商標「KIRIN」について、使用していたとの審判が維持されました。原告は、小笠原製粉株式会社で、ウェブサイトによると、「キリンラーメン」という商品を販売していますね。
原告は,再使用許諾契約書は,1)提出された写しの契印の印影が各ペー
ジで1つずつであり,しかも半分にすぎず,押印原本も提示されていない,2)再使
用許諾契約書が原使用許諾契約書に基づくものであれば,原使用許諾契約書が先に
作成されるはずだが,契約日は再使用許諾契約書が原使用許諾契約書に先行してお
り,契約期間も,原使用許諾契約書が1年間であるのに対し,再使用許諾契約書は
半年間であることとは不自然である,3)原使用許諾契約書で被告がキリンホールデ
ィングスに対して再使用許諾を認めた商標と,再使用許諾契約書でキリンホールデ
ィングスがキリン協和フーズに使用許諾した商標とが一致せず不自然である,4)原
使用許諾契約書における使用許諾対象商標「KIRIN」に「麒麟」「キリン」が含
まれるとすることは,VIマニュアルの「KIRIN/キリン/麒麟」の使用区分
についての記載と整合しないし,再使用許諾契約書において「KIRIN」等を態
様の一部に含む商標及び「KIRIN」等と類似する商標について使用許諾するこ
とは,VIマニュアルの「KIRIN」を変形したものの使用禁止に反する,と主
張する。
しかし,1)契約書の契印を,契約当事者全員が必ず行うという商習慣を認定する
に足る証拠はなく,審判手続において提出する証拠の写しを作成する際,契印のみ
が存在する契約書用紙の裏のコピーを省略することも,不合理ではない。
また,2)原使用許諾契約書の契約締結日について,被告は,平成25年12月1
日時点における使用許諾対象商標,再使用許諾先及び対価の確認,確定手続を当事
者間で完了した段階で契約締結したため,締結日が同年12月20日となったと主
張しており,そのような主張内容は不合理ではないことに加え,キリン協和フーズ
による本件商標を含む被告所有商標の使用が,三菱商事への株式譲渡前から継続さ
れていたのであって,新たに被告らの有する商標の使用を開始させるものではない
ことからすれば,契約締結日が原使用許諾契約書と再使用許諾契約書とで異なるこ
とは不自然ではない。原使用許諾契約書は,再使用許諾契約書の根拠となるもので
あり,前者が後者より契約期間が長いことは,不合理ではない。
さらに,3)原使用許諾契約書と再使用許諾契約書との間で,許諾対象商標に文言
上の齟齬はあるが,許諾対象商標に「麒麟」「キリン」及び「きりん」が含まれる再
使用許諾契約書が作成された後に原使用許諾契約書が作成された上で,その許諾対
象商標が文言上「KIRIN」等となっていること,被告,キリンホールディング
ス及びキリン協和フーズとの間で,許諾対象商標についての争いがあったとは認め
られないことからすれば,原使用許諾契約書の「KIRIN」には,「麒麟」「キリ
ン」及び「きりん」が含まれるものと被告及びキリンホールディングスとが合意し
ていたものと解することができる(甲54参照)。
◆判決本文
◆関連事件です。
平成28(行ケ)10094
◆平成28(行ケ)10095
◆平成28(行ケ)10096
登録商標について不使用かどうかが争われました。知財高裁は使用していたとした審決を維持しました。認められたのは、パンフレット配布、ウェブサイトの使用、でんぴょううしていたなどの使用事実の理由も示されています。ただ、下記理由は、個人的には納得しがたいです。これだけコンピュータ化された時代に、印刷済み伝票に商品名を、ましてや(R)まで手書き追記するものなのでしょうか?
前記認定事実(7)のとおり,被告は,平成26年4月1日,東芝ホームアプ
ライアンスに対し,品名を「ASY−PWB−BRUSH」とする商品を100個
納品しているところ,東芝ホームアプライアンスにおいては,品名を「ASY−P
WB−BRUSH」とする商品は,制御基盤に関する商品を指すのであるから(甲
15),被告は,東芝ホームアプライアンスに,制御基盤を100個納品したもの
と認められる。
イ 次に,前記認定事実(7)のとおり,被告と東芝ホームアプライアンスとの間
で授受された伝票には,品名略号欄に「ASY−PWB−BRUSH」との印字だ
けではなく,「クリーンマスター(R)」との手書文字も記載されている。
また,被告と東芝ホームアプライアンスとの間で授受された伝票のうち,「検査
表D(検査控)」と題する伝票,「受入/検収票C(受入控)」と題する伝票は,\n被告が,東芝ホームアプライアンスに,制御基盤の納品時に交付したものと認めら
れる(甲16,乙10,16)。そして,これらの伝票は,東芝ホームアプライア
ンスが管理していたものであるから,被告が,原告との紛争に備えるために,わざ
わざ東芝ホームアプライアンスから,これらの伝票の返還を受け,「クリーンマス
ター(R)」と手書文字を記載したとは考えにくい。
したがって,被告は,東芝アプライアンスに制御基盤を納品する際,その伝票に,
当該制御基盤に関して「クリーンマスター(R)」との標章を付したものと認められる。
ウ よって,被告は,平成26年4月1日,少なくとも1社に対し,制御基盤に
関する取引書類に,「クリーンマスター(R)」なる標章を付して配布したものである。
◆判決本文