2012.12.13
平成24(行ケ)10277 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年12月05日 知的財産高等裁判所
指定商品の使用に該当するのかが争われました。裁判所は指定商品の使用ではないとした審決を取り消しました。
本件商品の商品名は,「ロゴチャーム(LOGO Charm)」であり,その構成は,フック,リング,チェーン及びチェーンの先端に付いたチャームで構\成されており,リングにフック及びチェーンがつながれているが,フック及びチェーンは,それぞれリングから容易に取り外すことが可能なものである(甲9〜15,18〜20)。イ 本件商品は,原告のホームページにおいては,「キラキラ☆ラインストーンが輝くチャーム」,「ハート型の赤いハートと鍵がポイントのアクセサリー」などと紹介されている(甲43)。ウ 本件商品の商品名は,「ロゴチャーム」であるところ,「ロゴ」とは,商標等のデザインされた文字又は図形を意味している。また,「チャーム」とは,「お守り」又は「魅力」を意味し,時計やブレスレット,ネックレス等の装飾品の鎖部分などに付ける小さな飾りをいい,近年では,多種多様なフックの普及に伴い,携帯電話やバッグのほか,直接洋服に付ける場合もある(甲30)。なお,チャーム及び鎖用宝飾品(Charms)は,いずれも,商標法施行令別表第14類に属する(甲31,32)。エ 山陽商事株式会社の取引先は,本件商品が,バッグ,携帯電話,キーホルダー等の飾り物としての使用を含め,客の好みに応じていろいろな用途に使用されるものと認識している(甲35,37)。オ 本件商品と同種の商品は,フックの部分をバッグの金具等に飾りとして付けることができるほか(バッグチャーム),ズボン等のベルトループに通し又はベルトの穴に付けたり(ベルトチャーム),キーホルダーに付けたり(キーチャーム),ブラウスに付けたりして使用することができ,また,それ自体をブレスレットやネックレスとして使用することもでき,ファッション雑誌等において上記のような使用状況が掲載されている。そして,このようなものも「チャーム」とも呼ばれている(甲91〜99,105,106,116,123,124,126,127。なお,甲62ないし90は,平成24年8月又は9月に印刷したウェブページであるが,本件審判請求の登録の日である平成23年10月11日の前3年間においても,同様であったものと推認することができる。)。カ 本件商標を付した山陽商事株式会社の平成22年の商品カタログには,「SAVOY」ブランドのバッグが約860点掲載されているが,バッグ自体にチャームを取り付けることができるものは,そのうち約94点にすぎない(甲135,136)。 本件商品の「身飾品」該当性前記認定の本件商品の名称や構成,販売時の広告態様,本件商品及びこれと同種の商品についての使用状況やこれから推認される取引者及び需要者の認識等に照らせば,本件商品は,時計やブレスレット,ネックレス等の装飾品の鎖部分などに付ける飾りであるが,バッグに取り付けて使用するのみならず,これを洋服に付けたり,それ自体をブレスレットやネックレスとして,使用することもできるものであり,「アクセサリー」として紹介されているものということができる。このように,本件商品は,洋服に付けたり,それ自体をブレスレットやネックレスとしても使用することができるものであるから,前記認定の,おしゃれを目的として使用される装飾品である「身飾品」にも該当するということができる。よって,本件商品は,「バッグの装飾品」であって,「チャーム(鎖用宝飾品)」ということはできず,対象指定商品に当たらないとした本件審決の認定判断には,誤りがある。
3 被告の主張について
被告は,本件商品は,キーホルダーとして使用され得るが,併せて,「身飾品」としておしゃれ小物の用途に使用される可能性があるとはいえないと主張する。しかしながら,1つの商品が複数の機能\・用途を有することもあり得るのであるから,ある商品が常にいずれか1つの商品に属すべきものであって,他の用途に使用されることがあり得ないとするのは相当でない。よって,キーホルダーとして使用される商品が,異なる用途に使用される可能性がないということはできない。 被告は,取引者である原告の本件商品の名称についての認識は揺れ動いており,本訴において,本件商品の用途を追加する主張を行ったとして問題視する。しかし,本件においては,通常使用権者が本件審判請求の登録前3年間に本件商標を包装に付して販売した本件商品が,客観的にみて対象指定商品に係る「身飾品」に該当するか否かが問題になるのであり,原告の訴訟における主張や認識のみが問題になるものではない。 被告は,「チャーム」とは,ネックレスとして下げる飾りの部分をいい,「飾り小物」を意味する語で,社会通念上使用される用法であると主張する。しかしながら,「チャーム」は,鎖の先に付いたような飾り小物として使用されるのみならず,ネックレスやブレスレットとしての用途も有するものであり,そのような用途が広くファッション雑誌等に掲載されていることは,前記のとおりである。 被告は,原告が商品を購入した人の「工夫次第で広がる使用法」をも自己の商品の用途に取り込もうとするものであると主張する。しかしながら,現にファッション雑誌等に様々な使用方法が紹介されていることに照らすと,おしゃれに敏感な需要者が,それと同様の使用を試みるであろうことが推認され,そのような用途のものとして商品を認定することに,何ら問題はない。
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2012.11.21
平成24(行ケ)10088 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年11月19日 知的財産高等裁判所
「愛犬手づくりごはん」教室の開催は,「愛玩動物の美容及び看護の教授」,及び「愛玩動物の美容及び看護に関するセミナーの企画・運営又は開催」に含まれるとして、審決が取り消されました。
(1) 「美容」とは,「適度の睡眠・食事・便通や洗顔・入浴・運動により常に健康な素肌を保つことや,女性が髪型を整えたり,肌の若さを保つために手入れをしたりすること」(新明解国語辞典第5版,甲12),「美しい容貌。容貌・容姿・髪型を美しくすること」(広辞苑第4版,乙14),「顔や体つきを美しくすること」(大辞林,乙15),「容姿を美しく整えること。美しい顔かたち」(旺文社国語辞典第10版,乙16)をいう。また,美容専門学校であるハリウッドビューティ専門学校が,美容技術(ヘア,メイクアップ,ネイルケア,エステティック等)とともに美容健康食を含む美容理論を美容科の必修科目としていること(甲36)や,インターネット上には食事と美容を結びつけた多数のウェブサイトが存在すること(甲14)に照らすと,美容を獲得し維持する手段として食事が挙げられることは広く社会一般に受け入れられていると認められる。上記辞書に定義される「美容」の手段にも制限はなく,食事が挙げられることもある。そして,人間と犬などの愛玩動物との間で「美容」の意義を異なるものと考え,愛玩動物の「美容」をグルーミングやトリミングといった被毛の手入れに限定し,食事を介した美容の概念を排除しなければならない理由はない。また,特許庁商標課編「商品及び役務の区分解説〔国際分類第10版対応〕」(乙33)には,第44類の「人又は動物に関する衛生及び美容」のうち人間に対する「美容」の解説として,「パーマネントウェーブ,結髪,化粧等の方法により,容姿を美しくするサービスです。」旨記載され,「動物の美容」の解説として「このサービスには,トリミングやグルーミングといわれる動物に対して行われる美容に関するサービスが含まれます。」と記載されているが,これらの記載から愛玩動物の「美容」をグルーミングやトリミングといった被毛の手入れに限定しなければならないということもできない。したがって,本件商標の指定役務である「愛玩動物の美容の教授」,「愛玩動物の美容に関するセミナーの企画・運営又は開催」から,愛玩動物の被毛の手入れのみならず,食事(食餌)を介して愛玩動物の美容の獲得・維持する方法の教授,セミナーの開催等が排除されるものではなく,これらも含まれるというべきである。かかる見地から見るに,前記1の認定事実によれば,原告が開催している「愛犬手づくりごはん」教室は,犬の飼い主に対し,飼い犬のための健康で役立つ食餌の作り方を教授するものであるところ,「手作りご飯にしてから毛艶が良くなった」との声があることを教室の紹介の一環として挙げている。毛艶がよくなることは犬の容貌が良くなることであるから,この点において食餌を通した飼い犬の美容の獲得を教室の目的及び効果としているということができる。また,「愛犬手づくりごはん」教室では肥満対策をテーマとしたものが開催されているところ,肥満は,愛玩動物の健康を害するのみならず,美容の点からも好ましくないと一般に考えられていることからすれば,肥満対策をテーマとした犬の食餌の作り方の教授も,食餌を介した飼い犬の美容の獲得・維持をその内容の一つとしているということができる。(2) そうすると,原告が開催する「愛犬手づくりごはん」教室は,「愛玩動物の美容の教授」,「愛玩動物の美容に関するセミナーの企画・運営又は開催」に該当するというべきである。
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2012.09.14
平成24(行ケ)10102 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年09月12日 知的財産高等裁判所
経緯は複雑です。元々は、本件商標権の指定商品は「電球類及び照明器具」でしたが、「LEDランプ」について不使用取消が請求されて、その部分についての登録が取り消されました。この事件は、残りの商品についての不使用取消事件です。商標権者は、使用証明を出しましたが、裁判所は、本件商標を使用していたのは、取り消された「LEDランプ」であるとして、指定商品について使用があるとした審決を取り消しました。
裁判所は、「「LEDランプ」との用語は,辞書にも掲載されておらず,「電球類」と「照明器具」のいずれに含まれるのか,双方に含まれるのか,被告にも特許庁にも誤解を招いたことは否めないものの,それが多義的であるからといって直ちに最狭義ないし特定の意義(例えば,「LED電球類」)に解釈されるべき理由にはならず,本件商品が「LEDランプ」に含まれることに変わりはない。」と述べました。
・・・「LEDランプ」との用語は,本件審決が説示するようにLED電球類を指称するものに限定して使用されているものとは認め難く,むしろ,取引者により,現時点において,光源としてLEDを使用した多様な商品又は部材を指称するものとして広く使用されており,それ以上に対象に応じて厳密に使い分けられているものではないばかりか,少なくとも,前記の複数の使用例にみられるように,防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた,人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって,LEDを光源とするものも指称すると認識されているものと認められる。そして,発光ダイオード(LED)を利用する歴史が浅いことを併せ考えると,このことは,本件審判の請求の登録(平成22年6月30日)前3年間においても同じであったものと推認される。なお,被告も,「LEDランプ」という用語が現時点において多義的であることを自認しているところ,「LEDランプ」との用語の本件審判の請求の登録(平成22年6月30日)前3年間における意義は,上記のとおりと認められるので,これに反する被告のその余の主張は,採用することができない。
(2) 使用の有無について登録商標の指定商品又は指定役務は,第三者との関係で当該登録商標の権利の範囲を確定するものであるから,その用語については取引者による通常の使用法に基づいて客観的に解釈されるべきものである。そして,前記1のとおり,商標権者である被告及び通常使用権者であるアイリスプラザは,平成21年8月4日頃から本件審判の請求の登録の日までの間,本件商標と同一又は社会通念上同一のものというべき「エコルクス」又は「ECOLUX」との標章を,防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた,人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって,LEDを光源とするものである本件商品の包装に付して,日本国内で第三者に対して譲渡したものである。しかるところ,前記(1)のとおり,「LEDランプ」との用語は,取引者により,本件審判の請求の登録(平成22年6月30日)前3年間において,光源としてLEDを使用した多様な商品又は部材を指称するものとして広く使用されており,それ以上に対象に応じて厳密に使い分けられているものではないばかりか,少なくとも,防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた,人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって,LEDを光源とするものも指称すると認識されていたものと認められる。したがって,本件商品は,上記のとおり,第2次審決の確定により前件審判の請求の登録の日(平成21年4月30日)に本件商標の指定商品から消滅したものとみなされる「LEDランプ」に該当するから,同日から本件審判の請求の登録の日(平成22年6月30日)までの間において,本件商標の指定商品に該当しない。そして,被告は,上記期間内における本件商品に対する本件商標の使用のほかに,本件商標又はこれと社会通念上同一の標章を本件商標の指定商品について使用したとの事実を何ら主張立証していない。以上によれば,被告は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標の使用をしていることを証明していないというほかない。
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◆こちらは関連事件です。平成24(行ケ)10103
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2012.08.13
平成24(行ケ)10080 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年07月25日 知的財産高等裁判所
登録商標を使用してないと判断とした審決が取り消されました。
上記商品カタログ(甲3)は,海外旅行の出発前にあらかじめおみやげを注文することの予約をしておくと,指定した日時,場所に当該おみやげが配送されるという販売システムにおいて使用される商品カタログであり,平成21年4月頃から平成22年4月頃までの間に,需要者に配布されるなどしたものである(甲3,弁論の全趣旨)。したがって,本件使用商標は,本件審判請求の登録前3年以内に,日本国内において,原告の商品(メープルシロップ)に関する広告に付されていたものということができる。
イ 以上によれば,原告は,商品カタログ(甲3)において,指定商品であるメープルシロップに本件使用商標を表示して頒布したものであり,その行為は,商標法2条3項8号の「商品・・・に関する広告・・・に標章を付して・・・頒布・・・する行為」に当たり,商標の使用に該当するものといわなければならない。
ウ なお,原告は,甲4をもって,本件商標を使用した旨主張するが,カタログの原本が提出されたわけでもなく,その一部分によって,これが展示されたり頒布されたりしたことを認めるに足りない。また,甲5の1ないし5の写真は,撮影年月日及び撮影場所すら明らかではなく,本件商標の使用を証する証拠足り得ない。
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2012.06. 8
平成24(行ケ)10011等 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年06月06日 知的財産高等裁判所
不使用であるとした審決が取り消されました。
ここで,ネオンブラケットが用いられるパイロットランプは,これが取り付けられた機器の状態(例えばスイッチのオン,オフ)を示す表示灯としての機能\を果たすものであるが,甲第25,第44号証によれば,ネオンランプ(ネオンブラケット)をその定電圧特性を活かして回路保護のために用いることがあることが認められるから,上記カタログにおける使用商標1,2の使用をもって,「電子応用機械器具及び部品」についての使用と評価することが可能である。この点,被告は,ネオンランプの主たる用途は照明にあるとか,原告の「ネオンランプ」が電球の類として用いられることは明らかであると主張するが,種々の発光色のネオンランプを用いて照明装置を構\成することがあるとしても,原告の「ネオンブラケット」を照明装置ないしその部品にすぎないとしてよいと断定することはできないし,カタログ(甲8の3)に電球交換型ネオンブラケットのための「ネオン交換電球」が掲載されているとしても(21頁),ネオンランプを交換できるようにするために電球型のネオンランプが採用されているにすぎず,その名称ゆえに一般の照明用の「電球」と単純に同一視してよいかは疑問である(上記カタログには,ネオンランプを交換できないタイプのネオンブラケットも掲載されている。)。そうすると,被告の上記主張を採用することはできない。2 甲第10ないし第19号証によれば,原告は,平成20年7月ないし平成23年1月ころ,顧客に対し商品「センサー用LED基板Assy」,「拡散照明装置」,「透過照明装置」,「2面バックライト照明」を納入するに当たり,取引書類である納品書や納入仕様書に使用商標1を使用したことが認められる。上記「センサー用LED基板Assy」は基板上に複数のLED(発光ダイオード)を並べて実装したもの(甲10),「拡散照明装置」,「透過照明装置」は基板上にLEDのほかに,ツェナーダイオード,トランジスタ,コンデンサー等を実装して装置を構成したもの(甲11,12,29,30,51),「2面バックライト照明」も基板上にLEDのほかに,定電圧ダイオード等を実装し,偏光板と組み合わせるなどして装置を構\成するもの(甲13,14)であるが,これらは顧客が画像解析装置を製造するために,注文を受けた原告においてその構成部品(装置)を設計,製造したものである(弁論の全趣旨)。ここで,上記「センサー用LED基板Assy」等が画像解析を行うために,対象となる物に光を照射する機能\を果たすものであるとしても,日常生活において光を照らして空間を明るくする目的とは程遠いことは明らかである。そして,上記「センサー用LED基板Assy」等は,電子部品であるLEDやダイオード等を使用して構成されており,その機能\に照らせば,電子の作用を応用し,その電子の作用が当該機械器具にとっての構成要素となっているということができる。そうすると,原告は,「電子応用機械器具及びその部品」につき,取引書類である納品書や納入仕様書に使用商標1を使用したということができる。\n
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2012.06. 7
平成23(行ケ)10348 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年05月31日 知的財産高等裁判所
指定商品である「印刷物」における使用ではないとして、商標取消審決が取り消されました。
上記(1)イ(ア) 認定の事実によれば,甲17の印刷物には「THE BRIDGE」,「The Bridge(R) 」,「The Bridge」との記載があり,「The Bridge」については原告の商標であることが明確に注記されているから,甲17における「TheBridge」は,原告の出所を識別するものとして使用されていることが認められる。「The Bridge」と本件商標とは,文字の外観(大文字と小文字において若干の相違がある。),称呼及び観念において共通し,両者は,社会通念上同一の商標である。また,上記(1)イ(イ) 認定の事実によれば,甲17の印刷物は,サイエントロジー哲学を学習する者,又は,その学習を始めようとする者に対し,「完全なる自由」という意識の特性に至るチャートを示して,人間の回復と精神的な人の能力とパワーの究極的な拡張への道筋を説明し,その過程で受けることのできるサービスやトレーニングを紹介し,もしくは,自己の学習の進行状況を確認させることを目的として作成されたものと解される。さらに,甲17は,サイエントロジー東京の生徒向けの資料として輸入し,保有され,その部数も限られていることに照らすならば,同印刷物は,サイエントロジー哲学を学習する者,又は,その学習を始めようとする者に対して,供与されるものであって,不特定多数の者に対する販売することを目的としたものではないと解される。そうすると,甲17の印刷物は,サイエントロジー哲学の教授という役務の提供を受ける者の利用に供する物であるというべきであるから,これに本件商標と社会通念上同一の商標を付する行為は,本件商標の指定役務である「哲学の教授その他の技芸・スポーツ又は知識の教授」中,「哲学の教授」について本件商標を使用したものと評価すべきである(商標法2条3項3号)。したがって,甲17の印刷物は,商標法上の商品に該当し,これに本件商標が表\示されているとしても,請求に係る指定役務についての本件商標の使用とはいえないとした審決の認定,判断は,誤りである。
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2012.02.27
平成23(行ケ)10243 審決取消請求事件(商標) 商標権 行政訴訟 平成24年02月21日 知的財産高等裁判所
不使用であるとして商標登録を取り消した審決について、裁判所は使用されていたと認定しました。
被告は,本件での通常使用権許諾証書は,いずれもねつ造されたもので,信用できない旨主張する。確かに,本訴で提出された通常使用権許諾証書(甲34,36,38)は,いずれも定型的な文書で,体裁,形式もほぼ同じであって,許諾を受ける者の署名押印もないが,他方で,これらの使用許諾は,いずれも無償で行われており,責任を伴うものでもないため,使用許諾を受ける者にとって何ら不利益にならないものであるから,使用許諾を受ける者が,必ずしも慎重な手続を採る必要はないといえる。
・・・
イ 被告は,本訴で提出された写真(甲39ないし42添付のもの等)は,いずれも基準時(取消審判請求の登録時)以降に作成されたものであり,証拠価値がない旨主張する。被告の主張どおり,これらの写真(甲39〜42添付のもの)自体は,基準時以降に撮影されたものであるが,本件では,B及びAの供述等により,フルーツキングミズノ(梅田店)において,上記基準時以前も,上記写真に写されたものと同じ商品タグが用いられていたと認められる。また,そもそもこれらの写真は,フルーツキングミズノ(梅田店)において商品タグを使用していた態様を立証するために,事後的に撮影されたものであって,上記基準時以前に撮影されたものではないから,その具体的状況において,例えば,たまたま「さくらももいちご」商品しか撮影されていないとか,「ももいちご」の箱が空箱であるといった状況は重要ではなく,この点に関する被告の主張は意味がない。また,被告は,フルーツキングミズノ(梅田店)において,フルーツキングミズノの「M」をかたどったマークではなく,「徳島」の「徳」をかたどった,いわゆる「丸徳」のマークが用いられている点も不自然であると主張するが,どのような方法で販売するか,どのような商品タグ等を用いるかは,各販売者の判断であって,フルーツキングミズノ(梅田店)が,自らの店舗における商品タグのデザインを統一せず「丸徳」のマークを用いたとしても,必ずしも不合理とはいえない。
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2012.01. 5
平成21(行ヒ)217 審決取消請求事件 平成23年12月20日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄自判 知的財産高等裁判所
平成20年(行ケ)第10414号平成21年3月24日知財高裁にて、不使用であるとした審決について、これを取り消す旨の判決がなされましたが、最高裁はこれを破棄しました。
政令別表第35類は,その名称を「広告,事業の管理又は運営及び事務処理」とするものであるところ,上記区分に属するものとされた省令別表\第35類に定められた役務の内容や性質に加え,本件商標登録の出願時に用いられていた国際分類(第7版)を構成する類別表\注釈が,第35類に属する役務について,「商業に従事する企業の運営若しくは管理に関する援助又は商業若しくは工業に従事する企業の事業若しくは商業機能の管理に関する援助を主たる目的とするもの」を含むとしていること,「商品の販売に関する情報の提供」は,省令別表\第35類中の同区分に属する役務を1から11までに分類して定めているうちの3において,「経営の診断及び指導」,「市場調査」及び「ホテルの事業の管理」と並べて定められ,類似商品・役務審査基準においても,これらと同一の類似群に属するとされていることからすれば,「商品の販売に関する情報の提供」は,「経営の診断及び指導」,「市場調査」及び「ホテルの事業の管理」と同様に,商業等に従事する企業の管理,運営等を援助する性質を有する役務であるといえる。このことに,「商品の販売に関する情報の提供」という文言を併せて考慮すれば,省令別表第35類3に定める「商品の販売に関する情報の提供」とは,商業等に従事する企業に対して,その管理,運営等を援助するための情報を提供する役務であると解するのが相当である。そうすると,商業等に従事する企業に対し,商品の販売実績に関する情報,商品販売に係る統計分析に関する情報などを提供することがこれに該当すると解されるのであって,商品の最終需要者である消費者に対し商品を紹介することなどは,「商品の販売に関する情報の提供」には当たらないというべきである。
(3) なお,本件商標登録の出願時に用いられていた前記国際分類を構成する類別表\注釈では,第35類に属する役務について,平成9年1月1日に発効した改訂によって,「他人の便宜のために各種商品を揃え(運搬を除く。),顧客がこれらの商品を見,かつ,購入するための便宜を図ること」が同類に属する役務に含まれる旨の記載が追加されており,その後,平成18年法律第55号により,商標の使用対象となる役務として「小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が追加されて(商標法2条2項),これに伴い,商標法施行令別表第35類に小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供の役務が追加され,商標法施行規則別表\第35類にも,接客,カタログを通じた商品選択の便宜を図ることなど商品の最終需要者である消費者に対して便益を提供する役務が商標の使用対象となる役務として認められるようになったなどの経緯がある。しかしながら,本件商標登録の出願時には,上記の法令の改正はいまだ行われていなかったのであって,上記の経緯を考慮しても,本件商標登録の出願時に,消費者に対して便益を提供する役務が,上記の法令の改正等がされる以前から定められている省令別表第35類3の「商品の販売に関する情報の提供」に含まれていたものと解する余地はないというべきである。
(4) そこで,本件各行為について検討すると,前記事実関係によれば,本件各行為は,被上告人のウェブサイトにおいて,被上告人が開発したゲームソフトを紹介するのに併せて,他社の販売する本件各商品を消費者に対して紹介するものにすぎず,商業等に従事する企業に対して,その管理,運営等を援助するための情報を提供するものとはいえない。したがって,本件各行為により,被上告人が本件指定役務についての本件商標の使用をしていたということはできない。\n
◆判決本文
◆原審(平成20年(行ケ)第10414号)は下記です。
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