2014.11. 7
原告による使用は、「出所識別標識としての機能を有しないから,「商標の使用」に該当しない。」として、不使用であるとした審決が維持されました。
被告は,平成21年3月16日件契約を同年6月30日をもって終了させるとして,本件契約を解除する旨の意思表示を行い,同意思表\示は,同年3月17日以後,原告に到達した。
われていないとして本件契約の解除の効力を争い,平成24年12月1日付けで,被告に対し,平成19年から平成23年までの日本における被告の各年当たりの販売に関するデータを提供した上で手数料を支払うよう要請するなどしながら,被告が本件契約の解除の効力が発生したと主張する平成21年6月30日以後も,少なくとも平成25年11月に至るまで,引き続き,本件見本帳や壁紙の現物見本等を顧客となり得る企業や事業者に提示し,被告の製造販売する商品である「壁紙」の販売促進,宣伝広告等の営業活動を継続した。(甲5〜12,乙3,4)
2 原告による本件商標の使用の有無
原告は,本件契約に基づき,本件使用商標を付した本件見本帳や壁紙現物見本等を携え,企業や事業所を訪問して商品「壁紙」の販売促進の営業活動を行っていることから,かかる原告の行為は,法2条3項1号,2号及び8号の使用行為に該当する旨主張する。
法50条2項によれば,法50条1項に基づいて商標登録を取り消すことについて審判の請求があった場合においては,その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求
に係る指定商品についての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り,商標権者は,その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないところ,本件においては,商標権者である原告による「商標の使用」があるかが問題となる。
法において,「商標」とは,標章(文字,図形若しくは記号,若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合)であって,業として商品を生産し加工し証明し又は譲渡する者がその商品について使用するものであり(法2条1項柱書き,1号),使用される自己の特定の商品を他の商品から識別する,すなわち,商標の付された商品の出所を表示するためのものである。そして,法は,この商標を保護することによって,商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り,もって産業の発展に寄与し,併せて需要者の利益を保護することを目的とする(法1条)ものであるから,業として商品を生産し証明し又は譲渡する者がその商品について使用するものでない限り(法2条1項1号),「商標の使用」(法2条3項)には該当しないと解するのが相当である。したがって,他人が業として生産し証明し又は譲渡する「商品」について商標を付したとしても,当該商標は,自己の商品を他の商品から識別する出所識別標識としての機能\を有しないから,「商標の使用」に該当するものではない。
しかるに,前記1の認定事実によれば,原告は,被告との間で締結した本件契約に基づき,あるいは被告から本件契約解除の意思表示を受けた後も,解除の効力を争い,本件契約が存続しているとの見解に立って,本件契約の趣旨に基づき,本件使用商標を付した本件見本帳を顧客に対して提示するなどして,被告が製造販売する商品である「壁紙」の販売促進,宣伝広告等の営業活動を行っており,商品である「壁紙」の販売・引渡しは,専ら被告及び顧客間において行われている。このように原告は,業として商品である「壁紙」を生産し加工し証明し又は譲渡する者ではなく,本件見本帳に付された本件使用商標も,被告の商品である「壁紙」を他の商品から識別する出所識別標識としての機能\
を有するにすぎず,原告の商品を他の商品から識別する出所識別標識としての機能を何ら有しないものである。\nそうすると,そもそも原告が本件使用商標の付された本件見本帳を顧客に対して提示する行為は,原告が業として生産し加工し証明し又は譲渡する「商品」に関する広告に本件商標を付して展示する行為ということはできないから,法2条3項8号の商標の使用があったということはできない。
また,要証期間内において,原告が業として生産し加工し証明し又は譲渡する「商品」(本件取消請求に係る指定商品「コンデンサーペーパー,石綿紙,バルカンファイバー」及び「壁紙」)について,「商品又は商品の包装に標章を付する行為」(法2条3項1号),「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為」(法2条3項2号)及び「商品…に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(法2条3項8号)があったことを認めるに足りる証拠はない。\n
◆判決本文
商標の譲渡先による使用が、通常使用権者による使用が争われました。珍しいことに商標の譲渡先が取り消し審判の請求人です。審決は不使用と認定しましたが裁判所はこれを取り消しました。
前記第2の3において認定したところに照らすと,本件商標権は,本件契約による譲渡の対象に含まれるものと認められる。もっとも,商標権の移転は登録しなければその効力を生じない(商標法35条,特許法98条1項1号)。そして,前記第2の3認定のとおり,被告は,本件商標権につき移転登録を経ていないので,上記認定のとおり本件商標権が本件契約による譲渡の対象となるとしても,被告が本件商標の商標権者であるということはできない。しかし,本件契約は,原告がその営業の全部を被告に譲渡することを内容とするもので,その一環として本件商標権の譲渡がなされるのであるから,被告が,譲渡を受けた営業を行うに当たり,本件商標権の移転登録前といえども本件商標を使用できることは当事者間の当然の前提であったものと解される。しかも,本件契約の文言上,本件商標権の移転登録前の被告による本件商標の使用を禁止する旨の明示的な定めはないこと,前記1において認定したところによれば,本件商標は実際には洗濯用洗剤に付されて使用されるものであることがうかがえるところ,このような商品は日々販売され得るものであることに照らすと,本件契約が,被告に対し,本件商標権の移転登録がなされるまでの間,本件商標を付した商品の販売の停止等まで求めることを内容とするとは解し難い。その上,前記1掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告は,実際に,本件契約締結後,本件商標権の移転登録を経ることなく本件商標ないしは本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用してきたと認められることも併せ考えると,本件契約は,本件商標権の移転登録がなされるまでの間,原告が,被告に対し,少なくとも本件商標権についての通常使用権を許諾する旨の黙示の合意を含むものであったと認めるのが相当である。
被告の主張について
ア 被告は,将来的に本件商標の権利者になり得る立場として被告自身の出所表示として本件商標を使用しており,本件においては本件契約後の被告による商標の使用によって得られる信用が原告に帰属するような状況とはなっていない以上,被告による本件商標の使用は,通常使用権者としての使用に該当するものではない旨主張する。\nしかし,被告は,本件契約上,本件商標権の移転登録がなされるまでの間,本件商標権についての通常使用権者の立場にあったものと認められるのは前記認定のとおりである。なお,商標法上,被告の主張する将来的に本件商標の権利者になり得る立場なるものを商標の使用権原として観念し得ると解することもできない。
また,被告が,原告とは異なる本店所在地を会社案内の冊子に記載するなどして(甲6),自らの出所表示とする意思で,前記1認定のとおり本件商標と社会通念上同一の商標を使用したとしても,本件商標の商標権者として登録されているのが原告である以上,被告による本件商標の使用は,通常使用権者としての使用にとどまるものというほかない。\nよって,被告の上記主張を採用することはできない。
◆判決本文
◆関連事件です。平成26(行ケ)10037
◆関連事件です。平成26(行ケ)10038
経過がややこしいです。被告は、「電球類及び照明器具」のうち、「LEDライト」について、前件不使用取消審決を請求しました。審判では、使用しているとして棄却されましたが、審取では、商品への使用ではないことを理由として、「LEDライト」のみ取り消し決定がなされ、審判では「LEDライトを除く、電球類及び照明器具」に変更されました。被告はさらに、「LEDライトを除く、電球類及び照明器具」についても不使用取り消しを求め、本件審決にて、不使用であると認定されました。本件は、その取消訴訟です。裁判所は審決を維持しました。
前記1(1)ないし(3)認定のとおり,被告は,光源としてLEDを使用する電球類及び青色防犯灯を販売する訴外会社の代表取締役であり,平成20年8月11日以来,継続して使用している「ECOLUX」の商標(被告商標)を登録してこれを訴外会社の商品に使用する目的で,前件審判及び本件審判を請求したものである。また,第一次訴訟における和解交渉の経緯は,前記1(4)認定のとおりであって,被告の提示した解決金の算定方法である「過去1年間の本件商標を使用した商品の売上額×5%×10年分」とは,被告が被告商標の使用を中止することの代償として,被告が第一次訴訟に勝訴し,被告商標が登録された場合の実施料相当額を求めたものである。和解が,一方当事者の提案に対して他方当事者が対案を提示するなどして互譲により紛争を解決するものであることからすれば,被告による上記和解案の提示は,一方当事者による提案として格別不合理なものとまでいうことはできず,まして被告が虚偽の事実に基づいて法外な和解金を要求した事実は認められない。そして,第一次判決が前記1(5)において認定したとおり,原告は,前件審判及び前件訴訟において,特定のLED電球の包装に本件商標を付したとの事実を主張し,それ以外の使用に関する事実を主張しなかったため,これを争う被告は,原告によるLED電球に関する本件商標の使用事実を否認して争えば足り,それ以上に「LEDランプ」との用語が,乾電池式LEDセンサーライト(本件商品)のようなものを含むものであることを主張する理由も必要もなかったのであって,被告が前件審判及び前件訴訟において,「LEDランプ」の用語についてこの点を明確に主張していないからといって,そのことは,何らかの意味において原告の信頼の根拠となるものではない。また,訴外会社は,平成19年7月10日頃には,LEDを光源として使用する青色防犯灯を販売するようになり,平成20年8月11日頃から,当該青色防犯灯に被告商標を付し継続して使用しており,被告は,前件審判の請求に当たり,「LEDランプ」との用語が光源としてLEDを使用する防犯灯を含む意図を有していたものである。そうすると,原告において,LED電球以外の照明器具については,前件審判の取消しの対象である「LEDランプ」には当たらないと信じ,本件商標を本件商品その他の照明器具について使用し,平成22年ないし平成24年6月までの期間に,総額16億円以上の費用を負担して宣伝広告を行い,その結果,取引界において,本件商標が原告の出所を表示するものとの幅広い信用が形成されていたとの原告の主張を前提としたとしても,被告による本件審判請求が権利の濫用に当たるということはできず,他に被告による本件審判請求が権利濫用に当たることを基礎付けるに足りる事実を認めることはできない。\n
◆判決本文
◆関連事件はこちらです。平成25(行ケ)10256
不使用取消審判にて「使用」であると認定した審決が維持されました。
原告は,「シータヒーリング(Theta healing)」の表記は,説明会等の内容を示す一般名詞として使用されたものであり,役務の出所を示す識別表\示として使用されたものではないと主張する。しかし,原告の主張は,以下のとおり採用できない。すなわち,1)被告が平成21年9月に開催した心理療法によるカウンセリング等に係るセミナーのチラシには,上方に大きな文字で「The Theta Healing Seminar」と,その下に「シータヒーリング・セミナー」と目立つように表記され,また,同月に行ったセッションの申\込書には,「シータヒーリング・セッションのご案内」と記載されていること,2)被告が平成23年及び平成24年に開催した心理療法によるカウンセリング等に係る出張説明会及び出張説明会後の個人セッションの実施を告知したチラシには,上方に「シータヒーリング(Theta healing)○R 出張説明会開催決定!」又は「シータヒーリング(Theta healing)○R 勉強会開催のお知らせ」と記載され,また,個人セッション申込のための本件依頼書には,「シータヒーリング(Thetahealing)○R 依頼書」と記載され,登録商標であることを明示するための○R記号を付して用いていること等の事実を総合すれば,チラシや申込書,本件依頼書に記載された「Theta Healing」「シータヒーリング」「シータヒーリング(Theta healing)」(以下,以上を併せて「本件使用商標」という。)は,被告の提供に係る役務の出所を識別するための表示として使用されたことは明らかである。\n
◆判決本文
不使用取り消し審判にて、使用商標「DEROS JAPAN」、登録商標「デーロス」では、特許庁は不使用と判断しましたが、裁判所は、社会通念上の同一性があるとして、使用として認めました。
使用商標「DEROS JAPAN」は,全体が普通に用いられる字体で表示されているものであり,「DEROS」と「JAPAN」との大きさが異なる態様で使用されているほか(甲12の1,13の1),両者の間に空白がある態様で使用されており(甲12の1,13の1,24,25,28の1〜3,29,32〜34,35の1,36,37),また,「JAPAN」が我が国に広く了解されている英単語であり,個別の語として容易に理解されることから,「DEROS JAPAN」が,常に一連一体のものとして称呼・観念されるものとはいえない。ところで,前半の「DEROS」は,「デロウズ 帰還予定日(和)」に対応する英単語であるが,我が国において一般に馴染みのある単語ではなく,一方で,「DEROS」をローマ字読みした「デ ロ ス」は,我が国において一般に馴染みのあるギリシャ共和国のデロス島の和名(デロス島の正しい綴りは「DELOS」である。)と音を共通にし,そのように読まれることが多いものと理解される。したがって,「DEROS」は,ローマ字表記に準じるものとして「デロス」との称呼が生じ(観念は不明である。),後半からは「ジ ャ パ ン」の称呼と「日本」との観念が生じる。しかるところ,商標において片仮名とローマ字とを相互に変更する場合は,社会通念上の同一性を失わないものと解されるから(商標法50条1項かっこ書き),本件商標の使用の有無の検討に当たって比較対象すべき点は,「デロス ジャパン」(「DEROS JAPAN」)と「デーロス」(本件商標)との社会通念上の同一性の有無になるところ,上記aに説示したとおり,「ジャパン」を付加することによって取引者・需要者に別異の観念を抱かせるものでなく,また,長音化したもの(デーロス)とそうでないもの(デロス)とは,外観上の差異がわずかである上,いずれもが特定の観念を抱かせないものであるから,その称呼の差異によって別個の観念は生じないものと解される。以上からすると,「DEROS JAPAN」と本件商標(デーロス)とは,社会通念上の同一性を有するものと認めるのが相当である。(イ) 被告の主張に対して被告は,デーロス・ジャパンと被告との間をめぐる取引の実情を加味して社会通念上の同一性を判断すべき趣旨を主張する。そして,上記1(1)〜(3)の認定によれば,原告又はAは,「デーロス」と「デーロス・ジャパン」とに同一性がないと考えたことにより,「デーロス」の商号の使用禁止約定に応じて,Aが代表者を務める株式会社デーロスの商号を「株式会社デーロス・ジャパン」に変更したものと推測される。しかしながら,商標の使用の有無の判断に際しての,当該登録商標と使用商標との社会通念上の同一性の検討においては,両商標の有する客観的要素が重視されるべきであり(例えば,商標法50条1項かっこ書き所定の変更事由について,当事者が同一性を欠くものと認識したとしても,その認識により判断が左右されるものではない。),本件においても,被告が指摘する当事者間の極めて特殊な個別事情やその主観的認識状況のみでは,上記(ア)の認定判断を左右するものとはいえず,被告の上記主張は採用することができない。
◆判決本文
商標不使用取消審判にて「使用」と認定した審決が取り消されました。
本件各広告に表示されている「パールフィルター」や「PEARL FILTER」は,本件各広告では,いずれも中程度の大きさのフォントで,中見出しのような位置に表示され,その下に1,2行ないし数行の宣伝文言が記載されているものである(なお,本件広告A及びDではその1枚目ないし表\面ではなく,その2枚目ないし裏面に表示されている。)。そして,本件広告A,B及びDの「キラキラきらめくパールフィルター」(上下2段ないし1行)の表\示は,「キュッと詰まったメンソール」,「におい・煙り少ない」,「20本入りなのにコンパクト」(上下2段ないし1行)と同様の大きさのフォントと中見出し的な態様で表\示されている(本件広告Cの「PEARL FILTER」や「パールフィルター」も,その前後の記載文言等は異なるが,概ね同様である。)。そして,たばこ業界においては,フィルター付きたばこのブランドとして「○○フィルター」と称する例が存在し,世界的に販売数量の多いたばこブランドである「ウィンストン・フィルター」や「キャメル・フィルター」などの例が存在すること(乙2,3),及び本件各広告における「パールフィルター」や「PEARL FILTER」の表示は,本件商品のメインブランドである「ピアニッシモ スーパースリム」ないし「PIANISSIMO」程ではないにせよ,本件各広告中において前記認定のとおり中程度に目立つ態様で表示されており,同程度に表\示されている「キュッと詰まったメンソール」「20本入りなのにコンパクト」「におい・煙り少ない」(本件広告A,B,D)及び「この細さでこの刺激。直径5mmのセンセーション。」(本件広告C2)等に比べると,単なる商品の内容や形状を説明しただけのものではなく,そのフィルターにパール状の光沢や色つやがあるとの特徴があるフィルター付きたばこである本件商品を,「パールフィルター」や「PEARL FILTER」と称してその宣伝広告活動しているものと認めることは可能である(「キラキラきらめく」は「パールフィルター」を修飾する形容詞として表\示されているものと解される。)。これらの事実からすると,被告は,そのブランド戦略からして,本件商品に「ピアニッシモ・スーパースリム・メンソール・ワン」との商品名を付し,「ピアニッシモ・ファミリー」と称される商品群に属する一銘柄として,「PIANISSIMO」の商標を強調するなどした上で,フィルターにパールのような光沢とつやのあるたばこである本件商品の特徴に由来する「パールフィルター」や「PEARL FILTER」という二次的なブランドも採用したものと認めるのが相当である。以上によれば,被告は,本件各広告において,「ピアニッシモ スーパースリム」「PIANISSIMO SUPER SLIM」ないし「PIANISSIMO」等を本件商品のメインブランドとして広告宣伝し,取引者及び需要者は,これらの商標によって,本件商品を他の商品から識別するものであるけれども,同時に,「パールフィルター」や「PEARL FILTER」との標章も,本件商品の特徴を表す二次的ブランドとして,本件各広告に使用されたものと認められる。ウ 次に,本件各広告における「パールフィルター」や「PEARL FILTER」との商標が,本件商標と社会通念上同一の商標といえるか否かについて判断する。本件広告A,B,C2及びD中の「パールフィルター」や本件広告C1中の「PEARL FILTER」のうち,「フィルター」ないし「FI-LETER」は,本件商標の指定商品であるたばこのフィルターを指す語であって,これをフィルター付きたばこに使用した場合,それ自体識別力を有しない語である。これに対し,「PEARL」の文字は,真珠という意味の英語であり,そのカタカナ表記である「パール」を含め,日本人によく知られている言葉であるから,これをたばこという商品に使用した場合に,自他識別機能\を有する商標となり得るものである。しかし,前記イ認定のとおり,本件各広告においては,「パール」や「PEARL」は,本件商品の二次的ブランドである「パールフィルター」や「PEARL FILTER」との商標の一部として使用されているにとどまるものである。「パールフィルター」や「PEARL FILTER」との商標は,本件商品の二次的ブランドとして使用されているものである以上,取引者及び需要者はこれを一連一体のものとして認識し,把握するものであって,「パール」や「PEARL」のみを分離して認識し,把握するものではない。したがって,本件各広告において使用されている「パールフィルター」ないし「PEARL FILTER」との商標は,本件商標と社会通念上同一の商標であるということはできない。
◆判決本文