商標「Agatha Naomi」が、アクセサリー分野で周知の「Agatha」と類似するかが争われました。1審は一体としてとらえて非類似と認定しましたが、知財高裁は類似するとして、差し止め請求を認めました。
「被控訴人標章1の各冒頭の文字は,装飾されているが,被控訴人ウェブサイトの名称が「www.agathanaomi.com」である上,同一の画面に被控訴人標章2が表示されることから,その文字が「A」「N」であると理解することが可能\\である。そして,被控訴人各標章は,その外観上,2個の英単語から成るものであって,「Agatha」の語と「Naomi」の語とを組み合わせた結合商標である。このように,被控訴人各標章は,「Agatha」と「Naomi」の2つの語から構成され,それぞれの冒頭は大文字であり,2つの語の間には空白があることにもかんがみると,被控訴人各標章の各構\\成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとまでいうことはできない。そして,上記アのとおり,アクセサリーの分野において「AGATHA」が周知性を有し,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることに照らすと,被控訴人各標章からは,「Agatha Naomi」という一連の称呼・観念が生じるとしても,それだけでなく,「Agatha」という称呼・観念も生じ得るものと解するのが相当である。」
◆平成21(ネ)10031 商標権侵害差止等請求控訴事件 商標権 民事訴訟 平成21年10月13日 知的財産高等裁判所
「印刷物や電子出版物の取引者又は需要者において,「○○+ウォーカー(walker/Walker/WALKER)」との名称が,原告又はその関連会社の発行する出版物等に付される商標と認識されるかが争われました。裁判所は、無効理由無しとした審決を維持しました。
「原告は,原告が,雑誌「東京ウォーカー/Tokyo Walker」を旗艦誌とし,「情報を示す語」と「ウォーカー/Walker」を含む構成からなる商標を中心に使用することによって事業を展開しており,この原告の使用実績から,取引者及び需要者間において,原告の「○○ウォーカー/Walker」から構\成される商標は,雑誌の内容・テーマ・対象によって,「○○」が異なるということが十分に認識され,そのような商標を原告が使用してシリーズ化した商品展開やそれに関連するサービス展開を行っていることは,広く認識されている,したがって,取引者及び需要者が,「(都市名又は地域名以外の)情報を示す語+ウォーカー/walker」との雑誌等に接すれば,原告関連の商品と認識する,と主張する。しかしながら,このような「情報を示す語」との名詞等は無限といってよいほどに存在するものであるところ,原告が発行した「(都市名又は地域名以外の)情報を示す語+ウォーカー/walker」との雑誌等については,上記のとおり,そのそれぞれの発行の時期,対象地域,対象読者層,情報の内容が異なり,発行も単発的なものも少なくなかったこと,その発行時期も本件商標出願後のものが少なくないこと,後記3のとおり,現在に至るまで,原告とは無関係の第三者が,指定商品に出版物や電子出版物を含む多数の「情報を示す語+ウォーカー/walker」との商標を出願登録していることや,原告とは無関係の第三者が出版する「情報を示す語+ウォーカー/walker」の書籍等が流通していることなどからすると,本件商標の出願時である平成12年12月及び登録査定時である平成14年5月の時点において,そのような無限といってよいほどの「情報を示す語+ウォーカー/walker」との商標について,原告と関連するものであると取引者及び需要者が認識することがあったと認めることはできない。」
関連判決はこちらです
◆平成21(行ケ)10014号
◆平成21(行ケ)10013号
◆平成20(行ケ)10362号
◆平成20(行ケ)10361号
◆平成20(行ケ)10363 審決取消請求事件 商標権行政訴訟 平成21年04月08日 知的財産高等裁判所