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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

社会通念上の同一

平成30(行ケ)10059  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成31年1月29日  知的財産高等裁判所(2部)

 商標「QRコード」について、使用されていたとした審決が維持されました。争点は、商標的使用か、登録商標との同一か等です。
 (2)ア 前記(1)アで認定した78頁最下部部分の本件太字部分の記載と本件説 明部分の記載を併せて読むと,本件太字部分のうちの「QRコード(R)リーダー”Q”」 又は「”Q”」の部分が商品名を記載したものであり,本件説明部分が上記商品の機 能等を説明した記載であると認められる。\nそして,上記事実に,本件カタログは,被告の総合カタログであり,被告の商品 の紹介等がされていること,78頁最下部部分には,「ダウンロード(無料)はこち らから!」との記載とQRコード規格の2次元コードのラベルの記載があり,上記 商品「QRコード(R)リーダー”Q”」又は「”Q”」のダウンロードの案内がされている ことを併せ考慮すると,78頁最下部部分は,本件商品2に含まれる上記商品「Q Rコード(R)リーダー”Q”」又は「”Q”」の広告であると認められる。 なお,前記(1)アで認定した78頁最下部部分の記載からすると,上記商品「”Q”」 は,QRコード規格の2次元コードの読み取り等の機能を有するプログラムソ\フト ウェアであるから,本件商標の指定商品のうちの「電子応用機械器具及びその部品」 に含まれる。
イ 前記(1)アのとおり,使用商標3は,本件商品2の広告である78頁最下 部部分に記載されているところ,前記(1)イのとおり,78頁最下部部分が掲載され た本件カタログは,要証期間内である平成27年3月6日に本件展示会の会場で頒 布されている。
ウ 次に,使用商標3が、本件商品2についての自他商品等を識別するもの として使用されているかどうかを検討する。
(ア) 後掲証拠及び弁論の全趣旨によると,以下の事実が認められる。
a 株式会社技術評論社が発行する「最新パソコン用語事典2006−’\n07」及び「最新パソコン・IT用語事典2010−’11」には,「QRコード」\nの項目に,「株式会社デンソーウェーブが開発した,2次元コード(縦と横の両方\n向に意味を持たせてある符号)の一種。・・・1999年にJIS,2000年に ISOの国際規格として制定されている。」との記載がある(甲24,25)。
b 株式会社秀和システムが発行する「最新標準パソコン用語事典20\n13−2014年版」には,「QRコード」の項目に,「1994年に自動車メー カーでもあるデンソー社が開発した,バーコードに代わる2次元のマトリクス式コ\nードの1つ。・・・1999年にはJIS X0510に,2000年にはISO /IEC18004として標準化された。」との記載がある(甲26)。
c 被告は,「QRコードについては(株)デンソーウェーブの登録商標\nです。」との表示をしているほか,「QRコード」には「○R 」の表示を付している\n(甲81,甲92の1,甲98の1,乙1,27)。また,被告以外の会社の開設 した複数のウェブサイトにおいても「QR Code」又は「QRコード」につい て被告の登録商標である旨の表示がされている(乙23の1〜5)。さらに,原告の\n広告においても,「QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。」との\n記載がある(乙24〜26)。
d スマートフォン用のQRコードリーダー等のアプリのアイコンとして,図形と,その下に「QRコード」,「QR Code」又は「QR code」 と記載されたものが多数存在する(以下,同アイコンを「甲52アイコン」と総称 する。)ところ,甲52アイコンのうちの文字部分は,いずれも,何ら特徴のない白 抜きの文字である(甲52の2)。
e 平成18年8月22日付けの新聞には,「QRコード」は,カメラ付 き携帯電話の普及に伴い,爆発的に普及したものであり,現在は被告の登録商標で あるとの記事がある(甲70)。
(イ) 前記(ア)の事実によると,「QR Code」及び「QRコード」は,2 次元コードの規格の一種であると認識されることがあるものと認められるが,他方, 被告は,本件商標登録を有しており,前記(ア)のとおり,「QRコードについては(株) デンソーウェーブの登録商標です。」との表\示をしたり,「○R 」の表示を付して,\n商標登録を有していることを広く知らせており,また,前記(ア)のとおり,被告以外 の会社も,原告を含め,そのウェブサイトや広告において,「QR Code」又は 「QRコード」が被告の登録商標である旨の表示をしていることを考慮すると,「Q\nR Code」又は「QRコード」が常に2次元コードの規格の一種であるとのみ 認識されると認めることはできず,自他商品等の識別機能を発揮する態様で使用さ\nれることがあり得るというべきである。
(ウ) 使用商標3は,前記(1)ア(ア)のような態様で表示されているもので,\n他の記載とは独立して表示されている。そして,使用商標3は,「Q」の文字の右\n端の部分と「R」の文字の左端の部分が重なっており,僅かではあるが図形化され ており,赤色で表示されているものであって,単に,商品名であると認識される「Q\nRコードリーダー”Q”」又は「”Q”」の説明として記載されているものと認めるこ とはできず,上記商品についての識別標識として記載されているものと認められ, 本件カタログを見た需要者・取引者もそのように認識するものと認められる。 したがって,使用商標3は,本件商品2についての自他商品等の識別機能を有し\nていると認められる。 なお,甲52アイコンの各文字部分は,使用商標3とは表示態様が全く異なるか\nら,甲52アイコンの存在によって,使用商標3が自他商品等の識別機能を有しているという上記の判断が左右されるものではない。\n
(エ) 原告は,「QR コード」及び「QR Code」の文字からは,2 次元コードの規格の一種であるQRコード規格との認識しか生じ得ないことは,特 許庁が15例にも上る拒絶理由通知及び拒絶理由で一貫して認定していると主張す るが,いずれも本件とは異なる事例についての特許庁の判断であり,使用商標3が 自他商品等の識別機能を有しているとの上記の判断が左右されるものではない。\nまた,原告は,「『QR Code』はデンソーウェーブの登録商標です。」との表\ 示は,虚偽表示(商標法74条1号違反)であると主張するが,後記エのとおり,\n本件商標は,「QR Code」と社会通念上同一のものであるから,この表示が虚\n偽表示ということはできない。\n
(オ) 原告は,1)本件カタログに用いられている商標は「DENSO WAV E」又は「デンソーウェーブ」である,2)使用商標3は,本件カタログのうち,Q Rコード規格についての解説等をする頁で使用されており,被告の製品を紹介する場面で使用されていないから,一般の需要者・取引者からは,単に当該2次元コー ドが「QRコード規格に基づいた2次元コード」であると理解されるにすぎず,自 他商品等の識別標識として理解されることはない,3)使用商標3,「ダウンロード (無料)/はこちらから!」という記載及びQRコード規格の2次元コードの配置 からすると,使用商標3が本件商品2のアプリとの具体的関係において使用されて いると理解することは不可能である,4)本件商品2は本件カタログの78頁のQR コード規格等についての技術的な解説,紹介の中で隅に記載されているにすぎない ことからすると,本件カタログが本件商品2を紹介するものではなく,本件商品2 の広告に該当しないと主張する。 しかし,既に認定,判断したとおり,使用商標3は,78頁最下部部分において, 本件商品2についての広告として使用されているものであり,このことは,本件カ タログの商標として「DENSO WAVE」又は「デンソーウェーブ」が使用され\nていることや使用商標3が本件カタログの「基礎知識」の頁に記載されていること によって妨げられるものではなく,また,前記(1)ア(ア)で判示した78頁最下部部分 の記載内容からすると,使用商標3は,本件商品2との具体的な関係において使用 されていることも明らかであるから,原告の上記主張はいずれも理由がない。
エ 次に,使用商標3が本件商標と社会通念上同一といえるかどうかについ て検討する。
(ア) まず,本件商標は,別紙1のとおり,「QR コード」及び「QR C ode」を上下二段に配置した商標であり,上段の「コード」の部分は,下段の「C ode」の部分を片仮名にしたものと理解されるから,「キューアールコード」の称 呼が生じ,また,QRコード規格の2次元コードの観念が生じる。 一方,使用商標3からも,「キューアールコード」の称呼と,QRコード規格の2 次元コードの観念が生じる。 このように,本件商標と使用商標3とは,称呼及び観念において共通する。
(イ) 次に,本件商標と使用商標3の外観を比較すると,使用商標3は,本 件商標の下段の「QR Code」とは,同一の文字綴りであり,上段の「QR コード」とは,片仮名及びローマ字の文字表示を相互に変更するものであり,この点で共通性が認められるが,1)本件商標は,「QR コード」及び「QR Code」 の標準文字が上下二段に配置されているのに対し,使用商標3は,「QR Code」 のみから構成されている点,2)使用商標3は,「Q」の文字の右端の部分と「R」の 文字の左端の部分が重なっており,同重なり部分が,両文字の一部を兼ねているよ うに 図形化されている点,3)使用商標3は,赤色で記載されている点で異なって いる。 しかし,前記(ア)のとおり,「QR コード」は,「QR Code」の「Code」 の部分を片仮名にしたものと理解されるのであり,「QR コード」及び「QR C ode」の称呼及び観念は同一であることからすると,上記1)の相違点の存在が, 使用商標3が本件商標と社会通念上同一といえるか否かの判断に影響を与えるもの ではないというべきである。 また,「Q」の文字と「R」の文字が重なった部分は僅かであり,双方の文字を独 立した文字として認識できること,図形化の程度も僅かであることからすると,上 記2)の相違点の存在が,使用商標3が本件商標と社会通念上同一といえるか否かの 判断に影響を与えるものではないというべきである。 さらに,商標に色を付けても,通常,商標の同一性を失わせるような変更とはえ いないから,上記3)の相違点の存在が,使用商標3が本件商標と社会通念上同一といえるか否かの判断に影響を与えるものではないというべきである。
(ウ) 以上からすると,使用商標3は本件商標と社会通念上同一であると認 められる。
(エ) この点について,原告は,本件商標上段の「QR コード」から下段 の「QR Code」以外のものを想起させるし,下段の「QR Code」から 上段の「QR コード」以外のものを想起させると主張するが,本件商標は,「QR コード」と「QR Code」を上下段に配置した商標であって,前記ウのとお り,「QR コード」及び「QR Code」が2次元コードの規格としても知られ ていることを考慮すると,「QR コード」と「QR Code」からそれら以外の ものを想起することは考え難いというべきである。このことは,被告が「QR コ ード」と「QR Code」について商標登録出願をしていることによって左右さ れるものではない。 したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
オ 次に,本件商品2が商標法上の「商品」に当たるかどうかについて検討 する。
(ア) 後掲証拠によると,以下の事実が認められる。
a 被告の開設しているウェブサイトには,平成26年11月6日付け で,以下の記載がある(甲61)。
(a) 「デンソーウェーブとレピカが資本・業務提携/QRコード(R)によ るクラウドサービス『Q−revoTM』活用の第一弾として,/食品及び工業製品 の『トレーサビリティ』サービスの提供を開始」
(b) 「レピカは,子会社であるアララ株式会社を通じてスマートフォン 事業を手がけており,コンシューマー向けにQRコードをトリガーとしたAR(A RAPPLI(アラプリ)』を展開しています。両社はこれまでにより精度の高いス マートフォン向けQRコードリーダーアプリの開発において共同でプロジェクトを 行っており,今後更に両者のノウハウを活用してより付加価値の高い事業を展開し ていくため,デンソーウェーブがレピカに出資することにしました。」\n
(c) 「両社は,今後,『Q−revo』および『QR Code Re ader “Q”』を活用し,食品をはじめ,工業製品において,『トレーサビリテ ィ』をキーワードに両社のノウハウを活かしたサービスを展開していきます。」 b payment naviのウェブサイトには,平成26年11月 10日付けで,以下の記載がある(乙16)。
(a) 「デンソーウェーブとレピカがQRコードによるクラウドサービス提供」\n
(b) 「両社では,提携の第一弾として,SQRC,フレームQRなど, 進化したQRコードの生成・配信,読み取り,データ蓄積を行うクラウドサーバと 『QR Code Reader “Q”』を活用した次世代型サービス『Q−re vo』を開発。今後は,食品や工業製品において,『トレーサビリティ』をキーワー ドに両者のノウハウを活かしたサービスを展開していく方針だ。」
(c) 「なお,具体的な売り上げ目標については,トレーサビリティシス テムの検証を進め,サービスとして整った際,発表する方針だ。」\n
(イ) 商標法上の商品というためには,商取引の対象となり得ることが必要 であり,そのためには,必ずしも当該商品が有償で譲渡される必要はなく,当該商 品自体は無償で譲渡されるものであっても,当該商品の譲渡によって利益を得る仕 組みがあり,その仕組みの一環として,当該商品が無償で譲渡されるのであれば, 当該商品は交換価値を有し,商取引の対象となっていると認めることができるとい うべきである。 前記(1)ア(ア)で認定した事実からすると,本件商品2は,無償でダウンロードでき ることが認められるが,前記(ア)で認定したウェブサイトにおける記載からすると, 被告は,アララ社と共同で,本件商品2を活用したサービスを展開していく計画を 有していることが認められるところ,同サービスを利用するためには,本件商品2をスマートフォンにダウンロードしておく必要があるのであるから,本件商品2の 無償配布は,同サービスの展開に大きく寄与するものと考えられ,したがって,本 件商品2の無償配布は,本件商品2を利用したサービスを提供し,同サービスの提 供によって利益を得るというビジネスモデルの一環としてされたものと評価できる。 したがって,本件商品2には交換価値があるものと認められ,本件商品2は,商 取引の対象となり得るというべきである。 なお,このように,本件商品2を無償配布した上で,本件商品2を活用したサー ビスを提供することにより利益を得るというビジネスモデルにおいても,本件商品 2を無償配布する際の商取引の対象は,あくまでも本件商品2であり,使用商標3 は,本件商品2の広告に付されたものであり,上記サービスの商標として使用され たものではない。
カ 以上のとおり,被告は,本件商標と社会通念上同一であると認められる 使用商標3を付した,商標法上の「商品」に当たる本件商品2の広告を,要証期間 内に頒布したことが認められる。
キ 原告は,使用商標3は,197号商標の一部にすぎず,使用商標3のみ が独立して認識されることはない,被告は本件QRアイコンについて商標の登録を 受けているから,本件商品2の識別標識となり得るのは本件QRアイコンのみであ る,197号商標が登録された以降は,本件商品2について197号商標を表示す\nる行為は,専ら197号商標を使用するものであることから,本件パンフレットに 表示されている商標は,197号商標であって,使用商標3ではないなどと主張す\nる。 しかし,使用商標3は,前記(1)ア(ア)のとおり,本件カタログの78頁最下部部分 に記載されており,本件QRアイコンとは完全に独立していることは明らかである から,197号商標が登録されているかどうかや本件QRアイコンについて商標登 録がされているかどうかにかかわらず,独立の商標として認識できるものである。 また,同一の商品の商標として,複数の商標を付することも認められるから,1 97号商標が登録された以降は,その一部である使用商標3を商標として使用でき ないという理由はない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。
ク 原告は,本件商品2に係る無料アプリは,アララ社が提供するものであって,被告が提供するものではないから,被告が,本件カタログにアララ社が提供 する本件商品2を掲載すると共に使用商標3を付して頒布したとしても,商標法5 0条1項の「使用」に該当することはないと主張する。 しかし,本件カタログにおける広告は,被告が,前記オで認定したビジネスモデ ルの一環として行っているものであって,本件商品2はアララ社が提供するもので あったとしても,前記認定の本件商標の「使用」の事実が左右されることはない。

◆判決本文

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平成30(行ケ)10103  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成30年12月20日  知的財産高等裁判所(3部)

 BlogMagaとブロマガの二段併記の登録商標について、カタカナ表記のみを使用証明として提出しましたが、登録商標と同一ではないとして、特許庁にて取り消されました。知財高裁も同様の判断をしました。FC2が商標権者、ドワンゴが取消審判請求人です。二段併記でもそれしか読めない場合は、一方の使用でも登録商標の使用と認めてもらえますが、BlogMaga=ブロマガとしか読めないとまではいえないとの判断です。
 本件商標は,前記第2の1(1)のとおり,ゴシック体風の「ブロマガ」 の片仮名とセンチュリー体風の「BlogMaga」の欧文字を上下2段 に配置した商標であり,上段と下段の間は文字の高さの半分程度の間隔が あり,上段と下段のフォントの大きさは概ね同じで,上段より下段の方が やや横幅が大きく構成されている。上段の「ブロマガ」部分からは,「ブロマガ」という称呼が生じる。また,下段の「BlogMaga」部分は,「Maga」が大文字の「M」で始まること,「dog」,「frog」のような「og」の語尾を持つ\n一般的な英語で「g」の発音を省略することはないこと,「Blog」は ウェブログの省略語として浸透している「ブログ」を想起させることから, 全体として「ブログマガ」という称呼が生じるものと認められる。そうす ると,本件商標からは,「ブロマガブログマガ」という称呼が生じるとい える。 また,「ブロマガ」及び「BlogMaga」はいずれも造語であり, 特段の観念を生じるとは認め難く,本件商標からは特段の観念を生じない。
イ 他方,本件使用商標は「ブロマガ」の文字のみからなるものであるから, 本件商標とは使用する文字の一部が共通するものの,外観,観念及び称呼 のいずれについても同一とはいえない。
ウ 以上に照らせば,本件使用商標について,本件商標の「書体のみに変更 を加えた同一の文字からなる商標,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の 表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,外\n観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標(本件商標) と社会通念上同一と認められる商標」ということはできない。 エ また,原告は,原告のウェブサイトのURL中の「blomaga」の 文字の使用について,本件商標と「社会通念上同一の商標」の「使用」に 当たると主張するが,仮にURLにおける「blomaga」の使用が商 標法50条1項所定の「商標」の「使用」に当たるとしても,「blom aga」は本件商標と外観,観念及び称呼のいずれにおいても同一とはい えないことは本件使用商標と同様であるから,本件商標と「blomag a」の文字からなる「商標」が「社会通念上同一」であるとは認められな い。
(2) 原告の主張について
ア 原告は,欧文字の称呼については,特定の発音に固執せず,ある程度幅 のある発音を念頭に,日本における一般的な認識や連想等を含めて,総合 的に判断すべきであるとして,「HongKong」,「Ping-Pon g」,「Sign」,「Foreign」のように「g」を発音しない例 がしばしば存在する一方,「KING KONG」では「G」を発音する という風に日本で欧文字を読む際に「g」を発音する場合と発音しない場 合があること,2語からなる外来語や固有名詞等の略語の生成において各 語の冒頭の二拍ずつ取るのが基本であることから,本件商標の下段の「B logMaga」部分は「ブロマガ」の称呼を生じると主張する。 しかし,原告が指摘する「g」を発音しない例は「ng」,「gn」と いう語尾を有するから本件商標の欧文字部分には妥当しないし,造語の欧 文字である「BlogMaga」から原告主張の略語が生じるとも認めら れない。 さらに,原告は,社会一般では「BlogMaga」の表記を「ブロマ\nガ」と記載していることが多いと主張するが,原告がその立証のために提 出した証拠(甲36〜38)から,社会一般において「BlogMaga」 を「ブロマガ」と表記していることは認められない。また,上記(1)アのと おりの本件商標の構成からは「ブロマガ」が「BlogMaga」の表\音 であるとは認め難い。
イ 原告は,「BlogMaga」は,「Weblog」の略語である「B log」と雑誌を意味する「Magazine」の略語である「Maga」 が結合された造語であり,いろいろなブログを配信するサービスという観 念が生じ,「ブログ」と「マガジン」の略語が結合した「ブロマガ」から も,いろいろなブログを配信するサービスという観念が生じるから,「B logMaga」と「ブロマガ」から生じる観念は同一であると主張する。 しかし,本件商標の「ブロマガ」は4文字の造語で,同種同大のフォン トが均等の間隔で配置されていることからすれば,「ブロ」の部分を分離 して観念を想起し得るかは疑問であり,「ブロマガ」からブログとマガジ ンの略語の結合を想起するとはいえない。したがって,「BlogMag a」と「ブロマガ」がブログとマガジンの略語が結合したものとして理解 され,同一の観念を生じさせるとは認められない。

◆判決本文
関連事件です。同一商標権についての別の指定役務についての取消審判の取消訴訟です。

◆平成30(行ケ)10102

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