商標のうち「トリートメント
チャージ」の部分は,「トリートメント」と「チャージ」に分離して認
識されるというべきである。また,本件商標のうち「トリートメントチ
ャージ」の部分が11音から成っていることからすると,常に一連のも
のとして称呼されるということもできない。
(イ) 一方,本件商標のうち「TREATMENT CHARGE」の部
分は,同一書体,同一の大きさで表記されているものの,「TREATMENT」と「CHARGE」の間に間隔が空いており,上記イのとお\nり「TREATMENT」と「CHARGE」は別個の意義を有する言
葉であって,「TREATMENTCHARGE」という一つの言葉が
存するわけではないことからすると,本件商標のうち「TREATME
NT CHARGE」の部分は,「TREATMENT」と「CHAR
GE」に分離して認識されるというべきである。また,本件商標のうち
「TREATMENT CHARGE」の部分が15音から成っている
ことからすると,常に一連のものとして称呼されるということもできな
い。
(ウ) したがって,本件商標は,「トリートメント」と「チャージ」,
「TREATMENT」と「CHARGE」に分離して印象されるもの
であって,全体を一連,一体の商標として把握することができるという
ものではない。そして,本件商標の「チャージ」及び「CHARGE」の部分から
は,「チャージ」の称呼及び上記イ(イ)認定の観念が生ずるものと認め
られる。
◆平成19(行ケ)10411 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年05月28日 知的財産高等裁判所
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2008.02.24
◆平成19(行ケ)10230 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年02月21日 知的財産高等裁判所
商標「NUK」と「LUK」が非類似とした審決が維持されました。
「原告は,欧文字が日常的に用いられ親しまれている今日の取引実情の下
では,本件商標及び各引用商標は,「エヌユーケー」「エルユーケー」とよ
どみなく一連に称呼されると主張する。しかし,そもそも,アルファベットに,「a,e」,「c,d,g,t」な
ど,これを単独で発音する場合には,音声として相紛らわしい文字が存在す
ることは,これを用いる者にとって周知の事項である。本件商標や各引用商
標を口頭で伝達する際,商標を構成する個々の欧文字を誤りなく伝達するためには,文字ごとに区切って明瞭に発音するのが,取引者の通常の態様とい\nうべきである。したがって,ことさら、相互に聞き誤られるような称呼が
生ずることを前提として,両商標が相紛れるおそれがあるとする原告の上
記主張は,その前提において採用できない。」
◆平成19(行ケ)10230 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成20年02月21日 知的財産高等裁判所
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